鯖男
2014-04-19 16:26:00
2484文字
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中年槍と高校生士郎の七日間


ツイッターで垂れ流したのを改行してまとめたもの。お気に入りに入れてくれた人たちすまぬ。でもこの方が読みやすいかなって


初めて会ったときは飄々としているくせに、妙な貫禄がある人だと思った。
人懐っこそうに笑うと刻まれたシワが深くなる。アンバランスだけど、どこか安心する不思議な人だった。
「互いを知るには腹割って酒でも呑み交わせば一発なんだが、いかんせん坊主は未成年だしなぁ」
一日目・お話をしよう

「独りで食う飯は味気ねぇんだ。おっさん助けると思って飯食いに行こう」
半ば強引に連れてこられたのは屋台のラーメン屋。暖簾をくぐると、しかめっ面した店主がいる。
「味噌ラーメン二つ」
注文を受けると黙って麺を茹で始める。
「ランサー、今度は俺が弁当作ってくるからな」
二日目・ご飯を食べよう

ランサーの部屋は物が少なく、こざっぱりとしていた。
リビングには必要最低限の家電と仕事で使うであろうPCのみしかない。人の住んでいる気配がない家。
「殆ど寝るためだけの部屋だしな」
家ではなく部屋だと言う。それがとても悲しい。
「なら俺がおかえりを言う」
三日目・お家に招待しよう

「もう知らないからな!ランサーのばか!」
「おい坊主!」
呼び止めるランサーの声を無視して俺は走った。走りながらも頭は冷静で、先程の喧嘩を俯瞰的に思い出す。
喧嘩になっていなかった。一方的に怒っているのは俺だけで、ランサーは年の功なのかやんわりとたしなめていた。
四日目・喧嘩をしよう

本気で殴られた。
一瞬何が起こったか分からず、受け身もとれないまま壁に激突する。
「お前は! おっさんを早死にさせてぇのか!」
絞り出すような声に息が詰まる。
「ごめんなさい……
本気で心配してくれている。本気で心配させてしまった。嬉しさと申し訳なさでぐちゃぐちゃだ。
五日目・仲直りをしよう

シングルベッドは男二人が身動きする度に嫌な音を出した。
「坊主ぬくい。年取ると末端が弱くなってなー」
「手ぇ貸せよ。暖めてやるから」
手を撫でている最中、ふと気づく。
思えば何度も会っているのに、手を触ったのはこれが初めてだった。
六日目・一緒に寝よう

ランサーは転勤になったらしい。
らしいというのは俺には何も伝えられてないからだ。
いつものように部屋の鍵を回すとそこには閑散とした空間に紙切れ一枚しかなかった。
紙切れには殴り書きで「じゃあな」と一言。恐らく俺の未来を思っての行動だろう。
男は最後まで勝手だった。
最終日・お別れをしよう


以前は誰が作ったか分からないコンビニ弁当をつつく毎日だった。
味に煩いわけでもないので黙々と口に運びながら、ビールを煽る。それに文句はなかった。
独り身なんて大抵こんなものだしな。
「ランサー、めしできたぞ」
だが坊主がきてから、生活が一変する。
「うまい」
俺がそういうと坊主ははにかんだ。

桜の蕾がポツポツと木々を彩る三月。
「頃合いだな」
「?」
突然ランサーは箸を置いた。む。今日のおひたしは自信作なんだが、口に合わなかったのだろうか……
「坊主。結婚すっか」
「は」
「いや待て。日本じゃ同棲結婚できねぇわ。じゃあ同棲すっか」
「いやいやいや」
何を言ってるのだろうこの男は! 結婚? 同棲?
俺の頭はショート寸前だ。
「俺はお前の高校卒業待ってたよ。大学もここから近いじゃねーか」
そう言ってにやりと笑うランサー。その目は肉食獣のそれと大差ない。
しかし大学はランサーに相談し、候補を絞りこんだが……最終的には自分で決めたはずだ。
「お前が行きそうな学部は分かってたからな」
「き、」
汚ぇ~~!
声にならない声が口の中で暴れまわる。
「大人は汚いんだよ」
してやったりの男は煙草をゆっくりと吸い、一気に俺の顔に吹き掛けた。
「けどそんな俺が好きだろ?」
「~~~」
ああちくしょう。
生活能力ないくせに。女にだらしないくせに。最高にかっこよく見えるじゃないか!
中年槍×高校生士郎true end

【追記】プロトタイプメモを発見したので書いておく。ツイッターに書いたまま。
士郎が援交を始めた理由はクラスメイト(♀)に「○○に行かないといけなくなったんだけど、用事ができて行けなくなった。代わりにいってくれ」とかなんとか言われたから=援交だと知らない。だから中年槍に「ここに来るはずだった子は用事ができてしまい代わりにきた」とか言っちゃうんだよ。

どんどん自分に溺れていく士郎がかわいくてしょうがない槍。
士郎→槍の感情が無自覚の恋で、槍→士郎の感情が×××(まだ結論付けできない)の愛だと私は全裸で「この地球(と書いてほし)に生まれてよかったーっ!」って叫ぶ。

ちょっとシワがあって休日の寝起きを見たらヒゲ生えてる中年槍いーじゃんいーじゃんすげーじゃん。
結ばれない恋な槍士いーじゃんいーじゃんすげーじゃん。

中年槍には士郎に生きていくには少し肩の力を抜くことと自分を大切にすることを、士郎を大切にすることで教えてほしい。
口じゃ言わないよ。ただ子供扱いしたり槍が甘えてみたりするだけだよ。

「俺、坊主に最期看取ってほしいな。遺産もやるよ」
馬鹿なこと言うなよ」
「年上が先に逝くのは自然の摂理だろ?」
「二度とそんなこと言うな」
「じゃあ一緒に逝くか? ずっと一緒にいれるぞ?」
あんたはズルい」
「そのズルい大人に捕まったのはお前だよ」

中年槍と高校生士郎の奇妙な援交は七日間で終わるんだよ。
どっちかが別れを告げて振り返らずに別れるんだよ。
ただ一つ分かるのは別れを切り出すのが槍の場合、「俺はお前が好きだよ」感を出しながら別れを告げる。
意地の悪い執着。
悪くてズルい大人だから。それを振り払って士郎は大人になるのさ。

中年槍のこと悪くてズルい大人としか言ってない気がする。
いや、この槍はごく当たり前の青春を送って恋愛経験値溜め込んだからズルくなったんだよ当然の成長なんだよだから俺は悪くぬぇ