鯖男
2013-10-17 22:26:02
3669文字
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A~Zのデッドエンド


※これはアルファベットを辿りながら士郎ちゃんが死んでいく140以内のSSSです。
「士郎ちゃんは不滅なのぉ!」という方はバックで。
ついったーであげていたまま載せるので改行ないです。








音も無く、それは起こった。首から飛沫をあげ、張り替えたばかりの真っ白な障子に赤い花を咲かせる。ぐらりと揺れる士郎の体。勢いを殺さないまま、彼の体は畳に転がった。不気味な気配だけが少年の死体を見つめていた。
A/暗殺されてdead

人は危機に陥ると、周囲がスローに見えるらしい。まさに今がそうだ。俺の前には長針と短針が同じ位置になった時計。それがゆっくり破裂し、オレンジと白の爆流が全身を包み込む。真っ直ぐ伸ばされた指先は爪が剥がれ、肉か溶ける。そのとき、何故かじいさんの顔が浮かんだ。
B/爆破テロでdead

べきん、と音のわりには簡単に腕が折れた。いや、『折れた』というのは正しい表現ではない。捻れたのだ。ネジを巻くように。膨れ上がる根本的な恐怖に士郎は駆け出した。しかし『視界』に入っている時点で士郎の死は決定付けられていた。凶れ。冷たい声が耳に残る。
C/超能力者に襲われdead

少年は死の海を泳いだ。通りすぎる度に炎の津波に飲み込まれる人。どんなに助けを請われようと少年の小さな手では、何一つ救うことができないだろう。少年も理解していた。だから目を閉じ、耳を塞ぎ、死の海を泳ぐ。やがて浮かんでいるのも疲れ、少年は津波に飲み込まれていった。
D/大災害dead

火力は大きくなかった。しかし蛇が這うようにずるずるとじりじりと指先から、爪先から、炎が体に迫る。地面に転がろうと水につけようと消える気配はない。魔術の炎というのは本当に厄介である。やがて炎は顔にまで進行し、視界は赤一色となった。
E/炎上dead

目も当てられない。なぜこんな失態を犯してしまったのか。士郎は自身が許せず、強く手を握りしめた。辺りは見たくはなかったが、それこそ亡くなった人々への冒涜と思い、しっかり目に焼き付けた。だからだろうか、士郎は気づかなかった。背後から迫り来る暴徒に。
F/ファンブル(絶対失敗)dead

少年は何でもないようにいう。「俺がやるよ」それは死を意味するのに。更に少年は歌うようにいう。「だからみんなは普通の生活に戻ってくれ」表情はむっつりとしているが、彼が心から言っていることは分かる。しかし私は思う。そんな判断ができるこの男が怖い、と。
G/犠牲になってdead

「シロウ?」「士郎?」「先輩?」前門のあかいあくま。後門のラスボス。隣の騎士王。六つの瞳が士郎を貫く。それもこれもはっきりしない士郎が悪かった。袈裟斬りされようと、ガンドを撃たれようと、影にもぐもぐされようと文句は言えない。皆が幸せになれる道などなかったのだ。
H/昼ドラdead

先輩。私、先輩に怪我してほしくないです。だから外に出ないで下さい。後輩の懇願に頭を下げ、士郎は玄関に手をかけた。瞬間、腕が消えた。影に呑まれて消滅したのだ。先輩。私、先輩が好きです。だから怪我してほしくないんです。そして足も呑み込む。好きなんですよ?
I/愛しさのあまりdead

痛みは感じなかった。石が胸に当たったと思ったのだ。しかしよくよく見てみると一本の矢が突き刺さっていた。服に滲む赤が生々しい。頭で理解しきれず周囲を見渡せば、目の前に双剣を携えた弓兵が立っていた。何か言っているようだが俺には分からない。だって弓兵に頭を、
J/自分に殺されdead

一段上るごとにボロボロの階段が悲鳴をあげる。てっぺんでは死神が手招きをしているようだ。目の前で揺れる輪っかはいつか見た満月のように真ん丸だった。青年はため息を漏らした。罵声罵倒を真摯に受け止め、自身が地獄まで持っていこう。これが最後にできる仕事だから。
K/絞首刑dead

じっと息を殺す。青年はいつか見た暗殺者に倣い、周囲に同化し、気配を消す。動くのは指一本でいい。ただただ機械のように精密に。スコープから覗くターゲットは慌てた様子もなく、ゆっくりとこちらを見た。構えられたのはライフル銃。青年の頭に大輪の花が咲いた。
L/ライフルで撃ち抜かれdead

暗い。寒い。寂しい。怖い。泥の中は様々な負の感情が満ちていた。呼吸もできず、手足も麻痺したように動かない。呼吸ができないくせに苦しくないのは泥の主の温情だろうか?沈んでいるのか、浮かんでいるのか分からない。士郎の思考は黒く塗りつぶされてしまった。
M/真っ黒な泥に呑まれてdead

イリヤの三分クッキングー!材料は体の自由を奪ったお兄ちゃん。対魔力がポンコツなので簡単でしたー。まずコンパクトにするために足と手を砕きます。骨も粉々にしましょうね。そして頭は切り取ってホルマリンに。残りはバーサーカーの大剣で引き伸ばして完成!
N/肉の塊となりdead

彼らにも未来があったろうに。彼らにも夢があったろうに。しかしそれは潰えてしまった。誰のせいだ?分かっているだろう、衛宮士郎。貴様は罪を償うべきだ。彼らの声を聞け。余すところなく聞け。そして応えろ。ああ、決して 死んでくれるなよ。私が殺すまで、な。
O/怨念によりdead

青年は物陰に隠れ、胸ポケットから注射と試験管を取り出した。試験管を満たす液体を注射器で吸い上げ、慣れた手つきで腕に刺す。すると青年の体を満たしていた鈍痛は嘘のように消え去った。体を誤魔化し、自身を誤魔化し、今にも壊れそうな体を省みようとはしない。
P/ペインコントロールdead

少女が剣を杖代わりにして荒い呼吸をしていた。素人目から見ても危険な状態なのは分かる。無慈悲に振りかざされる大剣。「やっちゃえバーサーカー」天使の笑みで残酷な言葉を吐く白い悪魔。士郎は何も考えずに駆け出した。疑問などない。そうすべきだ、と思ったからだ。
Q/クエスチョンレスdead

綺麗なものに憧れた。養父しかり、蒼の少女しかり。そして綺麗とは違うが、思い描いた理想として赤い男にも憧れていた。なのでいくら幻覚とはいえ、この三人に臓腑を引きずり出されるのは些か辛いものがあった。意識を手放す寸前に手を伸ばしたが、簡単に払われてしまった。
R/理想に殺されdead

落ちる。墜ちる。堕ちる。最古の王を自由にさせるわけにはいかず、共に虚に飛び込んだ。空間の広さは把握できず、音もない。共におちたはずの英雄王も既にいない。ないない尽くしの虚無空間。次第に思考すらもあやふやとなり、独りぼんやりと漂った。
S/心中dead

耳元で荒い息遣いが聞こえる。興奮しているのか。女は最初に首筋を丹念に舐め、皮膚を柔らかくしてから鋭い牙で皮膚を貫く。一瞬痛みがあるが、再び舐められると痛みは引いていく。代わりに訪れるのは恍惚だった。「もっとください」求められるままに首筋を差し出した。
T/血を吸われてdead

数メートル沈んで海面へ向くと光が乱反射し、きらきらと瞬いている。光の具合で青かったり、緑っぽかったり鮮やかだった。次は海底へ向く。底が見えず奥に行くにつれ、鮮やかだった色が消え去っていた。まじまじと見れば底で誰かが手を振っている。俺は助けるために沈んでいく。
U/海で溺死dead

どんっと背後からぶつかられた。「お前がいけないんだからな」帽子を深く被った男はそれだけ言い残し、走り去ってしまった。はて、あの男は一体誰なのだろうか。記憶を辿っても思い出せない。すると背中に違和感を覚え、背中を見ると立派な出刃包丁が刺さっていた。
W/訳もわからずdead

迷える子羊よ何かお探しかね?ふむ、衛宮士郎を探していると。結論から言わせてもらおう。そんな無駄なことはやめたまえ。怒ったかね?まぁ折角来たのに、手ぶらで返すのも忍びない。ではヒントをやろう。衛宮士郎は君の近くにいて遠くにいる。分からないか?それでいい。
X/X(秘密)dead

ある意味これが衛宮士郎の入り口だっただろう。血のように赤い槍を携える青い男。涼しい顔をしてつまらない仕事のように士郎の胸に槍を突き刺す。まるではやにえのようだ。士郎は抵抗すらできず命を失った。──命を失ったままなら誰も救われなかっただろうに。
Y/槍で穿たれdead

少年は死んだ。否、語弊があった。少年は青年へと成長し、少年の心を持ったまま世界(群衆)に殺された。そして『世界(アラヤ)』のために世界(群衆)を殺している。何も為しえなかった。何も残せなかった。『世界(アラヤ)』の歯車として動く青年は現象として存在していた。
Z/残骸dead

色々あった。辛かったことや苦しかったこと、時には逃げ出したいことだってあった。しかしどんなに少なくても誇れることもあった。譲れないこともあった。何度死のうと、それだけで少年(青年)は十分だった。
☆/だが胸には小さな光が一つ