鯖男
2013-06-30 17:21:19
1088文字
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駄ランサーと士郎ちゃん


駄ランサー→駄目なランサーの略。事の発端はGさんとソラさんのランサー診断で「ブックマークがエロサイトまみれなうつろなランサー」と「ブラを外すのが上手なランサー」を掛け合わせた結果、駄目なランサーが生まれました。つまり二人の愛の結晶ですね。
そんな駄目なランサーと通い妻状態の士郎ちゃんの話。えろくないよ。


士郎は随分と買い込んだスーパーの袋を提げ、長い坂道を登っていく。緩やかな坂道なので、普段ならば苦ではないのだが、いかんせん荷物が邪魔だった。重いものはそれほどないが、豆腐やら卵やらバランスに気を使うものが多かったのだ。
「でも栄養的に必要だしなぁ」
これから向かう部屋の住人はとにかく栄養がない。体にも、心にも。
ならばせめて体の栄養だけでもと、士郎は頼まれもしていないお節介を焼いている。
やがてアパートに着いた。木造二階建ての角部屋。ノックはするが、返事は返ってこない。既に分かっていることだったので士郎はポケットから鍵を取り出した。キーホルダーも何も付いていない簡素な鍵。
中に入ると最初に出迎えたのはゴミの山。辛うじて袋に入れられてはいるが、可燃ゴミも不燃ゴミも一緒くただった。……以前来たときは袋にすら入れられていなかったので、進歩と言ったら進歩なのだが。
ゴミ仕分けは後でやるとして、台所まで爪先で歩きながら何とか冷蔵庫に辿り着く。中を覗くとオレンジの光だけが空っぽの冷蔵庫を照らしている。脇を見ると妙な沈殿物がある麦茶とマヨネーズがあった。士郎は迷わず麦茶を流した。
買ってきたものを冷蔵庫に入れ、再び爪先歩きで目的の人物の元へ行く。
「ランサー、またエロゲやってんのか」
「おう……
ランサーと呼ばれた男は虚ろな目で微動だにせず返事をした。視線はノートパソコンに向けられ、一定のリズムでクリックを繰り返している。画面はランサーの体に隠れて見えないが、きっと濡れ場なのだろう。タイミングが悪い士郎はランサーの部屋を訪れるとき、よくエロゲの濡れ場シーンに直面するからだ。最初は見ないように顔を伏せていたが、慣れるもので平然と部屋掃除ができるようになってしまった。
「洗濯機回すから少しうるさくなるぞ」
「おぉ……
「あとゴミを袋に入れるようになったのはいいけど、今度は分別もしろよな」
「んー……
視線は尚もパソコンへ。クリックも止める気配はなく、空返事のみ。
わかっていたが溜め息が漏れる。
「エロゲも程々にしろよ」
……
返事すら億劫になったか。
士郎はそこら中に脱ぎ捨てられた服を拾いながら、どんな保存の利く食事を作ろうか思案した。