yoAi_mochii
4793文字
Public R18
 

【狛日】お預けの果ては 続々。

未機パロ

「触っていい……んだよね?」

低く囁きながら、ボクは自由になったもう片方の手で日向クンの腰を引き寄せた。硬いスチールフレームの縁に腰掛けたままの彼の身体が、わずかに震える。

……うるさい。さっさとしろ」

掠れた声で吐き捨てた直後、日向クンは自らボクのシャツの襟を掴み、乱暴に引き寄せた。唇が、激しくぶつかり合う。
熱い。湿った。数日間ずっと堪えてきた渇きを、一息に吐き出すような、貪るようなキス。

ボクは日向クンの腰を引き寄せ、唇の隙間から性急に舌を差し入れた。熱い口内を隅々まで掻き回し、歯列をなぞり、溢れ出した唾液をねっとりと啜り上げていく。
日向クンも負けじと、不慣れな舌を懸命に絡めてくるけど、その拙く無防備な応え方すら、今のボクにはたまらなく愛おしかった。
ねちっこく執拗な舌の動きに翻弄されるがまま、一方的に口内を貪られ、やがて息を継ぐタイミングさえ見失っていく。

「ん、む……ぅ、んッ……!」

鼻に抜ける押し潰された悲鳴。熱い吐息が互いの口元でグチャグチャに混じり合う。
日向クンのの端正な顔は、あっという間に羞恥と混乱で真っ白に染め上げられていく。

「ん……っ、はぁ……

ようやく唇を離してやると、日向クンは目元に生理的な涙を滲ませ、息も絶え絶えに大きく胸を上下させた。
ボクの襟元を掴んだ手だけは、離すべきか迷うように一度だけ力を緩め――結局、名残惜しそうにもう一度強く握り直す。
その可愛らしい逡巡を間近で眺めながら、ボクは日向クンのワイシャツへ指をかけ、ボタンを一つずつ外していった。
一つ、また一つ。
薄い生地の下から露わになった、小麦色の逞しい胸板。作業の熱によって浮かんだ細かな汗の粒が、その肌の上で淫らな光を放っている。
指先で乳首を軽く弾くと、日向クンの肩がびくりと跳ね、噛み締めた唇から甘い吐息が零れた。

「ここ、あの初めての夜も信じられないくらい敏感だったよね……。ボクが少し舌で転がしただけで、キミ、ボクの背中に爪を立てて、あんなに可愛い声で泣いていたじゃないか」
「その話はするな……って、あっ……く、お前……っ!」

言葉では拒みながらも、日向クンの身体は正直だった。
スチールフレームの縁へ腰掛けたまま上体がわずかに反り、弄ぶ指先へ胸元を押しつけるように、自ら熱を差し出してくる。
ボクは歪な笑みを唇に浮かべながら、その熱い突起を親指と人差し指で摘み、執拗に転がした。剥き出しになった首筋に唇を這わせて、柔らかな皮膚へ痕が残るほど強く吸いつき、誤魔化しようのない赤い独占の印を刻みつけた。
そこから鎖骨へ、胸元へ、そして引き締まった腹部へ。
汗に濡れたキミの体温を一滴も残さず味わうように、ゆっくりと舌を滑らせていく。

日向クンの手が、堪えきれなくなったようにボクの髪を掴んだ。

「狛枝……っ、いいから、早く……っ」
「はぁ……キミがそんなに可愛い声で急かすなんて、本当に珍しいね。ねぇ、日向クン。数日間もお預けにされたせいで、キミの身体までボクの熱が恋しくてたまらなくなっちゃったの?」
「黙れ……っ! 誰のせいでこんなことになってると思ってんだ……!」

キミの悪態を極上の蜜として喉の奥で受け止めながら、ボクはベルトのバックルへ指をかけた。
金具を外し、ズボンと下着を一息に引き下ろす。
すでに硬く屹立した日向クンのものが、解放された反動でぴんと上を向いて跳ね上がった。先端の鈴口からは透明な雫が溢れ、細い糸を引きながら淫らに光っている。
ボクも邪魔な衣服を素早く脱ぎ捨てた。
数日ぶりに互いの裸の肌が密着する。その熱を感じただけで、脳細胞のすべてが一斉に混乱を起こし、くらりと目眩がした。

「ベッドでやろうか。キミが組み立ててくれた、新しい『愛の巣』の上でさ」
「愛の巣って言うな……! っていうか、まだマットレスも載せてないだろ」

日向クンの言うとおり、完成したばかりのフレームには、まだマットレスもシーツも用意されていない。
あるのは、二人分の体重を余裕で支えられるよう補強された太いパイプと、その上に張り巡らされた、目の細かなスチールメッシュだけ。
人間の身体を支えることはできても、寝心地なんてものは最初から考慮されていない、冷たく硬い鉄の寝床だった。

「あはは、大丈夫だよ。シーツなら、ちゃんとここにあるじゃないか」
「は?」

ボクは床へ脱ぎ捨てられていた日向クンのズボンを拾い上げた。
続けて、半ば肩からずり落ちていたワイシャツも完全に脱がせ、デスク脇の椅子へ放り投げられていた制服のジャケットまで手に取る。
それらを、新品のスチールフレームの上へ次々と広げていった。
汗を吸った白いシャツ。体温の残るズボン。そして、つい先ほどまで日向クンの身体を包んでいた制服のジャケット。
無機質な鉄の上へ敷き重ねられたそれらは、あまりにも不格好で、即席と呼ぶことすら躊躇われるような寝床だった。

「おい、待て! それ、俺の制服だぞ!」
「どうせもう汗で濡れているんだから、今さら少しくらい汚れたって同じだよ。それに――
ボクは日向クンの腰を抱き上げ、そのまま制服を敷き詰めたフレームの上へ押し倒した。
「今のボクに、マットレスを用意するまで待てると思う?」
「お前、本当に反省してな――っ!」

言葉の途中で、日向クンの背中が即席の寝床へ受け止められた。
ガン、と。
重い衝撃を受けたスチールメッシュが、低く硬質な金属音を響かせる。
布を何枚か重ねた程度では、冷たい鉄の硬さまで隠せるはずがない。日向クンの身体がその温度差と痛みに小さく跳ね、咄嗟に伸ばされた手がフレームの太い縁を強く掴んだ。

それでも、新品のフレームは軋みひとつ上げない。
二人分の体重を受け止めても、歪む気配すらなかった。

……あはは。やっぱり、素晴らしい強度だね」
「感心してる場合か! 背中、めちゃくちゃ痛いんだけど!」
「それなら、痛みを忘れられるくらい気持ちよくしてあげるよ」
「そういう問題じゃ――ん、っ!」

ボクは日向クンの脚を割り開き、そのあいだへ身体を沈めた。
互いの性器が直接擦れ合い、それぞれの先端から溢れた先走りがぬるりと混ざり合う。

「あはは、キミのここ……まだろくに触れてもいないのに、もうこんなに熱くなって、ドクドク脈打ってるよ」

指を唾液で濡らし、数日間、誰にも触れられず閉じられていた後孔をゆっくりとほぐしていく。
一本、そして二本。日向クンは冷たいフレームの縁を強く握り、眉を寄せて苦しげに喘いだ。

「あ……っ、んん……そこ、駄目だ。お前、わざと……っ」
「駄目じゃないよ。キミはボクの恋人だろ? ……ほら、あの最初の夜、木製のフレームがみしりと音を立ててぶち折れたのは、確かボクがキミのいちばん弱い『奥』を、滅茶苦茶にした瞬間だったよね」

差し入れた指を曲げ、弱い前立腺の拠り所を、正確に抉り上げる。

「ひあッ……!? ぁ、あぐ……っ、ん、あぁッ!!」

日向クンの腰が大きく跳ね、甘い悲鳴が部屋中に響き渡った。
数日ぶりに与えられた刺激に、その体は恐ろしいほど敏感に反応している。熱い内壁がボクの指をギチギチとく締めつけ、逃がすまいと引き留めるように、何度も収縮した。

もう、ボクだって我慢の限界だった。
これ以上、キミへボクの熱を与えずにいるなんて、一秒だって耐えられない。
ボクはゆっくりと指を引き抜き、硬く屹立した自身を、赤く火照った入口へ押し当てた。

「入れるよ……日向クン。」
……っ、来い……ッ!」

その許しを聞いた瞬間、一息に深く腰を沈めた。
熱にほどけた身体の奥深くまで、限界を押し広げるように貫き通していく。
熱く狭い内部が、ボクを壊してしまいそうなほど強く締めつけた。

「ああっ……! ぁ、あ、こま、えだ……っ!」
「くっ……あは、最高に熱いよ……っ!」

重なり合う吐息を荒らしながら、ボクはゆっくりと腰を動かし始めた。
最初は、日向クンの内側の輪郭を一つずつ確かめるように。何度も口づけを交わし、その熱をじっくりと味わうつもりだった。
腰を動かすたびにキミの唇から愛おしい悲鳴が零れ落ちる。その声を聞くたび、かろうじて握りしめていた理性の手綱は、あっけなく木っ端微塵に吹き飛んでいった。
次第に腰の動きは速さを増し、深く、激しく、苛烈なリズムへと変わっていく。

ガン、ガン、と。ボクたちが激しくぶつかり合うたび、揺さぶられたスチールフレームの脚が床を叩き、けたたましい金属音を室内へ響かせた。
どれほどボクがキミを激しく組み敷いても、この漆黒の『巣』は二人分の熱も暴力も、余すことなく受け止め続けている。

「あ、あっ、うそ……深、ぃ……っ、腰、折れ……ッ!」
「折れないよ! だって、日向クンがボクと一緒に組み立ててくれた、最高に頑丈なベッドだもの!」
「ベッドじゃなくて、俺の腰の話だ……っ、あぁッ!」
「あはは、それならもっと大事にしないとね。……だから、キミもこの身体ごと、もっと深くボクを受け止めてよ……っ!」

言葉とは裏腹に、ボクは日向クンの脚を自らの両肩へ担ぎ上げ、さらに深く、深層の壁を抉るように体重をかけた。
逃げ場を失った最奥へ届かせるように、下から強く突き上げる。

羞恥と快感のあまり、涙をぼろぼろと溢れさせる栗色の瞳、その視線は、縋りつくようにボクの顔だけを捉えていた。震える唇からは、文句の代わりにボクの名前が、何度も、何度も、濁った吐息とともに零れ落ちてくる。

「狛枝……っ、こま、えだ……っ! もっと、奥……っ、あ、んむっ、いい……っ!」
「キミの声……本当に最高だよ。ボクの耳も、脳髄も、全部キミで満たしてよ。もっと聞かせて……っ!」

ボクは日向クンの性器を手の中へ包み込み、腰を打ちつける律動に合わせて激しく擦り上げた。
汗が飛び散り、肌と肌が激しくぶつかり合う音が、金属音とともに部屋を満たしていく。
互いの限界が、もうすぐそこまで迫っていた。

「日向クン……一緒に、イこうね……っ」
「うん……っ、あ、きて、……こま、えだ、……ッ!!」

最後にひときわ深く腰を突き上げるとともに、ボクは彼の奥深くで、脈打つ熱を狂ったように放ち尽くした。
日向クンもほとんど同時に体を激しくのけぞらせ、白濁した飛沫が、汗に濡れた腹部へ乱雑に飛び散った。

ボクは力の抜けた日向クンの上へ崩れ落ち、汗と体液にまみれた体を、愛おしむように強く抱きしめた。

……愛してるよ、日向クン。ボクみたいなゴミクズの獣を受け入れて、こんなに最高の声を聞かせてくれて……本当にありがとう」

日向クンは、真っ赤に染まった顔を誤魔化すように横へ背けながらも、ボクを押し退けることはしない。迷うように宙を彷徨っていた腕が、やがて観念したように、そっとボクの背中へ回される。

……バカ。次は、ちゃんとシーツくらい敷いてからやれよ。背中、擦れてクソほど痛ぇんだよ……
「あはは、そうだね。キミの身体に傷がついたら大変だ。……でも、これでもうボクたち、本当の『仲直り』ができたよね?」
「家具を壊した張本人が言うな」

呆れたように吐き捨てた。日向クンの腕は、ボクの背中から離れなかった。

二人の下では、新しいスチールフレームが、先ほどまでの激しい衝撃など最初から存在しなかったかのように、歪みひとつ見せず佇んでいる。
冷たい金属に受け止められた、どうしようもないほど生々しい二人分の熱。
それを確かめるように日向クンの身体をもう一度抱き寄せたとき、ようやく本当の意味で仲直りできたのだと、ボクはそう思った。