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しお
2026-07-10 00:27:41
2846文字
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7/5あいおま新刊についての備忘
この本を出張編集部に提出したので、構成というか構造というか、こういう狙いで書きました、みたいなのを備忘として書いてみます
※内容に思い切り触れますので、先に本の方をお読みいただくのをお勧めします
こんなものを書いているくせに、読み返さずに記憶だけで書いてるのでもしかしたら本文と違う部分があるかもしれません
基本的にずっと盧笙が自宅でテレビを見ているストーリーなのですが、これは盧笙宅のリビングを盧笙にとっての「日常」とし、テレビの中には盧笙の身近にないもの・縁遠いものが映る、という構造になっています。
その状況で、テレビの向こう側とこちら側の両方に存在することができる簓が、向こう側にあるものを少しずつこちら側に持ち込んでくる。それによって盧笙に変化が起きる、というのが全体の流れです。
盧笙の内心の変化も、テレビに対する態度の変化で表現しようとしました。
冒頭ではテレビから聞こえてきた音に気を取られて簓との会話を中断しますが、終盤ではテレビから銃声というショッキングな音が聞こえてきても簓に向かう集中が切れない、という対比で、盧笙の簓に対する心情の変化を描写したつもりです。
簓がテレビの向こう側にもこちら側にもいる、というのは、盧笙に対する恋愛感情を秘めていることも示しているつもりです。
あとがきにチラッと書いたんですが、冒頭の風呂の場面で簓が自分の身体を隠そうとするのは恋愛感情を自覚しているから、という意味を込めた描写なのですが、テレビに対してもそれと似たような形です。
ドッキリを見ているシーンの時点ではまだ明確ではないですが、テレビの中の世界は男性同士の恋愛が存在しうる世界で、簓もそこに存在できる(=同性の盧笙に対して恋愛感情がある)、という感じ。
これに関しては、中盤あたりにもう1回くらい簓が出演するテレビ番組の描写を入れればよかったかも、というのが反省点です。
テレビを使った対比の他に、もう一つの軸として「知恵・知識を得て変化する」というのを設定しています。
これはわりとタイトル通りでもあり、盧笙のキャラクター性に沿った(つもりの)部分でもあり、前半から中盤にかけてあたりでストレートに書いてもいます。
考え始めた時はこれだけだったんですが、書いてる途中でもっとタイトルの要素を付け加えた方がいいのでは?と思い、ニュートンの林檎もふわっと混ぜました。
ついでに、ドラマ部分をどうやって展開させるか困っていたので、なんとなく纏まりがありそうな感じになったらいいな~、という動機でドラマの内容を「落下」の要素で縛ってみました。
作中作であるドラマについては、最後に盧笙がドラマに対する興味を失って終わるので、ドラマのラストは考えていません。
あらすじも割と行き当たりばったりで考えていて、本筋の方に影響しそうなこの要素をここで入れる、ということしか考えていません。トリックだのに関する話が少なく、状況説明ばかりなのは中身を作り込んでいないからです。
本当に突き詰めるなら、きちんとドラマ全話のストーリー構成まで作り込んだ方がいいのは重々承知しているのですが、そこまで気力がなく
……
。ただ、盧笙が興味を持っているという設定にしてしまったので、あまりつまらなさそうなあらすじにするわけにもいかず、謎だけ次々と放り込む形になってしまいました。
ちょっと行き当たりばったりすぎたのが反省点で、簓の発言内容とドラマをリンクさせられたらもっとよかったな、と後から思います。
「簓がドラマの内容に触発されて、その場で嘘の話を膨らませている」みたいなシーンを作れたらよかったな~。
零と盧笙の二人のシーンは差し込む位置に迷ったのですが、盧笙が自分のことを「テレビの向こう側(の華やかな世界)と断絶されている」と感じているのを、簓ではなく盧笙に会いにやってくる零、零ではなく盧笙のために融通を利かせてくれるケーキ屋、という要素によって否定し、その否定によって盧笙もテレビの向こう側に行ける(=簓と恋愛関係になる)可能性がある、と繋げる部分だったのでこの位置に入れました。
ここに繋げるための布石として、中盤にある三人のシーンで盧笙がリビング(日常)にいる簓と零の二人に違和感を持つ、というのを置いておきました。
前後しますが三人のシーンで、零にこれ以上踏み込んで欲しくない簓がビール(=友好の手段)で壁を作る仕草の描写は、その後の踏み込むのをやめた零が盧笙の家の鍵を簓に返す仕草と合わせて自分で気に入っている方なのですが、同時にもっとさりげなくいい感じの描写ができたかもしれないなとも思っています。ちょっと直接的すぎたかも。
ここの場面の簓はもっとふざけておちゃらけさせたかったのですが、大阪弁2人、標準語1人の会話で簓にあんまり茶々を入れさせるとテンポが崩壊するので断念しました。
大阪弁のニュアンスとかテンポがもっとわかっていれば工夫できたかもしれないんですけど、その辺りの空気感が全然掴めないため
……
。
標準語のキャラクターの会話を書く時は、語彙や語調の強さでセリフ単独でも誰の発言かわかるようにしている(つもり)なのですが、大阪弁は全然できませんでした。
あとついでに土地勘もないのでその辺も混ぜ込めず。都内だったら距離感とか街の雰囲気とかわかるので具体的な地名出したりするんですが、もう全くわからないです。ここはイマジナリーオオサカ。
入稿した後、深く考えずに「収監中」と書いたのを「服役中」にしておけばよかった
……
と思いついてずっと後悔しています。
こういう感じで積み重ねてきたので、最後のシーンはああいう感じになるのですが、ちょっとセリフだけで解決させすぎたかもというのが反省点です。
盧笙の態度や話す内容から簓はイケると判断したということなのですが、急にぬるっと告白に移行させてしまったなという気持ちがあります。
もう少し、簓が手応えを感じるきっかけの出来事をちゃんと設定しておいた方がよかったかも。簓の心情としては、「手応えは感じつつ確信までは行かない状態で見切り発車」させたい場面なので、今の状態でもそこまで悪くはないとは思うのですが。
あと、全編通しての傾向ですが盧笙の心内語で語らせすぎかも。あんまりなんでもかんでも喋らせずに、もう少し展開した方がよかったかも。今後に向けた反省点です。
エピローグは完全におまけです!
Privatter+にエピローグ部分を出した時はとにかくいちゃいちゃした雰囲気のが書きたい気分で、面倒な過程を吹っ飛ばして楽しいとこだけ書いちゃおう!と思っていたので、この間を埋めて本にしようと原稿に着手した当初は、エピローグは全然違うものになるだろうなと思ってました。想像以上に元の文章を活かせる感じで着地したので自分でもびっくりしています。
書いてる最中は「今書いてるものがこれまでで一番うまくできてる!」と思うのですが、印刷が終わると反省点がいっぱい出てきてしまうので悲しいですね。
出張編集部の講評で何を言われるか戦々恐々です。
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