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まいむ
2026-07-05 00:25:07
2234文字
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【サイオフィ】レモン水
※事後です!
サイラスは付き合ってると無意識に間接キスをしてオフィーリアをドキドキさせるという妄想でしたが、だいぶ主旨がずれた話に…
レモン水
「はぁ
…
」
オフィーリアは布団に素肌をくるみ、ベッドへ身を横たえていた。
薄明かりに包まれたこの寝室は、先ほどまで強い熱で満たされていたのに、今はひっそりと静かだ。音といえば、自分の呼吸音のみ。それを意識すると、自然と己の身体へ気が向いた。
ふと、腰に残る鈍い痛みを感じる。その要因を思い出し、オフィーリアは頬を淡く染めた。
コンコン、というノックの直後、ゆっくりとドアが開く。その向こうに、ゆったりとした寝衣を纏ったサイラスが見えた。
「大丈夫かい? レモン水を持ってきたよ」
さも心配そうな声色でそう言うと、彼はグラスを持って中へ入ってきた。
「す、すみません、お手を煩わせてしまって」
「いや、良いんだ。私も下で水を飲んできたから」
サイラスはゆっくりとベッドへ腰をかける。同時にオフィーリアも身を起こしたが、ふと自分だけが衣服を着ていないことを思い出し、慌てて布団で胸元を隠すようにして座った。
初々しく耳まで赤くしているオフィーリアへ、サイラスは柔らかく笑んだ。そして「どうぞ」とグラスを差し出す。
「ありがとうございます
…
」
オフィーリアは片手で胸元の布団を抑え、もう片方の手で申し訳なさそうにそれを受け取った。くいっと小さく顎を上げ、喉を潤す。すると爽やかな水分と酸味が、重たい体に染み渡っていった。
「おいしい
…
」
「随分と疲れさせてしまったからね。レモンを絞りすぎた気がしたんだが、大丈夫かな?」
「いえ、丁度いいです。ありがとうございます」
オフィーリアは改めて礼を言うと、もう一度グラスを傾けた。半量ほど飲むと、ほっとひとつ、息を吐く。
「もういいかな?」
「はい、ごちそうさまです」
残してしまったことにすまなさを感じつつ、サイラスにグラスを返す。すると彼は、オフィーリアの口をつけた箇所に唇を乗せ、残りをぐいっと飲み干した。
「あ
…
!」
オフィーリアは思わず声を漏らす。サイラスははっとしてオフィーリアを振り向いた。
「すまない、もしかしてまだ足りなかったかな?」
「い、いえっ! その、
………
」
オフィーリアは頬を強く火照らせ、分かりやすく目を泳がせた。恥ずかしそうに布団の端を摘まむと、なんとなく口元を隠す。そして、ごく小さな声でぽつりとこぼした。
「間接キス、だなって
…
」
「
……
」
サイラスはきょとんとした面持ちで目を瞬いた。
オフィーリアと気持ちを通わせて以来、既に半年ほどが経過した。今では時々こうして自宅へ彼女を招き、当たり前のように夜を共にする。
だが彼女は交際自体が初めてなせいか、未だふとした瞬間にこういった初々しさを見せることがある。外で手を繋げば可愛らしく頬を染めるし、挨拶のキスを交わせば身体を硬直させることもあった。
…
先ほどまではあんなに深く繋がって、自由に善がっていたのにな。
その対照的な態度がなんだかおかしくて、サイラスはふっと微笑んだ。
「わ、笑わないでください」
「ふふ。いや、キミはいつまで経っても可愛らしいなと思ってね」
サイラスの物言いに、オフィーリアはほんの僅かに表情を曇らせた。
「
…
やっぱり、わたしはサイラスさんにとっては、まだまだこども、ですよね
…
」
「えっ?」
意外な返しに、サイラスは目を少し見開いた。
オフィーリアは再び布団の先で口元を隠し、ぼそぼそと話し始める。
「わたし、少しでも早くサイラスさんに吊りあう女性になりたいと思っているんです。
…
でも、なかなか難しくて」
言いながら、オフィーリアは布団の内側で膝を立てて、そこへ目元を埋めた。ふうっと吐く息が、かすかに震えた。
「
……
」
サイラスはすぐ側のナイトテーブルへ、ことんとグラスを置く。そしてベッドへ長い脚を乗せると、背中を丸めてしまった愛しい人を、ふわりと抱きしめた。
「すまない。そういう意味で言ったんじゃないんだ」
「
……
はい、わかっています」
「私は、ありのままのキミを愛しているよ」
「はい、
…
それも、わかっています」
「
……
本当に?」
「えっ?」
オフィーリアはふと顔を上げた。すると、ふたりの前髪が軽く触れ合う。間近の彼は、ふっと目元の力を抜くように笑んだ。そして彼女の細い顎へ指をかけると、艶やかな唇へそっと口付ける。
数秒静止し、ゆっくりと顔を離すと、目を見開いて頬を紅潮させる彼女が見えた。その小さな顔を、慈しむように両手で包む。
「私もさすがに、こども相手にこんなことはしないよ」
そう言って、わからせるようにもう一度唇を合わせる。オフィーリアは胸の内側を震わせた。堪らずに目をキュッと閉じると、彼の首へ腕を回し、自らもその唇をしっとりと食みにいく。
はっ、と短い息を逃しながら、啄み合うような口付けを何度も交わす。そして次に目を合わせた時には、互いを映す瞳の奥が強く揺らめいていた。
サイラスは艶っぽく目元を細める。
「わかったかな?」
オフィーリアは蕩けてしまいそうな顔をして、色を孕んだ声で返事をする。
「
…
はい」
サイラスは満足気に口角を上げる。そして彼女の布団を徐に剥ぐと、その華奢な背中へ腕を回し、ベッドへゆっくりと押し倒した。
「好きだよ。オフィーリア」
「
……
ん
…
」
ふたりの影が重なり、再び熱を持って動き出す。
空になったグラスは、壁掛けの蝋燭の光を淡く受け、きらきらと静かにきらめいていた。
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