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ぽふむん
2026-07-04 22:21:31
1255文字
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ワンドロ
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奪衣
#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「催涙雨」
謎軸。ゲスなモブがいます。
奪衣婆と閻魔大王は夫婦と言う民間信仰があります。
那田蜘蛛山でしのぶちゃんから救出された村田さんは何故か服だけ溶かされています。あれ、奪衣婆の暗喩なのかな……と
そして、童磨のあの帽子は閻魔大王の帽子のようだといわれますよね……という話です
あんまり貧相なモノをプラプラ晒さないで欲しいものだと、しのぶは密かに毒づいた。
目の前では、全裸の男が嬉々として自ら白綸子を脱ぎ、ふんどしまで脱いでいた。
そして、自ら生前の罪の重さを計るとされる木の枝に、身につけていた着物を掛けていく。
その枝は、折れそうなほどしなった。
この男、生前はヤクザの下っ端。
いわゆる『鉄砲玉』
いや、それ以下のチンピラだったらしい。
方々に喧嘩を売り、恨まれ
……
ついに、逆上した被害者の反撃にあい刺されたそうだ。
その傷は、思いの外深く
絶命し、今は冥府の入り口
三途の川のほとりにいるというわけだ。
「いやぁ、まさか三途の川の奪衣婆がこんなに若くべっぴんさんだなんて」
婆と言う名前は嘘だった。
そう、チンピラは浮かれる。
「どうだい
……
この後冥土の土産にワンナイなんて
……
」
船女郎と一緒にすんな、この野郎
怒りの言葉をぐっと飲み込み、しのぶは無言で木の枝から、男の白綸子を外す。
そして、渡しながら
「奪衣婆という名前をご存知なら、既婚者である事も、夫の役職もご存知のはず」
そう応えた。
要するに、お断りということだ。
「奪衣婆の夫は閻魔大王
……
でも、閻魔のいる十王庁なんて、この河を越えてはるか向こう。一夜の浮気なんてバレやしない」
枝が折れるほどしなったのだ。
地獄行きどころではないと開き直っているようだ。
チンピラはしつこく、馴れ馴れしい。
肩を抱き寄せてきた。
その手をしのぶは冷たく払う。
「あいにく
……
今宵は閻魔大王は一年に一度のお休み。河を越えてこちらに来ます」
「そりゃあまた
……
七夕の彦星と織姫のようだな」
「習合したのでしょう」
さぁ、話は済んだだろう。そう言いたげに、しのぶは『しっしっ』というようにチンピラを追い払う手つきをした。
チンピラはそんな事は気にしない。
「じゃぁ、今日はこれねぇな。生憎の催涙雨だ。これは一年はお預けか。あんたの股も涙でぐしょ濡れだろう?」
チンピラは下品な笑みを浮かべた。
その言葉通り、厚く垂れ込めた雲は雫をこぼし
激しく泣き出した。
あっという間に穏やかだった河の流れは濁流に変わる。
これは、如何に閻魔大王とは言え越えられない。
チンピラの下品な手が、再びしのぶの肩に触れ、併せから胸に差し入れられようとしたその時だ。
急に河の水かさが引き
どどどどどっ
凄まじい轟音と共に、干上がった三途の川の向こうから『なにか』が駆けてくる。
白橡色の長髪の青年だ。
その顔は明らかに怒っている。
あの衣装は
「ひ
……
ひぃ
……
閻魔大王?」
白橡の長髪の閻魔大王は、陶磁の壺を抱えていた。
「あらぁ
……
あの壺で河の水を干上がらせるなんて
……
あらあらまぁまぁ」
しのぶが呑気に笑うのと、チンピラが閻魔大王のアッパーをくらい向こう岸に吹き飛ぶのはほぼ同時。
「しのぶちゃん、大丈夫?怪我とかない?」
閻魔大王はしのぶを抱き寄せた。
「ええ」
しのぶは大人しく、青年閻魔の厚い胸板に身を委ねた。
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