kanaha692
2026-07-03 21:49:28
12614文字
Public
 

sick,sick,sicks後書き

かなり創作に体力使ったので、備忘録としてあんなこと考えてたなとか裏話とかいろいろ読み直しながら書き散らしたもの。
読みやすさとか度外視してます。

sick,sick,sicks
タイトルに関しては「666」をもじれる!と気付いて興奮しながらつけたんですが、後からネウロを読んだ時の記憶を全くそうと気づかずに滑り込ませていたことに気付きました。
まあ気付かずにやるならともかくネタ元を理解した上でやるなら問題ないと考えているので、発表してから指摘されるよりは全然いいのですが。

あとがきにも書きましたがこの話はマジで奈須きのこと幾原邦彦の影響が大きいです。
「間桐桜やアンシーが救われるためにはSN最長ルートや3クールが必要」という文脈の延長に今作があります。
というかメギド自体がかなり幾原邦彦の系譜なので同じテーマになっちゃうところもあるんですが。デミウルゴス、幾原作品を見る時に隣にいてくれたら演出に誤魔化されず話の核を全部言ってくれますよ。

序・■に至る病
■に入る文字は任意のものを入れよう!

最初期のプロットでは二人が既にスケベしてる前提だったんですが、「いや、ここは童貞処女のままの方が美味しい。どっちが入れる側になるかもきちんと話し合って決めようと思ってたブフの前に現れるのは完全にメス堕ちしたサタンなんですね〜〜!!!! 心が痛え〜〜!!!!」という感じで自分の心がより痛む方という基準でプロットを固めていきました。
なので最初は左右不定に見えるよう書こうとしたのですが、どう見てもこの時点で作者の思想が漏れている。
それにしてもこのキスシーンを書いてる時はまさかその後28万字経たないとキスができないなどとは思わず、いろいろと申し訳なかったです。
今見るとプロットの壮大さがすごいんですが、普段きちんとプロットを文字起こししないために実際にどれくらいの文字数になるかさっぱり予想できてなかったです。なんなら10万字は超えるだろうけど前作よりは短いだろ〜とか思ってました。山と谷の数がこんなに違うのに。

前作で散々変なブフ書いたから今回はちゃんと書くぞと思ってたんですが、いきなり雲行きが怪しくなり始めました。
でもこの話はサタンを追うようにブフも弱くなる話なのでオッケーです。みっともなさを晒していけ。
叶わない約束いいですよね〜でも固執しすぎるな。オマケではちゃんと一から手探りするんだぞ。

マモン様とのやり取りからその後は本当に……ここの建て付けを考えるのに一週間くらい使いました……。というか思いつかなくて頓挫しかけました。
いずれサタンが追い落とされることが予見されてたのでそこはいいんですが、サタンが追放されたいと願ったとしてそれをメギドラルが許す理由なくない? という部分や夢見使えば見つかるんじゃね? 王都やメギド72は何してんの? 等々の現実的な壁と、「でも蛆が二人の救済の最初の一手になるの最高に良くないっすか?」「追放されて20年くらいしてから再会してくれないと話が何も始まらない」という都合のためにこねくり回し続けて、なんかそれっぽく纏めました。いや今見るとガバガバ過ぎるんですが。
未来のヴァイガルドとメギドラルのことを真剣に考察しようとはしたんですが、さすがに時間が足りなかった。実は長命だった追放メギドとかも考えようとはしてたんですが、シミュレートした上で話にも絡められるかどうか検討するというのは無理があった。
大いなる意思に楽園が残った、というところは個人的に「それラブデスターの星人達のラストじゃない?」という不安が今も付き纏っているので、この話の言い訳のために作ったわけではなく原作で読んだ時からそうなるだろうな〜……と思ってた部分です。
今後もこんな感じで、ブフを良い感じに居合わせたり居合わせなかったりさせるために私は四苦八苦することになります。ブフには私の都合で振り回してしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。

Ⅰ・雨夜の心定め
ちなみに各章扉はわけわかんないながら自分で描きました。他のちゃんとした絵が友人作です。

ブフが転生したサタンを探して流離うのを書きながら私は思いました。
「これ前作で書いた流れやんけ!!!!!!」
書いた……めっちゃ書いたな……一回書ききっちゃったな……今どっち書いてるんだっけ……と思いながらも、まあ中身は別人だから想うことは別だし、と差異を意識してブフに苦悩してもらいました。
よく考えたらどっちもがっつり転生に向き合ったんだから被るところが出てくるのはしょうがないんですが、引き出しの少なさが悔やまれます。
まあ表裏一体ということで。感覚的には今作が表で、トンチキなことやってて何もかも都合がいい方が裏だと思ってるんですが、このへんはリンダキューブの影響かも。
ブフは云々唸っていた通り、手の中にあるものを失いそうになるのと既に喪われたと知った後ではそりゃ必死さに違いも出るよな、という感じでモチベを下げていたのですが、この時点ではヴィータのサタンとあんなに親密になるつもりは作者にもなかったのでいい意味でお先真っ暗感を出せました。

原作キャラがユフィールだけだとちょっと作中のバランスが悪いし、今回は救済がテーマになるから助けを差し伸べるキャラはもうちょい多い方が良いよなあ、と考えていた時にふと蛆ちゃん登場を思いつきました。
展開に合わせて能力も好きなレベルに調整させられるありがたさ。今回いくつか投入したデウス・エクス・マキナの一つです。(どうでもいいけどメギドでこの語を使うとフェイタルブレードの音が聞こえてくるのどうにかならないのか)
トップバッターに相応しく、何も差し出せないブフがそれでも力を貸してほしいと泥だらけで土下座するの良いなと思ってたのでここ書いてる時はめちゃくちゃ筆乗ってましたし、自分で書いたのに何度読んでも満面の笑みになれます。

Ⅱ・落水海に返らず

前作を書いていた時は「ここまで登場人物を別人にするのだから、二人がくっつく前の誤解以外の障害は全て排除して極力都合良くハッピーに行こう。どう考えてもサタンは童貞捨ててないとおかしいし、とっくに初恋済ませてそうだけど」と考えてました。だからこそのオマケのイメプレだったわけですが。
なので前作の意図的な希望はぜ〜〜〜〜んぶ反転しよう!! 前作は二人のパワーバランスが片方に傾きすぎたら必ず痛い目を見るように展開を調整したけどそれもなし!! 徹底して天秤を壊す!!
と決めてあらゆる設定、展開を作りました。
ちょうど今作を書いている最中に落下の王国を観たのですが、「そうだよな、都合の良い希望より都合の良い絶望の方が紡ぎやすいよな……」とやたら同調したのを覚えています。

私は♡喘ぎと濁点喘ぎはある程度の時間の経過というか、どれだけ回数を重ねて体を開発されたか、あるいは行為が進んでズブズブになっているかといった証として運用するようにしています。
なので今回は初っ端から乱舞する方向でいったのですが、当初は砂時計を逆さまにするようにオマケでは減らすつもりでした。こういう逆転ギミックって面白いかなと思ったんですが実際そこまで到達したら「いや、この呪いはそう簡単に消えちゃいけないものだ」と気付いてそのままになりました。
このへんは頭で考えていても実際に書いてみないと分からなくて面白い部分なのですが、投げ捨てる時にちょっとだけ未練があったのでいつかなにかに再利用したいです。

グリマルキンと猫化はⅢでどう良い感じに観測させようかなーと考えていた時に降ってきました。誰かのために姿を変えることに慣れていたサタンに対して、そうじゃないブフというのは良い対比になったんじゃないでしょうか。
ブフとグリマルキンの先祖の縁は実際には明かされないまま終わってそうとは感じてるんですが、メギドってさらっとそのへんの背景が明かされることも案外多いよな……とも思っていたので、後の会話のためにブフには把握しといてもらいました。
Ⅳもですが、原作キャラが出てくるパートが軽くなりがちなのはプロット段階から意図してのことではなかったです。結果的に溜めとかジェットコースターの登り部分になりました。


Ⅲ・常若浄土蓋天説
章題はいろいろな有名タイトルや慣用句をパロディしてるのですが、こんなにイクニ色が強くなったなら絶対運命黙示録はやっとくべきだろう、とこねくり回してそれっぽくしたのがこの章題です。

このサタンを書くにあたり、私は9章4節とアガシオンを心の支えにしました。公式があそこまでやってんだからこれくらいやってもいいだろう、と……
あとがきで書いた通りサタンはここまで徹底的に管理される存在ではなく、もっと普通の底辺側になる予定だったんですが、どうシミュレートしても「躾の時に痛みや罵倒を利用するとサタンが抗い始めてしまう」という想像しかできず、そもそも自分が不遇だと理解できない状態にさせなきゃ駄目じゃないか? どうしたらそんな無垢な状態を成人まで維持できる? なぜそんなことをする必要がある? と逆算して背景情報を考えた結果がアレです。
あとがきには書ききれなかったのですが、ヴィータのサタンは既に故人である高級娼婦の母親と、街一番の貴族の家に婿入りした父親の間に産まれた私生児です。彼自身にはなんの瑕疵もないですが、女主人から婿への当てつけと復讐のために閉じ込められていました。
作中では何度も書きましたが、今作の出来事をハルマゲドンやバビロンを利用しようとした二人への罰としてしまうのは、現実にある病という要素を用いる上で非常に問題があり、たかが一ファンが二次創作で断罪するのも烏滸がましいので「そう見えてしまうだけでこれは因果応報でもなければ、ヴァイガルドから二人への復讐でもない」という線引きはしてました。
因果応報に見せるためにはハルマゲドンやバビロンの被害を反転させる必要があり、そうすると女性を透明化することはできないため、必然的にサタンはヴィータ扱いされないメスと呼ぶか、という感じで要素を組み立てていった記憶があります。

私は昔からモブを書くのが苦手な意識があり、TRPGのKPをする時もちょっとしたモブを生やすのが苦手だったのですが、今作を書いていてなんでか理解できました。
作劇のために都合の良いムーブをしてくれる存在を生み出すことになんとなく申し訳なさがあるんですね。
サタンとベルゼブフをここまでする以上に、大量の悪人や被害を受けた善人を都合良く生んで動かしたのが最後まで胸に刺さってたので、一番の悪は作者である自分だなあ、という認識が消えなかったです。だからこそ、消せる範囲の呪いは責任持って消すよう努めましたが。

メギドはもちろん、幾原作品でも奈須作品でも言及される「壁」概念を出したかったのでモチーフとして天蓋を出しました。やっぱり卵の殻とか世界の果てとかね、そういうのやりたいよね。

サタンが持つ要素を反転してこその尊厳凌辱ですので、抗うという選択肢を持つこともできないとか生まれながらの弱者であるとかの他にも、大物らしさを担保している多くのメギドと関わりその全てを記憶している他者への敬意も奪いました。おかげで個人名をつける必要がなく、モブ達にひどく入れ込まずに済みましたが、一方で地の文の書き分けが面倒になったので一長一短でした。

猫ブフがサタンの外への興味を育てたせいで余計に酷いことになる、という流れ自体は元のプロットに則したものですが、倫理や教育については書いてたらその場で生まれたものです。
その後含めて、サタンのヴィータ人格とブフの関わりは書いてく中で生まれたものです。作者がこんだけの業を背負った子供を生み出してしまった以上はきちんと愛を届けないと最後にハッピーエンドにならないと気付きまして……
前作はブフの愛は転生したサタンのみに向けられてめでたしめでたし、でしたがここの流れを大きく取ったことでそう単純には終わらなくなりました。
ちなみに猫が犬ではないと知ったサタンの「じゃあ、いいか」はセックスの相手をしてもらわなくてもいいか、という意味で、実はあそこでブフは相当危険な綱渡り(本人のメンタル的な意味で)をしていました。

今回ブフの動きが鈍いというか、「そんな悠長なことしてる場合じゃなかった」というのが繰り返し書かれるのは意図的なものです。Ⅲが終わるまでは読者に視線を合わせるために信頼できない語り手になってもらいました。
あと他人の地獄をちょっと見ただけで看破してしまうとものすごく薄っぺらくなってしまうので……

獣姦に関しては見世物にするならこれくらいは必要だよなあという気持ちと、ブフのデザインが出るどころかそもそもダムロックイベでサタンが初登場して「どうせメギドは性愛なんか覚えねえんだ……! このベルとかいうやつも金髪泣き黒子のボインとスケベなんてしねえんだ……! だったらせめて黒い犬としてほしい……!」と狂い散らかしてた時の自分を引っ張ってきました。今回のテーマ的にメギドの尊厳をまとめて奪えて効率いいですしね。
また獣姦は生命の危機なので介入すべき、とブフを動かす明確なラインになるので前半最後の見せ場になりました。

Ⅳ・救済するは我にあり
私は復讐の肯定が好きですが(ガンソードとかね)、今作はそういう方向じゃないよなあ、と意図的にそこから離しました。
この章題はⅢが膨れ上がりすぎた結果、後から分離させて急遽考えたものですが、元の定型句である復讐そのものとの決別とかブフが当事者になるとかそういうのをひっくるめて表現できていてお気に入りです。

今回の原作キャラは「能力的にこんなことできるんじゃね?」と思いついたネタの実行のために入れていったんですが、最終的に「全員先回りして最終話の答えを言ってる」状態になったのでメギドって世界観やテーマが強固だなあと改めて思いました。
ベリト様は出すかどうか最後まで迷ってたのですが、メギライ行ってやっぱ出さなきゃ駄目だと決意したので他より対話に比重を起きつつ、必要なものはなんでも用意してくれる便利枠になってもらいました。
そしてオレイのま〜〜〜便利なこと。
公式でも乱発できないデウス・エクス・マキナ扱いされてましたが、本当になんなんだろうという便利っぷり。
何が無法って変身はもちろんなんですが、トレジャーハンターに鞍替えしてたおかげで「ほな便利な遺物を都合よく持っててもいいか……」と作者への免罪符を与えてくれたところです。
とはいえ一番の起用理由はアシュレイ周りですが。あくまでベルゼブフは誰かの通った道を辿りながら独自の答えを探すという過程が大事なので。
実は今は能力を活かして王都のスパイをやっている、とかの設定も考えたんですが、どうにもオレイもカルコスもその道は選びそうにないなあと没にしました。
他にもメルコムとかいろいろ出す案はあったのですが、とっ散らかるのでそういう痕跡はⅥ以降に残しました。

さて、やっと本当の地獄の用意が整いました。

Ⅴ・その足取りは劫火のように
きのこの定型句、好き。

ここからは脳内でI beg youを無限リピートしながら勢いで書いてました。
やっぱ被害者の面を書くだけじゃ駄目なんですよ。目の前にいるのがただの可哀想な弱者じゃないと知ってそれでもブフには味方をしてほしいんですよ。だって被害を受けたことより加害をしたことの方が苦しいので……。この二人って圧倒的に世界に対する加害者なので……
今作通してブフには「ちゃんと苦しんだ上で膝をつかないで♡ 辛くても弱音吐かないで♡ サタンの弱さに共感しないで♡」といううちわを、サタンには「生命の頂点から最下層に堕ちて♡ 被害者のまま加害者になって♡ たくさん後悔しつつもちょっとだけ意地張って♡」といううちわを振ってました。

Ⅲでもそうですが、地獄はより酷いものを畳み掛けていってこそなので、どっちも三層構造になってます。あくまで見える範囲でですが。
最初はそのへんにいた可哀想な青年というだけでほとんど接点はなかったんですが、ブフの人助けというイベントを作ることで始点から終点まで綺麗なピタゴラスイッチになりました。

そしてこのへんのプロットは「サタンが被害者のまま加害者になる」「寝取られ→寝取り→サプライズ盗賊理論と悲劇度が発展していく」「二人はぎくしゃくしたまま進む」といくつかのイベントをざっくり決めて突入してたのですが、いざ書いてみると「サタンを連れたままあちこち放浪するのはかなり無茶がないか?」「ブフは敬意を持ったからこそ線を引く対応しそうに思えたけど、あまりにも冷たすぎないか?」と気づいたため、途中から「サタンのヴィータ人格にきちんと愛を届ける」を目標にぎくしゃくの内容を明確にしていきました。
今見ると作者からヴィータ人格に対してあまりに愛のないプロットで申し訳ない。このへんからかなりピングドラムが意識されていきます。
ただ、元々ブフの奮闘をサタンの子育てになぞらえて「振る舞いの形そのものも愛と言える」という結論に持っていこうとは思っていたので、怪我の功名でより説得力のある形にできたかなと思います。
共依存もやるべきだけど具体的な案がなかったところ、進めていったら自然と共依存の形に収まる時期が来て助かりました。

正直寝取り編は今作一番の地雷だろうなあ……と思ってましたし私もモブに対して「すまねえ、すまねえ……」って謝りながら書いてました。でもスケベ入ったらものすごい筆が乗ったことを懺悔します。
最初はただ火力を上げるためだけに妻が妊娠中とかも考えてたんですが、そこまで行くと壊れるのは恋人の愛ではなく不幸な子供の未来とかになってテーマがブレる上に読んでて全く気持ちよくないだろうな……とオミットしました。
あとブフが仕方なくサタンを一人にする、という状況を三連チャンしなくてはいけないので、その点でもなんか間抜けな感じにしてしまい申し訳ねえ……と謝ってました。子供って歩けるようになってからが一番危ないから……
前作書いてる時に寝取りも寝取られも書いたことないし読んだこともないから特に好きなシチュじゃない、と言ってたんですが、この偏重ぶりはもう、そうも言ってられない気がしてきました。でも愛が壊れた象徴になったり慢心を突きつけるのにこれ以上便利なシチュもなくって……
BSSとNTRを足して2で割れるメギドの転生、やらなきゃ損で……

村編はある意味で書いてて一番楽でした。悲劇部分が時限爆弾式で「もう爆発させられるくらい必要なイベント踏んだな」と判断した時点でブフさえ遠ざければ他の登場人物をコントロールする必要がないので、後のこととか考えずに自由に書いてました。
プロットが固まってない頃からサタンがポスト・バビロンの絵を描く少女と交流して友情を築きつつ、贈り物の薔薇を起点に記憶が戻って全部台無しになる、という流れは決まってました。
それ以外はアドリブで書いてましたが、性感染症や性依存症からの回復を扱う以上、サタンが救われるのは一人のヒーロー(ベルゼブフ、ユフィール)のおかげではなく社会によるものと書くべきで、医者が藪なせいで即座に性感染症と断定できなかった、とはできずかなり悩みました。まだ電話がないことにしといて良かったです。

ヴィータ人格との触れ合い部分を当初より増やした分、ブフがサタンを抱き締める部分は正直「もうこれで終わった方が綺麗じゃないか?」という気はしてましたが、まあ何も解決していないのでね……。そっちのルートならどうなっていたかは今も考えることがありますが、その場合はブフは老化せずきちんとサタンを最後まで守って看取るでしょう。

サタンの覚醒からはmagiaが脳内に流れてました。
正直一人で盗賊団壊滅はかなり無茶苦茶だなあとは思ったので、詳細な描写はせず地の文でカットする方向にしました。いろいろ思い描いてはいたんですが、ちゃんと書こうとすればするほど村人の犠牲が増えるのが目に見えていたので……。なのでBGMでいい感じに誤魔化しながらダイジェストでお送りするMVくらいの感覚です。
私自身、それまで好意的に描写してきた村人達を容赦なく死体にするのはしんどいものがあったので、あまりこの手の作品は書きたくないものですね。

軽い小石という糾弾から守られて安心してしまうサタン、は一番書きたかった変化の一つです。
この後のブフの弱体化に説得力を出すためには二人の差が天と地くらいあるという認識が双方に必要だったので、初撃こそ致命傷にしとかないと駄目だろうということでプライドとかを一旦砕きました。サタンにとって一番辛いのって何よりここだろうと思うので。

ここから先はやっとサタンの試練を書けます。

Ⅵ・汝、この蓋を開くもの、一切の絶望を受けよ
絶望が来たらあとは希望にひっくり返すだけ! そのために絶望という絶望をとことん吐ききっておこう! というソロモン王全開の章題です。

一旦ブフには離れてもらう必要があるのですが、サタンがブフとの差を見せつけられて当たり散らすまではいいけど、ブフの側が強靭過ぎて離れる判断できる感じにならなかったらどうしよ……と思ってたらちゃんと過保護になってくれたので助かりました。

この本を書くと決めたのは、「転生したサタンがヴィータの慰み者になってたらめちゃくちゃスケベだなあ」だけだと救いがなさすぎるのでなんとかハッピーエンドへの道筋を立てられないかと考えてる時に、ふとサタンがユフィールの下で血反吐を吐きながら自分と向き合ってカウンセリングしたり治験に参加するというイメージが降ってきた瞬間です。
これなら最後まで走りきれる、という確信と共に「二次創作同人誌でやっていいラインを越えていないか?」という不安はめちゃくちゃあり、調べられる範囲で調べてから取り掛かりました。
ユフィールが出てからは「やっと書くべき部分に到達した」という感慨は少ししかなく、ほとんど「素人がなんて烏滸がましいことを書いてるんだ……」と胃を痛めながら台詞の調整を繰り返してましたが、マジで医療とか志したことのないズブの素人が展開に合わせて書いてるもんなので雰囲気でお読みください。
前提知識がなさすぎてよくわからなかった部分とか、展開の都合を優先した部分はなるべく断定を避けてふわふわさせるよう意識はしてますが、どっか致命的な間違いとかあるかもしれません。

ブフの観測シーンもそうなんですが、記憶の中くらいは聖域のままにしておいてあげたいなあという作者の手心が一瞬でも出てしまったので、黒い犬の夢を出して潰しに行きました。躊躇いこそブレーキではなくアクセルを踏む合図なんですよね。プロット的にもサタンが一度落ちきる必要がありましたし。
姫宮アンシーの「早く終わらないかなあ」という台詞がウテナで一番好きまであるので、気がついたらオマージュしてました。もし知ってたらあのトーンが想定されてると思ってください。

地獄の釜とか記憶とか、そういうものの蓋が開いていろいろ噴出し、最後に希望が残るパンドラの箱みたいなものがここです。
ブフの奮闘がサタンのキャラストと被るのはプロット作成当初は全く意図したものではなく、後から気が付いたのですがここが被ったおかげで「ヴィータ人格はベルゼブフに愛されていた」と説得力を持って明言できたので、原作のクソデカすぎる轍の上をそうと気付かずに歩いていた気分です。
メギド人格とヴィータ人格の対話ってやっぱメギドの醍醐味だよな〜〜!!!! という気持ちで書いてたんですが、春はゆくのMVとあそこまで被ったのは本当に偶然です。見ててずっと「書いたよ……? これ書いたよ……?」って怯えてました。
あと前作では記憶が形を取った、という感じで転生したブフサタそれぞれがメギドの自分と対話する……みたいなシーンも考えてはいたんですが、内容的に没になってたのでリベンジになりました。

Ⅶ・揺籃期の終わり
本編を書きつつオマケの内容を考えていた時に「眼鏡をかけた文学青年のサタン」という天啓が降ってきたので、代替行為の内容は読書に決定し、それに合わせていろいろと書いていきました。
本当はもう少しダイジェスト気味にして再会まで一気に時間を飛ばそうかなと考えていたのですが、どうにもきちんと書かないと駄目だなと感じてあれやこれやと描写が増えました。
プロット考えてる時から散々「最後にサタンに春はゆくを歌わせる!!!」と宣言していた通り、時間が飛んでからは春はゆくがBGMです。要するにHFのラストです。一番いいとこでサビが来る感じでお願いします。
サタンが闘病する、が最初に決まり、じゃあブフサタ的なハッピーエンドってどこ? と考えた結果「サタンがしてみせたように、今度はベルゼブフが相手に合わせて肉体を変える」という結末が一番綺麗で収まりが良いと感じたので、Ⅵでサタンとベルゼブフの差異を強調しておきました。
プロットを考えている途中にこの二人は最後まで性行為どころかキスもしないままのほうが綺麗じゃないですか? という邪念に囚われ、しかしそんなものをブフサタR18本として出すわけにもいかずオマケを捻り出しましたが、おかげで本編は美学を最優先に書けました。

その後のサキュバスのシーンと手紙のくだりはかなり序盤に書いておいたものです。
どう紆余曲折したとしても、メギド72とブフサタを取り扱うならこの結論に至るだろうという確信のもと明暗を書いてました。
ブフが手紙を燃やしたのは、そんなもの残しといたらまず間違いなくろくでもないイベントが発生するに決まってるという作者の不安の表れです。チェーホフの銃は取り除いておくに限ります。伝えるだけなら口頭でいいんですから。

というわけで本編が終わりました。
本当にここまで読んだ人がいるのか甚だ不安ですが、ここから先は本編の重さに耐えたブフサタと読者の方のご褒美になるよう頑張ったオマケです。

オマケ・sick of lovely days
ここまでの章題に英語もカタカナも使わなかったので、逆にオマケは英語にすると空気が変わったことが伝わって面白いかなという試みです。

まずは二人の生活の基盤について書かないと安心してスケベを書けないと感じたのでまずは二人が職を得るまでです。
正直ブフの方をどうしようかなと考えてもなかなか浮かばず、今でもあれでよかったのか? と疑問ではあるんですがまあ適性ドンピシャの職業を得られる人ってそんなにいないしな、と自分を納得させています。
司書マリアとサタンが職を得るまでは、図書館に入り浸りになったサタンにこういうことしてほしいと思ったイベントです。本来のサタンらしさを本編で封印した分、こちらで本を通して露出させました。

ブフの弱体化の一部始終は本文を書き終わった後にページの調整をする段階で急遽差し込んだものです。本当はスケベ描写を盛る予定が血祭り描写になりましたが、ブフのグロは実質スケベなのでセーフ。
真面目に言うと、肉体の弱体化だけだとブフの中身の大物っぽさって何も変わらなくない? サタンといるときになんかしらの脅威に遭遇したら咄嗟に逃げるより戦おうとして詰まないか? という危惧がほぼほぼ書き終わったあたりで浮上し、ガギゾンがそこに気付かないはずがないということでぐちゃぐちゃにしてもらいました。ここに滑り込ませられなかったらベッターのオマケに突っ込んでいたと思います。

マッサージされるブフがドチャクソエロい、というネタは前作でなんか使えんかなと思いつつ没ったものです。この本は数々の過去の没ネタのリサイクルでできています。
本編の内容が内容なのでハッピーな話書くにしても何もかも無視はできないよな〜と傷を残しましたが、逆にここまで明るく書いて良かったんか……? という不安もありつつ。
でもギャグが成立するくらいにはさせたかったのでここの温度感は今も正解が分かりません。
やっぱ恋愛もので真相が平和なすれ違いって醍醐味だよな……という信念のもとすれ違わせましたが、本当にベルゼブフが欲情してなおかつスケベをすることに同意するルートを思いつくまでに時間がかかりました。本来はこんな潔癖に書こうとはしませんが、本編でやり過ぎた代償ですね。
この後の医療描写というかユフィールの説明は一応調べたものにはなりますが、どこまできちんと理解して書けているかは不明です。さすがに病気の治療法の確立速度としては異常なほど早いだろう、という認識はしてるんですが、そこはまあファンタジーということで……
ここでキスを書けたのは感慨深かったです。なんせ28万字ぶりですからね。
オマケのスケベについてはほとんど場当たり的に書いており(というかこれに限らずスケベは基本的に二人が動くに任せて書いてるので事前に何も決めないことのほうが多いですが)、どうするのが最適か考えたら自然にスローセックスの流れになりました。
前作の誤字脱字チェック中に「びっくりするほど前戯をしてない」と自分で書いたくせに驚き、いつかちゃんと書かねばならないと思っていたプレイでもあるので、ちょうど噛み合いました。
何も決めずに書くといい感じに失敗する種もそのへんに転がっているもので、セーフワードも決めたはいいが出ないまま終わるのではと危惧していたのですがちゃんと出せました。
ここで休戦季にしたのは意味的にちょうどいいのと、二人がメギドラルから離れて生きていく(意味が性的なものにすり替わっても構わない)という宣言のつもりだったんですが、そこまできちんと言語化しておくべきだったなと思います。
そして、前作でブフの初めての自慰に明らかに力入ってたのを「これは作品の都合上書かねばならないものだったので……」と自分に言い訳してたのですが、さすがにこれはもう癖だと認めねばならないと思います。攻めの嫁ニー、良くって……

本番直前にヴィータ人格を前面に出したのはケジメとして必要なことのつもりだったんですが、終わってみるとまだちょっと足りてない感じがしたのでべったーのペリビットで追加で念押ししてます。
その後もその場その場で書いてたら欲に飲まれかけたところでサタンが支えることで本編最終話がきちんと回収されるなどやたらと綺麗に繋がったので自分で書いててなんかめちゃくちゃ感動してました。
行為が終わった後に抱き締めて本当のハッピーエンド、とするのはオマケを書くと決めた初期の初期には決めていた流れで、転生後のサタンの描写はずっとそれが叶わない状態として書いていました。たどり着けてよかったです。


やっっっと後書きというか備忘録全部書けた。なんか思い出し次第追記するかもしれないけどとりあえず少しでも読んでくださった方はありがとうございます。