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みやこ
2026-07-02 21:06:43
3250文字
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鬼神原ぐだ♂Part5(終)
最終話です‼️ここまでお付き合いいただきありがとうございました‼️🔞編は後日書いて上げられればと思います‼️
──数刻後。
朝餉を済ませた立香は、原田に抱えられるようにして布団の上に座っている。
立香は一貫して、原田と目を合わせようとしない。
「なぁ、立香。俺は怒ってねえって」
「
……………
ん」
原田が優しく声を掛けても、この態度。
ぷい、と顔ごと逸らし続ける。
(昨日の事で俺が怒ると思って、目を合わせたがらねえのか?)
「なあ、立香
……
こっち向けって」
埒が明かないと思った原田は、半ば覗き込むようにして上から彼の顔を見る。
その際、片手で立香の顔も上にあげさせたので必然的に目が合う。
「
………
っ
…
!見ないで
……
!」
立香の目は潤み、頬は桜桃のように赤く染まっていた。
唇はほんの僅かに震えている。
唐突に突き付けられるその愛おしさに、原田は思わず手を離した。
「
……
悪ぃ」
「
…………
原田さんには、こんな顔見られたくなかったのに」
立香は尚も、原田の着物の裾を掴んだまま。
そして、震える声で呟く。
「
………………
りつかのこと、きらい?」
「嫌いだったら探しに行ってねえよ」
「
……
でも、りつかは原田さんがいいよって言ってないのにここ出ちゃった」
「
…………
そうだな。でも、だからって嫌いになりゃしねえよ」
先日、原田が立香を連れて社に戻ったすぐ後の事。
立香とよく話していた家臣が、彼が一時的な家出をする理由が思い当たると告げてきたのだ。
『立香様
……
どうやら、原田様に御見合いの書状が来たことを知っていたようで。その際の話し合いも耳にしていらしたので
……
』
───原田さんね、だれともけっこんしたくないんだって。そういうの、じゃまなんだって。
だからね、りつかがすきでいたら、およめさんになりたいって思っていたら、原田さんがめいわくするの。
それだけは、ぜったいにいやなんだ。
『だから、貴方様を好きでいるのをやめた
……
と仰っておりました
…
。私からは以上です、私共も立香様のいち早い回復を、お祈りしております』
そう言い、家臣は退室した。
静寂の中、原田は自身の拳を机に叩きつけた。
立香に今すぐにでも詫びを入れたかった。言い表せぬ悔しさばかり、胸に積もっていく。
(だから、立香が起きた時は
…………
)
──原田は、立香をぎゅうと抱きしめた。
「
……
なあ立香。俺はな、お前のことが好きだよ」
嫁にしたいって、ずっと前から思ってる。
「
……
え?」
……
よめ?今、およめさんにしたいって
……
立香がパッと顔をあげると、愛おしげにこちらを見下ろす原田と目が合う。
瞳には相変わらず光は宿っていない。それでも、「お前が好きだ」と言っているかのような視線。
「でも、原田さん
……
けっこんはしないって
……
」
「そりゃあ、お前"以外"と結婚するつもり無えからな」
立香の両目から、再び大粒の涙が零れる。
「
……
いい、のっ
……
?原田さんのおよめさんになりたいって
……
、思っててもいいの
……
!?」
泣いているせいで、しゃくりが止まらない。
「原田さんのっ
…
こと、ずっと、すきだった
……
!でも、けっこんしないって
…
聞いたからっ
……
!」
「
…
立香以外と結婚する気なんざ無えよ。だから
……
」
──俺の嫁になってくれ。
立香の耳に、はっきりと聞こえた声。
「
………………
うん
…
っ!!」
涙に濡れた満面の笑顔で、彼は頷いた。
「
……
立香」
「
……
!」
ふと気付けば、彼の顔が目の前にある。
自分の名前を呼ぶ声は、先程の優しい響きとは打って変わり、柔らかな熱を孕んでいる。
自分の顔をすっぽりと包める大きさの手。
彼の親指が、自分の唇をなぞっている。
心臓がうるさい程に高鳴る。
「ぁ
……
原田さ
…………
」
顔同士の距離が近付く。
立香の手が、「心の準備がまだ出来てない」と言わんばかりに原田へ伸ばされる。
彼はその細い腕を掴み、布団の上に優しく押し倒す。
心臓は尚もうるさく鳴り響く。
原田の長髪が、立香の顔周辺に窓掛けのように垂れ下がり、まるで檻のように見える。
そして、そのまま。
原田の顔がゆっくりと近付いてきて。
熱視線に浮かされながら、立香は静かに目を閉じた。
朝日が射し込む一室で、静かに唇が重なる。
「
………
っ
……
ん
…………
」
触れ合う柔らかな感触。
上手く息ができず、唇を離そうとする立香。
その瞬間。するりと唇をこじ開け口の中に入ってくる温かなもの。
「ん
……
っ
……
!?んぅっ
…
!は
…
っ
………
ぁ
……
」
原田の舌が、立香の小さな舌を弄ぶように動く。
(
……
あたま
…
ふわふわする
……
)
身体が、原田から与えられる快感に順応していくような感覚を覚える。
原田にしがみつき、必死に順応しようとした。が、快感はそれを常に上回ってくる。
……
やがて二人が離れると、銀色の糸が後を引いた。
「あ
……
原田さん
………
っ
……
」
紅潮した顔、潤んだ瞳、はだけた着物。
それを目にした瞬間、原田は堪えるように眉間に皺を寄せたあと、口を開いた。
「
……
あー、悪ぃ
……
」
「
……
?原田さんわるいことしてないよ
…
?」
「そうじゃなくてだな
……
俺の問題だよ
…
」
幼子に対してがっつき過ぎた、と心の内で猛省する原田。
立香は嬉しそうに微笑んだ後、原田の髪に頬を擦り寄せた。
「あのね
……
原田さん
……
」
だいすきだよ。これから先も、ずっと。
原田に抱きしめられ、立香はもう一度幸せそうに笑った。
数日後。
「立香様、良くお似合いですよ」
小さな背丈に白無垢を纏い、静かに座る立香。
「
……
はずかしい、かも」
家臣に褒められた事で頬を赤く染め、綿帽子をきゅっと掴む。
顔には薄く水化粧が施されている。
白無垢は彼の身体に合わせた採寸となっており、きつくないようにある程度のゆとりもある。
……
原田の希望により、婚姻の儀は家臣達の間で挙げる小さなもの。
立香も「いっぱい人がいるとはずかしいから、それがいいかも」と言った為、その形を取った。
「
……
原田様、準備が整いました」
家臣のうち一人が、襖の外へ向けて声を掛ける。
襖が静かに開き、原田が入室する。
「では、私達は広間の準備をして参りますね。原田様、紅差しの儀をお願い致します」
広間の準備はすぐ終わりますので、と言い残し家臣達は退室した。
「
……
あの、どう
……
かな
……
?」
紅の準備をしている原田に、静かに声を掛ける。
「
……
綺麗だよ」
こちらを振り向き、愛おしそうに見つめながら彼は答えた。
やがて準備が終わったのか、原田は紅と紅筆を持ちこちらへと近付く。
「
……
紅塗るぞ、じっとしててくれ」
「はーい」
ん!と目をきゅっと閉じる立香。
(目は閉じる必要無いだろ
…
)
心の中で突っ込みを入れながら、立香の唇へ筆を近付ける。
ふと、その時。原田の中にほんの少しの悪戯心が湧く。
そのまま彼の唇へと、軽く口付けた。
「
…………
?」
凡そ筆とは思えぬ感触に、立香は目を開けた。
「
………
今、ちゅってした
……
?」
「
……
した」
不思議そうにこちらを見つめる瞳に、原田は愛おしさで口元を緩めた。
「
…………
えへへ
…
」
立香は小さく照れ笑いを零す。
無事、紅も付け終わった。
目の前にいる立香を見て、原田は心の声を漏らすように呟く。
「
……
本当に綺麗だよ、立香は」
彼の甘さを孕んだ声に、応えるように微笑む立香。
やがて婚姻の儀は無事に終わったが、後日にかつて行動を共にした隊長達が、軒並み原田の社へ尋ねてきたのは言うまでもない。
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