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黒乃芥子
2026-07-02 19:54:45
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貴方に捧ぐ花束を
高校編 第一話
仕掛けていたアラームが鳴り響く音で、目が覚めた僕はすぐに止めてカーテンを開けると、部屋に白い光が差し込んで眩しかった。眠たい目を擦り、ベッドを整えて僕は一階に降りた。
『母さん、おはよう。』
『おはよう、朝ご飯できてるよ。』
『おはよう、眠そうだな。』
『うん、準備してから食べる。』
洗顔と歯磨きしてから、自室で制服に着替えて、準備を済ませてリビングに行った。僕は、
美原陽太
みはらようた
。16歳、今日から高校生です。
『今から、食べる。』
『昨日見せてもらったけど、似合ってるわよ制服。』
『ありがとう。』
『ま、勉強もしっかりな。』
『はーい。』
『ほら父さん、今日は入学式なんだから。』
『そうだな、小言はまた今度にしよう。』
『ふふ、そうね。』
『結局、言われるの。』
二人は僕の両親、台所で弁当の準備をしてるのが母さん。
美原香織
みはらかおり
。カフェを経営している。新聞を読んでるのが父さん、
美原敏也
みはらとしや
。大学の先生で、色んな国の言葉を教えてるらしい。
『そろそろ、行ってくるよ。』
『行ってらっしゃい。』
『行ってきます。』
朝食を済ませて、僕は急ぎ足で家を出た。電車やバスを乗り継いで、最寄りから徒歩五分の場所に高校がある。
『わっ。』
曲がった瞬間、強い風が吹き抜けた。一瞬、目を瞑ったが、高校へと続く道は桜並木が満開だった。風に吹かれて、舞う姿はとても綺麗だった。
これから始まる、新しい学校生活への期待と不安が入り混じっていた。
『ここが、今日から通う学校なんだ。』
校門周辺は、沢山の人がいた。ここは、
志生
しじょう
高校。中学校の知り合いがいない、学校に行きたいと思っていた。中学三年の二学期初めの頃、僕と両親は引っ越しをした。この志生高校がある、
志生
しじょう
市に。
『とりあえず、体育館探さないと。どこだったかな。』
体育館前に、クラス分け表が貼り出されていた。入学式は、校長先生の話が長くて少し眠かった。僕のクラスは一年二組。担任は、新任の先生だった。名前は、
井上加奈
いのうえかな
先生。
『次は、笹木校長からの挨拶です。よろしくお願いします。』
『初めまして皆さん、まずはご入学おめでとうございます。私はこの学校の校長を務めています。
笹木國茂
ささきくにしげ
です。どうぞ、よろしくお願いします。まずは...。』
『笹木校長、ありがとうございました。次は...』
『本日はこれで、入学式を終了致します。お忘れ物
…
。』
入学式の後は、クラスでオリエンテーションがあった。担任の、井上先生。クラスの皆も、順番に自己紹介をした。
『
白井雪
しらいゆき
、よろしく。』
『僕、美原陽太です。よろしくお願いします。』
自己紹介も終わり、井上先生から話があった。
『この学校について、改めて説明しておきます。』
要約すると、この学校には[普通科/商業科/服飾科/国際科/体育科]があって、僕達のクラスは普通科だ。選択授業を二つ選ぶことが出来て、他の科の合同授業を受けることが出来る。そして、制服の胸に付けている、校章バッジの色で学年や、模様で学科分けされている。
『ここまでで、質問ある人いますか。大丈夫かな、次の話にいきます。』
『皆さん、委員会を決めます。最初は、学級委員から。やりたい人、手を上げてください。』
誰も立候補する生徒はおらず、先生は考えた結果、クジ引きで決めることにしたみたいだ。
『はーい!皆、クジ引いて下さい。』
クジを引いて、学級委員は決まった。
鴇野霞
ときのかすみ
君が、学級委員長、副委員長は
早田遥香
そうだはるか
さんに決まった。
『よし、決まりましたね。他の委員会も決めましょう。』
手が上がってない時は、他の委員決めもクジ引きになると思ったのか、挙手をする人が増えた。
『風紀委員、誰かやりたい人いますか。』
誰も、手を挙げなかった。風紀委員は、自分に対しての校則も厳しくなることと、行事等の時は、パトロール活動もあり、自由行動の時間が少なくなるので不人気なのだ。実は入学式で、委員会の活動等の説明があった。
『今回は、先生が指名しようかな。よし、決めた。白井君と美原君、風紀委員お願いします。』
『あ、はい。』
『はい。』
順調に、委員決めは進み終わった。
『では、今日のオリエンテーションは終わりです。明日から、授業も始まるので忘れ物はないように。皆さん起立、礼。さようなら。』
帰る準備をして、僕は校門前に向かった。
『陽太、ここよ。』
『母さん、お店は大丈夫なの。』
『大丈夫よ、一生に一度だから来ないとね。』
『ありがとう。母さん、写真撮ろうか。』
『そうね。』
僕はスマホを取り出して、内カメにして校門をバックに母さんと写真を撮った。二人の笑顔の写真が撮れた。
『はい、チーズ。』
帰りは、母さんと一緒に帰った。夜は入学祝いだと言って晩ご飯を、僕が好きな、母さんの手作りオムライスだった。
『母さん、ありがとう。』
『今日は、入学式だったからね。』
『うん、頑張る。』
一週間経った頃、クラスの中では仲の良いグループがチラホラとできていた。そんなことを思いながら、自分の席で座っていると声をかけられた。
『美原、だったか。』
振り向くと、隣の席の白井君だった。
『う、うん。えっと、白井君だよね。』
『急に、話しかけてごめん。驚かせたな、用事があってな。』
『どうしたの。』
『今日の放課後、風紀委員の会議があるらしい。俺達は、残るようにって井上先生が。』
『分かった、ありがとう。』
『うん。』
放課後になり、僕達は視聴覚室に向かった。到着すると、視聴覚室の前に生徒が数人いた。
『お疲れ様です。』
『一年だな、後十分で始まるよ。右側の列で、好きな所座って待っててくれ。』
『分かりました。』
室内で座って待っていると、会議が始まった。
『皆さん、今日は集まってくれてありがとうございます。まず僕は、三年の
三原達也
みはらたつや
です。今日はよろしくお願いします。と、まあ挨拶もこのくらいにして、本題に入ろうと思います。』
内容を要約すると、GWが明けた次週から、五日間を身嗜みの検査。次の週の、月曜日、金曜日が持ち物検査になっている。
『以上で、説明を終わります。何か、質問のある方いますか。』
『はい。』
『あ、自己紹介も兼ねて学年と名前お願いします。』
『はい、私は二年の
金原真希
かねはらまき
です。身嗜みの検査のことですが、私達は何時に登校すれば良いのですか。』
『 そうでしたね、僕達は七時三十分までに準備を済ませて校門前で立てるように登校お願いします。』
『分かりました。』
『はい、一年二組の白井雪です。持ち物検査は、鞄の中を全部細かく見るんですか。』
『持ち物検査は、本人に鞄を開けてもらって、中を見る程度で大丈夫です。プライバシーのこともあるので。』
『分かりました。』
『では、質問もないようなのでこれで本日の会議は終わります。皆さん、お疲れ様でした。当日は、よろしくお願いします。では、解散で。』
会議も終わり、僕と白井君は一度教室に戻ることにした。
『美原、朝は大丈夫か。』
『大丈夫だよ、早く寝てアラームかけるから。』
『そうか。』
『白井君は、大丈夫なの。』
『起きれないこともない。』
『あはは、朝弱いんだ。』
『怒られないように、来ないとな。』
『そうだね、頑張ろう。』
『あぁ。』
いつもと変わらない、日々が過ぎていった。四月下旬、帰ろうとした所、担任から声をかけられた。
『先生、何か。』
『あのね、二人とも倉庫の片付け手伝ってくれないかな。』
『倉庫。』
『そう。と言っても、空き教室を物置部屋代わりにしてるだけなんだけど。片付けと掃除頼まれちゃって。お願い。』
『山田先生は、手伝ってくれないんですか。』
『山田先生も、忙しくてね。』
『それで誰かに、手伝ってもらおうかなと思ってたら、君達が目に入ったの。』
『あはは。』
『わかりました。』
『ありがとう、ごめんね。終わったら、ジュース買ってあげるから。』
先生からの頼み事を聞いて、その物置部屋に向かった。扉を開けると、埃が舞って少し咳込んだ。
『どれだけ、掃除してないんだ。』
『よし、じゃあやろっか。窓開けよ、窓。』
入ると、色んな物がごちゃ混ぜで置かれていた。整理整頓は、されていないようだった。
『先生、ここ誰も片付けしてなかったんですか。』
『そうみたいなの、少しは片付けられなかったのかな。』
『そうですね、お手伝いしますよ。』
『うん、お願いね。』
手分けして作業を進めていた、昔の小道具なのか、まだ使えそうな物、カビの生えた物、ゴミ等、色々と出てきた。すると、先生が声を上げた。
『キャッ、黒いのいる。』
『えっ、僕もちょっと。』
『俺がやる。』
────── パンッ ──────
叩いた音が鳴り響いた、白井君はそれを一言「捨てて来る」と言って、平然と教室を出て行った。すぐに帰って来た。
『あ、おかえりなさい。ありがとう、先生ああいうのはNGだから。』
『いえ、トイレに流しておきました。』
『白井君、おかえり。すごいね、一発だ。』
『虫は、苦手じゃないからな。』
そんなこともありながら、作業は進み二時間ほどすると殆ど片付いていた。
『よし、二人ともありがとう。もう、大丈夫よ。』
『でも先生、まだ残ってます。』
『良いの良いの、この位なら先生だけで出来るから。それよりほら、ジュース買ってあげるって言ったでしょ。』
先生に言われ、僕達は自販機前に来た。
『二人とも、好きなの選んで良いわよ。』
『じゃあ僕、イチゴミルクで。』
『俺、サイダーで。』
『先生、ありがとうございます。』
『ありがとうございます。』
『良いのよ、二人が頑張ってくれたからこんなに早く片付いたのよ。よし先生は、作業に戻るから二人は帰って良いわよ。』
『でも先生、俺いないのに黒いの出たらどうします。』
『もう、忘れようとしてるんだから思い出させないで。大丈夫よ、先生だって退治出来るわ。』
『そうですか。』
『ほら、また明日ね。さようなら。』
『先生、さようなら。』
『さようなら。』
『帰ろうか。』
『そうだな。』
帰り道が同じなので、一緒に帰っていた。
『美原、コンビニ寄らないか。』
『良いよ、何か買いたい物あるの。』
『いや、腹減っただろ。』
『たしかに。』
コンビニで、僕と白井君は焼き鳥を買った。二人で食べた焼き鳥は、すごく美味しく感じた。
『白井君、最寄りはどっちなの。』
『二番ホームだ。』
『あ、僕と同じだ。』
『ああ、そうだな。』
白井君の最寄り駅に着くまで、二人で話していると時間が経つのは早かった。
『また明日な、お疲れ。』
『うん、お疲れ様。』
僕達は、ゴールデンウイークに入った。
『宿題、思ってたよりたくさん出た。はぁ。』
一人ボヤきながら、部屋で宿題を片付けていた。すると、一階から声がした。
『陽太、ちょっと来てくれない。』
『はーい。』
降りていくと、母さんが軍手を付けて立っていた。
『ちょっとね、お庭の草毟りしてくれない。』
『僕、今宿題してる。』
『ごめんごめん、お願い。お小遣いあげるから。』
『んー、分かった。』
お小遣いに釣られた僕は、草毟りを手伝うことにした。春の気候、午前中ということもあって、作業中もそこまで暑さは感じなかった。
『母さん、何を植えるの。』
ただ黙々と草毟りをするのは、しんどいので母さんに話しかけてみた。
『ミニトマトよ、野菜育てたいの。』
『実ったら、美味しそうだね。』
『そうね、ちゃんと美味しく育ってほしいわね。』
母さんと話ながら作業していると、時間が経つのは早い。もう、昼前だった。
『陽太、ありがとう。助かったわ。』
『ふぅ、疲れた。』
『そうね、中に入って少し休憩しようか。お昼ご飯、作るからね。』
『うん、分かった。』
そんなこんなで、家の手伝いしたり、宿題したりと。どこか出かけたといえば、母さんの買い物に付き合った位だ。ゴールデンウイークが、終わるのはあっという間だ。ゴールデンウイークも明けて、教室で自分の席に着くと声をかけられた。
『美原おは。』
『あ、立花君おはよう。』
『おう、ゴールデンウイークどうだった。』
『んー、いつもと変わらないかな。でも、たくさん休みがあるのが嬉しいのは変わらないけどね。』
『そうだな。』
この男の子は、同じクラスの
立花灰人
たちばなかいと
君。化学の授業で一度、グループ分けの時に一緒になったことがキッカケになるのかな。それからはたまに、こうやって話すようになった。
『美原君、おはよう。』
『西田さん、おはよう。』
『ねえ、宿題ちゃんとやってきたの。』
『ちゃんと終わらせたよ。』
『お、えらい。』
『俺は、徹夜で終わらせて来た。』
『立花君、寝てないの。』
『大丈夫だ、オールするのなんて余裕。』
『灰人、また徹夜したの。計画的にやれば、ちゃんと寝れるのに。』
『うるさい、鈴はどうなんだよ。』
『私も、終わらせたよ。昨日は、しっかり寝ました。』
『へえ。』
『何よ。』
『別に。』
『まあまあ。』
この子は、
西田鈴加
にしだすずか
さん。立花君と同じキッカケで、今も声をかけてくれている。二人は、幼馴染だ。話しているうちに、チャイムが鳴って、急ぎ足で皆が席に戻り始めた。
『美原君、また後でね。』
『うん、二人共またね。』
お昼休み、二人が一緒に弁当を食べようと僕の席に周りに集まっていた。席を、借りたみたいだ。
『お腹すいたあ、早く食べよ。』
『そうだね。』
『美原。』
隣から声をかけられた、白井君だった。
『白井君、どうしたの。』
『俺も、良いか。』
『もちろん、良いよ。一緒に食べよう。』
『お、白井。一緒に食うか。』
『あぁ。』
『こっち来いよ。』
『ありがとう。』
『私、白井君と話すの初めてかも。西田って言います、改めてよろしくね。』
『白井だ、こちらこそ。』
『あ、白井君のお昼ご飯コンビニなんだ。』
『今日は、弁当作る時間なかったからな。』
『白井君、自分で作ってるの。』
『作ってると言っても、昨日の晩飯の残りとか、冷凍とか、卵焼き焼いたりはするけどな。』
『すごいじゃん。』
『ありがとう。』
四人で話をしていると、時間が経つのは早くて、あっという間に昼休みは終わった。
放課後、立花君と西田さんから『一緒に帰ろう』と声をかけられた。
『美原、白井、一緒に帰ろうぜ。』
『うん、もちろん。』
『分かった。』
『ごめん、ちょっと待って。』
井上先生から、呼び止められた。
『美原君、白井君もちょっとだけ良いかな。』
『はい。』
『美原、俺たち廊下で待っとくわ。』
『うん分かった。』
『ごめんね、すぐ終わるから。』
『大丈夫です。』
『えっとね、来週から身嗜み検査があるでしょ。登校時間、ちゃんと覚えてるかどうかの確認だけ。』
『七時三十分までに、校門で立てるようにって聞いてます。』
『そうそう、遅れないように来てね。』
『はい。』
『はーい。』
『あ、白井君。今、目逸らしたね。遅刻、ダメだよ。』
『はい、アラーム十個かけとくから大丈夫です。』
『そう、なら良し。じゃあ二人とも、また来週ね。さようなら。』
『先生、さようなら。』
白井くんも、一緒に帰ろうということになった帰り道、駅前のコンビニに寄ろうという話に。
『今日は、白井もいるし皆でコンビニ寄ろう。』
『うん良いよ。』
『私も。』
『白井君も良いかな。』
『良いよ、腹減ったからな。』
『あはは、確かに。』
駅近くのコンビニに着いた、僕達はそれぞれ好きな物を買って、駅から五分程歩いた所にある公園に向かった。
『美原君は、何を買ったの?』
『僕は、唐揚げ王子くんののり塩味だよ。』
『あ、新作の味だ。私はチョコのシュークリームだよ。』
『うん、新作試したくて。そのシュークリーム、美味しいよね。』
『俺は、チキン。』
『良いね、チキンも新作でてたよね。』
『あー、俺は辛いの苦手だから。シンプルイズザベストだ。』
『それで、白井は何買ったんだ。』
『俺は、唐揚げ王子くんのチーズ味だ。』
『チーズも、美味しいよね。』
『あ、公園見えてきたよ。早く行こ。』
公園は思ったより人が少なくて、静かに過ごせそうだった。公園の一角に石で造られた、テーブルとベンチが置いてある。雨の日でも屋根があるから、雨宿りの時など助かるかも。
『よし、食べるか。腹減った。』
『そうだね。』
皆で学校でのことや、色んな話をしていた。
『白井君は、あまり話さない人と思ってたよ。』
『そう、見られることは多いがそんなことはない。』
『白井とは、授業のグループ分けの時に何度か一緒になったことあるけど、意外と話すし、頭良いし説明も分かりやすいんだよ。』
『そうなんだ、白井君すごいね。僕まだ、白井君となったことない。』
『私もー。』
『意外は、余計だ。』
『ごめんって、白井は気さくで良い奴だよ。』
『ありがとう。』
『そろそろ、帰ろっか。私、遅くなると怒られちゃう。』
『そうだね。』
『そうだな、俺は今日バイトなんだ。』
『立花君、バイトしてたの。』
『ラーメン屋でな、賄いは最高だ。』
『あはは、そっか。立花君頑張ってね。』
『私、バイトしてるって聞いてないんですけど。賄い食べれるからって、サボったりしてないでしょうね。』
『バイト始めたからって、鈴にどうして話さなきゃいけないんだよ。サボるわけないだろ、賄いと給料のために頑張ってるんだからな。』
『そう、なら良いんだけど。だって灰人の、お小遣いが増えるってことは、私が奢ってもらえるからね。』
『俺が、奢る前提かよ。』
『そうだよー。ほら、早く行かないと遅刻しちゃう。』
『分かってるよっ、行ってきます。』
『ふふ、いってらっしゃーい。』
『立花君、頑張って。』
『おう。』
『白井、またな。』
『おう。』
『私達も、そろそろ行こっか。』
『そうだね。』
『美原君と白井君は、バイトしないの。』
『僕は、今の所考えてないかな。』
『そうなんだ。』
『俺も、バイトしてる。西田さんはどうなんだ。』
『私は、部活があるからね。』
『そうだよ、西田さんはバスケ部なんだ。』
『そういえば、男バスと女バスがあったな。』
『そうなの、だからバイトしてる暇はないんだよね。』
『今日は、部活は良いのか。』
『うん、今日は休みなんだ。』
『そうか。』
『白井君は、バイトって何してるの。』
『立花と一緒だ。』
『え、灰人と同じバイト先なの。』
『そうだ。』
『白井君、風紀委員もやってるのに大変だね。』
『立花より入ってる日数は、少ないから大丈夫だ。』
『そっか。』
『白井君は、今日は休みなんだね。』
『ああ。』
『良かった。』
西田さんとは駅で別れた、白井君とは途中まで一緒だ。ホームで電車に乗った、西田さんに手を振っていると、白井君が一言。
『美原、楽しかったな。』
『そうだね、また四人で遊ぼうね。』
『そうだな。』
『白井君、来週は頑張って起きてね。』
『嫌な事を、思い出させないでくれ。』
『あはは、電車来たね。』
途中の駅で、白井君は降りた。
『美原、また来週な。』
『うん、またね。』
白井君と別れ、僕も家に着いた。
『陽太、おかえりなさい。』
『陽太、おかえり。』
『母さんも、父さんもただいま。』
休みは、いつもと変わらずゆったりと過ごした。週明けの月曜日の朝、アラームの音で目が覚めた。時間見ると、五時三十分だった。
僕は欠伸をしながら、ベッドから起き上がった。下に降りると、母さんがもう起きていた。
『あら、陽太おはよう。今日は早いのね。』
『昨日、言ったでしょ。今日から、風紀委員の仕事で身嗜み検査があるって。』
『そうだったわね、お弁当作るの急ぐわね。』
『ありがとう、僕準備して来るから。』
寝起きであることと眠さで、半分寝ぼけ状態で会話していた。準備を済ませて、リビングに戻ると朝ご飯が置いてあった。
『母さんありがとう。』
『あんまり、時間ないわよ。』
『うん、急いで食べる。』
『お弁当も、ここ置いとくわね。』
『うん。』
僕は朝食を早々と食べて、学校に向かった。学校に、着いたのは七時十分頃だった。
『早く荷物置きに行かないと。』
『美原、おはよう。』
『あ、白井君おはよう。』
『あぁ。』
『眠そうだね、ほら荷物置きに行こう。』
『そうだな。』
『校門の所、もう何人か集まってたよね。』
『そうだな
…
。』
『そういえば、今日ってバイトだよね。』
『そうだ。』
大きな欠伸をした、白井君を見て笑っていた。僕達は、荷物を教室に置いて校門に向かった。
『あら二人共、間に合ったのね。良かった。』
『あ、先生。おはようございます。』
『うん、おはよう。』
『おはようございます。』
『ふふっ、白井君は眠そうね。おはよう。』
『そりゃ、眠いですよ。』
『ほら、シャキッとしなさい。風紀委員でしょ。』
井上先生は、白井君の背中をバシッと叩いた。
『痛っ
…
はい!』
『よし、良い声ね。朝の挨拶も、その調子で頑張るように。』
『はい。』
『ちょっと、戻ってるわよ。』
『あはは。』
校門前での、身嗜み検査が始まった。井上先生は、僕達が心配だから一緒に立ってくれるみたいだ。
『おはようございます!』
『みんな、おはよう〜。』
『あ、かなちゃん先生。』
『こら、井上先生でしょ。』
『えへ、ごめんなさい。』
『あ、スカート短いわよ。』
『はーい、ごめんなさい。』
『おはようございます。あ、二人共頑張ってるね。』
『西田さんおはよう。』
『おはよう。』
『おはよう、どう私の身嗜み。』
『良いと思うぞ。』
『ほんと、良かった。』
『あ、ごめん。リボンが緩んでる。』
『え、ほんとだ。直しとくね。』
『うん。』
『じゃあまた、教室でね。頑張って。』
『ありがとう、また後で。』
『おはようございます。』
『おはようございまーす。』
『白井、美原もおはよう。』
『あ、立花君。おはよう。』
『立花、おはよう。』
『白井は、眠そうだな。はははっ。』
『はは、また後でな。』
『あぁ。』
『うん、後で。』
身嗜みの検査は、特に大きな問題もなく最終日を迎えた。放課後、風紀委員での会議があった。
『皆さん、お疲れ様でした。改めて、三原です。無事に、終わることが出来て良かったです。』
『三原君、そろそろ。』
『そうだな、今日の本題です。来週からの、持ち物検査について、改めて説明しておきます。』
会議も終わり、僕達は解散した。白井君と一緒に、帰ろうとすると廊下で声をかけられた。
『美原君、白井君。』
『西田さん、待っててくれたの。』
『うん、今日は遊ぼう。』
『うん、良いよ。』
『俺も今日は、バイトは休みだから大丈夫だ。』
『よし。』
『あれ、立花君はどこ。』
『たぶん、立花はバイトだ。』
『そっか、なら仕方ないね。』
『うん、今日は三人で遊ぼう。』
『そうだね。』
僕達は、駅前のコンビニで買い物をしてあの公園に向かった。着いたら、子供達や、主婦らしき人達、おじいちゃん、おばあちゃんがいて。あのベンチも、埋まっていた。
『どうしよう、空いてないね。』
『もしかしたら、あそこなら。』
『西田さん、どうしたの。』
『二人共、付いて来て。あそこなら、大丈夫かも知れない。』
西田さんに言われて付いて行くと、カフェの前に到着した。そのカフェは、僕は見覚えがあった。
『ここ。』
『美原君、知ってるの。』
『うん。』
『ここはね、私の従姉妹が働いてるの。お許しが出たら、中でゆっくり出来るかも。』
『俺、ここのカフェ知らないな。』
『ここはね、「香織LuCafe」っていって、個人のお店らしいよ。』
『そうか。』
『ここ意外と安いし、珈琲も美味しいからオススメだよ。建物とか外見もだけどね、店内もオシャレなんだよ。』
そんな話をしてると、カフェの扉が開いた。
『あら、いらっしゃいませ。』
『こんにちは、ゆき姉。』
『あら、こんにちは。鈴ちゃん。』
『中でゆっくりしても良い、場所がなくて。珈琲頼むからお願い。』
『ふふ、ちょっと待ってね。』
『今のが、西田の従姉妹の人か。』
『うん、
島田雪
しまだゆき
さん。私は、ゆき姉って呼んでるの。』
『なるほどな。』
少し待っていると、島田さんが出て来た。
『良いわよ、今店内空いてるから。入って。』
『ありがとう、ゆき姉。』
『ふふ、さあどうぞ。』
店内に入ると、予想通りいた。
『あら、陽太。』
『来たよ。』
『え、店長の息子さんですか。』
『そうよ、私も来るなんて聞いてないからびっくりよ。』
『え、美原君のお母さんだったの。』
『あ、うん。』
『美原君、言ってくれれば良かったのに。』
『あはは、ごめん。』
『あそこの席、使って良いわよ。』
『母さん、ありがとう。』
『ありがとうございます。』
僕達は席に着いて、それぞれ珈琲を注文した。僕はブラックコーヒーのアイス。西田さんは、カフェラテのホット。白井君は、カフェオレのアイスだ。
『ねえ、どうして隠してたの。』
『僕もここに来る途中で、このお店に向かってるって気付いたの。』
『美原君、自分の親がいるお店は嫌だったかなと思って。もしそうだったら、悪いことしちゃったなって。』
『ううん、そんなことないよ。気にしないで。』
『そっか、良かった。ありがとう。』
『はーい、ご注文の珈琲ですよ。』
『ありがとうございます。』
『はーい、これからも陽太のことよろしくね。』
『はーい。』
『はい。』
『母さん、恥ずかしいからやめて。』
『何言ってるの、もう。』
三人で珈琲を楽しみながら、ゆったり過ごしていた。
『ねえここの料理はね、店長とゆき姉が作ってて、すごく美味しいの。』
『そうなんだ。』
『美原君、良いよね。毎日、店長の手作りご飯食べれるもん。』
『ほかの家と変わらないよ。』
『そんなことないよ。ね、白井君。』
『いやまだ、ここの料理食べたことないからな。』
『たしかに。そうだ、学校休みの日に皆で食べに来ない。』
『良いと思う、予定合わせて来ようか。』
『うん、灰人にも伝えとくね。』
『分かった、白井君も空いてる日教えてね。』
『また、AINEする。』
AINE(アイン)は、SNSアプリだ。遅くなる前に、帰ることになった。
『今日は、寄ってくれてありがとう。』
『ゆっくりする場所なくて、ゆき姉いるから大丈夫かなと思って。あはは。』
母さんは二人に、持って帰るようにと紙袋を渡した。
『いつでも来てね。ほら、これ二人に。お家の人にも、飲んでほしいから。』
『ありがとうございます。』
『陽太、もうすぐ終わるから。少し、待ってて。車で、送ってあげるから。』
『うん、分かった。』
『美原君、良かったね。』
『鈴ちゃんも、私が送ってあげる。』
『ほんと、嬉しい。流石、ゆき姉。』
『あ、白井君だけ。』
『気にするな。』
『母さん、白井君送ってほしい。僕達の家と同じ方向で、途中にある紙野(シャ)駅なんだ。』
『良いわよ。』
『いや美原、それはさすがに。』
『白井君、遠慮しなくても良いの。大丈夫よ。』
『ありがとうございます。』
『じゃあ皆、後少し待っててね。』
『はーい。』
十九時に閉店、母さんと島田さんは片付けと明日の仕込みをしていた。僕達はその間、ゆっくり過ごしていた。
『よし、終わった。』
『今日は、早く終わりましたね。』
『そうね、あの子達を送ること考えたら、ゆっくり出来ないからね。』
『そうですね。』
終わったようで、二人は着替えに行った。数分すると出て来て、僕達は送ってもらった。西田さんは、島田さんの車なので店の前で別れた。
『美原君、白井君、また来週。バイバイ。』
『またねー。』
『また来週。』
僕達は、母さんの車に乗り込んで家路に着いた。
『白井君、お家どこ。家まで送るわ。』
『あの駅の駐輪場に、自転車停めてあるので紙野駅でお願いします。』
『分かったわ、それまでゆっくりしておいてね。』
『はい、ありがとうございます。』
『白井君、駅まで自転車だったんだ。』
『歩いたら、二十分かかるからな。』
『ちょっと、遠いね。』
『白井君、親御さんには、遅くなることはちゃんと連絡してるの。』
『あー、俺今一人暮らしなので大丈夫です。』
『え、白井君一人暮らしなんだ。』
『あぁ。』
『そうなのね、ご飯はちゃんと食べれてるの。』
『はい、コンビニとかスーパーで買って食べてます。』
『あんまり、体に良くないね。』
『まあ。』
『そうだ白井君、少し遅くなるけど先に、おばさん家に寄っても良いかな。』
『大丈夫ですよ。』
『ありがとう。』
少しすると、僕の家の前に着いた。
『白井君、家の中で待ってて。』
『え、はい。』
『白井君、母さんが強引でごめんね。』
『いや、大丈夫だ。』
『さあ、どうぞ。』
『はい、お邪魔します。』
『リビングで、陽太と待っててくれる。』
『分かりました。』
『行こ。』
リビングで、白井君と暫く談笑していると母さんがキッチンから出て来た。
『白井君、出来たわ。これ、持って帰って。』
『これは、肉じゃが。』
『一人暮らしって聞いたから、お口に合えば良いんだけど。』
『ありがとうございます。』
『良いのよ。そのタッパ、返さなくて良いからね。自分の家で、そのまま使って。』
『色々と、ありがとうございます。』
『ううん、陽太と仲良くしてくれておばさんも嬉しいわ。』
『いえ。』
『よし、紙野駅まで送ってあげる。陽太は、ご飯はお鍋温めたら食べれるから、父さん帰って来たら用意してあげて。』
『分かった。白井君、また来週。』
『ああ、またな。おやすみ。』
『うん、おやすみなさい。』
『さあ、乗って。』
母さんは、白井君を乗せて送って行った。
『ねえ、白井君。あの子と、仲良くしてくれてありがとう。』
『こちらも、仲良くしてもらってるので嬉しいです。』
『ふふ、ほんと真面目な子ね。そういう子が、陽太の友達で嬉しいわ。』
『はい。』
『あんな楽しそうに、学校の話をする陽太。見たのは、久しぶりで嬉しくってね。』
『それなら良かったです。』
『今のは、陽太に内緒よ。』
『分かりました。』
僕はというと、母さんを見送った後、お風呂に入って、少しすると父さんが帰って来た。ご飯の準備をして二人で食べていると、母さんも帰って来た。
『ただいま。』
『おかえり、白井君何か言ってた。』
『ううん、陽太と仲良くできて嬉しいって。』
『そっか。』
週明けの月曜日、教室に入ろうとすると声をかけられた。
『美原君、おはよ。』
『西田さんおはよ、昨日は楽しかったね。』
『ね、また行こうね。』
『美原、おはよう。』
『白井君も、立花君もおはよう。』
『美原、おばさんにありがとうってまた伝えといてくれ。美味しかったよ。』
『分かった、それなら良かった。』
『昨日、店長に何かもらったの。』
『手作りの、肉じゃが貰ったんだよ。』
『良いなあ。ずるい、私も食べたい。』
『今度は、俺とも遊べよな。』
『もちろん、いつでも。』
朝のホームルーム、先生から皆に話があった。
『突然ですが、今から持ち物検査をします。私と風紀委員の、白井君と美原君の三人で検査します。皆さんは、鞄を開けて中を見せて下さい。』
嫌がる生徒もいたが、持ち物検査が始まった。
『白井、俺の鞄は何も入ってない。』
『ほんとだ、弁当しか入ってない。』
『問題ないだろ。』
『そうだが、これはこれでどうなんだ。』
『立花君、何でも学校に置いて帰るのはダメですよ。』
『はい。』
『美原君、私の見て。』
『もう二人共、指名制じゃないのよ。』
『はーい。』
『西田さんも、大丈夫そうだね。』
『やった。』
『二人共、仲良しだからって甘くしちゃダメよ。』
『はい、大丈夫です。』
『なら、良し。』
先生に見られたくないからという理由で、僕達を指名したクラスメイトも他にもいたけど、先生がチェックしていた。大きな問題はなく、持ち物検査週間は終了した。
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