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えぬを
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Only God knows
rsmv_20260314公開
「自分がボトムで合っているか、悶々と考えるマヴ」の話
踊るように楽しく、ネタ的に展開してほしいルスマヴェの関係
この後の展開は神のみぞ知る
めちゃめちゃあまいルスマヴェです
何気ない日だ。いつもと変わりはない。
ただ、脳内でマーヴェリックがふと思い出した親友夫婦の忘形見の青年は彩りにあふれ、マーヴェリックの脳裏に鮮やかに姿を現した。
まるで温度を感じられるかのような。すぐそばにいて、手を伸ばしたら握り返してくれるような。
名を呼んだら返事をしてくれるような。
十年以上に及ぶ別離から、瞬く間に距離を詰めたからこそ、マーヴェリックの中で、ルースターという青年は時折グラデーションのように姿を変幻させる。
フレェクルの乗ったまぁるい頬を赤く染めて、抱き上げてとねだる姿だったり。
まばゆいティーンの輝きを半分影に落とした顔は、身内の病いに係る。
そして憎悪を人に向けたのは、マーヴェリックが初めてだったであろう頃。
やがて、ただ一人を生涯として、〝永遠を誓っちまった相手があんたかよ〟、と、心底自身に呆れ、それでいながら万感の愛情を向けられたなら。
マーヴェリックは白旗を上げるしかなかった。
加えて、今頃になって自問自答せざるを得ない混乱に陥った。
友人兼同僚が見たら、今のマーヴェリックの状態は、『また悪い癖が出た』という頭を抱える事態に捉えられるだろうが、あいにくとマーヴェリックの脳内はルースターという青年で締められていたので、ホンドーの出番はなかった。
惚気の自戒に使われる寸前だったホンドー曰く、マーヴェリックは『こうと決めたら一人で勝手に決めて、一人で結論を出すきらいがある』と称されるが、この状況に関しては、マーヴェリック自身でさえも、どうにもこうにも迷いが生じた。
ルースターと恋人関係になって既に三ヶ月。触れ合いにカラーがつくようになったと同時、マーヴェリックの中で信仰の対象にでもなってしまったかのような青年は、間違いなく男盛りの三十代だ。〝確かめなければいけないことを確かめていなかった〟、と、今更に、マーヴェリックは気づく。
しかも、ワークアウトから帰って来て、モハヴェの住処のロッカーを背に、ミネラルウォーターを含んだところで気づくという唐突さである。
何気ない、日だ。捻ったキャップは手から滑り落ちた。
「この関係、僕が抱かれるっていう認識で合ってるか
……
?」
何気ない日だが時が悪かった。
あいにくとマーヴェリックの独り言の問いに答えるべく、恋人のルースターが来るのは三日後だった。
◇
三日後。
滞在用に日用品を買い込んできて、約束の時間に少し遅れたルースターを、マーヴェリックがハグとキスでいささか情熱的に迎えてしまったのも無理はない。『事故にでも遭ったのかと』、といつもより長いキスの合間、舌を絡めながらの囁きの施しに、若干驚いたルースターは理由に合点が入った。
「心配性だね。ていうか毎回こんな熱烈なら、俺毎回遅れて来ちゃうよ」
嘯くルースターの唇の上の髭を、マーヴェリックは引っ張ってやった。ちっとも痛くなさげに『あいたた』と笑うルースターをソファに座らせ、マーヴェリックはとりあえずコーヒーを淹れるためにトレーラーに戻った。
──コーヒー豆変えてみたんだ。どうだ?ちなみに、僕がボトムで合ってるか?
「〝ちなみ〟がどこにも係ってないだろう、マーヴェリック
……
!」
一人自問しながら三日前に浮上した疑問をどう確認すべきか、マーヴェリックはコーヒー豆を挽きながら、器用にもステンレスのキッチンに拳を打ちつけた。
確認の仕方がわからない。そもそもこれはルースターに聞くべきことなのか。何よりもルースターのカラーのついた触れ合いは、そういう意味を含んだと捉えて良いのか。ならば準備が必要なのは自分の方ではないか。
などと、マーヴェリックお得意の〝一人で考えて一人で結論づける〟思考がぐるぐると頭を回る。
そのままコーヒーを持ってバンカーに戻ったから、マーヴェリックはトレーラー内では靴を脱いでいたことを忘れていた。ぼんやりと思考していたから、ドアの角にしこたま小指をぶつけた。悶絶しながらもコーヒーカップを落とさなかったマーヴェリックに、大事ではないと悟ったルースターは悪気なく噴き出した。
「エースパイロットなのにドアとの距離測れないとかおもしろ」
「痛っ、ンィ゛〜くそがき
……
、!!」
「ったく、どうしたの?珍しいじゃん、考えごと?ろくなことにならないから、一人で考えんのやめて相談しなよ」
ルースターはそう言ってソファから立ち上がると、コーヒーを両手に抱えたままのマーヴェリックを支えにきた。
なんだかんだと青年は優しいのだ。大変失礼だったが。
「おまえ
……
僕にだけ失礼だな」
「そだね」
「この関係、僕がボトムで合ってるか?」
マーヴェリックは唐突に疑問を口にした。
コーヒーを飲んでいないのに、ルースターは咽せた。
「は、?はぁ?」
「あ、いや、いつまでも悩んでいても仕方ないしさっさと聞いてしまおうと!」
一人で悩んで一人で結論を出すことも頻々とある上に、マーヴェリックは直情型でもある。敵地からの脱出時の大胆不敵さを身をもって知るルースターは、今更にマーヴェリックの勢いに天を仰いだ。
がしかし、ルースターもまたマーヴェリックを追って規律違反の離脱を犯した激情型でもある。
マーヴェリックが悩んでいるらしいポジション問題について、聡いルースターの頭は早々に合点する。そもそも、マーヴェリックの恋人はそうでなければ務まらない。
ルースターはマーヴェリックの両手からコーヒーのカップを丁寧に取り上げると、テーブルに置いて、戻って来る。
「こういうの苦手なんだ、今までのおんのこ相手ならこんな格好悪いとこ見せずに済んだしもっとスマートに」
などと言い訳し続けるマーヴェリックを抱きしめて、先ほどの舌を絡めるキスのお返しとばかりに、顎ごと掬い上げてキスを振る舞った。
先ほどよりも長く、下唇も上唇も覆い尽くすほどに、喰んで、噛んで、ベッドインにも近しいキスを。
マーヴェリックの背が泡立つのを、ルースターは背に回した腕で感じ取り、それに歓喜を得る。
湿ったリップ音をわざと響かせ、西海岸のプレイボーイのとろんとした顔を見下ろしながら、ルースターは満足げに笑う。
「悩んで格好良くなれたら俺んとこおいでよ。その代わり覚悟してね」
◇
三ヶ月後。
マーヴェリックは真っ赤な薔薇の花束を抱え、ルースターの元を訪れた。
女性への通過儀礼としていたであろう施しを、ルースター相手にも遺憾なく発揮する年上の恋人に、ルースターは遠慮なく爆笑させていただいた。
マーヴェリックの目元を隠したサングラスからは、隠れていない目の縁から耳までが赤に染まっているのだから、ルースターからすればこれ以上の幸福はなかった。
「ようこそダーリン、ずっとずっと待ってたよ。ありがとう、俺の願いを叶えに来てくれて。愛してるよ、ピート」
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