yoAi_mochii
2660文字
Public R18
 

モブ悪天日向x日向

モブはおもちゃ役

――俺は、神に仕える清らかな天使だ。

日向は、生まれてからずっとその事実を疑わずに生きてきた。背中に生える純白の羽も、他者の心を癒やすための清廉な心も、世界のすべてであり、絶対の真実のはずだった。
しかし、その平穏はある夜、残酷な形で崩れ落ちた。
生まれ付きの天使である日向は、本来『夢』など見ない。だからこそ、その薄暗い部屋の真ん中に立たされた瞬間、日向はこれが夢だとは微塵も思わず、紛れもない現実としてそれを見ていた。
そこにいたのは、自分と全く同じ顔、同じ声、同じ背格好をした、自分と瓜二つの男。ただし決定的に違うのは、その背に生えたおぞましい漆黒の翼。そして、獲物を貪る捕食者のような、狂気と欲望に塗れた瞳だった。

……ぁ、は、ぁ……ッ! ひなた、くん……っ」

ベッドの上で、一人の人間が激しくのたうち回っている。その体を組み伏せ、貪るように唇を奪っているのが「悪魔の自分」だった。
人間から『生気(エネルギー)』を吸い上げるという悪魔の交合。それは、天使である日向が見たこともないほど淫靡で、泥のようにドロドロと絡みつく、穢らわしい行為だった。

「ひどい……なんなんだよ、これ、やめろ……!」

悪魔の所業に強い吐き気を覚え、日向はその悪行を阻止しようと必死に駆け寄った。悪魔の肩を掴み、その人間から引き剥がそうと手を伸ばす。しかし、ベッドの上の悪魔は日向の手を容易くいなし、接吻を交わしたまま日向の視線に気づく。
にぃ、と歪な笑みを向けた。あえてこれ見よがしに人間の顔を日向へと晒す。

「やめろ? 何言ってるんだよ。いいから、ちゃんとこの人間の表情を見なよ。これが苦しんでいるように見えるのか?」

悪魔の不敵な声に促され、日向は息を呑んだ。
組み敷かれた人間は、大粒の涙を流していたが、苦痛によるものには見えない。蕩けた瞳、朱に染まった頬、そしてもっと欲しがるように悪魔の背にすがる指先――それらはすべて、悪魔にもたらした快感に脳を焼かれた者が流す、「快楽」の涙そのものだった。

「そんな、嘘だ……これが、人間……?」

あまりの衝撃に、天使としての価値観がガラガラと音を立てて崩れ去る。
日向は足の力を完全に失い、床へとへなへなと崩れ落ちた。ただ呆然と、目の前の淫らな光景を見上げるだけの、生気のない人形のようになってしまう。

『あれ?そんなにショックなのか? お前だって、これが欲しかったんだろ?』

床にへたり込む日向を見下ろし、自分と同じ声の、酷く低く愉しげな響きが脳内に直接届く。次の瞬間、日向の全身に、悍ましいほどの『共有』が襲いかかった。

――っ、が、あぁッ!?」

頭の芯が強制的に上書きされる、不可避の感覚共有。悪魔が人間の唇を吸い、舌で蹂躙するたびに、日向自身の舌にも生温かく粘つく唾液の感触がリアルに流れ込んできた。
喉の奥を直に犯されるような圧迫感と、息が詰まるほどの深い口吻を拒絶したいのに、まるで自分がその人間に口づけをされているかのような、毒を含んだような熱に脳を侵食されていく。

『俺とお前は一つだ。俺が快感を得れば、お前だってこうなるんだよ、日向』
「嘘だ、やめろ、俺は……っ、ひ、あ……ッ!」

悪魔の手が人間の脚を大きく割り開き、硬く猛り立ったものを、自身の一気に最奥まで突き刺した。
その瞬間、日向の飾りのようだった後ろの窄みにも、信じられない質量の異物が根元まで一気に埋め込まれたかのような、凄まじい衝撃が直撃した。

「あ、が……っ、は、ぁぁッ!?」

あまりにも非現実的な質量と激痛、そしてそれを瞬時に塗りつぶす凶悪な快感に、日向の脳内は一瞬で空白に染まる。
どこにも触れられていない。自分はただ、床にへたり込んでそれを見ているだけなのに。悪魔が人間の上で激しく腰を上下させるたび、内壁を直に擦り上げる生々しい振動と熱が、逃げ場のない狂気となって天使の身体へとフィードバックされた。

狭い肉襞を抉り、掻き回し、容赦なく自身の良きところを打ち据える、獣そのもののリズム。人間から吸い上げられた生気の奔流が、日向の脳髄を直接焼き切っていく。

「は、ぁ……ッ、ん、あ! やだ、消えろ……っ、あぁッ!!」

自分のものか、それとも悪魔のものか分からない、甘く淫らな喘ぎが薄暗い部屋に響き渡る。
悔しい。穢らわしい。自分は清らかな天使のはずなのに——悪魔の快楽が共有されるたび、身体の芯が勝手に疼き、、背中の純白の羽が快感と同調し激しく震えてしまう。
悪魔の腰使いがさらに激しくなる。踊るように飛び跳ね、貪るように突き上げる。
日向もまた、実際にその最奥を犯されているかのように内壁を強く擦られた。
不浄な熱を帯びた肉の脈動まで感じ取ってしまい、逃げ場のない絶頂へと強制的に引きずり上げられていく。

「あぁッ! そこ、ダメ……っ、器が、壊れる……! やめ、なのに……気持ち、いい……ッ!?」

天使としての理性が必死に抵抗すればするほど、身体は悪魔からもたらされる快楽の泥濘へと深く溺れていく。身体が恐ろしいほどの熱を帯びて激しく痙攣、疼き、あろうことか、もっと深く、もっと激しく突き上げてくれとねだるように、後ろの窄みがせわしなく収縮を繰り返していた。

『ほら、果てるぞ、日向……っ!』
「ひ、あ――ッ!? ぁ、が、あぁッ!」

人間が悪魔の最奥に、大量の生気を叩きつけた瞬間。
日向の視界が真っ白に爆ぜた。生まれてから一度も役割を果たしたことのない、下半身の部位から、堰を切ったように白い熱が激しく溢れ出る。背中の純白の羽が弓なりに弾け、狂ったように激しく震えていた。

まるで獣のような呼吸だ。
冷や汗でシーツをじっとりと濡らし、日向は現実のベッドで跳ね起きるように目を覚ました。夢――いや、夢を見ない天使にとっては、あまりにも本物すぎる怪奇現象だった。
自身の股間はあり得ないほどに汚れ、後ろの内側には、今もなお生々しい「犯された感覚」と、痺れるような不浄の熱がはっきりと残っている。

這うようにして鏡の前に立ち、己の顔を見つめた。
そこに映るのは、純白の羽を背負いながらも、目尻を赤く染め、淫らに爛れた瞳をした自分自身だった。

(俺は、天使のはずなのに……っ)

一度知ってしまった悪魔の快感。内側からじわじわと侵食していく「もう一人の自分」の影に、日向は激しい恐怖と、それを求めてしまう狂おしいほどの戦慄を自覚した。