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みやこ
2026-06-30 21:32:56
2357文字
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鬼神原ぐだ♂Part3
曇らせパートです‼️本編は、あと二、三話ほど続く予定です……‼️よろしくお願いします‼️
数日後。
春の朗らかな風が、社内を吹き抜ける。
日差しが優しく廊下を照らし、日向ぼっこにはもってこいの陽気である。
そんな中、立香は原田の自室の前で聞き耳を立てていた。
部屋の中からは、原田と家臣の会話が聞こえてくる。
「原田様、御見合いの書状が来ております」
「
……
またかよ
…
」
「私めが言うのも何ですが
……
そろそろ、身を固められてはいかがでしょうか
……
?」
……
お見合い?"み"をかためる?
『御見合いというのは、結婚する予定のお二人が会うこと。身を固める、というのは主に結婚することを指します。定職に就くというのも同じ意味ですね』
ふと、家臣の言葉を思い出す。その通りならば、原田は今まさに誰かと籍を入れようとしている。
(原田さん、けっこんするの
……
!?)
そんなのいやだ、いやだよ。
胸が締め付けられるほどの焦燥感に駆られる。
「いや、俺はいい。申し込んできた奴には、断りの書状でも出してやってくれ」
「
……
しかし
…
!」
(よかった
……
!原田さんはまだ
…
)
立香は、ほっと胸を撫で下ろす。
しかし、それも束の間であった。
「俺はこれから先、誰とも結婚するつもりは無えよ。だから、御見合いの書状も今後は破棄してくれ。
……
正直、鬱陶しい。邪魔なんだよ」
(
……………
え)
立香の「原田さんのお嫁さんになる」という純粋で可愛らしい願いは、玉砕される事となった。
────ぽた、ぽた。
床の上に染みが出来ていく。その正体は、立香の目からとめどなく溢れる涙。
(そっか
……
そっかぁ
……………
)
原田さんは、さいしょからだれとも
……
けっこんなんてしたくなかったんだ。
男だから、まだ子供だから。
しかし突き付けられたのは、それ以前の問題だった。
立香は大粒の涙を零しながら、足早に立ち去った。
「
……
原田様、どうしてそこまで身を固めるのを拒むのですか?」
「
…
嫌味か?」
「いえ、その様な意味ではなく。
……
しかし、出過ぎた真似をしました。申し訳ございません」
「
……
もう心に決めた相手が居るのに、興味も無い奴と見合いしなきゃいけねえのは気ぃ悪いだろうが」
「
……
といいますと?」
「
……
俺は、立香を娶る」
「
……
!」
それまで原田の話を傾聴していた家臣が、ほのかに目を見開く。
「立香様を
……
ですか?」
立香様は殿方ですぞ。子を成すことは不可能でございます。原田様も当初、教養を付けさせて、他の者達も認めるようであれば現御神として現世に下ろすと仰っていたではありませぬか。
……
それでも、よろしいのですか?
家臣の念を押すような声に、原田は毅然と振る舞う。
「
……
ああ、全部知った上で言ってんだ。それで十分だろ」
「
……
承知致しました」
現御神の言う事は絶対。家臣達もそれは承知の上だ。それでも、悩みは拭い切れなかった。
(立香様は
……
どうお考えなのだろうか
…
)
魂だけとはいえ、まだ年端もいかぬ子供。
現御神の奥方として迎えることとなれば、生活環境はガラリと変わることであろう。
常に女性らしく、しなやかな動作を求められる。
そして教育の方も。新たに性教育を項目に追加しなければならない。
というのも、魂だけの存在を安定させるためには現御神直々に力を注ぐ
……
つまり床入りがいちばん確実とされるから。
前知識がない子供をいきなり床入りさせる訳にはいかないだろう。
(しかし、原田様はそれを全て加味した上であの決断をなされた)
ならば家臣一同、腹を括るしかあるまい。
立香様の不安を拭えるよう、常にこちらで援助に回るしかない。
一方で、立香は泣き腫らした目で自室への廊下をとぼとぼ歩いていた。
「おや、立香様?」
彼の目の前に居たのは、かつて自身に家庭とは何たるかを教えてくれた家臣。
その家臣の顔を見た瞬間、立香の瞳からまた大粒の涙が溢れ出す。
「立香様!?少しこちらへ
……
!」
家臣は彼を大きな柱の陰へ引き込み、事情を聞き出す。
「
……
つまり、原田様は誰とも結婚するつもりが無いと。そう仰ったのですね?」
「
………………
うん」
だからね、もう
……
原田さんをすきになるのやめる。
「
……………
え?」
「りつかが、原田さんをすきでいると、めいわくみたいだから」
しんぱいしないで!
りつかは、だいじょうぶだから。
立香は泣き腫らした目でにっこりと笑ったあと、家臣を振り払って自室へと駆けていく。
「
……
ぁ、立香様
……
!」
ぴしゃんと襖の閉まる音が、静かな廊下に木霊した。
時は流れ、現在夜の七時。
原田は広間に家臣達を集めていた。理由はただ、「立香を娶ること」と「彼が苦しくならない程度の教育を変わらず続けて欲しい」という旨を、皆を交えて話したかったからだ。
静かに待機している中、襖が勢いよく開かれる。
そこに居たのは、先程まで立香と話していた家臣。
「おい
…
!襖を勢い良く開けるでない!失礼であろうが!」
家臣のうち一人が、諌めるように声を上げる。
「
……
大変申し訳ございません!
……
原田様
……
!立香様が
……
!」
襖を開け飛び込んできた家臣は、慌てながら言葉を続ける。
立香様が、社内の何処にもいらっしゃいません
………
!!
「
…………
は
……………
?」
彼の黒い瞳は困惑に揺れている。
そして、血の気がどんどん引いていく感覚を覚え、次の瞬間には広間を飛び出していた。
彼、立香の無事を祈りながら。
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