2026-06-30 19:26:07
522文字
Public 小説
 

アイドルのきみ

イケハニ星願2026無配①
同レボの無料フェアにて、ポスカ文学メーカーで作りました。
ゆえに文字制限厳しく、500文字の掌編です。
サッカーコラボを前に、ふたりが交わした小さな会話の欠片。
ずっとネタ帳に書きとめてあった断片を形にしました。

コラボの時、ベルマーレに年齢・身長・体重が百と同じ選手がいる! というのを知って、意識せずにはいられず、目で追わずにはいられず。
アイドルのきみ。サッカー選手のきみ。
いまは異国の空の下を走る彼に、ほのかに思いを馳せながら。

 プロサッカーリーグとのコラボレーションを、近々に控えた日。
 楽屋での空き時間に、僕が担当するチームの選手名鑑を眺めていて、ふと目が留まった。

「ねえ、モモ。この選手」
「なになに?」

 僕の肩に顎を載せて、モモが覗き込む。

「身長と体重がモモと同じだ。だけど、身体つきから受ける印象は全然違うね」

 ポートレートに添えられた数字を指し示す。173㎝、63㎏。
 数字は同じでも、力強く引き締まった肉体は、まるで別ものだ。

「もしも……

 言葉を淀ませる。もしもモモがサッカー選手になっていたら、こんな感じだったのだろうか、なんて。感傷的すぎるだろう。
 けれどモモは。

「サッカー選手の、っていうかアスリートの肉体って、やっぱり特別だから。でもさ」

 ハッピーな笑顔で、あっけらかんとして。
 むしろ誇らしげな口調で言った。

「アイドルの身体だって特別なんだ。筋肉ははんなりと! ポージングはこっち!」

 そう言って、力こぶを作る……と見せかけて、指ハートからの投げキッスをくれた。
 ふわり飛んできたハートのキスを、大切に受けとめて、僕も笑った。

 ――僕のきみ。アイドルのきみへと。


    〈Fin〉