🍎(屋敷への潜入は成功した。あとは警備兵を蹴散らして、少々精霊石を失敬しながら秘宝とやらを探すとするか・・・っ!?)
🍎(執事に警備兵一体か・・・剣で警備兵を崩して精霊石でまとめて攻撃。そこからマジックスティールダガーでヒースコートを叩けば終わりだ・・・っ!?)
🍎「これは・・・っ!」
🍎(くそ・・・罪人の腕輪を嵌められるとはな。ノーブルコートか。フラットランドならば北回りで、ウッドランドで一泊、フロストランドで一泊・・・で足りるか。ヴィクターホロウは大きな町だから物資の補給が捗るかもしれん。寄ってみるのも悪くない・・・か?)
🍎「う・・・」
🍎(くそ・・・魔物が強い。町までたどり着ける気がしないな。だが収穫はあった。ドレファンドの祠で手に入れた狩人の心得は悪くない。何も無さそうだが引き返してシ・ワルキで一泊するか)
🍎(フレイムグレースは聖火教会の本拠地だから罪人の腕輪なんて目を付けられかねない。あまり長居は得策じゃないな。宿で一泊してさっさとフラットランドへ行こう。ノーブルコートは・・・あっちか)
🍎(こっちもダメだ・・・このままじゃ竜石奪還なんて無理だな。盗みに入るには準備にどれだけ念を置くかが大事だ。まずは装備や物資を整えるとしよう。幸い、学者の心得を得たからエンカウント半減は手に入れた。ならば俺の鍵開け能力を活かして宝箱を漁るか。噂ではハイランドの坑道に良質な装備が流れ着いていると聞く。まずはそちらへ向かうとしよう)
🍎「コブルストン・・・か」
🍎(小さい村だがまあいいだろう。ここを足掛かりストーンガード・・・そして目標はエバーホルドの坑道だ。・・・ん?随分と村人がざわついているな・・・ちっ、面倒事が無ければいいが。まあいい、騒ぎに便乗して適当に物資を頂くまでだ)
🍎(・・・っ!しくじったか!?)
⚔「おい、そこのお前」
🍎「・・・なんだ、あんた」
🍎(この威圧感・・・ただ者ではないな。俺に制裁を加えに来たか?だが、竜石を取り戻すためにはこんなところで捕まっているわけにはいかない。リスクは高いがさっさと村を出て野宿でもしたほうがマシか)
⚔「俺はこの村の用心棒をやっているバーグと言う。お前、村長からブドウを盗もうとしただろう」
🍎「はっ・・・それがどうした?俺を捕まえて牢屋にでもブチ込んでおくつもりか?」
⚔「ブドウ一つでそこまで目くじらを立てるつもりはない。今は有事でお前に構っている暇も無いからな。何も盗まずこの村からとっとと失せろ」
🍎「ふん・・・言われなくてもそうするさ」
⚔「・・・いや、やはり待て。お前、その短剣はなかなかの業物だな?腕も立つと見た」
🍎「こいつは浄化の森とやらで拾った短剣だ。盗んだものじゃないぞ」
⚔「そう言ったことはどうでもいい。・・・どうだ、お前、村に協力しないか?」
🍎「・・・・・・は?なんでそうなる」
⚔「実は今、この村は山賊に狙われていてな。更に子供が攫われてしまったので俺が単独で根城へ救出に行くことになったのだ。そこでお前にも山賊退治に協力してもらいたい。俺だけではフィリップに危険が及ぶ可能性があるし、腕の立つものが同行したならば村の者も安心できるだろう」
🍎「それを素直に引き受けるとでも?俺にメリットが無い。俺はガキがどうなろうがどうでも・・・」
🍎(いや・・・さすがに事情を聞いた上で見殺しは少々寝覚めが悪いか。それに、恩を売っておけばハイランドで活動もしやすいかもしれん・・・)
⚔「協力してくれるならばさっきの盗みにも目を瞑るぞ」
🍎「・・・わかった。報酬として宿代一泊分と消耗品を付けろ。それで協力してやる。だが被害者はあんたじゃないだろう?そんな事独断で決めてしまっていいのか?」
⚔「・・・ほう?」
⚔(盗賊の割に随分と配慮ができる男だな。それに、盗みに気付かれたと気付くや否や素直に手を引くあたりそこまで腐った悪党というわけでもないようだ。油断させるためという可能性もあるが、手練れである以上、あの状況なら村長を人質にとったりすることもできたはずだ。甘いだけかもしれんが悪くない。要求してくる報酬も妥当・・・いやむしろ少ない方だ。もう少し吹っ掛けられる可能性も考えたが)
⚔「問題ない。実際に盗まれたわけではないし、村長の人柄はわかっている。では、交渉成立だ。お前、名は?」
🍎「・・・・・・テリオン」
⚔「テリオンか。よろしく頼む」
🍎「しかしあんたも酔狂だな。俺は盗賊だぞ?山賊側に寝返るとは思わないのか?」
⚔「寝返るやつはわざわざそんな忠告はしない。それに俺の勘がお前は大丈夫だろうと言っている」
🍎「やれやれ・・・ずいぶん暢気な考えだな。さて、根城までは山道を通る必要があるのか。なら・・・バーグ、あんたはこれを使え」
⚔「これは・・・狩人の心得か?いいのか?」
🍎「俺は学者を使うからいい。使えるもんは使った方がいいだろ。魔物だって出るしな・・・ふっ!」
⚔「ほう、やるな。それにこれは盗賊の技か。なかなか便利じゃないか」
🍎「この辺りの亜人は短剣が良く効くようだからな。やりやすいぜ。だが、学者で補っているとはいえ盗賊の技は複数を相手取るのは苦手だ。そこらへんはあんたに任せる」
⚔「ああ、任せておけ。お前から借りた狩人の技もあるしな」
⚔「さて、根城に着いたわけだが・・・」
🍎(こいつ、見張りの山賊どもを容赦なく斬り捨てたな。やはりただの田舎剣士というわけではないらしい。あの判断の早さ、容赦のなさ、相当な修羅場を潜ってきたと見える)
⚔「魔物や山賊どもに思ったより襲われないな。もう少し消耗するかと思っていたが順調だ」
🍎「ああ、学者の技能にエンカウント半減があるからな。見つかり難くしている影響だろ」
⚔「そんなものもあるのか。やはりお前に協力を取り付けたこと、間違いでは無かったようだな。感謝する」
🍎「宿代の為だ。それにまだ終わったわけじゃない。いたぞ、山賊どもと恐らく攫われたガキだ。そうやらそこまで酷い扱いは受けていないらしいな」
⚔「フィリップ!今助ける!」
🍎「親玉はともかく取り巻きどもは大したことないな。ここは俺が魔法で一掃する!雷鳴よ・・・轟き響け!あんたは親玉をやれ」
⚔「ああ!恩に着る!」
⚔(ここは横一文字切りで仕留めるか・・・いや、テリオンが貸してくれた心得と弓・・・恐らく単独相手ならばこっちのほうが良く効くだろう)
⚔「狙いを付ける・・・・・・!」
🍎(終わったか。これで契約も終わりだな。あの山賊も素直に投降したようだし、あとはとっとと身体を休めて出立するだけだ)
⚔「エアハルトだと!?」
🍎「!?」
🍎「まさかあんたがあの剛剣の騎士、オルベリク・アイゼンバーグだとはな」
⚔「その割には驚いていないようだが」
🍎「あんたがただ者じゃないのはわかっていたし、修羅場にも慣れていそうだった。驚きというよりは納得したという感じだな。・・・で?烈剣の騎士の名が出てたようだが何かあったのか?」
⚔「エアハルトは、ホルンブルグを裏切り・・・王を暗殺し、俺の祖国を滅ぼしたきっかけになった男だ。だが、俺の友だった」
🍎「・・・・・・!」
⚔「あの山賊・・・ガストンはエアハルトと同じ傭兵団にいたらしい。偶然だが、あいつの居場所の手がかりの手がかりが掴めた。そして俺は思ったんだ・・・あいつに会わねばならない。真意を知らねばならんとな。だから俺はこの村を出て、エアハルトの足取りを追うことにした。あいつの場所を知っている男がヴィクターホロウにいるらしいのでな」
🍎「ヴィクターホロウか・・・その狩人の心得は、ヴィクターホロウの森で手に入れたものだ。だが、あそこは魔物が非常に強力だぞ。俺もくたばるかと思った。だからこそ俺はエバーホルドに強力な宝があると聞いてここまで来たんだが」
⚔「それでハイランドまでやってきたのか。あの戦いぶりのお前で厳しいとなると、今の俺でも厳しいだろうな。戦場にいた頃よりも随分と訛ってしまった。それに、エアハルトに会うとなるとあの時以上に強くならねばならん。まずは鍛錬に勤しむとしよう。忠告、感謝する」
🍎「・・・・・・ああ」
🍎(友であった裏切者より強く、か)
⚔「さて、お前の宿だが、良ければ俺の家に来ないか?コブルストンの宿はあまり広くないから俺の家の方が広く使えるだろう」
🍎「・・・俺を連れ込んでどうするつもりだ?寝込みでも襲う気か?」
⚔「戦場ではそういう輩も少なくなかったが、少なくとも俺にそんな趣味は無い。安心しろ」
🍎「どうだかな・・・まあ、あんたがそういうなら大丈夫なんだろうよ。それに万が一があっても慣れてるしな」
⚔(慣れている・・・か。好きものというわけでもなさそうだが。こいつは恐らく、生きるためにやむを得ず身を堕としたタイプの男だろう。やはり戦争の影響だろうか。だが、見極めるのはこれからだ)
🍎「まあ、寝床で休めるならなんだっていいさ。一晩邪魔するぞ」
⚔「ああ」
🍎「じゃあな。邪魔したな」
⚔「待て、テリオン」
🍎「なんだ?協力するという契約は終わっただろう」
⚔「一つ提案があってな。俺もエアハルトを探しに旅をすると言っただろう?そして、俺は心身共に鍛え直すつもりでもある。だからお前も旅をするならば、手を組まないか」
🍎「・・・何?正気か?俺は盗賊だぞ。それに俺には俺の旅の目的がある。あんたの都合に付き合ってられんぞ」
⚔「・・・エバーホルドの宝を探しに行くのではなかったのか?」
🍎「それは手段だ。俺の旅の目的は
―――」
⚔「なるほどな。ならば猶更だ。宝探しならば鍛錬に丁度良いし、一人旅よりはリスクも減るだろうと思っていたがそこまできっちりとした旅の目的があるならば、俺も手伝おう」
🍎(正直、竜石奪還はかなり大仕事になりそうだ。こいつの戦力は当てになる。手を貸してもらえるならば都合はいいが・・・)
🍎「あんた、盗賊なんかと旅をする気か?言っちゃ悪いが俺はろくでなしだから盗みはするし、あんたをいつ裏切るかもわからんぞ?」
⚔「いや、お前は信頼に値する。俺の家に泊めて一晩様子を見たが、何も悪さをしなかっただろう?なんなら、わざと金目の物を目に付くところに置いたり、家の鍵も開けておいたのに物資を奪って出ていくどころか戸締りをしていただろう。それに、本当に裏切る奴ならばそんな忠告はしない」
🍎「ちっ・・・やたらと不用心だと思ったがあれはわざとだったか」
⚔「試して悪かったな。だが、悪くはないだろう?俺はお前の竜石奪還を手伝う。俺は修行になるし、お前も魔物が蔓延る大陸を横断することになるのだから戦力が多い方がいいはずだ。盗みに関しても、コブルストンでは用心棒だったから咎めただけで俺はとやかくは言わん。世の中綺麗事だけで生きていけるほど甘くはないことは知っているからな」
🍎「なるほど、俺にとってもそれならば悪いことではないな。なら、ノーブルコートへ行く下準備の戦力増強と、竜石奪還まで手伝ってもらうぞ」
⚔「ああ、それでいい」
🍎「・・・そして時間が出来たらヴィクターホロウにも行く。その黒騎士とやらがいつまでも滞在している保証はないし、借りを作るだけってのは性に合わん。あんたの目的にも付き合ってやる」
⚔「そうか、感謝する。テリオン。これからよろしく頼む」
🍎「・・・ああ」
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