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A田
2026-06-28 22:44:49
3609文字
Public
れめしし
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61話前に会ってた👿🦁の話④
ゲ…向けのマチアプに登録していたししが、れめと出会って狂わされる話
「何かフツーの部屋だな」
つまらなそうに室内を見回すレイメイに、獅子神は隠しもせず舌打ちをした。獅子神は派手な部屋は好きではないし、一応は好みも聞いたのにこの言いよう。
「お前が任せるって言ったんだろーが。文句あんならテメェで選べよ」
「ただの感想だって。今日はケイ君の好みに合わせるって決めたからな、ケイ君スペシャルだ」
レイメイはくすぐったそうに笑うと、ベッドに思いきり飛び込んだ。スプリングが軋む音に興が乗ったのか、何度か跳ねて調子を確かめている。
「オレとしてはさ、もっとゴテゴテした部屋を選ぶと思ったんだよな。回るベッドとかある、いかにもラブホって感じの奴」
「回るベッドって、いつの話だよ」
確か転落事故が多くて、かなり前に禁止されたはずだ。そもそも、風営法の関係で大半のラブホが置かなくなったと聞いている。
「そういうのが好きそうに見えたんだよ。この間は、いかにもなブランドで固めてただろ? 今日は違うみたいだけど
……
」
そう言うと、レイメイは獅子神の上から下まで視線を這わせた。さすがに慣れてきたが、改めてじっくり見られると落ち着かない。
「悪かったな、地味な格好で」
普段は気に入っているブランドのジャケットを軸に、堅くなり過ぎない程度にまとめているが、今日は完全に手を抜いていた。どうせ禄でもない奴だろうと、着慣れた白のクルーネックニットに黒のスラックスを合わせただけの普段着だ。
かくいうレイメイもコンビニに出かけるような恰好だ
――
顔だけはいいので、それでも様になっている
――
から、咎められる筋合いはない。
「悪いとは言ってないだろ。そういうのも似合ってるぞ」
「
……
そうかよ」
素直に褒められると、それはそれで居心地が悪い。何か裏があるのではないかと勘繰りたくなってしまう。
「んー、それ癖なのか? まぁでも、面白いからいいか」
「何の話だよ?」
怪訝な顔をする獅子神に、レイメイはそれより、とあからさまに話題を変えてきたので、獅子神はそれ以上追及しないでおいた。短い時間だが、多少なりともこの男との付き合い方が分かってきた気がする。
「おしゃべりも楽しいけど、ラブホ来てまでやることじゃないよな。ケイ君は先にシャワー浴びる派?」
「あー、浴びてぇかな」
出てくる前に風呂は済ませてきたが、散々嫌な汗を流したのでさっぱりしたい。
「そっか。じゃあ一緒に入るか」
「待て待て、何でそうなんだよ⁉」
獅子神の手を掴んでバスルームへ向かおうとするレイメイを、獅子神は慌てて制止した。
「だって、ケイ君一人じゃ出来ないだろ?」
「風呂くらい一人で入れるっての」
バカにしてんのか、と睨みつければ、レイメイはおかしくてたまらないと言わんばかりに口元を歪ませた。
「そうじゃなくて、ここ一人で洗えるのかって聞いてるんだけど」
レイメイはさっきそうしたように距離を詰めると、獅子神の腰を掴んでみせた。そうして獅子神の形を確かめるように手を下げて尻を撫でると、さらにその奥へと指を滑り込ませた。
「
……
っ⁉」
ぞくりと背筋が粟立ち、悲鳴を上げそうになるのを寸でのところで飲み込んだ。
「な、にすんだよっ‼」
乱暴に手を払えば、レイメイは大げさに両手を上げてみせた。
「何って、男同士でする時ってお尻使うんだろ? だから洗った方がいいんじゃないかと思ったんだけど、違ったか?」
「いや、そうだけどよ、ケツ洗うのはネコ
……
受け手の方だから、オレが洗う必要はないだろ」
「だったら、やっぱり洗わなきゃな。どう考えたってケイ君が受だし。あ、ゲイ用語ではネコって言うんだっけ?」
微塵も疑うことなく言ってのけるレイメイに、獅子神は眩暈がしそうだった。
覚悟を決めたとはいえ、こんなバケモノみたいな奴に掘られるなんて絶対にごめんだ。幸いなことに、レイメイはゲイ事情には詳しくないようなので、付け入るとしたらそこしかない。
「何言ってんだ? オレの方がガタイがいいし、どう考えてもお前がネコだろ。アプリでもオレはタチで通ってるしな。結構評判いいんだぜ」
体格が良い方が攻に回る。
そんなルールがあるわけではないが、今だけはそう思わせなければいけない。
「へぇ。ゲイは父性を求めてる奴が多いって聞くけど、筋肉が男らしさの象徴みたいに扱われるのか。なら、ケイ君がタチなのも納得だ」
少し強引な気もしたが、反応は上々だ。
騙すようなやり方は気が引けるが、こればかりは獅子神もなりふり構っていられない。
「ま、そういうことだから、オメーはごちゃごちゃ言わずにオレに任せとけばいいんだよ」
「ケイ君に? ハハッ、あんまり笑わせないでくれよ」
耐えきれないと言わんばかりに、レイメイは腹を抱えて笑い出した。
「オイ、何がおかしいんだよ」
「悪い悪い。でも、こんなの笑わずにいられないだろ」
笑い過ぎて滲んだ目元を拭うも、まだ落ち着かないのか、レイメイは肩を震わせながら獅子神を見やった。
「だって、勃たないのに、どうやってセックスするって言うんだよ」
「何で、知って
……
」
絶句する獅子神に、レイメイは恍惚とした表情で獅子神の胸をつぅとなぞった。
「言っただろ、ケイ君のこと見たってさ。オレは見るって決めたものは全部余すことなく見る主義なんだ。だから、ケイ君が本当はゲイじゃないのも、勃たないことも知ってるから、安心してくれ」
まるで愛をささやくように告げられた言葉に、獅子神は血の気が引いていくようだった。
これが他の人間だったら、適当言ってんじゃねぇとすっとぼけたところだが、そんな気力はもう残っていなかった。
普通の人間は、見ようと思っても相手の全てを見ることは出来ない。けれどレイメイはそんな常識など嘲笑って、一足飛びで獅子神の秘密を暴いてみせた。
獅子神が本能的な恐怖を覚えたように、この男の瞳は全てを見通すのだろう。そうして悪魔が人を堕落させるがごとく、それを最適なタイミングで開示し、陥落させるのだ。もはや獅子神は最後の砦さえも失ってしまった。
「そういうことだから、ダサい嘘なんかつかないでオレに任せてくれよ」
レイメイは満面の笑みで獅子神のちゃちな嘘を酷評し、さらに先程の獅子神の言葉に合わせる形で勝利宣言をしてみせた。
「
……
クソったれ」
獅子神に出来るのは精々悪態をつくことくらいで、それすらも今となってはひどく空々しい。
「心外だな。オレとしてはかなりお行儀良くしてるつもりなんだけど。入っていいか聞いたし、後ろ準備するか聞いてあげただろ? オレはすぐヤッたって良かったんだからな」
「いや、それは当然だろ」
恩着せがましく言っているが、初めてアナルセックスをするのに準備する猶予を与えられなかったら大惨事どころの話ではない。
「で、どうする? このまま即ハメするか、オレと風呂に入るか」
二択に見せかけて、実質一択でしかない。
レイメイとしてはそうしたいのだろうが、獅子神も乗せられたままというのも癪に障る。
「ネコ引き受けてやるんだから、どうするかくらいオレの好きにさせろよ」
「好きにって、ケイ君はどうしたいんだ?」
「
……
自分でやってくる」
勝手なんてまるで分からないが、一緒に入るなんて明らかな地雷を踏むよりはマシだ。
「えー、見ててもいいか?」
「はぁ? 嫌に決まってんだろ」
何をどう考えたら許可が出ると思ったのか。あ、普通の感覚ねぇんだったなと内心で毒づいて、獅子神は仕方なくバスルームへ向かうことにした。
「そっか、残念だ」
「あ?」
ふわりと体が浮いた感じがしたかと思うと、獅子神はベッドの上に転がされていた。起き上がろうとするより先に、レイメイが覆いかぶさってきて自由を奪われる。
「
……
どういうつもりだよ」
「一応聞いただけで、オレは従うとは言ってないぞ」
「だからって無茶苦茶過ぎるだろ。せめて洗浄はさせろよ」
どくように促すも、当然のようにビクともしない。上体を起こして逃げようにも、それを見越してなのか、腹の上に乗られているのでどうしようもない。
「ケイ君って、見るからに食事管理徹底してますってタイプだよな。腸内環境良さそうだし、別に洗わなくてもいけるだろ。ここ来る前にシャワー浴びてたみたいだし」
そう言って首筋に顔を埋めようとするレイメイを、獅子神は慌てて引き剥がしにかかったが、そうしている間にレイメイの手が獅子神のニットの下へ伸びてきた。
「それとこれは話が別
……
っ‼」
ゆっくりと腹筋を撫でられ、獅子神は反射的に体を震わせていた。
「お、イイ反応。もっと魅せてくれよな」
舌なめずりをするレイメイの口元で鈍く光る八重歯に、獅子神は比喩でもなんでもなく食われる、と思った。
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