cr1me1
2026-06-27 04:05:37
25180文字
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イトビリ新参者によるろくろ回し

NOT小説、YESオタクの感想

前提:(サービス開始当初からAビとライカンに惹かれつつ、他ジャンルに忙しかったため手を付けずにいたところ)ついにSビに釣られて自分でプレイ開始、とりあえずSビ+餅だけ確保してがつがつシナリオを進めている真っ最中のド新参

現在地:新・エリー都の落日(下)クリア、ver3.0未着手
例の湿度まみれの新旧チャンピオンの会話で居ても経っても居られずに一旦情報と思考を整理することも兼ねてキーボードを叩くことに

ざっくりと見たコンテンツ:ビリー信頼イベント(たぶんまだ見てないイベントもある)、ライト信頼イベント(未所持のため有志の動画で)、シーザー信頼イベント(未所持のため有志の動画で)、覇者イベント、ライト秘話、ライト実装時の期間限定イベント(有志の動画で)、盛夏の夢物語

 以上の状態の新参者が目をぐるぐるさせながらとりあえず写経も兼ねて思いついたことを書き殴っているので、その情報は過去のイベントでこういうものが出ていたから矛盾するとか、そういったことがあっても生温かい目で見ていただけると助かります。

 新参ゆえに過去イベでの二人のあれそれに関しては他の方々の過去ポストなどから断片だけ吸っているものもあるけど、やっぱり自分の吸いたての記憶が新しいので、うっすらぼんやりな時系列順に触れていきます。
 そして書き始めたら小論文でも作文している感じになってしまったため、文体が若干論文調です。ご了承ください。

 ※ざっくり2.5万字あります。暇つぶし程度に扱ってください。



◇エージェント秘話:ライト 喝采なきチャンピオン

 ライト秘話を読む限りだと、ライトはかなり「赤いマフラー」を重視している。というよりストーリー的にも「赤いマフラー」にフォーカスが合わせられている。

  >「何を賭ける?」「この赤いマフラー」
  >ライト「俺から赤いマフラーを取ろうなんざ、百年早い」
  >ライト「だが、『赤いマフラー』を賭ける以上は命を賭けるってことだからな」

 ライトに「カリュドーンの子の『赤いマフラー』」という呼び名があり、清算の日の「信用の証」の重さの話をした後に見せ場のムービーで賭けたのが「赤いマフラー」であることからも、ライトにとっての赤いマフラーの重さをかなり強調されている。
 が、この秘話時点では「赤いマフラーを巻いてくれたのはビッグダディ」であり、その話は以下のようにわざわざ二回も話されていた。

  >リン「でも、ライトさんはどうして『赤いマフラー』になったの?」
  >ライト「借金を肩代わりしてくれたおやっさんに、俺のほうからも何かを示す必要があった。それと――『赤いマフラー』って響きが、カッコいいからさ」

  >ライト「やがて、おやっさんが来て借金を肩代わりし俺をリングから引っぺがしてくれた。このマフラーを巻いてくれたのも彼だ。俺の拳は派手で、負けを知らないように見えたんだと。これからは、カリュドーンの子のために勝ちまくってくれとな」

  >ライト「この『赤いマフラー』は勝者の証であり、俺らに仇なす者への警告だ」

 この一連のシナリオを見た時点では、赤いマフラーが大切な理由は「自分を地下闘技場から連れ出してくれたビッグダディが、『カリュドーンの子のために勝ち続ける』という生きる理由と共にくれたもの(=今を生きる理由の象徴)」だから、にしか読めなかった。
 つまり秘話において、ビリーの存在はまったく語られておらず、執着も見えない。
 ツール・ド・インフェルノの終わり際のライトとの会話から、ライトはビリーを戦うために生まれたと過言じゃない存在だと思っていること、ビリーが強さを隠していること、今は理想の生き方をしていることを語られている程度で留まっており、少なくとも提供されるストーリーから分かる範囲はここまでである。チャンピオンとしての強さをここまで強調されてきたライトからあの台詞が出てきていたと思うと、「パエトーンが知らない、ライトが知るビリー」は謎だらけだ。

 ちなみに同じく秘話では
  >バーニス「ライトはいっつも赤いマフラーを巻いて勝ってたから、いつの間にか『カリュドーンの子の赤いマフラー』って呼ばれることが多くなったんだ~」
 という発言があり、『赤いマフラー』を象徴とする存在自体、ライトが初出なような印象を受ける。少なくともバーニスはライトが連れてこられた頃のことを話してくれるので、初代チャンピオンのビリーを知らないわけはない。
 しかもライトの協力者ファイルや、ビリー信頼イベントの内容からして、初代チャンピオンのビリーも赤いマフラーをつけていたことはこの時点から間違いない。
 呼び名なら「カリュドーンの子のチャンピオン」でいいはずなのに、あえて「赤いマフラー」という呼び名が生まれたのは、初代チャンピオンの影響力がまだ色濃く残っている中で二代目に代替わりしたため、わざと「チャンピオン」ではなく「赤いマフラー」と呼ぶことにした……のなら、この話はすんなり通るような気がする。
 あるいはまだビリーがチームに留まっている状態で、お前もやってみろと引き継ぎがてら戦わされ、その結果「赤いマフラー」というチャンピオンとはまた違う存在として周りの走り屋連中に認識され始めたから、という説もありうると言えるが。
 A級ビリーの姿も先代チャンピオン時代の姿とはパーツからして異なっている可能性があるので、先代チャンピオンの機械人がすっと居なくなったかと思えば同じく赤いマフラーをしている人間の男が現れたぞ、という流れもあったのかもしれない。無限の可能性だ。

 その辺りのディテールはどうあれ、おそらくこの時期はまだライト自身もプロキシとの関わりが浅く、ツール・ド・インフェルノの際もカリュドーンの子たちの事情に深く踏み込まずプロキシを紹介するに留まったビリーとの距離感の影響もあったのかもしれない。

 信頼イベントを踏まえ、後のシナリオを読んだ際にもなんとなく感じたが、ビリーは初代チャンピオンが自分だったことを喧伝されるのも嫌がったから、というのもありそう。
 これに関してはビリーが「初代チャンピオンだった自分を過去にしたいから」という理由や、「カリュドーン時代を知る自分が、けれど方向性がほぼ真逆と言える『カリュドーンの子』に関わり続ける違和感のようなものがあったから」という理由も考えられるため、真偽は不明だが――ビリーの口止め、あるいはビリーの態度によって、ライトもプロキシに対してビリーの存在を意図的に透明化させた話し方をした可能性が高い。
 とはいえ更に後々のシナリオを思うと、ライトは前者であると考えていそう。今は一旦省略。



◇期間限定イベント:無敗のチャンピオン ライト特別放送「野火の用心棒」

 ……が、秘話と時期を同じくして開催されていた期間限定イベントにて、しれっとビリーが出てくる。というかイベントロビー画面のライトの後ろに実はビリーの姿があった。びっくりした。そしてちらほら先駆者の方々の見かけてた『双璧』の元ネタってたぶんこれなんですね? 銃と拳の双璧……なるほどね……
 双璧、って言ってる時点で、二人とも普通にチャンピオン扱いじゃないですか? メタ的な部分での描写だから無効? そうかも。でもシーザーは二人をまるっとチャンピオン扱いしてたけどな……
 ともかく、期間限定イベントについて。
 ※有志の方の動画での履修となるので、知らない選択肢や知らない会話文がまだあるかもしれない

 一日目の支援担当は、一人で対処に向かおうとするライトに新たなレシピのひらめきを求めて自分の方からやってくるバーニス。パエトーンの提案でバーニスは支援してくれることになる。
 キナ臭さを感じたため翌日以降もこの件の対処にあたることにしたライトと、プロキシとしてそのサポートをするパエトーンに、二日目はシーザーが支援を担当する。前日からシーザーは参戦していたがっていたこと、相手はそもそも最初からシーザーを引き摺りだしたがっていたことから、ライトがシーザーの存在を作戦に組み込んだ。
 三日目の支援担当はパイパー。二日目で発見した地図のルートをパイパーと確認するためで、バーニスは新しい燃料のお試しのためにホロウに行きたがっているが、パイパーは自分とプロキシの参加にあまり前向きではなかった。その上、ライトが請け負っている仕事だからとライトの意思を尊重する。パエトーンが参加に前向きな回答をすることもあり、ライトから「市場に行くから、中古の雑誌を何冊か持ってきてやろうか?」と取引を持ち掛けて共に行くことに。
 そして四日目、突然のビリーの登場である。
 一応直前に前振りはあった。「『パエトーン』として、当然、情報収集のための手段は持っている」「忙しさのピークを乗り越えた頃、やはり収穫はあった。通信機の向こう側の馴染みのある声の主と、時間と場所を約束した。」というモノローグで、メタ的に考えればプレイアブルの誰か、しかも郊外人ではない誰かがやってくることは察せられる。

  >パチンと指を鳴らすと、真っ赤な服の「助っ人」が颯爽と登場した
  >ビリー「よぉ、ライト!」
  >ライト「プロキシこちらは?」
  >ビリー「なんだなんだ?店長、ライトのやつ、記憶喪失にでもなっちまったのかよ。俺様の紹介なんて
  >ライト「そうだな、知らない顔だ。紹介してくれないか」
  >ビリー「いやいやいや、それは違ぇだろ!みんなのことを忘れても、ビリーパイセンのことだけは絶対に忘れませんって、叫ぶ場面じゃねぇの?」
  >ライト「冗談キツイっすよ。そんなセリフ、大将がこっそり見てる昼ドラでも誰も言いませんからねまさか、パイセンって大将よりも昼ドラ中毒だったんすか?」
   -じゃれるのはそのへんに
   -真面目な話をしよう

 パエトーンの選択肢も選択肢である。パエトーン目線もじゃれてるように見えるんだ……それはそう。それにしても、「大将」と呼びながらもシーザーに欠片も敬語を使わなかったライトから、崩れているとはいえ敬語が自然と出てくるビリーへの台詞を見ていると、なんだかギャップがすごい。とっくに分かっていたけれど、ふとした瞬間に「そうなんだ……」と思う。少なからず敬意があることの表れだ。しかもプレイヤー目線ではストーリーの冒頭も冒頭からわちゃわちゃしてきたコメディ担当筆頭のようなビリーに対して。
 この後、情報共有ののち、ライトからパイパーは「ライト一人でなんとかなる」と寝に行ったことが明かされる。そして以下の台詞に繋がる。

  >ライト「パイセン、プロキシと一緒にちょいと手を貸してもらっていいすか。支援だけでいいんで」

 ビリーに対して、ライトが自分から支援を求めた。
 元はと言えば一人でやるつもりだったところにバーニスが絡み、作戦としてシーザーが必要だったから助力を頼み、パエトーンが言うのでパイパーを買収したライトが、ビリーには自分から声をかける。

  >ライト「やるからには徹底的にやりきる。ここまで調べて、放り出すわけにはいかないんで。それに知らん赤の他人ならともかく、パイセンが関わってるなら、手くらい貸しますよ。あんたとプロキシ、ふたりをホロウに放り込むわけにはいかないだろう?」

 元々邪兎屋が運送の護衛の仕事を請けていて、ビリーは荷物の護衛のために来ているのだから、本来はきちんと戦うべき立場だというのに、ライトがビリーに頼むのは支援だけ。言ってしまえばライトはタダ働き扱いだ。ニコはそれを狙っており、ビリーも分かっている。そしてそれをライトもきちんと分かっているが、上記の発言をするのだ。
 仕事をしにきたビリーも困惑するに決まっている。
 ライトは秘話で、仲間を守ることを現在の自分の存在意義にしていること、身内が腹を立てている時の対応が分からないことなど、身内に対する対応が他への対応と明確に異なることが察せられるのだが、ここまで来るとさすがにビリーもその「身内」に入っているとしか思えない。

 四日目の「銃と拳の双璧」から、チャンピオンの技巧というイベント限定効果として、『挑発』が追加される。ライトの与ダメージアップ、チーム全体の会心ダメージアップ、挑発状態中は自動パリィ、自動パリィ後は追加で会心ダメージアップ。とんでもないバフ技だ。この挑発モーションはサングラスを外すモーションで、とてもではないが戦闘中にやるモーションではない。
 しかも戦闘中、ボイスの掛け合い自体は一日目からあるが、基本窘める側の役が多かったように思うライトは、なぜかビリーのことを煽る。「なまったすね、パイセン」から変わらぬ、チャンピオンというより後輩面ムーブだ。
 そして戦闘終了後、最終日の計画をなぜか秘密にされる。ライト曰くサプライズらしいが、いかんせん両脇に居るのがパイパーとビリーというライトより年長者二人であるため、「ライトがそうするってんなら仕方ないなぁ(意訳)」と甘やかされて「……」と黙り込むライトが見られる。年長者二人に挟まれているからこその姿かもしれない。

  >ビリーは軽やかにライトさんに約束した後、昔話をしにパイパーと一緒にビッグダディを訪ねたようだ。ライトさんは郊外の熱風の中、少しうつむいて何かを考えているようだった

  >ライト「あんたら、ちょっとした遊び心ってもんがないのか

  (「エンタメではすごく人気が出そうだね」を選んだ場合)
  >ライト「自分を使って人を楽しませようと思えば、もっと注目を集められる。より多くの注目を集めれば、それが利益にもつながる簡単な話だ」

  (「そういうところが面白いと思うよ」を選んだ場合)
  >ライト「あんたは、俺の観客になってくれるだろ?俺は観客を楽しませるのが得意なんだ、がっかりはさせないさきっとな」

  >声にはまだ笑みが残っているものの、ライトさんの目はどこかかげったように見えた。
  >この辺りで話題を変えるべきかもしれない。ライトさんと一緒に、今日のビリーの戦闘パフォーマンスについて話した。ビリーが不在の時のライトさんの口調には、彼への敬意が感じられる本人には言わないけれど。

 無意識かもしれないが先に自分で「ちょいとしたショーだ」という発言をしておきながら、プロキシから「エンタメ」と直球で言われても、言われなくても自ら「観客」という言葉を出してしまい、昔の興行を思い出してか一人で沈むライトのメンタルコントロールは難しい。
 が、あえて変えた先の話題がビリーの戦闘パフォーマンスの話で、「ビリーが不在の時のライトさんの口調には、彼への敬意が感じられる本人には言わないけれど」とパエトーンに思われているライトは、結構好意を隠せないタイプの男なのかもしれない。
 そもそもビリーに伝言を頼んできた第四章の終わり際の時点で、あの人にはあんたの知らない面がまだあるんだが、あんたは知らんか……と言わんばかりの発言で、牽制でもされているんだろうかと思ってしまった記憶があるので、ビリーが例外な可能性も大いにある。好意を隠せないと言うか隠したくないと言うか。

 そうして最終日。
 ライトとビリーが並んでいるところに合流するところからスタートだ。

  >ビリー「質問だ、店長!俺がバイクに乗るのって、これって知能化運転に入るのか?」

  >ライト「パイセン、冗句タイムは終わりっすか?」
  >ビリー「俺はお前の「パフォーマンス」の場を温めてんだよ!――見ろよ、プロキシがあんなに楽しそうに笑ってるじゃねぇか!」

 ビリーが居るとメンタルが沈む暇もないような気がする。後述する盛夏の夢物語でもビリーのこういう態度がライトの肩の力を抜けさせており、ライトが自分の感情をストレートにビリーにぶつけるタイミングは案外ないのかもしれない。

 とはいえ、戦闘後、今回の件の種明かしをしているところを見るに、勢力争いやら利益の取り合いやらでややこしく込み入った案件を、毎回殴り飛ばしながら紐解いているのであろうライトは、賢い上に腕も立つ有能な男だと言えるだろう。身内に弱いだけで。

  >ライト「さて、メンツも揃ったことだプロキシ、一杯やりに行くか」
  >ビリー「え?俺もついてっていいのか?」
  >ライト「バーニスを探しに行くか。あいつなら何かしら見繕ってくれるだろ付き合ってくださいよ、パイセン」

 時々出るビリーの「線を引かれず手招きされることに驚く」仕草にかなりのいじらしさを感じてしまうのだが、ライトは「付き合ってくださいよ」と自分からビリーを引き寄せる辺りに、ライト→ビリーの感情の大きさを実感させられる。
 事実ビリーが先代だからというのもあるが、ライトがビリーを「パイセン」と呼び続け、敬語を使い続けている以上、二人の関係性は先輩と後輩なのだ。例え都内と郊外とで活動拠点が分かれていて、所属する組織すら違えていたとしても。

 秘話で「清算の日」を共に過ごすことでライトの過去と加入したきっかけ、加入したころの話をし、赤いマフラーにまつわる「今のライトの在り方」を説明した上で、この期間限定イベントではカリュドーンの子たちと、先代であるビリーも巻き込んだ事件の解決を行った。
 秘話ではビッグダディから頼まれている「秘密の仕事」の類だったが、こちらは「秘密の仕事」ではない=カリュドーンの子たちと共に動ける仕事だった。
 この秘密かどうかを分ける一番の要因は「カリュドーン」関連か否か、と言えるだろう。
 これに関してはかなりシーズン2後半のメインシナリオで出てきた話も交えたいので、ここでは一旦省略。



◇ライト信頼イベント

 新旧チャンピオンの関係性……というより、ライト→ビリーの感情を考えるうえで、外せない根拠の一つがライトの信頼イベントだ。ルミナスクエアで二人と遭遇するシーンである。

  >ライト「パイセンは、やっぱ大した人だ」
  >ライト「『過去』を振り返らずに、ひたすら前に進んでいける羨ましいよ」
  >ライト「今のあの人を見て、誰が昔の姿と重ねることができる?」
  >ライト「あんな風に『過去』と決別するのは
  >ライト「俺にはまだできそうにない」

  >ライト「未来と向き合わなきゃ、前には進めないか」

 過去のビリーと今のビリーは大きく異なるらしい。自分の過去の重たさに未だに苦しめられているライトにとって、過去をきちんと過去として前に進んでいるビリーは眩しいのだろう。

 ほかにも、川辺の信頼(飛ぶ話)イベントだったり、ビデオを見る(愛に殉ずる話)イベントだったり、秘話では仲間を守ることを生きる理由にしているようだったが、それはそれとして、カリュドーンの子から少し離れたライトは、死を見つめている。
 それだけライトは過去に囚われていて、過去からぐんぐんと離れていくビリーとは正反対にある。そもライトは地下闘技場から逃れたのもビッグダディに連れてこられたからで、今チャンピオンをやっているのもビッグダディからそう頼まれたからで、自分の意志で自分の環境をあまり大きく変えていないので、過去から離れるきっかけ作りが未だに出来ていないのが大きいのかもしれない。



◇ビリー信頼イベント

 ということで、次はビリーの信頼イベントに触れようと思う。
 ライトはメインシナリオで周りにバラされたから、というのもあるが、秘話でも信頼イベントでもパエトーンに対して自分から過去を開示してくれる。一方、ビリーはそもそも自らの過去の話を好かない。
 過去についてあまり語ろうとしないのは初期邪兎屋に共通する部分だが、ニコの幼少期の話は動画などでも出ており、アンビーの過去についてもS級実装と共に判明している。猫又もまだ温かかった頃の赤牙組に育てられた過去があるため、過去の話に関しては口が重たい部類だろう。
 組織で比較するのであれば、邪兎屋に比べればカリュドーンの子はかなり各人の過去がオープンだと言えるだろう。メタ的に言えば郊外と都市内という地域柄の対比も含まれているのかもしれない。

 おそらく未回収イベントもまだあるため今回はランクアップイベントに絞るが、ビリーの信頼イベにおける謎や秘密はいくつもある。
 六分街のNPC会話にもある「六分街の伝説の走り屋」、「赤い悪夢(郊外のバイカーギャング、白い髪、いつも赤いマフラーを巻いてた)」、「赤いジャケットに、白い髪あと何か足んねぇような気もするが待てよまさかお前は、伝説の――」。
 選択肢にもよるが、ビリー自身も言う。

  >ビリー「秘密なら山ほどあるぜ。どれが聞きたい?」

  >ビリー「誰にだって過去はある。それは店長だって同じだろ?」
  >ビリー「けど、変えられない過去のことより今と未来のほうがよっぽど大事だぜ」

 パエトーンもまた、自分たちの過去については口が重くなる(シーズン2以降は軽くなってきたが)こともあり、ビリーが突かれたくないのだろう過去については知る機会が無い。
 キッドという名前の通り幼い子どものような言動をするビリーだが、本当にまるきり子どもというわけではないのだ。

 とはいえ、向こうから相談されたからというきっかけはあれど、それでもビリーはきちんと古巣であるカリュドーンの子に伝説のプロキシたるパエトーンを紹介したのだ。ビリーにとって、少なくともカリュドーンの子たちとの交流は蓋をしたい過去ではないのは明白である。
 初代チャンピオンであったことを知るのはビリー不在時のシーザーからだが、ライトの「パイセン」呼びも好きにさせているし、パエトーンに知られるのは構わないのだろう。実際、先に今のビリーと知り合った者は半信半疑といった様子で当時の話を聞くと思われる。
 あるいは、そんな風に「今のビリー」が知られている相手だからこそ、チャンピオン時代までの話なら構わないと思っているのかもしれない。



◇一旦の整理

 二人に関連する(ver2.8以前の)更新による大きな流れは一旦ここで落ち着いたと言えるだろう。
 新参者である私が追いかけようにも、時間と共に埋没しており、まだまだ発掘しきれていない二人の絡みがある。常設化されたイベントもすべてこなしたわけではないので、今から見ようと思えば見られる情報もまだまだあるはずだ。本当は全部やってからメインを進めるつもりだったが、やっぱり我慢ならなくなって先に進んでしまったというのが実情である。
 とはいえなんとなく断片的に拾えている情報もあって、ビデオ屋イベント?かなにかでライトがスターライトナイトのビデオを借りに来ていたスクショだとか、ボトルレター?かなにかでビリーに頼まれたからとライトが書いていたりとか……
 なんだかんだで相変わらず仲が良いことだけは間違いない。

 とりあえず整理をすると、ライトは二代目チャンピオンであり、トレードマークとも言える赤いマフラーを大切にしている。ライトはビッグダディから赤いマフラーと共に、カリュドーンの子のために勝ち続けてほしいと頼まれていて、仲間を守ることを自らの存在意義としている。
 更にライト曰く、今のビリーは上手く爪を隠している状態で、過去のビリーと今のビリーは異なるらしい。ライトはどうしても過去から目を逸らせないでいて、常に前に進んでいっているビリーを羨ましがっている部分がある。
 ビリーの強さに言及していたし、決闘したがっているし、羨んでいるところから、ライトはビリーの強さと今の在り方について、思うところが多そうだ。

 先代チャンピオンのビリーは代替わり後、今を生きたいように生きており、過去については話したがらない。先代チャンピオンの話や、当時を匂わせる話はビリー本人ではなく、当時を知る面々からぽろりと零される程度しか出てこない。
 だからといってカリュドーンの子との関係性まで「封じたい過去」にしている様子ではなく、推し活にライトを付き合わせたり、仲良くビデオを見たりしているようなので、ビリーにとってライトは大切な後輩であることに間違いない。

 邪兎屋の黒一点であるビリーと、(プレイアブルという点で見ると)カリュドーンの子の黒一点であるライトにとって、元は一緒に居た先輩後輩であるお互いと仲が良いのは納得するし、ライトには先代への敬意があるのも理解が出来る。
 が、それにしてもお互いに仲が良いと言うかビッグダディはNPCだからなかなかそこの話が書かれない(そしてビッグダディに関してもかなり意図的に描写しないようにされている気がする)のはもう仕方ないにしろ、お互いとの関係性のプッシュが強いなと思う。
 だが、向けている感情には明らかな温度差がある。
 ライトはビリーの強さをどうにも特別視している雰囲気があり、今の在り方を羨んでいる。一方ビリーは古巣であるカリュドーンの子の面々とは(ライト含め)仲が良いものの、ライトと違って特別何かを抱いているとか、そういう雰囲気はなさそうだ。
 ライト→ビリーとビリー→ライトで感情の大きさ(重さ?)が明確に異なると感じるのは、ライト→ビリーは強さへの言及や決闘したがっている等のビリーにだけ向ける明確な発言があるのに対し、ビリー→ライトがあまりよく分からないからだろう。

 といっても、ビリーから伸びる矢印に関しては、モニカ様とスターライトナイトという、趣味への熱意の描写が多いせいだと思われる。
 こればかりは無理もない。明らかにビリーは信頼イベントでも「過去を秘するタイプ」である描写をされているためだ。ライトの方は信頼イベントで過去をかなり明かしており、正反対といえる。



◇盛夏の夢物語

 イベントシナリオだが、これはきちんと自分の目で見たので触れておきたい。
 二人は盛夏の夢物語イベント本編には登場せず、クリア後にマップにランダムで配置されるキャラたちのうちの一組で、なぜか夜の浜辺に現れる。
 昼だと全体的に黒めな金属で出来ているビリーは表面温度がアチアチになりそうだしな……夏だし……もしかしたら目玉焼き作れるレベルで熱くなるかもだし夏の太陽光の下を避けるのは当然かも……と思うが、それはそれとしてオタク(一人称)は混乱した。

  >ライト「時が経つのは早いっすねこの赤いマフラーも随分長いこと身につけてるし
  >ビリー「そうだな、お前なんて今じゃこんなカッコいい動力グローブ装備してるしな
  >ライト「そっすね、そういやパイセンがカリュドーンに入った頃、俺はまだ傭兵してましたっけ?」
  >ビリー「そうだ。今じゃ、お前の動力グローブから炎まで噴き出すようになってんだぜ
  >ライト「俺の『K.O.』グローブの話、もうやめにしません?」
  >ビリー「あぁそりゃ難しいなあんなカッコいい名前なんだぜ!!気にしねぇわけにはいかねぇだろうよ!」

 オタク(一人称)は、後輩の湿度キャンセルに成功する先輩を見て手を叩いて笑って喜んだ。ライトってこういうビリーの子どもみたいな巻き込まれてくれない強さに毎回折れてるんだ。かわいいね。でもこれってビリーがこういう子どもみたいなムーブをしてるから、自分の意思を押し通しにくいのかな。ビリーってこうやって相手から敵意とか毒気とかを削いだり抜いたりするのが得意そう。
 意図しているかどうかは分からない……が、無意識な時と、狙ってやっている時との両方があるような気がする。

 この会話において、ライトが出した組織名は「カリュドーン」である。「カリュドーンの子」ではない。
 ビリーはライトが持ち出した過去の話に付き合ってくれないのだ。
 ちなみにライト実装時イベントの時、しれっと「ビリーは軽やかにライトさんに約束した後、昔話をしにパイパーと一緒にビッグダディを訪ねたようだ。ライトさんは郊外の熱風の中、少しうつむいて何かを考えているようだった」というモノローグが挟まれていたので、パイパーとビッグダディとは昔話を明確にしている。まあこの時の昔話がいつの話なのかは分からないが。
 そのため、ビリーが過去の話をしたがらないのは「ライト相手だから」なのか、「カリュドーン時代の話が嫌だから」なのか、この時点では判別がつかない。
 ビリーの過去も謎が多ければ、カリュドーンも謎に包まれているからだ。



◇「カリュドーン」について

  >ライト「昔からおやっさん以外には知らせもしないし、聞かれもしないからな。個人プレーがすっかり板についちまった。~かつての『カリュドーン』時代の古敵がやつに何か吹き込んだらしい」

  >ライト「おやっさんとの約束もある。地下闘技場から連れ出されたとき、「カリュドーン」時代の古敵は、俺が片を付けると誓ったんだ」

  >ライト「俺らはまだまだこれからだが、郊外にはカリュドーンの血が流れてるってだけで、拳を鳴らす連中が多い。大将には父親と同じ轍を踏まず、王道を歩んでほしいというのがおやっさんの願いだ。そのために、俺にしかできない仕事がある」
  >リン「カリュドーンの子に尽くすっていうのが、ビッグダディさんへの恩返しなんだね? でも、ライトさんが背負ってるものを、誰も知らないなんて
  >ライト「ハハッ、そうしんみりするな。給料分はきっちり働く、そういうもんだろ?」

 以上がライト秘話におけるカリュドーン関連の言及、一部抜粋。

  >シーザーの父親は彼女が物心ついた頃にはすでに行方不明であり、母親も病気で亡くなっています。その為彼女は子供時代から放任主義であるビッグダディのもとで、制約もなくのびのびと自由に育ちました。

  >シーザーの父親は「カリュドーン」の首領でした。「カリュドーン」は郊外でも伝説的な名声を誇っていたチームであり「カリュドーンの子」もそれにちなんで名付けられたものです。

 以上がシーザーの協力者プロファイルでの言及。

 カリュドーンがどういう組織であったか、を判断する材料は少ない。ライトにとって「カリュドーン時代の古敵」はビッグダディから対応を任せられている秘密の仕事で、ライトが知らない時代の組織だ。自分が所属していたわけでもない組織の尻拭いを任されている。
 ではビリー視点ではどうなのかというと、これもまた情報が無い。とはいえ、考える材料はある。ビリーのエピソード動画におけるビリーのこれまでの部分だ。

  >だがメモリーによると、俺の最初の居場所は新エリー都の郊外だった
  >デカい理想を追い求めた、とある男のもとにいたらしい
  >俺を流れ者から買い取り、ビリーって名前と戦う理由をくれた人だ
  >自慢じゃねぇが当時は俺の名前を聞いて逃げ出すやつもいたんだぜ!ハーハハハッ!
あああの頃は――

  >あー、そこで生きてくつもりだったが、ある一件で最初の居場所が崩壊した
  >目的なき戦闘マシーンに逆戻り
  >理想を継ぐって奴らと話し合ったすえ、俺は晴れて自由の身に

 ビリーが「自由の身」になったのはチャンピオンを辞した後のことだと思われるので、つまり「理想を継ぐって奴ら」が指すのは「カリュドーンの子」だろう。
 ということは、「カリュドーン」時代は「俺を流れ者から買い取り、ビリーって名前と戦う理由をくれた人」「最初の居場所」あるいは「目的なき戦闘マシーンに逆戻り」の時期を指していると思われる。
 とはいえ、どちらが有力かと言われると、個人的には前者を推したい。「理想を継ぐ」が「カリュドーンの子」であるならば、その継がれた理想は「カリュドーン」のものでないと筋が通らないためだ。
 しかしライトが言うには、「大将には父親と同じ轍を踏まず、王道を歩んでほしいというのがおやっさんの願いだ」とのことなので、逆説的に「カリュドーンは邪道の末に滅んだ」のではないだろうか。
 最初こそ理想を掲げていたが、次第に変わっていき、邪道に落ちてしまった、という流れだろう。最初の理想は良いものであったに違いない。でなければ「理想を継ぐ」も「カリュドーンの子」という組織名をつけるのもおかしな話だからだ。

 秘話にて出てくるカリュドーン時代の古敵は、秘話という短いストーリーの中で成敗される悪役ゆえもあるのだろうが、酷く無秩序で義理人情の欠片も感じられない者たちである。

  >下っ端「ここは郊外、キングを名乗れるのは勝ったヤツだけだ!腰抜けはとっとと土に還った方が身のためだぜ!」

  >構成員「『公平に決闘』だと?郊外はいつから『公平』なんぞを重んじる場所になった?ここは拳で語らう土地だぜ、なにが公平かを決めんのは勝者だろうがよぉ!」
  >ライト「カリュドーンはもうとっくに過去のものだ。郊外に無意味な争いは必要ない」

  >構成員「ルール?ハハッ!おままごとの間違いだろ?」

 このほか、ポンペイのことを「老いぼれ」と貶めてもいる。どう考えても仁義を通さねばならない走り屋連盟の思想とは正反対を行く者たちだ。
 構成員に対するライトの応えから考えるに、末期のカリュドーンは「勝者」という暴力による掌握を行っていた可能性が高いように思われる。
 すべては可能性の話だが、最終的な「カリュドーン」が悪しきものになっていたのだとしたら、ver2.8におけるビリーの各所の反応も納得が行く。



◇新・エリー都の落日(下)

  >郊外には、めちゃコワな「カリュドーンの死神」がいましたぁ
  >鋼鉄のボディでぇ、ネイルは鬼長いし火ぃ噴くのと同じ口で「ブレイズウッドを炭にするぞ」とか叫ぶワケ!
  >そこへある日、「無敗のチャンピオン」が空から降りてきてぇ
  >――カリュドーンの死神に挑戦したの!

  >シメにロケットパンチがどかーんと炸裂、死神はそのまま郊外とオサラバ!
  >ブレイズウッドのみんなは、また平和で自由な暮らしに戻れたってワケ!

 噂のアイアンタスクでの二人のシーンに到達する前から「初代無敗のチャンピオンとカリュドーンの死神」という伝説が語られてスクショが止まらなかった。
 語られる伝説では「カリュドーンの死神」がどういう存在なのかいまいち分からないが、少なくとも「カリュドーン」が失われたのはシーザーが物心つく前、十数年~二十年ほど前のことだと思われる。たったそれだけの時間で、活動期間が重ならないはずのカリュドーンの死神と初代無敗のチャンピオンの「伝説」が作られてしまうのは、郊外ならではかもしれない。あの環境ではネットにも残らないし、新聞などの形が残るタイプの情報もないだろう。
 何ならビリー自身の現代における活動期間とて、ブレイズウッドのサブストーリーで出てくる「蓬」とその先輩が失われた技術の遺跡から見つけた、とのことらしいので、せいぜい二十年ちょっとだと思われる。ビリーのメモリーには当時のことが克明に残されていそうなのに……
 とはいえせっせと伝説として語るデミルや、止めないビッグダディのおかげで、今のビリーとその伝説が結びつかなくなっているのも事実だ。物理的にボディを変えて別人を装える機械人としての性質だけでなく、当時の話を秘してくれる周りの面々に助けられているからこそ、今のビリーの伸び伸びとした自由があると言えるだろう。
 グラビティ・シアターのNPCとの会話において、スターライトナイトの「ファーストナイト」の元ネタに似ている、と言われていたため、Sビリーは初代チャンピオン時代の格好に近そうだが……
 あと新参者でまだ終わっていないものが多いため(ブレイズウッドのサブストーリーも一個出てこなくてずっと受けられないものがある)、実は「郊外にある一番高い山は昔二番目だった」という話の元ネタが分からない。いずれ見つかったらいいなと思っている。

  >ビリー「まあ待ってな!初代とどっちがツエーとか、そういう問題じゃねぇ」

 この発言からするに、今のビリーは強さを重視していないことは確定だ。が、明らかに戦闘面でのスペックも高ければ、ビリーの性格なら「より強い」と断言しそうなので、「初代」の機体の方が戦闘面では強いのではないか。
 ……なんてことを考えていたら、更に情報が追加される。

  >シーシィア「ライトくんさー?前から聞きたかったんだけど、キミも『無敗のチャンピオン』っしょ。『カリュドーンの死神』のこと知ってる?泣く子も黙る、めちゃコワな郊外の伝説!」
  >ライト「ふっ、噂くらいはな。無口で容赦ない、影のような男だったとか。だが実際はコラボカフェで写真を撮るために、ウキウキで小遣いを溜めてるようなやつだったかもしれないだろ」

 ライトさん??????
 この時点ではパエトーンもまだビリ=カリュドーンの死神を知らない……が、コラボカフェのためにウキウキで小遣いを溜める存在には心当たりがあるので、なんというか、匂わせとマウントを同時に行われている気分になる。なった。(私は既にネタバレを踏んでいたので知っていたとはいえ)
 この話をしている時「……」と無言で居るビリーは、人間で言う鼻をかくような仕草をしているが、これはライトがやるところのマフラーに指をかける仕草に近いような気がする、とスクショを見直しながら思った。Sビリーがマフラーに指をかける仕草をするようになったらオタク(一人称)は頭がおかしくなる確信がある。
 閑話休題。
 ライトはこのまま悪名の話に繋げ、プロメイアとシーシィアに矛先を向ける。これには伝説の話から逸らす意図もあるだろうが、「悪名高い過去があろうと認識は塗り替えられるのではないか」という部分は、プロメイアだけでなくビリーにも適用されるのではないだろうか。
 最終的にパエトーンが「誰だって過去は色々あった」「大事なのはこれからのこと」と、未来に目を向ける発言をして、シーンが一区切りとなる。これは多くが重い過去を持つゼンゼロのキャラに概ね共通している思想なのだが、その中でも過去から目を逸らせず、未来へずんずん進んでいくビリーを眩しく感じているライトにも間接的に刺さる台詞だと言える。
 実装済キャラのほとんどが、重い過去があろうと前を向いて生きていく意思を持っている中で、生きる理由こそあるがそれはそれとして希死念慮が顔を出すことのあるライトは、まだ変化の余地を残したキャラ造形をしている、とも言えるだろう。
 ライトに関しては「希死念慮を消しきれないからこそ出る味」がキャラクターの魅力の一つだと思ってもいるので、そうした変化が必ずしもプレイヤーたちに良いものと判断されるかと言うと微妙なラインでもあると思うが。

 そんな会話の後、他の面々とも会話をしてからやってくるのが、例の二人の会話シーンだ。

  >ビリー「わかってねぇなライト!見ろよこの流麗なフォルム、強そうな装甲そしてこの、まっさらな赤いマフラー!正義の味方ってのはかくあるべきだぜ!」

 まっさらな赤いマフラーという表現に頭を抱えたが、更に爆弾は続く。

  >ライト「パイセンが『鬼つえぇフォーム』になったと聞いたときは、初代『無敗のチャンピオン』と、尾ひれのついた『カリュドーンの死神』さあどっちだと思ったが、こいつぁ
  >ビリーのウキウキとした動きが、ふと止まった。

  >ライト「結局のところ、悪名高き『カリュドーンの死神』が姿を消したのは初代『無敗のチャンピオン』がデビューするずっと前のことだ。にもかかわらず、いつのまにか『チャンピオンがカリュドーンの死神を打ち倒した』なんてドラマチックな話になりやれ戦いは何ラウンドに及んだとか、勝敗を分けた技はなんだとか、際限なくディテールが作りこまれていった。もはや誰にも真実なんてわからん」

 ライトは噂程度にしかカリュドーンの死神について知らない様子だったが、話しぶりからして、少なくともSビリーの姿がカリュドーンの死神と異なるという判別はついているようだ。ライトがカリュドーンの子にやってきた頃は、まだ死神時代の話を聞こうと思えば聞ける環境だったのかもしれない。あるいは、傭兵時代にその姿を見たことがある、という説も考えられる。ここもまた無限の可能性だ。
 誰にも真実なんて分からないというが、間違いなく真偽を判断できる存在が一人だけ居る。ビリー本人だ。知能構造体ゆえに、その記録はデータとして残っているはずで、きっとこの世界で唯一それらの伝説の真偽を証明できる存在である。
 盤岳先生が視覚記録を簡単に提出していたのは、彼がTOPS製の知能構造体だったからというのもあるかもしれず、失われた技術製のビリーにどこまで可能かは分からないが……トロイの木馬に感染するくらいだし、その辺りの技術に関しては現代でも通用する規格だと考える方が自然だろう。
 それでもきっと、ビリーはわざわざ伝説の真偽の判定をしない。気まずい思いをしながら、シーシィアに対して訂正をしないのがその証拠だ。それをライトも分かっていての発言なのだろう。
 だがライトはさらに踏み込む。

  >ライト「いいすんか、パイセン。おやっさんのとこに、昔の図面がまだ残ってるかもしれない。『今のあんた』なら『昔のあんた』の姿でも、あのときよりずっと強くなれるこのクソったれな世界にはその方がお誂え向きだし、みんなの記憶の中のあんたは、やっぱそっちで

 私は新参者なので忘れがちになるが、そもそもゼンゼロはホロウ災害に苛まれる終末世界の物語だ。ホロウ災害という天災に苦しめられているにも関わらず、人間同士の争いは絶えず、くだらない諍いで簡単に人命が失われる。そんな世界で、強さなどあるに越したことはないし、広く知れ渡った悪名はそうしたくだらない諍いを少しくらいは遠ざけてくれるかもしれない。
 そんな脅威的な存在がバックに居ると知れれば、未だにあれこれと苦労させられているカリュドーンの子だって、少しくらいは舐められなくなるかもしれない。
 ビリーに対して砕けた態度を取りながら、かつての「掃除屋」の一人に怯えるヘビのシリオンも、少しはビリーに対する態度を改めるかもしれない。
 
  >ビリーは少しの間、黙り込んだ。
  >ビリー「ああ、お前の言う通りだぜ。ライト。けどよそれは今の俺がなりたい俺じゃねぇんだ。その道の先は、どこまで行っても『昔のビリー』だ。命令に従うことしか知らねぇ、全身にオイルと恐怖、そして血の臭いがしみついたシケた兵器さ」
  >ビリー「そして今――未来へと続くこの新たなる道に、いよいよ満を持して『スターライト・ビリー』が登場するんだぜ!」

 だがビリーはそれを良しとしない。なぜならビリーは自由を求めて、過去の自分から変わろうとして、未来へと邁進していく人だから。
 ビリーの信頼イベをこなしているプレイヤーであれば、待ち合わせ中のビリーが通行人に怯えられて凹んでいるシーンは見覚えがあるはずだ。ビリーは自分が恐怖の対象となることを望んでいない。だから戻らない。確固たる自我で、自分の望む姿を追い求める。

  >ライト「新しい自分になって、過去の亡霊は葬っちまうとやっぱりあんたは、そう言うんだな」
  >ビリー「おいおいライトそのセリフはイカしてるじゃねぇか!さっきのは取り消すぜ、お前やっぱわかってんな!次からは思いついたらスグ言ってくれよな!」

 ビリーが禁断の果実テストをいつごろパスしたのかについては、見た記憶が無いのでおそらくまだ公式から明言されていないのだろう。だが、一連の会話を見るに、チャンピオンを辞して自由を得た後のことだろう。
 禁断の果実テストも通った今の知能構造体としてのビリーであれば、当時の、吸気モジュールなどの必要性が分からないようなものがない、そんな「火力制圧用高知能戦術素体」そのものの機体を使って、当時よりも強くなれるとライトは思っている。
 しかしそれは、ビリーにとっては「自分の意思を持って動く兵器」なのだろう。ビリーが「シケた兵器」と吐き捨てる当時のビリーに憧れを持つ者は、ライトを含めてきっといくらか存在しているのに。
 残念ながらビリーは知らない話だが、スターライトナイトの「ファーストナイト」はおそらく過去のビリーがモデルだ。監督もまた当時のビリーに救われている。
 まあ、だからといって「兵器の姿でもあんたはすごい」と伝えたところで納得してくれるとは思えないため、ここはどうしようもないすれ違いにしかならないのだろう。
 少なくとも初代チャンピオン時代から、ビリーは今のビリーに至る素養があった。当然の話でしかないが、だからこそ「過去を無かったことにするのは違う」と伝えるくらいが精々なのだろう。それすら結局いつも通りの、盛夏の夢物語でもあったように、ビリーの勢いに流されてしまうわけだが。
 そうして、初代チャンピオンとしてのビリーは忘却の彼方に消えていく。ビリーはそれこそを望んでいる。

  >またすぐにポーズを決めはじめたビリーを見て、ライトさんは納得と呆れ、どちらにも取れる笑みを浮かべた。
  >ほんの一瞬、すぐそこにある光と闇の境目に赤いマフラーを巻いた、ぼんやりとした影が見えた気がした。影はおもむろに手を上げると、ひらひらと振り、そのまま静かに消えていった

 この時のライトの「納得と呆れ、どちらにも取れる笑み」をどう解釈するかは人それぞれだろう。
 個人的には「過去を振り返らず前に進んでいく方があんたらしい」という信頼イベントでも見た眩しさへの納得と、いつも通りの子どもっぽいムーブに「シブくてカッコいい流れだったのに」という呆れ、という風に読みたい。
 S1-4の頃のライトではなく、さんざんスターライトナイトを一緒に見たり、スターライトナイトのグッズ購入に付き合わされたりして、今のビリーを見慣れているこの時期のライトが見せる反応だから。過去のビリーを懐古して浸るのではなく、今のビリーと遊べるライトなら、そう感じてくれると信じたい、という方が正しいかもしれない。

 が、とはいえライトは身内に弱く、おそらく身内に傾ける感情も重たいタイプの男だ。

  >ライト「パイセン、その赤いマフラーは

  >ビリー「こいつは『スターライトナイト・ビリー』の最新トレードマークだ。燃え滾る正義と守り抜く覚悟の象徴ってやつさ!この新たなる赤いマフラーが、新たなる伝説と共に、希望を必要とするすべての場所でたなびくことを誓うぜ!」
  >ライト「『希望』か。『死神』や『無敗』に比べれば、なんとも気楽な響きっすね。まあ、郊外にこれ以上重苦しい伝説が増えてもな」

 ビリーのこういう言い回しは、大部分がスターライトナイトで覚えた言い回しの応用なのだろう。それっぽいモノローグ再現をあれだけ流暢に行えることを思えば、それらしい言葉がつらつらと出てくるのも不自然ではない。
 が、周知の事実として、赤いマフラーはカリュドーンの子の歴代チャンピオンが身に着けているものでもある。ビリーも忘れているはずはないだろう。本人の中での「赤色」や「たなびくマフラー」のイメージの比重がスターライトナイトに寄っている可能性は高いが。
 しかしながら、秘話での赤いマフラーをメイン要素として語り、盛夏の夢物語でも「時が経つのは早いっすねこの赤いマフラーも随分長いこと身につけてるし」と、「ライト自身がチャンピオンになってから」ではなく「随分長いこと赤いマフラーを身につけている」という表現を用いているように、ライトにとっての「赤いマフラー」は非常に特別なアイテムである。
 それを未だに「パイセン」と呼び慕う相手が、数年越しにまた身に着けるようになったのだ。しかも「燃え滾る正義と守り抜く覚悟」の「象徴」ときた。スターライトナイトのコアなファンなのは散々付き合わされてきた以上は百も承知で、それでも、スターライトナイトよりも先にあった文脈をライトは知っている。

  >ライト「なら新しいマフラーは、せいぜいキツく結んどいてくださいよ。いつの間にか、知らんやつの首でなびいてたらたまったもんじゃないんでね」

 なのでライトはきちんとビリーにそれを突き付けるんですね。せっかく外したものを着け直したんだしそりゃもう俺とあんたの過去から今に続く縁の証なんだから軽率に外されたら堪ったもんじゃないね。そうだね。
 ……「いつの間にか、知らんやつの首でなびいてたらたまったもんじゃないんでね」??
 それは……俺以外の誰かに託すなんざ冗談じゃないぞという……やつですか……

 プレイヤーも動揺してしまう発言なのだから、そりゃあビリーも「へ?は、ははは」になるだろう。ビリーはライトが自分の発言に載せた感情について、なんとなく読み取り切れていない自覚すらあるように思う。そういう困惑に見える。
 しかも何が恐ろしいかと言えば、途中でパエトーンの選択肢が挟まり、ビリーがそれに応じている発言が挟まっているので、ライトはパエトーンの目の前でこの会話をしているのである。なんならバーカウンターの内側にはバーニスとプルクラも居る。加入時期的に二人の関係性を詳しく知らないだろうプルクラはネコのシリオンなので会話くらいなら普通に聞こえると思われる。とんでもない巻き添えになっている。バーニスは仮に聞こえても過去の二人を知っていて慣れている様子で流しそうだから、なおのことプルクラが不憫だ。

  >ビリー「なーに、今度はそうそうほどけやしねぇって。たぶんな!」
  >ライト「どうだか。まこれからもお互い、赤いマフラーに恥じない生き方をするだけさ」

 これは本当に主観5000億%の個人の感想だが、ビリーは普通に赤いマフラーが気に入っていて(かっこいいし、色は違えどスターライトナイトもつけているし)、だから「おニューの姿に取り入れてぇな!」と着けた結果、チャンピオンと共に赤いマフラーも継いだ後輩から思わぬ圧を出されて動揺した、のではないかな、と思っている。
 ライト自身が身に着けている赤いマフラーは、彼の代名詞ともなっていることもあって本人が大切にしていることをビリーも認識しているはずだが、その大切な理由に「かつてビリーが着けていたから」という理由も含まれていることに、自覚が薄かったようにしか思えないのだ。
 これはライト実装時イベントでの「さて、メンツも揃ったことだプロキシ、一杯やりに行くか」「え?俺もついてっていいのか?」「バーニスを探しに行くか。あいつなら何かしら見繕ってくれるだろ付き合ってくださいよ、パイセン」とも通ずる。ビリーはそういうところがある。



◇ver2.8における二人の描写を経ての自己解釈

 ここまで基本的に「情報の整理」と「根拠を踏まえての解釈」を一応のメインに据えていたが、ここからは本当に一人のプレイヤーの個人的な解釈を綴る。めちゃくちゃに冗長な文章となるため、もう読むのが疲れた方や、この文体はどう頑張っても肌に合わないと感じる場合は、悪いことは言わないのでこの辺りで閉じて欲しい。
 メモと公式台詞の写経と記憶の整理が主な目的だったのに、この時点で既に二万字を越している気配があり、もしここまで目を通してくださった方がいたなら、感謝の念に堪えません。



 最初に赤いマフラーに意味を持たせたのは、ビリーというよりは、地下闘技場にライトを買いに来てマフラーをつけてやったビッグダディの方のように思う。もちろんビッグダディがライトに赤いマフラーを与えた理由は、初代チャンピオンとして赤いマフラーを既に着けていたビリーの存在ありきなのだとしても。
 当時のビリー自身がどこまで自我を確立させていたか定かではないが、死神時代と服装を変えていたのだとしたら、赤いマフラーも本人が選んで着けた可能性がある。
 そのため、ビッグダディがライトに赤いマフラーを与えたことも、ライトが着けることにしたのも、ビリー自身は「赤いマフラーってカッコいいよな」くらいの気持ちであり、「チャンピオンと一緒に赤いマフラーも継ぐって? なんか良いな! カッコいいじゃねぇか!(※現在ナイズドした書き方であり当時のビリーはもっと冷徹かもしれないが)」とOKした様子の方が想像しやすい。
 あるいは赤いマフラーを貰ったライトが結構気に入っていそうなのを見て、気に入っているのなら好きにしたら良いと肯定した可能性もあるかもしれない。
 とはいえ、ビリー視点では、まさか「自分が着けていたから」という理由がそこに追加されるとは夢にも思わなかっただろう。なにしろライトがカリュドーンの子に来た当初の様子に関して、秘話にてバーニスから以下のように語られている。

  >バーニス「例えばライトなんかは、ビッグダディのオヤジさんがある日ふらっと連れてきたんだけど全然お喋りしないし、私たちと一緒にご飯も食べてくれなかったの。私のニトロフューエルもぜーんぶお断りされちゃってさ! チャンピオンとしては非の打ち所がなかったけど、仲良くなるのは本当に大変だったなぁ」

 カリュドーンの子の主要メンバーに女性が多いこともあるが、当時のライトの状況を思えば、おそらくビリーもあまり例外ではなかったのではないか。
 ではライトが「ビッグダディが生きる理由と共にくれた赤いマフラー」という認識よりも、「先代チャンピオンから役職と共に継いだ赤いマフラー」という方を重視するようになったのは何故なのか。
 それくらい強くビリーを慕うようになるきっかけがあったから、としか考えられない。
 無限の可能性がある話であり、考え出したらキリがないし、ここで書くくらいならもっと捏ねて形にした方が良いと思うので、これに関しては広げずに留めておく。

 ライトの「過去のビリーの強さ」への執着は、第四章の頃から変わらない。
 カリュドーンの死神という過去も、初代無敗のチャンピオンという過去も、かつてのビリーの強さの証だ。ではライトは何故「過去のビリーの強さ」への執着を捨てられないのか。
 ライト自身が元傭兵だから、元地下闘技場の選手だから、「無敗」を継いだチャンピオンだから、理由は色々考えられるが、ver2.8のシナリオを読んで、気になった点がある。

  >このクソったれな世界にはその方がお誂え向きだし、

 ゼンゼロでは様々なシーンで明確な殺人描写がある。簡単に人が死んでいく。エーテリアス化してしまうこともあれば、エーテリアスに殺されることも、単純に人が人を殺すこともある。当然、強い方が生き残る確率が上がる。そのため「ビリーに死んでほしくないから強く在ってほしい」という理由もあるのだろう。元々「無敗」なんだから負けてほしくない、なんて後輩らしい視点もあるかもしれない。
 その上で、上記の台詞に続く部分が、今回のシナリオで強く感じた点だった。

  >みんなの記憶の中のあんたは、やっぱそっちで

 ここに関しては、プロメイアとシーシィアとの会話でも触れられていた「悪名」に繋がる部分だろう。

  >郊外でむざむざと死にたくないのなら、「悪名」は身を助けるってこともあるからな。

 つまり……これを書いているのが深夜三時でお腹が空いて言葉が出てこないのでもうそのまま書くが、「あんたが舐められているのが嫌だ」という理由もあるのではないだろうか。
 死神の姿はもはや伝説化しているので明確に覚えている人々がどれほど居るか分からないが、初代の姿は比較的覚えられている方だろう。スターライトナイトの監督もたぶんそのクチだ。当時から「無敗」なわけだし、ライトにとっては、初代の伝説を知る人にとっては、初代の姿のビリーは強くてカッコ良くて憧れを集める姿なのだ。
 別に悪名が何だというのか。人柄を知ってさえいれば怖くはない。そんなものは強さの証明でしかない。プロメイアとシーシィアの会話での「悪名」まわりでのライトの思考は、たぶんそんな感じだ。なんなら伝説として流布してるぶん、馬鹿な小物は勝手に避けてくれて助かる。リスペクトを持って挑んでくる奴等は堂々と戦って殴り飛ばしてやればいい。清算の日のライトを見るに、大体そんな感じなのだと思う。
 まあライトにとって、そんな過去の栄光なんて脱ぎ捨てて、馬鹿にされようが舐められようが自分のやりたいことを貫く、前に進み続けるビリーが眩しいのもまた事実なので、ライトがそういう話を本人に伝えることはないのだろう。

 だから、あえてビリーをろくに知らない相手にわざわざ知らせることはしないが。
 それはそれとして、「赤いマフラー」を自分の新たなトレードマークにまた定めるというのなら、過去の初代チャンピオンとしてのビリーを自身で少しでも肯定してくれるのなら、もう二度と手放そうとするんじゃないぞ、という脅し、が「せいぜいキツく結んどいてくださいよ」に繋がっている気がする。

 今のあんたは確かに邪兎屋の従業員だけど、カリュドーンの子が古巣である初代無敗のチャンピオンでもあるのは事実なんだからな。
 シケた兵器に戻りたくない意志は分かった上で、それでも「赤いマフラー」を戻すからには、あえて公言を避けているとしても、初代無敗のチャンピオンであることをなかったことにはしないでくださいよ。
 俺と関わってた過去のあんたをなくさないでくれ。

 俺とあんたを繋ぐ証を、他の誰かになんぞくれてやるなよ。
 あんたをヒーローだってキラキラした目で見る子どもが現れたりとかしても、っすからね。

 という、独占欲の表れに思えてしまって、これはこの二人のオタクではないプレイヤーの方々は一体どういう風に受け取ったのかが分からな過ぎて困惑した。
 キツく結んどいてくださいよ、までは、過去をなかったことにしようとしているビリーに「過去のあんた自身を否定するなよ」の意味で取れるからまだしも、「いつの間にか、知らんやつの首でなびいてたらたまったもんじゃないんでね」はもう独占欲としてしか取れなくて困った。
 本当に困ってしまって、だからこんなろくろ回し文章を書き殴ってしまっているとも言う。

 どうしてもライト→ビリーの方が明確に描写されているから優先して考えてしまうが、ビリー→ライトも考えておきたい。

 逆に、どうしてビリーはあんなにライトを構うのか、というのを考えてみると、「自分を先輩として慕ってくれるから」という理由が一番大きいような気がする。
 重度のスターライトナイトファンに付き合ってくれる相手がライトしか居ない……のも大きいと思うが(これは付き合ってくれるライトが公式の時点でビリーに甘すぎるせいもある)、それだけビリー→ライトの心的距離が近い表れとも取れるだろう。

 話が飛躍するが、郊外のストーリーは「炎」「灰」「継承」辺りがモチーフとして採用されていたように思う。
 だがビリーは機械人で、燃えても灰にはなれない。人間に使われる機械は継承されるような意志を持たないし、人間より長く生きられる可能性が高い機械人は人間のように意志を継承されることがない。それでもエピソード動画から、二丁拳銃は「友から継いだもの」だと明かされている。
 つまりビリーは誰かの意思を継承できるが、誰かに継承されない側だ。……継承されない側だった。「カリュドーンの子」二代目チャンピオンのライトが現れるまで。
 ビリーはそうしてライトにチャンピオンを継承することで、郊外の歴史の一編に編み込まれ、人々の過去になることが出来たのではないだろうか。
 ライトが、ビリーを郊外の「人」にしたのだ、と思う。
 しかも活動拠点が、組織が離れたとしても、ライトはビリーを「パイセン」と呼び続けている。継いだチャンピオンとして、「無敗」すら継いで、勝ち続けている。
 変わらず向け続けてくれる敬意も、元より戦闘用に最適化された機械でもない人間が維持する「無敗」も、それらは、ビリーがライトを構うだけの理由たりえるのではないだろうか。

 といっても、「無敗」は人間には重たいだろうし、「カリュドーンの死神」なんて二つ名を付けられるほどに縁深かったカリュドーン関連の厄介ごとは、今となってはライトが代わりに始末してくれているわけだし、そういう罪悪感も少なからずあると思う。


 などと書き連ねてきたが、そろそろ2.5万字に到達しそうなので、この辺りで終わることとする。
 いずれ読むシーズン3シナリオや、まだ触っていない常設過去イベを触った時に「つまりこれは矛盾するな……」と思う部分も出てくるかもしれないが、私自身が耐えきれなくなるまでは公開しておこうと思う。


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 ほとんど未来の自分がふと読み返した時に「この時こんなことを考えてたんだな」と思い返す用の文章であり、果たしてここまで読んだ方が本当にいらっしゃるか分かりませんが、長々とお付き合いいただきありがとうございました。
 新参者ではありますが、引き続き沼でちゃぷちゃぷと楽しんで生きていこうと思います。