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桜庭 梓沙
Public
堕楽園
とある少女の手紙
拝啓
こちらは全てが無事に終わりました。
吸血鬼はみんな、みんな無事です。
団長さんたち中心に街のみんながお祝いして
賑やかでとても楽しかったです。
魔王様は相変わらず賑やかな雰囲気にとても疲れていましたが、仕方ないですよね。
……
ただ、一つだけ心残りがあります。
私は、彼を、クローバーと名付けた彼を救えなかった。
それだけが、本当に、本当に申し訳なくて、私のワガママに付き合わせてしまった。
あなたはこの気持ちが分からないかもしれない。
いえ、それでいいんです。
私も思い出すまで、そのまんまでしたから。
彼は
……
本当は優しい人だった。
こちらで出会ったカローンの残滓も本当に優しい人でした。
どこで、間違えたのでしょうか。
でももう起きたことを問いかけてもどうしようもないですね。
この手紙はある意味懺悔でもあります。
誰にも話せないから、あなたにしか話せないと思って書き綴っています。
私も向こうの世界に旅たちます。
半分だけ、ですけど。
向こうでも役目がありますので。
……
今度は、私が見届ける番です。
向こうに私のタイラントさんはいませんから。
だから半分だけ。
役目を終えたらこちらに戻ってきます。
そうしたら
……
彼に会いに行こうかな。
遠い遠い場所に行ってしまった彼にもう一度だけ。
「あなた」がつけた「呪い」は今でも解くつもりはないです。
だって、タイラントさんが人間に戻るつもりがないなら、お揃いが欲しいじゃないですか。
この「呪い」の腕を自分の角と同じ色だって、言ってくれたんですよ。
だったら、同じものを持っていたいので。
私は、もう悪魔にならないです。
彼が酷く悲しむから。
だから、もう、大丈夫。
もう、悲しむ世界はないです。
私一人だけが、「クローバーさん」を救えなかった辛さを知っていればいいのですから。
敬具
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