三毛田
2026-06-24 21:28:06
1073文字
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98 【98/明日天気になあれ】

98日目
元気に靴を飛ばす

『明日天気になぁれ! あっ』
 靴占いのために足から放ったら、思っていたよりも勢いがついて。
 近くの家の庭へと落ちてしまう。
『穹、どうしたんだ』
『た、丹恒~』
 俺が家の前でオロオロしていたら、丹恒が歩いてきて。
 半泣きになりながら、さっきのことを説明。
『そうか。これを持っていてくれ』
 と、持っていたバッグを俺に渡してくる。
 そして。
 迷うことなくインターホンを鳴らす。
 それから、何かを伝えて。家の中から、しばらくするとおじいさんが出てくる。
『ありがとうございます。お手数かけいたしました』
『子供は元気なくらいがちょうどいいからな。これを持って行きなさい』
『迷惑をかけたのはこちらなので』
『娘と孫が持ってきたんだが、一人じゃ食べきれなくてな。靴の持ち主と一緒に』
『ありがとうございます』
 見た目はちょっと怖いおじいさんだったけど、俺を見て微笑ましそうな表情を浮かべていた。
 完全に俺だってバレてる。
『ほら』
『ありがとう』
 あの後もう一回お礼を告げて、こちらへ来た丹恒に俺も頭を下げる。そして、バッグを返すとお菓子を渡されて。
『一緒に食べようよ』
『そうだな。そうしよう』
 お菓子をどうしようか。俺に渡して、その後のことはあまり考えてない。そんな感じだったけど、一緒にって誘うとちょっとだけ嬉しそうに。
『もう靴を飛ばすんじゃないぞ』
『学校か、広い場所でやる』
 と答えたら、呆れた顔をされた。納得いかん。
 公園で手を洗って、ティッシュをベンチに置いてから座る。二人でいただきます。と手を合わせてから、食べれば。
 あんまり味は覚えていなかったけど、美味しかった気がする。
「丹恒。靴占いって信じるか?」
「信じていないが、お前が靴を通学路の家の庭に飛ばしたことならば覚えているぞ」
「そういう格好悪いエピソードは忘れてよ!!」
 ゴロゴロと床を転がるけれど、彼は微笑むだけで。
「くそう……
「格好悪くても、お前はお前だ。俺は好きだ」
 止まった俺の前髪を上げ、額にキス。
「可愛いな、お前は」
「可愛いのは丹恒だろ」
 起き上がって、逆に押し倒す。
「明日天気になれ。だったか?」
「忘れろって」
「味は覚えていないが、お前と食べたお菓子が美味かったことだけは覚えている」
「それは俺も」
 丹恒も覚えていてくれたことが嬉しくて、キスをすれば首に腕が回ってきて。
 そのまま勢いで、もみくちゃに。
「あっつぅ」
「温い風呂がちょうどいいな」
「えー。俺はもうちょっと熱くてもいいけど」