まきわ
2026-06-23 18:12:54
6515文字
Public クロリン
 

ハニーフラワー

創後の先輩が旅してる間に帰省した時の設定
もうほんとただクロリンがいちゃいちゃしてるというそれだけの代物です
やや…R16くらいはあるかも…?
ちょっとさほど意味はないですが捏造生徒名前が出てきます

旅の途中、次に足を向ける先に迷ったクロウは、前の帰省から少し間が空いていたこともあって一度帝国に戻ることにした。
真っ先に向かったリーヴスに到着し学院を訪ねると、リィンはちょうどグラウンドで戦術科の生徒達を指導しているところだった。
授業はもう全て終わっている時間だったから、特別指導というところだろう。
グラウンドを見下ろすと、三対三に分かれて模擬戦をしつつ、リィンが細かく指導するという状況らしい。
「アレス、下がりすぎだ!それじゃ後衛からの支援が乱れるぞ!ミレイは腰が引けてる、もう一歩前に出ないと陣形が崩れてるぞ!」
きびきびと指導する教官としてのリィンを、校舎の建つ高所から見下ろしながらクロウはにやにやと顔を緩めた。
学生の頃を知っているだけにああいう姿を見るのはなんだか感慨深くて微笑ましい。
頑張ってんなーと思うとついつい顔が緩んでしまうのだ。
ほどなく模擬訓練は終了し、生徒達は一列に並んでリィンの総評を受けていた。
腰に佩いた太刀に手を当てて全員を見渡すリィンの目は凛として厳しくも見えるが、瞳には誠実な思いやりが満ちているから恐ろしさは感じないだろう。
「皆少しずつ個々の練度は上がっていると思う。反面チームワークにはまだまだ粗いところが多いな。功を焦って自分だけが前に出ようとしないのはいいことだが、周りを気にしすぎて全体的に腰が引けてしまっている。もう少し自然に周囲の状況を把握して、チームメンバーの動きを捉えられるように努力しよう。その為のリンクでもあるわけだしな」
『はいっ!』
涼やかなリィンの声音はよく通る。
生徒達も懸命に教えを自分のものにしようとしているのが見てとれた。
Ⅶ組が戦っているのを見た事がある現在のトールズ生は少ないだろうが、その噂は聞くことがあるだろう。
戦闘に限らないチームワークと連携力に憧れを抱く生徒も多いと聞くが、そんなⅦ組が最初の頃には戦闘中にリンクを途切れさせたりしていたと聞いたらあの生徒達はどんな顔をするだろう。
今となっては全ていい思い出で、ここまでの道のりを思ってクロウは柵にもたれかかりながら感慨深げな微笑みを浮かべた。
そんな風に後輩達を見下ろしているとリィンがふとこちらを見上げた。
「クロウ!もう来てたのか」
軽く手を振るリィンにクロウも手を挙げて返す。
「予定より早く着けてな。せっかくだから職場訪問でもしてやろうかと思ってよ」
「なんだ職場訪問って
生徒達と共にこちらに上がってきつつ、リィンはジト目でクロウを見た。
生徒達はクロウとは初対面らしく、緊張した面持ちでそれぞれ会釈してきた。
それに手を挙げて返しつつ、クロウはリィンに視線を向けた。
「頑張ってるようで何よりだぜ。まだ仕事か?」
「いや、もうあがるよ。食事はどうする?」
「早く着いたんで先に家寄って下ごしらえしてきたから家で食おうぜ」
「わかった。すぐ準備するから少し待っていてくれ」
親しい相手に向ける自然な態度から生徒達もクロウがⅦ組のメンバーなのだろうと当たりをつけたのか興味深げな眼差しを向けてきている。
リィンは指導している時より穏やかだが、変わらず凛とした姿勢でクロウと話しつつ、生徒達にも注意を向けているのが見て取れた。
どうにも、凛としすぎている気もするのだが。
「皆もお疲れ様。疲れを残さないように、しっかり休んでくれ」
「はい、教官ご指導ありがとうございました!」
「ああ。お疲れ様」
完璧な笑顔を向けられて生徒達の顔が憧れに煌めく。
「は~やっぱリィン教官は凛としててかっこいいよなー
「早く追い付けるように頑張らなきゃね!」
入学したばかりの一年生達は憧れの英雄でもある教官の姿に決意を新たにしているようだ。
背筋をすっと伸ばして校舎へ戻っていくリィンの後に続きながら、立派になったもんだとかつての後輩の背中をしみじみとクロウは見つめた。

数分で帰り支度を済ませたリィンと共にクロウはリーヴスに借りた二人の家へと向かっていた。
クロウは基本的にここにはいないしリィンも分校の寮に部屋を持っているが、逢う時に寮では落ち着かないし帝都のホテルでは時間を気にしてゆっくりできないということで借りた家だ。
「夕食、何にするんだ?」
「ああ、旅先でうまいスパイス手に入れてな。これ使って焼いた肉がめちゃくちゃ美味かったんだよ。お前にも食わせてやりたくてよ」
「それは楽しみだ。旅先での話もぜひ聞かせてくれ」
「お前の近況もな」
他愛ない会話をしている内に二人の家に到着した。
鍵を開けてクロウが先に玄関を入る。
コートを脱いで掛けながら後ろのリィンを首だけで振り返る。
「よし、んじゃぱぱっと飯を
用意するか、と言いかけたところでどむっと背中に衝撃が来た。
振り返った視線の先にはクロウの背中にぴったりとしがみついているリィンが見える。
「うおっちょ、どうした急に」
リィンは締め上げるつもりなのかというくらい胸に回した腕で強くクロウに抱きつきながら頬を擦り寄せるように頭をぐりぐりと背中に押し付けている。
「なんだなんだ、さっきまで凛と教官らしかったのによ」
締め上げてくる腕を軽く叩いて緩めさせ、クロウはなんとかリィンの方へ向き直って頭を撫でてやる。
その手にまた顔を擦り寄せて甘えながらリィンは拗ねたような顔をした。
「だって皆が言うんだ、クロウが帰ってくるとなると俺がずっとでれでれして顔が緩んでるって。俺は自然にしてるつもりなんだけどな
リィンは納得がいかないという顔でクロウを見上げた。
「新しく一年生が入ってきただろ?既に知ってる皆は仕方ないとして、新入生達にはそんな顔見せないようにしようと思ってでも俺は普通にしてるつもりだしどうしたらいいかわからないから、とにかくとことん気を引き締めていることにしたんだ」
それがさっきまでの異様なまでに凛としたザ・教官という態度かとようやくクロウは納得がいって苦笑した。
「あーうん、その、なんだ。よく頑張ったな」
ぽんぽんと頭を撫でるとリィンは拗ねたように口を尖らせた。
バカにしてるだろ」
「してねーって。ちゃんと教官らしかったと思うぜ」
「そうか?」
ようやく安堵した顔を見せたリィンはふとクロウの顔を見つめて、そして何か言いたげに上目遣いに瞳を揺らした。
「?どうした?」
「いや、その」
視線を少し彷徨わせ、何か求めるようにまたクロウの瞳で目を留める。
そして照れたように顔を軽く上向けて目を閉じたので、ようやく求められているところがわかった。
(可愛いやつ)
クロウは可愛すぎるあまりそのまま玄関扉にリィンを押し付けて下半身でおかえりのちゅーをしたい衝動を抑えて唇にそっと口づけた。
「ん……
角度を変えて深く唇を重ね、お互いの体温に浸る。
舌を絡めるか迷ったが、そうすると結局下半身がご挨拶をしそうなので一旦やめておくことにした。
お互い空腹だろうし、まずは夕食だ。
口づけたまま優しく頬と耳元を撫でてやってゆっくり顔を離す。
ふう、と満足げなため息がリィンの口から洩れた。
「さて、とりあえず飯にしようぜ」
うん、手伝うよ」
花が綻ぶような笑顔を見せてリィンはクロウの腕に寄り添うようにしながら並んでキッチンに向かった。

ん、ほんとに美味しいなこれ」
スパイス以外はシンプルに焼き上げた肉を一口頬張ってリィンは軽く目を瞠って頷いた。
「だろ?しっかり下ごしらえするのがコツだって言われたからちゃんと手をかけたしな。めちゃくちゃウマいんだが難点はこれがあの地方でしか買えねぇんだよなー
クロウはフォークを置いてテーブルの上に置いたスパイスの瓶をつついた。
「胡椒の実の一種らしいんだがちょっと特殊でな。あの地方でしか獲れねぇらしい。量産して他の地方に出荷すれば結構売れると思うんだが各家庭で作ってる家庭料理の一つみたいな感じで、大規模に作ってるとこがねぇんだよなぁ
「クロウが行商するしかないな」
「いやーさすがにオレがスパイス売りを仕事にすんのはなぁ
リィンはくすくすと楽しそうに笑ってまた一口肉をを頬張る。
先ほどからこちらも頬が緩むくらいずっとにこにこと嬉しそうな顔をしている。
「でもクロウはあちこち旅してるから色んな地方の情報を一番持ってそうだな」
「まぁそうだな。なんの仕事するにせよ色んなとこの情報集めとくのも目的の一つだしな。いずれⅦ組として動く時の役に立つこともあんだろうし」
うん」
Ⅶ組として、とクロウが言うといまだにリィンはとても嬉しそうに頬を緩める。
クロウがⅦ組に戻ってだいぶ経つけれど、いまだにそれを噛み締めているかのようだ。
それだけ傷つけてしまったことの表れでもあるので、クロウとしてはやや気まずくもあるのだが。
とはいえリィンが嬉しそうなのはいいことだ。
その調子で終始リィンが嬉しそうなまま二人はたっぷりと夕食を楽しんだ。
片付けはリィンがやると申し出てくれたものの、せっかく二人でいるので協力して行うことにした。
流し場に並び、リィンが洗った食器を受け取ってクロウが軽く拭いて置いていく。
「風呂はどーする?せっかくだし一緒に入るかー?」
揶揄い混じりに言うとリィンは手元に視線を落としたまま頬を染めた。
そうしたいのはやまやまなんだけど」
素直なやつ、と思いつつクロウは首を傾げて先を促す。
「その一緒に入ったら、絶対そういうことになるだろ?」
……なんかまずいのか?」
「い、いやその、まずくはないんだけど。久しぶりだからちゃんとベッドで、ゆっくりシたいなって
はにかみながら、ほんのりと頬を染めてそう恥ずかしそうに告げるリィン。
クロウは思わず瞬間最大風速で高まった興奮に皿を握り割りそうになった。
~~っ、あ、あーそうだな。んじゃ一緒に入んのは明日にすっか」
なんとか衝動は押し殺すことに成功しつつ何でもない風に言いながらリィンの髪に口付ける。
するとリィンは嬉しそうにはにかんで微かに頷いた。
ぱき、とクロウの手元で皿が悲鳴をあげていた。

『そっかー、今回控えめだなって思ってたんだよね。いつもクロウ君が帰ってくるってなるとリィン君お花のオーラを放出してたから』
なんだオハナのオーラって」
リィンが風呂を使っている間、クロウは先ほど顔を合わせられなかった友人、トワと通信で話していた。
新入生達にでれでれした顔を見せない為に堪えていたらしい話をするとトワは納得した顔で何度か頷いた。
『わからない?すっごくふわふわしてて、なんかこうはちみつが取れそうなオーラだよ』
「どんなだよ。つーかそんなにか?」
『そんなにだよ!クロウ君は常に向けられてるからわからないんだよ。って言っても授業に影響を及ぼすようなこと、リィン君はする子じゃないし別にいいと思うんだけどね』
「子て」
『とはいえ明日には剥がれてそうな気がするけどなんにせよクロウ君、ちゃんとリィン君との時間を大切にしてね!』
「へーへーわかってるって」
その後軽く近況を交換し合い、そろそろリィンが出てくるだろうからと通信を切った。
どうにもこの、相手が風呂から出てくるのを待っている時間というのは手持無沙汰でそわそわする。
その後そういうことになるだろうとわかっているからなのだろう、久しぶりなのも相まって昂りの前兆のような緊張感がある。
「あー落ち着かねー
クロウはベッドのヘッドボードに寄り掛かったまま、手持無沙汰を紛らわせるようにベッド横の引き出しを適当に開いた。
「ん?これって
その中にある小瓶に目を留めたところで廊下から足音が聞こえてきた。
クロウ、お待たせ」
湯上りで赤く色づいたようなリィンが寝室に顔を出した。
万全に用意された料理のように魅力的な恋人の姿に喉を鳴らしつつ、クロウは今見つけた小瓶も気になっていた。
ベッドに手招きつつ、クロウは開いたままの引き出しを指さした。
「そこにあった香水使ってんのか?あれオレが使ってんのと同じやつだよな。お前ならもうちょい爽やかなのが合うと思うぜ?興味あるなら選んでやるけど」
身だしなみが整っていればいいというタイプのリィンはクロウがプレゼントしたものを除けばアクセサリーも大してつけない。
だから香水を使っているのは意外だったのだが、そう言われたリィンは慌てて首を振った。
「い、いや、それは外につけていくわけじゃないからいいんだ」
んじゃ何に使うんだ?」
「い、いやその何ってわけじゃ
リィンは悪戯を見つかったような、恥ずかしそうな顔でもじもじしている。
察するところがあったクロウは手を引いて自分の前に抱え込むようにしてベッドの端に座らせた。
「もしかしてぇーえっちなことに使ってたりすんのか?」
にやにやしながら耳元で囁くとリィンはびくりと体を震わせた。
耳まで赤くなっているから図星だったのと耳への刺激両方への反応だろう。
っ、それは、その」
「な、リィン」
抱き寄せた手でリィンの腹の辺りを優しく撫でながらあえて低く、甘い声で囁く。
「何に使ってんのか教えて?」
「っ、ぁ」
耳に唇を寄せて囁くとリィンはふる、と体を震わせて何か堪えるようにクロウの腕をきゅっと掴んだ。
そして諦めたようにため息をついておずおずと口を開いた。
その自分で、する時にクロウの匂いがしたらいいなって思ってハンカチとかに吹きかけて使ってみたんだけどやっぱり少し、匂いが違うな」
予想通りの可愛い理由に思わず抱き締める腕に力がこもる。
クロウの匂いをオカズに自分を慰めるリィンを想像してケダモノになりかけたが、クロウはできる限りリィンに対して「大人で余裕のある」自分を崩したくなかった。
もちろんその方がかっこいいと思ってもらえるだろうからだ。
んん、と小さく咳払いをしていつもの笑みを浮かべる。後ろにいるので見えていないだろうが。
「まぁそりゃオレがつけてる時は体臭と混ざって微妙に匂い変わるからな。てかんな理由なら言ってくれりゃ着たもの一式下着までプレゼントしたのによ♪」
「さっ、さすがにそれはどうかとというかなんだか背徳的な感じがするし
「そりゃ付き合ってもない相手のを使ったら背徳的だろうがオレとお前の仲なら別にいんじゃね」
「それはそうかもしれないけど
リィンは首を傾げて少し考えてから、もそりと動いてクロウの方へ向き直った。
そのまま甘えるように抱き着いてクロウの首元に鼻を寄せる。
「そんなことしたら、余計に本物が恋しくなりそうだ。少し違うくらいがちょうどいいよ」
「リィン
クロウは愛おしさをこめてリィンの体を更に抱き寄せた。
するとリィンはぴく、と体を硬くした。
……なんか腹の辺りに当たってるんだが」
「骨」
「そんなとこから当たるほど骨が突き出してたら心配なんだが」
「突き出しもするっつの!もーさすがに限界!始めていいデスか」
間近で正面から真顔で見つめるとリィンは照れたように赤くなって顔を伏せた。
「は、はい。どうぞ」
クロウは逸る気持ちを抑えつつ丁寧にそっとリィンをベッドに横たえさせた。
その上に覆いかぶさるようにして見下ろし、優しく頬を撫でる。
「愛してるぜ、リィン」
甘くそう告げるとリィンは目を瞠って、そしてふわりと顔を綻ばせた。
うん、俺も愛してるよ。クロウ」
ああ、オハナのオーラ出てんなぁ、と思いながらクロウはリィンに口づけた。
まぁハチミツはオレが全部いただくんだけどな。
そう心中に呟いて、クロウはにやりと笑った。

翌日、パステルカラーのオーラをはみ出させながら仕事に勤しむリィン教官の姿に当惑する新入生達の姿があった。
その肩を宥めるように叩きつつ上級生達はこういった。
「あれを見てようやく真の分校生なのだ」と