「You need a man who respects you. And if he cheats on you? Leave him. Promise me.」
「……?」
「Okay?」
「……い、イエース? オーケー…いやオーライ?」
「Stay strong. You’re a good baby……!」
「???」
「アハハ、ごめんごめん。けど、せっかくのアメリカだぜ?」
「……仕事、どうすんですか」
「俺のタスクは終わってるよ。あとはトガシくんが走るだけじゃん」
「…………」
「You’ll be fine, bro!」
うわ、ダル。そう声に出さずに吐き捨て、トガシはそのままバスルームに直行した。服を脱ぎ捨て、シャワーカーテンを乱暴に引いて蛇口を捻る。古い水栓がガコンッと唸ると、茶色の汚ねぇ水が飛び出してきた。最悪である。向こうからは「Aww, don’t be salty〜」とかなんとか軽薄な声が飛んできていたが、無視した。そもそもトガシは、英語がわからぬ。
「トガシくんの知ってる英語なんて、せいぜいパンとナイキとオンユアマークスくらいなもんだとばかり思ってたけどさァ」
「…………」
「日常会話もだんだんサマになってきたよね」
「あー……、Don’t gas me up」
「いやほんとほんと、普通に通じてるし」
「I’m built different」
「No way、そんなスラングどこで覚えてくんの?」