さかな
624文字
Public かきかけ
 

さいれんとじぇーど


深夜2時過ぎ
突然のノックで飛び起きる監督生
安アパートのドアは金属で、ガウンガウンとくぐもった硬い音が狭いワンルームいっぱいに響く
とりあえずフライパンを手に様子を伺う
微かな声

「ユウさん」

随分と頼りない揺らぎを感じるものだったが、それはつい先週喧嘩して破局を迎えたはずの恋人の声で
思わず耳をすませたとこに追撃のノック
ぐ、とうめき声を漏らせばまた「ユウさん」と吐息混じりの懇願じみた呼び声

「いま何時だと思ってます?」
……もう二度と会わないって言った」
「ねぇ、お酒飲んでるでしょ」

返事はガァン! と強いノックを一撃ずつ

「もう!酔っ払いと話すことはありません!」

諦め悪く玄関に張り付く怪物にこちらも負けじと怒鳴りつけて、ベッド脇のスマホを取りに戻る
こうなったら鴉に言いつけてやる
養父んとこの卒業生が襲撃してきたんだから高セキュリティ物件でも用意してくれても良いでしょ
寝起きだったからって、スマホじゃなくてフライパンを握って対峙してた自分の間抜けさ加減には溜息が出る
あの鴉はどうせ出ないから、まずアズール先輩に回収を頼むことにする

トゥルル……と電話をかける音に気が付いたのか、静かになったと思ったノック音がまた激しく鳴り響く

「うるさーい!!」

やめろと叫んでも鳴り止まないどころか、次第にぎいぎいと嫌な音がし始める
ついにはバギィン! と一際高い音が鳴り、一拍置いてからゆっくりとドアが開かれた