雨鶴
2026-06-17 21:56:58
875文字
Public 小話
 

私の名前は、中在家長次。猫である。

猫に転生した長次の話。

私の名前は、中在家長次。今から四百年程前、室町と呼ばれる時代に忍者として生きてきた。
しかし、今はなんの因果だろう。猫として生を受けている。六道輪廻と云うモノがあるから余り気にはしない。そして因果も廻るもので、この家は七松と云う。私が知るあの『七松家』だ。
子孫繁栄。豊かな事である。

「お兄ちゃん、エリザベスにご飯あげておいてね」
「分かった、分かった。気を付けてな」
「まとめて2日分とか、あげないでよ?」
「私、そこまでガサツじゃないぞ?」
「あとは「心配するな!旅行に遅れるぞ」
居間の定位置であるふかふかクッションの上で、主人たちのやり取りを長次は聞いていた。

全く。私だって猫の世話ぐらい出来る」
『なあ、エリザベス』と言ってやって来たのは、この家の長男だ。
ちなみに『エリザベス』と云うのは私の名前だ。れっきとした雄猫なのだが、この家の妹御たちにつけられた。
「おめめもブルーだし、ふわふわな長い亜麻色の毛並みってナンカもう、エリザベスってカンジじゃない?」
──と、云う理由で。
なので、この家での私の名前は中在家長次ではなく、エリザベス。

『なぅん』
返事をしてやれば、主人のひとりである長男は頭を撫でてきた。すると背中に顔を埋めてくる。猫吸いというやつだ。私から言わせてもらうと正直、くすぐったいし猫の毛を吸い込むから止めた方が良い。
「あー、ふかふか癒される」
しかし、今の私は猫なのでされるがままだ。ころり、とひっくり返され腹を吸われる。
『にゃう』
くすぐったさに抗議の声をあげると、長男が此方を向いた。
「なんだもう少し堪能させてくれてもいいではないか」
すう、と再び腹を吸われる。

「なあ、長次」

可笑しな因果は廻るものだ。

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呟いた事を小話にしたんですが、なんかいじくり回したら猫に転生した長次の話になりました(なんで?)
イメージとしては、ノルウェージャンフォレストキャットやラグドール。
この長男(小平太)も室町の記憶があって、本能的に猫を長次と見抜きました。