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ortensia
2026-06-16 01:14:01
2363文字
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傭リ
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現パロ?リを監禁しようとする傭が逆に「監禁ナメんな」ってリにダメ出しされる話(?)
監禁エンドではなく解放エンドです。
前々から思っていたのだ。
「
……
おまえは女癖が悪すぎるし、口は悪いし、それが事実だから余計タチが悪いし、なまじ才能があるせいで最悪だし、悪い事づくめだ。」
「で?」
「だがおまえを閉じ込めてしまえば、どこにも悪影響がない。」
相手はいまいち響いているのか分からない態度だった。だが兎に角、この男を、男と共同で使っているこの家に閉じ込める事にした。
「悪い子はここから出てはいけない、そういう事ですね。」
どうしてだかこの男はたまに物分かりがいい、よすぎる。それが不気味だったから、その手を一度ぎゅっと握った。男はやはり、緩く笑ってさえいて、何を考えているのか分からなかった。
この男は元々ここを仕事場兼用にしているが、通信での知人との遣り取りも一切禁止にした。この男は電話一本、メッセージ一通でも人を誑かしかねない。
「おまえもずっとここにいるんですよね?」
「え?いやおまえを閉じ込めてるんだから、おれはいつも通り仕事行くけど。」
「はあ?」
なんだか物凄い凄み方で咎められて、思わず肩が跳ねた。
「わたしを閉じ込めて、おまえもここで監視をしていなくては駄目です。おまえ、歓喜は遊びじゃないんですよ?」
監禁が遊びじゃないのはそうだが、それを言ってるのが監禁される側なのは、どうすればいいんだ。
「おれにどうしろってんだ。」
「おまえも仕事を休むんですよ。どうせわたしもおまえも蓄えはあるんですから、だから閉じ込めようだなんて言い出したんでしょう。」
凄い剣幕で言われて、暫く仕事を休む事にした。相手の言っている事も合っているし、逆らう口実はなかった。というかなんでこちら側が閉じ込められている相手に指図されているんだ。
「わたしがここを出ないのだから、おまえも出てはいけません。」
「けど、メシとかどうすんだよ、買い出しとか。」
「通販があるでしょう。」
にべもなく即答される。新鮮な食材でなくても健康食品が通販で買える時代だ。
更に、あろう事か相手はこうも言った。
「いいですか?一歩も外に出てはいけません。注文した食材は全てこの受け取り箱に入れてもらうようにし、おまえもこの箱は屋内の内側から開けるのです。ほら、玄関の壁に箱型の穴を開けて、箱を嵌め込むんです。箱は上と後ろから開くようにし、上からは配達員が蓋を開けて配達物を入れ、後ろからは家の中から開けられる蓋にするんです。」
流石、アイデア出しと制作に長けた芸術家である。口が二箇所ある箱を作り、防水ニスを塗り、バールで壁の下部を壊し、箱を嵌め込み、隙間にパテを塗り込む。
というかなんでこんなに道具が揃っているんだ。やっぱりこいつ、野放しにしては危険では。
こうして、一人の男を閉じ込めておくために、二人の男を一つの家に閉じ込める監禁生活が始まった。なんでだよ。
日々の生活は二人の休日が被った日のようだった。仕事の話や他人の話は出なかった。初めの頃はちらほらあったが、会わない相手や関わらない出来事に対しての話題など、どんどん考えに浮かばなくなる。
それで動画配信サービスに料金を支払って、一緒に映画を観たりしては、その話題で話をする。本の貸し借りをして感想を言い合っては、そういえばそんな内容があったなんて思い出す事もある。
届いた食事の感想を言い合ったり、チルド食品のライスに缶詰を混ぜて炒めたりした。どの缶詰でどう調理すると美味くなるかなど言い合っては、当たりを引いたり外れを引いたりした。
普段は掃除しないような所に、気合いを入れて手を出したりして、何処にしまったのだか忘れてしまったものを発掘したりした。それをまたしまった場所をどうせ忘れてしまうのだと言ったりして。大抵は知人から貰ったり偶然手に入ったものや、衝動買いしたけれど結局出番がないものだ。
あれ、意外と楽しんでしまっているのではないか。だってそうだ、二人で閉じ籠っていては、休日が被った日の屋内の過ごし方と変わらない。ただ外に出ないだけで、暮らしてしまえている。
「そうですよ?知りませんでした?」
上から目線のように言う男に対し反感が湧かないでもないが、確かにこの男は在宅で仕事をしている事が多い。それに、一々癇に障るのは、この男の元々の性悪な性格だ。
「でもお互いの人間以外に会っていない、外にも出てない。」
男は冷静に言う。
「分かってます?監禁って。する方のことをされる方はなんでも知ってなきゃいけない、禁忌に抵触しないように、規律に違反しないようにしなくちゃならないから。それでされる方は空っぽになる。規律が定めた監禁相手でしかなくなる。」
そうか、だから不自由なのか。不自由って、個人の人格がなくなるってことか。
冷めた態度で淡々と言う言葉の意味を、よくよく咀嚼した。
「
……
こんなことしてて、おれ達、もう人格がなくなっちまうのか?」
この監禁生活は、今じゃどっちが閉じ込めている側とか、立場に違いがなかった。
「それはどうでしょう?だっておまえ、わたしに惚れているのでしょう。」
思わず見開いた目が、男を捉えて離さない。
「わたしだって、それを知っているのですから。」
男が小首を傾げる。
「ね?ここに個人の人格がある。」
「そ、そうか。」
予想外の人格の証左を告げられ、視線を散らして動揺と照れを収める。
それでもう一度男を見ると、なんて事なく笑っているので、もう、この監禁生活の終わりも近いのかもしれない。
この男を野放しにしても、無理矢理閉じ込めておかなくても、もっと干渉的になって関わる付き合い方で、この男の悪癖をなんとかできるかもしれない。この監禁から解き放たれたら、別の生活が始まるのだろう、お互いに。
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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。
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