三毛田
2026-06-14 12:39:55
1071文字
Public 1000字7
 

88 【88/想い、全部、届け】

88日目
届いて!

 好きも嫌いも織り交ぜて。
 俺の中の想い、全部、お前に届けと。
「丹恒、好きだ!」
 言葉とともに飛びついた。はずだった。
「ぐへえ」
「すまない。急に飛びかかられたから、襲われるのかと」
 投げられた。一瞬何が起こったのかわからず、気づけば床に倒れ天井を見上げる羽目に。
「丹恒ってすごいなぁ」
「大丈夫か?」
「うん。お前が護衛だって、改めて感じた」
「そ、そうか」
 大の字になりながら口にしていると、ちょっと引いたような表情。
 泣いちゃいそう。ぴえん。
「うん。お前が手強いだろうなってことは思ってたから、気にしてないよ」
「何の話だ」
「ううん。丹恒は丹恒のままでいればいいって話」
 上半身を起こし、見上げる。
 恋愛ごとに疎そうな人だと思っていたので、そこまでダメージはない。多分。
「そうか。ただ、この部屋は狭いしものが多い。ああして飛びつくのはやめてくれ。お前が怪我をしたらと思うと、心臓がいくつあっても足りない」
 ベロブルグでのカカリアとの戦いを思い出したのか、胸元をおさえながら。
 あれはほぼ不可抗力だし、最終的に護の力を貰えたので結果オーライだと思うけど。
「ただでさえ、星核といういつ爆発してもおかしくないものを宿しているんだ。あれが爆発したら、お前という〝個〟が消えてしまうだろう」
 淡々と事実を告げてきたと思っていたら、今にも泣きそうな悲痛な表情に。
 あれ? 思っていたよりもこの人俺のこと好き?
「丹恒って、俺のこと好き?」
「それは、今の会話に関係あるのか」
 スッと表情を失くし、俺の顔を掴んでくる。
 おっとこれは、このまま手に力が入りそうだぞ。
「丹恒先生、お願いだから離して~」
「ならば、これからはふざけたた言動は控ええるように」
「はい」
 よろしい。と言いながら、手を離してくれた。怖かった。
 何故好きな人から命の危機を感じるんだ。あまりにも理不尽すぎるだろ。
「丹恒はさ」
「なんだ」
「俺のこと好きだよな。というか、列車のみんなのこと好きだよな」
 多分こう言うのが製菓いかな~。って思って告げたらじわじわと顔を赤くしていって。
 イヤイヤ。可愛すぎるだろ!
「丹恒、好きだ!」
 飛びついたら、今度は抵抗せずに受け入れてくれた。というか抵抗していない。
「き、穹?」
「丹恒、好き! 俺の全部を受け止めてくれ!」
「いや。流石に無理だ」
「ぐへぇ」
 ぐいっと拒絶するように顔を押され。首のあたりから変な音がしたんだけど、気のせいだろうか。
 というか、そう思いたい。