ゆべし
2026-06-13 19:49:18
4161文字
Public 銀色の夢
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神楽ちゃんと

gntk夢(今回はkgrちゃん回)
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さくらさくらさくらさくらさくら「お姉! こっちヨ〜!」
「神楽ちゃん、待って!」
 今日はお姉と買い物デート、銀ちゃんがたまには女子二人で楽しんできたら?ってお姉の背中を押してくれた。お姉が万事屋で寝泊まりするようになってから、あんまり出かけなくなったことをみんな気にしてたアル。だから、この前お弁当持ってきてくれた時は凄く嬉しかったヨ。まぁ、マヨとサドがいたのは銀ちゃんの逆鱗に触れてたけど、ワタシは良かったと思った。何かないほうがいいけど、何かあったら、次はホントに壊れちゃうかもしれないアル。
「神楽ちゃん」
「何アルかー?」
「今日はありがとう」
「別にいつも通りデショ? ワタシはお姉と買い物デートがしたかっただけアル」
「ふふっ、まずはどこに行くの?」
「まずは〜あそこアル!」
 ファッションの聖地、マルキュー。お姉は普段から和装だけど、ぜっっったい洋装も似合うアル。特に狙いはワンピース。出来れば、白と水色の淡い感じがいい。銀ちゃんから軍資金も貰ってるから、お姉にプレゼントするのが目的アル。
 でも、最初からプレゼントするって言ったら遠慮するから、ワタシが服を買いたいって名目で色んな服屋さんをぐるぐる回っていく。ふと目に入ったお店が凄くお洒落でお姉に似合いそうだと思って足を一歩踏み出した。
「そこのお店、入るの?」
「うん。なんだか素敵アル」
「でも、神楽ちゃんには大人っぽいような気がするけど」
「ワタシのことはどうでもいいヨ」
「え? でも、神楽ちゃんが探してるんじゃないの?」
「あ! あれ! あれがいいアル!」
「ちょ、神楽ちゃん!」
 そのお店の中に飾ってたあった白のワンピース、袖と裾の先にだけ水色のグラデーションが入っているやつ。絶対お姉に似合うし、これを着て銀ちゃんの隣を歩く二人の姿が思い浮かぶ。ちょっと着てみてほしいと、無理やりお姉を試着室に放り込んだ。
「お姉〜 着替えたアルかー?」
「う、うん」
「ホント?! 見せるアル!」
「わっ、ちょ、いきなり!」
 それを着たお姉は想像以上に可愛くて、綺麗だった。これだ、これしかない。周りにいた店員さんでさえ、惚けたため息を吐いていた。ちょっと派手じゃない?ってお姉は気にしてたけど、銀ちゃんの着物とお揃いアルナ!て言ったら照れながらも笑ってくれた。
……
「神楽ちゃん? どうし、」
「足りないアル……
「え?」
「せっかくお姉の気分転換にって、洋服プレゼントしたかったのに……絶対、このワンピースがいいアル! でも、」
「私のために服を選んでくれていたの?」
「へ? あっ!」
「ふふっ、全部声に出てたよ」
「いいい、今のは! 聞かなかったことにしてヨ!」
 それからワタシは事情を全部話した。今日はお姉に服をプレゼントしたかったこと、銀ちゃんとお揃いの服を探してたこと、それを来て喫茶店でパフェを食べたかったこと。お姉はワンピースの値札を確認したあと、店員さんに声をかけて何かお願いしていた。
 戻ってきた店員さんは何色かのストールを持っていた。薄いグレー、薄紅色、薄水色、白。何色がいいかな?ってお姉がワタシに聞いてくれた。グレーは銀ちゃんぽいから、水色は新八、じゃあ薄紅色は……
「どう?」
「似合うアル。お姉、なんだか妖精サンみたい」
「じゃあ、このストールをお言葉に甘えて神楽ちゃんに買ってもらおうかな」
「えっ?」
「ワンピースは私が……あ、店員さん。このワンピースとストールをください。着ていきたくて、脱いだものを袋に詰めてもらってもいいですか?」
「はい! 今、値札をお切りしますね」
「お、お姉! そのワンピース、凄い値段アル」
「私、色々我慢してきたから……たまには奮発するのもいいよね。それにせっかく神楽ちゃんが探して選んでくれたんだもの。これを着て、美味しいもの食べに行きたいな」
「〜〜〜っ! うん!」
 少しでも気晴らしになって、お姉の顔色が良くなるなら何でもよかった。でも、このワンピースを探しに来てよかったアル。選んだストールは薄紅色、ワタシの髪色と似ているやつ。嬉しそうに身を包んでるお姉は最近見た中で一番元気そうな顔をしていた。
 荷物はワタシが持って、そのままレストラン街へ向かう。お昼時、少し混んでたけど思ったよりも待たずに喫茶店へ入れた。ワタシはナポリタンにフルーツパフェ、お姉はイチゴパフェにアイスティー。ご飯食べなくてもいいアルか?て聞いたら、今はイチゴパフェでお腹いっぱいになりそうって。食べることは出来るようになってるけど、まだまだ以前のようにとはいかない。
「お姉」
「どうしたの?」
「お姉も万事屋に住もうヨ。一人の家に帰るより怖くないデショ?」
 銀ちゃんがこの話をした時、ワタシの心は揺れていた。お姉の生活に干渉しすぎるのはどうかなって本当に思ってたアル。でも、今日一緒にいて分かったことがアルヨ。男が隣を通るだけで少し肩が揺れていた。大きな音、笑い声に怯えてた。一人きりになるのは怖くて、ワタシの一歩を後ろを歩いてた。
 万事屋にいれば少なくとも完全にひとりじゃない。下の階にも見知った人がいるアル。どうしてもって時は真選組にお願いすることだってできるヨ。甘味屋までも遠くないし、お姉が怖い思いをしなくて済むのならそのほうがいいに決まってる。
「銀さんにも、言われたの。でも、大丈夫ですって断ったのよ」
「なんで? 何も気にすることないヨ!」
「私は、私の生活を簡単に手放すことが出来ないの。でも、泊まりにくる回数が多くなるかもしれないから……結局変わらないかもね」
……お姉の作るご飯、美味しいから大好きネ。いつでも待ってるアルヨ」
「ありがとう、神楽ちゃん。今日のデートも楽しかった。また一緒に出かけてくれる?」
「当たり前ネ! 今度はそよちゃんが教えてくれたハンバーグ食べに行こうヨ!」
「楽しみにしてる」
 話し込んじゃって、気づけば夕暮れ時になっていた。スーパーに寄って買い出ししている間、周りの人の目がお姉に釘付けだったアル。これは早めに帰ったほうがいいと思ってたら、スーパーを出ると銀ちゃんと新八が待っていたアル。
 帰り道、ワタシは新八と一緒に二人の前を歩く。お姉を見た銀ちゃんの顔はめちゃくちゃ面白かった。でも、笑い話にするのは今じゃないネ。しっかりしろヨ、お膳立てはこの神楽サマがしてやったアル。




 今日は女子二人で買い物デートだっつーから、ついて行かずに万事屋で落ち着かない時間を過ごした。途中、新八に『そんなに心配なら尾行でも何でもしたらよかったでしょう』と言われたが、それじゃあ息抜きにならねぇだろ。神楽が一緒だし、大丈夫だと言い聞かせてもジャンプを逆さまに持っていた。
 夕方が近づいてきて、いや、帰ってくるの遅くね?心配が増すと座っていられず家の中をウロウロしてたら、新八に呆れられて何も言われなくなった。居た堪れない気持ちになっていたら、迎えに行きましょうと助け舟を出されて、ようやく万事屋を出た。
 帰り道であろう通りを歩いていくと、スーパーの前にむさ苦しい人集りが出来ていた。嫌な予感がして覗いてみると、さくらと神楽の姿を見つけた。どうやら、神楽の企みは成功したらしく、さくらは出かけて行った時の和装から洋装に変わっていた。それがこの人集りの原因にもなっている。
 あまりにも可愛いすぎた。白地のワンピース、袖と裾に水色のグラデーション。まるで俺が着ているもんと揃いのようなデザインだ。ポカンとしているところ、新八がこの人集りを何とかしたほうがいいですよと声をかけてきた。確かに、その通りだ。
(人払い出来てよかったぜ。今のさくらにゃ、人に囲まれることも辛ぇだろーから)
「銀さん?」
(とは言え、歩いてるだけでも視線感じるな。見せもんじゃねぇぞ、コノヤロー)
「銀さん!」
「へ? あ、何? いや、なんかあったか?」
「聞きたいのはこっち。さっきから百面相してますよ」
「あ〜〜 悪ぃ」
……変、ですか?」
「何が?」
「何がって……この格好です!」
 変な訳がない。今すぐに抱きかかえて帰りたい。これ以上、他の野郎の目に入って欲しくない。でも、この気持ちをハッキリ伝えてることは今の俺にはできなくて……
「いんじゃね……似合ってる」
「そ、ですか」
 こんな時、気の利いた言葉のひとつもかけられなくなった。さくらとの関係が曖昧な頃は喜びそうな言葉を選んで声掛けできたのに。この手の中に入れちまったら、気安く言えない。傷つけるようなことは言っているつもりないのに、傷つけてしまいそうで怖い。
 隣を見ると、結い上げていたはずの髪の毛はワンピースに合わせて下ろしている。少し毛先にカールがかかって、歩くたびにフワフワと揺れる。風を受けてなびくワンピス姿はこの夕暮れに溶けてしまいそうなほど儚げに映った。
「! ぎん、さん」
「フワフワして、飛んで行っちまいそうだから
「はい」
「今度は、」
「?」
「俺にも選ばせてくれ。洋服、すげぇ似合ってるから」
「っ、ありがとう」
 照れた顔は夕暮れの橙に染められて、余計に色濃く見えた。繋いだ手を握りながら、その柔らかさに胸が締め付けられる。あの夜市から二人で出かけてないし、たまには団子屋の親父にも元気な姿見せてやらねぇとあとからどやされそうだ。
「ねぇ、新八」
「どうしたの、神楽ちゃん」
「お姉と銀ちゃん、いい感じアル」
「そうだね。さくらさんも大分落ち着いたみたでよかった」
「でも、人が多いところはまだ身構えてるヨ。今日も何度かあったネ」
「ん~~ それは、時間が解決してくれるのを待つしかないかもね」
「早く元気になってほしいアル~」


「明日、ちょっと出かけねぇか」
「はい、いいですよ」
「団子屋の親父も、心配してっと思うしさ」
「ありがとうございます」
「そのワンピース
「?」
「次、二人っきりで出かける時に着てほしい……なんて」
「ふふっ、もちろんですよ。お揃いですね」
「そ、そうさな」

「「甘酸っぱいな(アル)~~~」」