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望月 鏡翠
2026-06-13 17:29:09
1214文字
Public
日課
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#2117 植物園の骨11
#2117 植物園の骨11
完璧な家族というものはない。色々と不満がある。そういうものだ。
「権利書みたいな、公的書類の類はここにはおいてないんですが」
それは客人の手の届く場所においてあって良いものではないから、むしろ助かる。もし、全ての書類を纏めて渡されていたら、仕事を進める上では助かるが、一警察官としては管理人にご家族にしっかりと防犯上の指導をしてくださいとお願いするところだ。
「そちらは僕の仕事とは関わりがないので、ご家族で大切に持っておいてください。今回僕が知りたいのはあくまであの建物の来歴や歴史です。ああ
……
設計を担当した方のお名前がわかるものや、当時の設計図などあると助かるのですが、そういったものは、こちらに保管してありますか?」
積み上げられた段ボールは見るからに手付かずだった。
個人の持ち物など、すぐに使うものではないだろうし、なまじ家が広いのでおいておく余裕もある。引き上げてきたあと、そのままなのだろう。
「記録が残っていないことはないと思うんですが
……
。ちょっとわかりませんね。どこかにはあると思います」
「わかりました。探してみます。事前にお話しした通り、お借りしたものはこちらで写真を取って状態を記録し、借用の証明をさせていただきます。あのお屋敷に関係あるものかどうか判断できない場合は、お声かけさせていただくので、もしかするとお手間をかけてしまうかもしれませんが」
「はいはい。わかりました。まあ、使っているものもないので好きにみて行ってください」
「ありがとうございます」
埃除けのマスクをして、比叡は作業に取り掛かった。
すでに一人できたことを後悔し始めていた。百年の歴史の重みがこれだけだと思えば随分少ないが、それでもかなりの量がある。比叡が欲しいのは、情報が含まれている写真や設計図、日記といった紙の資料だけだ。
他のものも手がかりなるかもしれないが、今日全てを持っていくことはできない。流石に家宅捜索の温度感になってしまう。
箱の中を覗いて、古いトロフィーや表彰盾のような記念品の類や、インテリアの類、子供のおもちゃなどは避けていく。
何かしら印刷された紙が入っていると判断したものは、細かい内容を精査している余裕がないので、ひとまず持ち出しにした。
資料の山を運ぶだけでも、筋力では不安がある。
井伏に頼みこんで、一緒にコンサルタントの振りをしてもらったらよかっただろうか。仕事といえば、ある程度は融通がきく方ではあるが、今回のような誤魔化しは嫌がるかもしれない。
巩心も霊山も筋力的には問題がないが、あまり堅い職業についていそうな見た目ではない。そういう比叡はどうなのかといえば、詐欺師として通報されないかを心配しなければいけない外見をしているという自覚はある。
ただ、少なくとも人に威圧感を与える大きさではない。
きっと明日は筋肉痛だ。
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