三毛田
2026-06-12 21:16:43
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86 【86/雪うさぎと雪だるま】

86日目
結構可愛くできたと思う

「アンタ、何してるの」
 頭上から、呆れた声。見上げると、ゼーレがいた。
 少し遠くからフックの声もする。
「お前らこそ、なんで」
「ナタから頼まれごとされた、フックの引率。で、何作ってたのよ」
「雪だるまと、雪うさぎ!」
 ポケットに入れていた葉っぱとか木の実とかをくっつけて完成。
「可愛いだろ?」
「悪くないと思うわ。でも、雪だるまってもっと大きく作るものじゃない?」「チッチッチッ。わかってないな、ゼーレは」
「なんか腹立つわね」
 彼女は腰に手を当て、半眼で睨んでくる。
「これに入れて持ち帰るから、このサイズでいいんだよ」
 脇においていた箱を見せると、不思議そうな表情。
「なにそれ」
「クーラーボックスっていう、保冷機能のある箱だ。俺が作った物を見たいらしいのと、ヤリーロの雪を少し持ち帰ってきてくれって頼まれたからな」
「ああ。丹恒?」
「後、姫子も」
 うちの研究者たちは、けっこう無理難題をふっかけてくる。でも、それをこなすのが楽しいのだ。
「アンタたちって変わってるわね」
「ナナシビトはみんなそんな感じだぞ。ああ、そうだ。これ、あげる」
 袋を持った時点で砕けているのことに気づいたけど、そのままゼーレに渡す。
「ちょっと。粉々じゃない」
「ぴえん」
 怒られたので泣き真似したら、呆れられた。
「味は美味いから!」
「そういう問題じゃないでしょ」
「おっしゃる通りで」
 もう一度ポケットを探ると、今度は砕けていないものが出来てたのでそれと交換。
「ご迷惑をおかけしました」
「もう。でも、ありがとう」
「いえいえ。俺はこれ持って帰るから、お前らも気をつけて帰れよ」
「はいはい。ありがとう」
 使った雪が実は違う雪だるまと雪うさぎをクーラーボックスに入れ、列車に戻る。
「ただいまー。丹恒、これ、雪」
「おかえり。ありがとう。早速姫子さんと使おう」
「その前に」
「なんだ」
 ウキウキで客室車両へといこうとした丹恒を引き留め、頬を叩く。
 ついさっき知ったんだけど、今日は恋人の日だとか。
「ん。これで満足か」
「はい」
 なおざりに頬にキスされたけれど、文句を言ったらしばらくしてもらえないので大人しく頷く。
 研究に行き詰まれば、俺に構ってくれるのでそれまで大人しく待つしかない。
 そして、雪を渡して数日後。
「穹。抱きしめてくれ」
「良いよ。、ちょっと強めの方がいい?」
「ああ」
 案の定、俺のところに来て抱きしめてくれと両腕を広げ。
 なので、彼のお望みどおりに抱きしめる。うん可愛い。