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yoAi_mochii
2824文字
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狛日前提の松日
謎の愛島時空
仲間たちを目覚めさせるため、日向は何度も修学旅行を繰り返していた。しかし、狛枝を目覚めさせるために再びプログラムをリスタートした際、原因不明のバグが発生するお話
その影響で、日向だけが記憶を失ってしまった。
彼の記憶は希望ヶ峰学園時代まで巻き戻され、自分がただの予備学科生だった頃の状態に戻っていた。
当然、事情を知らない狛枝は容赦がない。
「予備学科ごときと友達になれるわけないでしょう」以前と変わらない、むしろより辛辣な言葉を向けられ、日向はただ困惑するしかない。
そもそも記憶を失った日向からすれば、自分がなぜ超高校級の生徒たちと一緒に南国の島で生活しているのか、その理由すら分からない。
ただ一つ理由もわからないまま「松田を探さなくてはならない」という使命感だけが強く残っている。
事情を把握した左右田は慌てて外部との連絡を取ろうとするが、日向と二人だけでプログラム内部にいる状況で突然発生したイレギュラーに対応するので精一杯だった。
今はとにかく状況を誤魔化しながら時間を稼ぐしかない。何より日向の状態は安定しているように見える。
一方の狛枝は、最初こそ予備学科としての日向を見下し、冷たく接する。しかし不思議なことに、日向を見るたび胸の奥がざわつく。
どこかで知っているような。本当はもっと近しい存在だったような。説明のつかない違和感だけが消えなかった。
他のクラスメイトたちが自然に日向と接している様子を眺めながら、一人だけ理由の分からない焦燥感を抱えている。
希望のカケラ集めのために無理やり日向と行動を共にしても、傷つくのはいつも日向ばかりだった。
それなのに日向は思ったほど落ち込まない。
狛枝に否定されても、予備学科と蔑まれても、まるで別の場所を見ているようだった。
何か揺るがない目標だけを頼りに進んでいるようだった。
その姿を見ているうちに、狛枝自身も理由の分からない感情に飲み込まれていく。
気になって仕方がない。けれどその正体が分からない。だから素直な言葉も出てこない。
当の日向本人はそんなことなど知る由もなく、心の中にカケラ集めることより「松田ってどこにいるんだ?」と一人で島中を歩き回っている。
そしてその様子を面白そうに見ていたモノクマが動く。
何度も病院周辺をうろつく日向を見て、モノクマはわざと彼を病院の奥へと誘導する。
向かった先は人影が見える。
そこにはプログラムの基盤コードの一部として潜伏していた松田が存在していて
――
。
ようやく松田を見つけた日向は、今回の繰り返しで誰にも見せたことのないほど安堵した表情を浮かべる。
ずっと探していた。理由も分からないまま、それだけを頼りに島中を歩き回っていた。
だから再会した瞬間、胸の奥に張り詰めていた何かがほどけるような感覚に襲われる。日向は珍しく嬉しそうな表情を浮かべる。
だが、そんな日向を見た松田は容赦しなかった。むしろ狛枝以上に辛辣だった。
情けない。考えが足りない。状況も理解できていない。俺に手間をかけさせねぇって、何度も言ってただろ。
次々と浴びせられる痛烈な言葉。傍から見れば、きっと狛枝の暴言と大差ないであろう。
普段の日向なら受け流していただろう。
実際、この島に来てから狛枝に何を言われても、日向は大して気にしていなかった。だが結果はまったく違った。
松田の言葉が胸の奥深くへ真っ直ぐ突き刺さった瞬間、日向の表情が崩れる。
反論しようとして言葉に詰まり、やがて目を伏せる。
そしてとうとう堪えきれなくなったように涙を零し、子供のように泣き出してしまった。
「そんな言い方しなくてもいいだろ
……
」
かすれた声でそう呟いた後、日向は感情のままに言葉を吐き出す。
松田がいなくなったら、自分はどうすればいいのか分からないこと。
ずっと松田を探していたこと。
そして、自分がどれだけ松田に依存しているかなんて、本人が一番よく知っているはずだということ。
その言葉を聞いた瞬間、松田の中で何かが引っかかる。
まるで何かを思い出ししかけたように表情がわずかに変わる。だが結局、松田はそれ以上追及しなかった。
その視線の意味を考えるうちに、日向は気付いてしまう。
彼の言葉の端々から、日向はある意志を感じ取っていた
――
彼は距離を置こうとしている。
それは拒絶ではない。むしろ逆だった。今この瞬間に身を委ねてしまえば、きっと二人とも戻れなくなる。だからこそ松田は、自分自身を律するように、一歩引こうとしているのだ。
「希望だの未来だのは好きにしろ。ただ、一つだけ確かなことがある」
松田は淡々と告げる。
「死んだ者は、もうステージには戻れない」
彼は興味なさそうに吐き捨てる。全てはもう終わっていること。
彼らは希望ではなく未来を選んだこと。このプログラム世界に留まる理由など、本当はもうないこと。その言葉は理屈としては正しいが、日向には納得できなかった。
「それを決めたのは、今の俺じゃないだろ」
記憶を失った今の日向にとって、それはどこか遠い誰かの決断だった。現実世界で生きている本来の日向創。仲間たちと未来を選んだ日向創。
その選択を否定するつもりはない。けれど、それは今ここにいる自分ではない。
今の自分にとって確かなのは、この場で松田と出会ったこと。
何度も繰り返された世界の中で、偶然なのか必然なのかも分からないまま巡り合ったこの出来事。言葉を交わし、時間を重ね、もう一度互いを知ったこと。
それら全てが、奇跡のように思えた。
だから日向は引かなかった。
むしろ松田が距離を取ろうとするほど、その背中を追いかける。
未来のためでも希望のためでもない。ただ、今ここにいる松田を手放したくなかったからだ。
その結果
――
日向は結局、その日の予定を全て放り出した。
夕食も忘れ、時間の感覚さえ曖昧になるほど長い夜を過ごした。
翌朝。日向は慌ててモーテルへ向かう。
寝不足で頭は重く、考えもまとまらない。それでもせめて身なりくらいは整えたい。できれば誰にも会わずに済ませたい一心。
しかし、そんな願いはあっさり打ち砕かれる。
モーテルの前で待っていたかのように現れたのは狛枝。しかも妙に機嫌がいい。
「おはよう、日向クン」
爽やかな笑顔が逆に恐ろしい。
もっとも、その違和感に日向は気付いていなかった。
いつもなら真っ先に口にされるはずの「予備学科」という呼び名が、なぜか消えていることに。
適当に切り上げようとしても、狛枝は次々と話題を投げてくる。
逃げようとすれば回り込まれ、話を逸らせばさらに深掘りされる。ただでさえ寝不足で頭が回らないというのに。
身体に残る得体の知れない違和感に耐えながら、日向は曖昧な相槌を返すしかなかった。
一方その頃。
なかなか戻ってこない日向を不審に思った松田も様子を見に来ていた。
そしてモーテルの部屋前で鉢合わせる三人。
困惑する日向。
意味深に微笑む狛枝。
露骨に機嫌の悪い松田。
わずか数秒の沈黙の後、先に口を開いたのは
――
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