イヌノカニ
2026-06-10 20:32:12
7956文字
Public
 

【創作BL】ベータ→後天オメガ。幼馴染三人による暗い話

好き嫌いが分かれる話かと思います。
今まであげたアイディアの中でも、特にぐちゃぐちゃなので、読みにくいかもしれません。

2
ある日、急にオメガになった。
風邪を引いたのかと思って病院に行ったら、まさかの診断結果で思わず何度も医者に確認してしまった。

「学校の検査ではβだった」
「そんな急に変わることはあるのか」
「今まで普通に」

そんな言葉を繰り返すが、医師は結果は結果だからとピシャリと言いのける。

「稀にあるんですよ。身近な人にアルファはいませんか?稀にフェロモンを浴びると影響が出てオメガに変わることがあります」
「い、います!幼馴染がアルファです!」

俺には幼馴染が二人いる。
一人はアルファで、ザ・アルファといった感じに文武両道。成績は常に上位で、見た目も良し。
もう一人はオメガで、こっちもザ・オメガといった感じで華奢で可愛いらしい見た目をしている。アルファと同じ大学に行きたいと猛勉強をしているため、成績も良い。

二人は学校でお似合いのカップルと言われていた。
そこに紛れたオマケのベータだった俺。

アルファは関係を否定していたが、やはり二人は付き合っていたのかもしれない。オメガに向けて発したフェロモンに巻き込まれて、自分もオメガに……
なんて迷惑な奴らなんだ。

理由が何となく思い当たれば、急に納得して病院でガイドブックや薬やらを処方されて帰宅。

翌日、真っ先に相談したのはオメガだった。
登校途中、二人きりで歩いている時に軽く打ち明ける。内心は緊張していたが、笑いながら話さないと自分を保てなかった。親身になって相談に乗ってくれると思ったら、言われた言葉は……

「僕のアルファを奪うつもり!?」

切羽詰まったように、彼は悲鳴のような声を上げた。
違う、そんなつもりはない。
そう釈明しても、彼は聞く耳を持たずに、今まで聞いたことのない言葉遣いで罵ってくる。

「二人とも、どうしたの」

後ろからアルファが現れると、オメガは彼に抱きついた。彼は急に抱きつかれて驚いてよろめいた。

「いや、その……
「僕のだから!」
「分かってるよ」
「なに?何があったの」

何となく、彼にはオメガになったことが言い難かった。

「受け、僕らの間には秘密はナシでしょ」

それは小学生の頃、大喧嘩の末に決めた約束事だった。はあ、と溜息を吐いて覚悟を決める。

「実は、オメガになったんだ」

くしゃくしゃに丸めた診断結果と一緒に見せる。彼は驚いたような顔をしたが、すぐに嬉しそうに顔を綻ばせた。

「そっかあ、おめでとう」

その言葉に、何だか違和感を覚えた。
しかし、すぐにオメガが自分を睨み付けてきたので、すぐに忘れてしまった。



ベータからオメガになって、変わることは体の変化だけかと思っていた。自分の第二の性別が変わったことを打ち明けたのは幼馴染の二人だけだったが、関係がガラッと変わってしまった。

オメガは自分に嫌がらせを始めた。
顔を合わせれば、汚い言葉で罵ってくる。

自分が単純に嫌われただけなら、まだ言い返せるのだが、彼の様子は急にオメガになったら俺よりも焦燥していっている気がする。長年一緒にいた幼馴染だからこそ、彼の精神面が心配だった。今の自分では、彼の神経を逆撫でさせるだけなので、アルファにフォローしてもらいたいのに、彼は以前に増して自分にベッタリだった。

「オメガになったんだから心配」

どう考えても、もう一人のオメガの精神状態の方が心配なのに、俺を気にかける。
一緒に登校する時も車道側は歩かせてくれないし、なぜか毎日自分の首に擦り寄ってくる。「オメガは弱い立場にいるから、こうすれば守れるんだ」と平気だと言ってもやり続け、アルファのこういった態度を見る度に、オメガは顔を歪ませ俺を罵る。

うんざりだ。



高校三年生。もちろん進学をするつもりで準備をしていた。学部は違うから偏差値も異なるが、アルファとオメガと同じ大学を受験するつもりだった。

もし合格してしまったら、こんな毎日がまだまだ続くのか。そもそも、ベータの時に決めた進路のまま突き進んで良いのか。

自分も思ったよりも精神的にきていたらしく、勉強の手が止まってしまった。両親に正直に打ち明けると「焦って決めなくても良い」「今年、受験をしなくても一年かけてじっくり考えてみたらどうだ」と提案してくれた。

こうして、どこも受験をすることなく、一年間勉強を続けながら進路を決めていくことになった。

自分の話を聞くと、オメガはホッとしたような顔をして、アルファは相変わらずニコニコと笑っていた。

あっという間に高校を卒業し、二人は当時の予定通り、あの大学へ通うことになった。

俺は近所のコンビニでバイトをしながら勉強をしていく。これで解放される毎日が送れるかと思ったら、そんなことは無かった。

相変わらず、アルファは自分の元にやって来てベッタリ。
オメガはそんな状況を知っているので、自分の元へやって来て罵ってくる。つい先日はバイト途中なのに、怒鳴られて宥めるのに必死だった。

「俺じゃなくて、オメガを気にしてやってくれ」

何度目かの言葉に、アルファはキョトンとした顔して「なんで」と答えた。

「オメガが不安がってる」
「知らないよ」
「知らないって……、俺たち大切な幼馴染だろ」

またアルファは訳が分からないといったような顔をした。

「勝手にアレが付き纏っていただけでしょ」
「そんな言い方ないだろ!」

ずっと仲の良い三人組の幼馴染だと思っていたのに、そんな言い方をされて声を荒げる。

……受けは、ずっとオメガ、オメガ、だよね。本当、受けがアルファじゃなくて良かった」
「はあ?」
「こっちの話だよ」

話はそれっきり切り上げられてしまった。



高校を卒業したら解放されるかと思っていたが、日に日に悪化していっている気がする。夏になり模試で適当に選んだ大学は全て合格圏内だったが、どれも、しっくりとこなかった。

進路について考える余裕も、自分がどうしたいのかも、そんなことよりも、彼らから解放されたかった。

思い切って両親に少しの間、ここから離れたいとお願いしてみた。

……バイト代、受験のために貯めてたのに、ごめん。ちょっと、ちょっとだけで良いんだ、旅行とか、遠くに行って、考えたい」

せっかくなら思いっきり行きなさいと、ちょうど大学生のベータの従兄弟が夏休みに入るからと、一ヶ月間二人で貧乏旅行をすることになった。

寝袋と二日分の服を持って出掛ける。
彼と話しているうちに、ベータだった頃のように、楽しく過ごせた。

それも一週間だけ。
一週間後、自分たちの元にアルファが現れた。

「信じられない」

彼は冷たくそう言う。今日野宿する場所を調べていた所だった。俺の首についてるネックガードに指を入れて、グイッと引っ張る。噛み跡が無いか必死に見てくる。

「煩わしいと思ってたけど、これがあって良かったよ」

このネックガードは、オメガがくれた物だった。
自分がオメガになったと言った翌日。「絶対にアルファと番にならないで」そう言ってくれた物だ。

アルファはこのネックガードが気に食わないようで、ずっと「外したら」「鍵はどこにあるの」とネックガードについた南京錠のような部分を触りながら言っていた。受けはこの、を触られるという行為が苦手で、なんとなく恐怖心みたいなのを感じていた。

アルファは会ってしばらく経つと、いつものようなニコやかな顔になり、自分も夏休みに入ったから一緒に旅行がしたい。と言う。

おかしい。
どうして、この場に現れたんだろう。
どうして、両親でも知らないこの場所にいることが分かったんだろう。

従兄弟も受けの考えを察したのか、やんわりと断るが、アルファは決して譲らず、自分達に着いてきた。自分がお金を出すから、とりあえず野宿はやめようと提案されて、俺たちは久々にベッドで眠った。

翌朝、目が覚める頃には何があったのか分からないが、すっかり従兄弟とアルファは意気投合していて、三人で旅行することが決まった。

「それ、薬?飲まない方がいいよ。体に悪いんだって」
「ネックガードの鍵も持ってきてるよね、危ないし僕が預かっておくよ、どこにあるの?いい加減教えてよ」
「大丈夫、心配事はねアルファと番になれば全部解決するよ」

怖い。
さすがにもう、アルファが自分にしようとしている事が分かった。幼馴染のオメガがあんなに怒るのも無理はない。アルファは自分を番にするつもりだ。

オメガになってまだ半年しか経ってない。
受け入れる前に、一人の幼馴染から嫌われて、一人の幼馴染からはオメガであることを望まれる。

大丈夫だ。幼馴染の方が心配だと自分に言い聞かせてきたが、もう限界だ。
誰かに助けて欲しい。従兄弟はすっかりアルファと仲良さそうで番になることを進めてする。誰にも頼れない。

そんな時、スマホが鳴った。
幼馴染のオメガからだった。

「どこにいるの!?アルファと一緒にいるんでしょ!」

電話越しに聞こえてくる金切り声。
うんざりするのに、その声を聞くと涙が溢れてくる。

……助けて」
「受け?」
「助けて、……助けて」

まるで、壊れたオモチャのように助けてと同じ言葉を繰り返した。

彼は意外にも支離滅裂な自分の話を静かに聞いてくれて、場所を伝えると、夜中、ホテルの部屋は何が何でも一人で取ること、荷物も普段身につけているものも、財布もスマホさえも全て置いて、オメガが指定した待ち合わせ場所に来ることを指示した。

体調が悪いと言い訳を述べ、なんとか一人部屋にしてもらった。夜、心配だからと部屋にやって来ようとするアルファをどうにか説得して、部屋に戻ってもらった。従兄弟が意図せずにフォローしてくれたのも上手く転じたようだった。

そして、緊張しながらホテルを抜け出し、オメガとの待ち合わせ場所に行く。
俺の顔を見ると、オメガはそのまま腕を掴んで「こっち!」と走り出した。

「体、熱い。ちゃんと薬飲んでるの」
……、飲んでる、はず。でも」
「でも?」
「アルファが飲まない方が良いって、無視したけど……

歯切れ悪くそう言うと、オメガは足を早めた。
彼に連れて来られたのは、オメガ専用のホテルだった。

手際よく彼は手続きを進める。
本当ならオメガである証明が必要であるが、今の俺のように緊急性があるケースも珍しくないのだろう。彼が説明すると、慌ただしくホテルの人達が準備をしてくれた。

オメガと二人でホテルの部屋に入る。
彼は甲斐甲斐しく自分に世話を焼いてくれた。

「発情期、来てる。これから辛くなると思う。今まで薬飲んでたから、軽く済んでたと思うけれど、アイツ多分、薬すり替えてたかも」

ぼんやりとする頭で、どうしてアルファは自分にそんなことするんだろうと考えていた。

「番にさせる気だったのかも。さすがにまだ学生だし、ないと思うけど発情期だと子供も出来やすいし」

子供。そう言われてゾッとした。
まだオメガになったことを、きちんと受け入れられていなかったことも自覚する。将来どうなるか分からない。しかし今は、子供だなんて考えられなかった。

「アルファって、怖いね。運命だって簡単に変えられる。いいな、」

彼はポロポロと涙をこぼした。

「いいなあ、どうして忘れてたんだろう、ずっと、受けがアルファだったら良かったのに、思ってたんだ、でも、今は自分がアルファになりたい」

俺の後ろに行き、彼はネックガードの鍵部分に触れる。南京錠の横にあるカバーを外して暗証番号を入れていく。何が良いと聞かれて、三人が初めて行った思い出の遊園地の名前を、数字に無理矢理置き換えたものにしてもらったのだ。久々にネックガードが外れて、軽くなる首。彼はそこに優しく噛みついた。歯形も付かないくらいの弱さだった。

「何やってんだろ」

意識が朦朧としてきて、彼が何を言っているのか分からない。

「アイツだって、運命を無理矢理変えたんだ。僕らだって出来る。アルファだとか、オメガだとか、そんなの関係ない。運命に抗おう」

「二人で、アイツから逃げて、協力しあって生きよう」

――終わる頃に、迎えにくるから」

ドアが閉まる音だけが、遠くに聞こえた。

オメガがホテルから出てすぐに、アルファがオメガの両親と待ち構えていて、オメガの両親が彼を怒鳴り声を上げているだなんて、俺は知る由もなかった。



ようやくぼんやりと霧がかかったような感覚が終わると、発情期が終わったと認識できた。
オメガにお礼と、発情期が終わったことを連絡するが、返事は来ないまま、ずっとホテルにいても仕方ないので出ることにした。

受付でどうからオメガが支払いまでやってくれていたようで、鍵を返すだけですぐにチェックアウトが終わる。

ホテルを出ると、入り口のすぐそこに立っていたのはアルファだった。アルファはいつものようにニコリ笑って、俺を抱きしめる。

「一人で辛かったね。よく頑張ったね」

俺の頭を撫でながら言う。なんだか嫌な予感がして、そのまま聞く。

「オメガは……?」
「あぁ、アイツね。酷いよね、全くさ。でも安心して、彼の両親はちゃんと理解があったみたいで、もう俺たちの邪魔をしないって約束したから」
「邪魔ってなに……
「それから、おばさん達にも分かってもらえたよ。二人とも反省してた、オメガになった息子のことちゃんと分かってあげられてなかったって危険な目にあわせてしまった、幼馴染に嫌な目にあってたのに助けてあげられなかったて」
「嫌な目ってなに!?母さん達になに言ったの!?」
「誰が見ても、あれは異常だったでしょ、バイト先にまで怒鳴り込みにきて」

そう言われてハッと気づく。いつもなら注意でも間に入って仲裁でもしそうな彼が一切しなかったこと。おかしいと思うべきだった。きっと彼は、オメガの過剰な言動を周りに見せつけることで、彼に非難が行くように仕向けていた。

「違う、オメガは取り乱してただけで、俺を助けてくれたんだ……、違う、違うんだよ」
「そんなことないよ。アイツが現れたせいで、俺たちの関係が崩れた。だから俺は全部元に戻しただけだよ」
「それはどういう意味だ?」

彼はニコリと笑って「ここじゃあれだから、二人でゆっくり話せるところに行こうか」と言った。

連れて来られたのは、彼が大学で一人暮らしをしているというマンションだった。大学生にしては立派な部屋で、綺麗に整頓されている。
入ることに躊躇いが全く無かったとは言えないが、オメガとなってからも幼馴染として普通に部屋で二人きりで過ごてきたこと、発情期が終わったことやネックガードを付けていたことから何かあっても平気だろうと、彼の家にあがった。

「ゆっくり話すといっても、僕の中では本当に簡単な話なんだけどね。でも受けは忘れているから、そこから話さないといけないかな」
「忘れてる?」
「僕のこと、好きだったでしょ。でも、アイツが現れてその気持ちをなかった事にした。ことあるごとに、僕とアイツをくっつけようとしてた。それも全部、アルファとか、オメガとか、ベータとか、くだらない性別の括りのせいでしょう」

俺はアルファから目を逸らした。図星だった。
幼稚園生の頃、オメガと会う前、俺はアルファのことが好きだった。なんでも出来て、まるでヒーローみたいに助けに来てくれるのだ、好きにならない方がおかしい。彼はこの頃から間違えなくアルファだろうと周りから言われていた。

――だったら俺は、オメガがいい。

そうして、二人でいつまでも楽しく、幸せに暮らすのだ。そんな夢を描いていたが、オメガが現れた。

オメガは一目で周りと違う、特別な子なんだと気付いた。泣き虫で、頼りなかったけれど、キラキラと大きな目でどんな子よりも可愛かった。
彼を見て気付いた。自分は守られるタイプではない。そして彼を守るようなタイプでもない。

遠くから見た二人の姿が、妙にしっくりときた。
俺じゃない。
彼の隣に立つのは、きっとオメガみたいに可愛らしい子だ。

だったら俺は、せめて彼らの邪魔にならないように遠くに、でも一番近くにいよう。そう決めた。

オメガは泣き虫だったから、一生懸命励ましたし、アルファはそんなオメガを放っておいて遊びに誘ってくるから、必死に彼らの仲を取り持った。

オメガはオメガはこうでなくてはいけない。というのを、まるで母の真似をしているかのように語っていた。

「彼はきっとアルファだろうね、受けは、なんだろう、……アルファだと良いね」

診断結果が出る前、彼はよくそう言っていた。彼がそういうとアルファは「僕はなんでも良いよ」と答えていた。

診断結果が出て、ハッキリとアルファ、ベータ、オメガ、が分かると、俺が思ったことは「やっぱりな」だった。これでもう、自分の思い描く未来は、いずれ起こる必然になったとも思った。二人が結婚して、俺は友人として、遠くて近い場所にいる。

オメガは俺の診断結果を見た後、何も言わなかった。その代わり、彼は次の日からアルファに積極的に話しかけるようになった。

「オメガの幸せは、素敵なアルファと一緒になることなんだよ」

彼はそうよく言っていた。なんとなく、彼が苦しそうにも見えた。だから俺は変わらず遊びに誘ってくるアルファにオメガと過ごすように言っていた。

だから、変わってしまったのかもしれない。

「僕はなんでも良かったんだよ。アルファとかオメガとか、ベータとか、でも二人はやたらとこだわったよね。僕は受けがアルファでもオメガでも、ベータでも、番になるつもりだったけど、二人はそれを理由に簡単に好きな人と一緒になることを諦めた。信じられなかったよ。

そんなにこだわるならって、だから僕は受けの性別を変えた」

流石にもう分かっていたけれど、実際に口にされると衝撃的だった。

「アルファのフェロモンを浴び続けると、たまにベータでもオメガに変わるって聞いてね。良かったあ〜うまくいって。これで全部元通りだね。ちゃんと伝えてなかったけれど、僕は受けのことがずっと好きだよ。これで元通り。よかったよ」

……俺は、今も好きかと言われると、分からない」

「アイツのせいで、混乱してるんだね。大丈夫、すぐに思い出すよ」

その時、ブワッとアルファから甘い香りが一気に漂ってきた。フェロモンだ。

「ねぇ、甘い匂いする?」

クラクラして、上手く話せなくて口をパクパクと動かす。

「フェロモンが甘く感じるのはね、お互いの相性が良いからだよ。僕たちはきっと運命の番なんだ。運命なんてものはね、待ってても来ない。こうやって、掴むものなんだよ!」

ふらっと倒れ込みそうになったところを、アルファが抱き止めると、そのまま抱えてベッドまで俺を運んだ。

「発情期、一人にさせてごめんね。でももう誰にも邪魔させないから安心して、二人でやり直そう」

抵抗したいのに、今はもう目の前のアルファが欲しいと、本能が頭を支配している。

ネックガードに手を置かれた。
彼は南京錠の横にあるカバーをスライドさせて、パスワードを入力していく。

「これダミーだったなんて、やられたなあー、パスワードはっと、……本当、可愛いよね。こんな友情、存在しなかったのに」

ネックガードがガチャっと音を立てて、外れた。