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meru2408
2026-06-07 16:49:19
4421文字
Public
モンギル
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クラベル(クラウド×ベルナ)
最大級の幸せはもうすぐそこに
ーーーーーーーー
side:ベルナ
広い広い庭。私はゆっくりとあたりを見回した。人が何人か集まっている。その中に見知った人たちもいて、私に気づくと手を振ってくれたり駆け寄って「綺麗だね」と褒めてくれる。
「あまー、」
「あらあら、さすがねぇ~。よく分かったわね」
「
…
フランシス」
子供の声がする方向を見ると、少し離れたところに赤ちゃんを抱きかかえた友人を見つけた。
小走りで駆け寄る。
……
この衣装はちょっと走りにくいな。
「まぁ、上等なドレスが汚れちゃうわ。今日くらいお淑やかにしていたら~?」
「いつもお淑やかですー。ね、そう思うでしょ?」
「っきゃは」
フランシスに抱きかかえられた赤ちゃんを覗くとにぱっと笑われる。
「ほら見なさい?この子もお墨付きだわ」
「ふふふ、ママだからでしょう?大好きなママが来てくれたから笑ってるだけよ~」
「もうフランシスったら
…
」
きゃっきゃと笑うその幼子を見つめる。そっとその頬に触れる。もちもちしている。私を見るその黒曜の瞳がきらきらと私を見てはふにゃふにゃと笑っている。
……
やっぱりあいつにそっくり。髪は私の色に近いけど。
「
…
あ!いた!」
「
……
あら」
声のした方を振り向くとクラウドがこっちに向かってきていた。いつもの服装じゃなく、正装した姿で。
「もーベルナはあっちこっちはしゃぎまわってー
…
」
「誰を子供扱いしてるのよ。もう大人なんだから」
「ふふ、クラウドも大人になってきたわねぇ~」
「どこがよ」
「当たり前じゃん!
…
そりゃ、大人にもなるよ」
どこか気恥ずかしそうに赤ちゃんを見るクラウド。
「泣いてなかったか?」
「ええ。ママを見つけた時からずっと上機嫌よ~」
「えっ俺は?」
「顔を見せてあげたら~?」
そう言ってフランシスはクラウドが見やすいように赤ちゃんを側に寄せた。
「はぁー
…
いつも思うけど赤ちゃんってなんでこんなに可愛いんだろ
…
」
「ベルナが産んだから余計にそう思うんじゃないかしら~」
「はっ!それは確かに!」
「こらまた変なことを吹き込む!」
「んきゃっ」
クラウドが赤ちゃんを覗き込み、フランシスが茶化し私が呆れ、赤子は笑う。そんな幸せな瞬間が今ここにはあった。
「
…
ぁぱ、」
「
…
えっ今パパって言った!?ねえパパって言ったよね?!」
「うるさいわねそんな大声出したら泣くでしょうが」
「だって絶対パパって言ったよ!ベルナも聞こえただろ?!」
「
……
たまに言ってるけど」
「
………
えっ!?」
クラウドが嬉しそうに赤ちゃんの手に触れる。泣きそうな、それでいて幸せそうな顔で。
「
…
抱っこしてもいい?」
「ダメよもうすぐ式があるんだから。というか服がよれるからやめてちょうだい。なんのためにフランシスに抱っこしてもらってるのよ」
「えぇぇー
……
」
「えーじゃない。ほら早く準備しに行くわよ」
「ふふふ、行ってらっしゃい~」
フランシスに見送られ、私たちは歩き出す。
「
…
ベルナ、歩きにくくない?」
「
…
ちょっとね」
「ほら」
「え?」
「
…
エスコート、するから」
腕を差し出され、私は迷うことなくその腕に自分の腕を絡めた。
「ふふ、あなたもこういう時はちゃんとするのね」
「そりゃそうだろ
…
」
まだ気恥ずかしそうにしているクラウドは、私の歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
「
…
あんた結構さまになってるわね」
クラウドの正装は正直言っていつもの何倍もかっこよかった。
…
いつもの服でもかっこいいけど。
「ベルナも綺麗だよ。今までで一番」
いつもの常套句。だけどこの時だけは特別に嬉しさが舞い上がる。
「今までってことは今まではそんなに綺麗じゃなかったってことかしら?」
「もーまたそんなこと言って
…
」
「ふふふ、冗談よ」
くふくふと笑う。隣のクラウドは呆れている。
「はぁ
……
永遠の愛を誓うのはまだ早いってこと?」
「なわけないじゃないの。ちゃんと神父の前で誓ってよ?」
「分かってるって」
そんな意地悪なことを言うクラウドを小突く。ふと、その足が立ち止まる。
「
…
?ちょっと、早く歩いて」
「
…
ベルナ」
私に向き直り、真面目な顔をする。
「何よ
…
」
「
………
絶対、幸せにするから!」
そう言って神父の前より先にキスをしてくる。
「んっ
……
は、ちょっと!ちゃんと式の時にやってってば!気が早い!」
「なんか今やらなきゃいけない気がして
…
」
「バカじゃないの」
ほら周りの人が何事か見てくるじゃないの。
「
…
へへ、結婚したら、正式に夫婦だな」
「
……
当たり前でしょ。ほら早く急がなきゃ」
「うん!」
そう言って再び歩き出す。幸せのバージンロードはもうすぐだった。
ーーーーーーーー
side:クラウド
「んぁ
………
?」
カーテンの隙間から差し込んでくる光で目が覚める。
「んー
…
なんじ
……
」
のそのそと起き上がり、時刻を見る。7時半だ。
「あー
……
なんかいい夢見た気がするような
……
」
さっきまでの夢を思い出そうとする。だけどすぐ記憶から消されてしまい思い出すことができない。
「
……
んぅ
……
、」
隣からくぐもった声が聞こえる。
「
…
ベルナ、起きた?」
「
………
」
まだ夢の中のようだった。体をくの字にして爆睡中。
「
…
先に着替えよ」
まだ覚醒しない頭を強引に振り、ベッドから降りる。
…
今日は俺が早起きか。
のたのた歩いて私物置き場に行く。ベルナが畳んでくれていた服を掴み、着替えだす。ベルナは掃除する時に、時々こうやって俺の服を綺麗に畳んでおいてくれる時がある。
「はぁー
…
眠
…
」
一人でもそもそ着替えていると、
「
……
んふふ
……
」
「ベルナ?起きたの?」
ベッドの上から笑い声が聞こえてきた。起きて俺の行動を観察しながら笑っていたのだろうかと思い、覗き込む。
「
………
」
すうすうと眠っている。寝言だったようだ。にしてもふにゃふにゃしながら寝ている。よほどいい夢を見ているのだろうか。
「
……
いい夢見れてるのか」
この前二度もえげつない夢を見させられているベルナ。あまりにも可哀想なくらい縮こまり、俺に泣きついてきたのは絶対忘れない。
でも今回は大丈夫なようだ。
着替えの続きを再開し、櫛で髪を梳き、鞄の中を整理する。手帳とペンを持ってテーブルに行き、ぽいと置いた。
キッチンで顔を洗い(ここの宿屋には風呂場が別なため、部屋にはもちろん脱衣場と顔洗い場がない)、
簡単に朝食の準備をする。食堂でも食べれるけど、今日はなんだか部屋で食べたい気分だ。ベルナはどうか知らないけど。
そうやってしばらく部屋をうろうろしていると、ベッドの上の体がもぞもぞ動き出した。
ーーーーーーーー
side:ベルナ
ぱたぱたと足音がする。うっすらと目を開けると眩しい光が差し込んできて思わず唸った。
「
…
うーん
……
」
「おはよう、起きたね?」
「
……
クラウド?」
横になったまま幼馴染の名前を呼ぶ。
……
さっきまで私は綺麗なドレスを着ていて正装したクラウドとチャペルを歩いていた。
「おーい、俺はこっち」
「んー
……
」
声のする方へもったりと寝返りを打つ。私を覗き込んだ顔と目が合う。
「
……
おはよう。今日は早いのね」
「そうだな。今回はベルナがお寝坊さんだ」
「
……
そうね」
そう言ってキッチンの方に向かうクラウド。いつもの服を着ている。
私は起き上がり、さっきの夢を思い出す。
「
………
」
あれは紛れもなく私とクラウドが結婚する夢だった。しかも、
「
………
こども
……
」
既に子供まで出来ていた。
「なんか言った?」
「なんにも」
私の呟きをすぐ拾ってくるクラウドにそっけなく返事をする。そいつは気にした様子もなく朝ご飯の準備をしている。
顔が熱くなる。口元が緩んでくる。悪夢はもう見たくないし、なんならいい夢が見たいとも思っていたけど。
……
まさかあんな。
「うぅー
……
」
両頬を手で抑えながら唸る。
「え?大丈夫?」
心配したクラウドは手を止めこっちに向かってくる。やめて。私の顔を見ないで。
たまらずそっぽを向くと、ぐいと正面を向かされる。両頬に、私の手に被さるように両手で。
「顔赤いよ?」
「
……
大丈夫だから」
クラウドの顔を見れなくて目だけ明後日の方向へ向ける。じとりとした視線が突き刺さる。
「大丈夫って言う時はだいたい大丈夫じゃないんだよなぁ
…
?」
「ほんとに大丈夫なんだってば!」
そう言ってクラウドの手を払いのける。
「
…
さっきまでの夢を思い出してただけ!」
「
……
夢?まさかまた、」
訝しむクラウドに私は付け足す。
「
……
夕べはいい夢だったの」
またそっぽを向く。あんないい夢
………
現実になればいいのに。
「
……
やっぱり?」
「え?」
「さっき寝てる時めちゃめちゃ可愛い顔で笑ってたよ?」
「
………
っ!」
…
まさか寝言も言ってたとか?!というか人の寝顔をジロジロ見ないでほしい。
「え
……
寝言言ってた?私
…
?」
「寝言は言ってなかったなぁ
……
さも幸せそうな顔ではあったけど」
よ、良かった
……
結婚だの子供だの、そんな言葉をこいつに聞かれてしまったら。
…
いや別に聞かれてもどうということはないんだろうけど。
「んで?どんな夢見てたの?」
「
……
教えない。ほらさっさとご飯作って」
「えー?教えてよぉ」
「わっ、こらちょっと!」
ベッドに上がり込み、私を抱きすくめるクラウド。思い切り頬ずりされる。
「離れて!着替えたいんだから!」
「いーやーだ。どんな夢だったのか教えてもらうまで離さない」
……
こいつ。
更に顔が熱くなる。こいつと
……
結婚
……
したら、夫婦に
………
。
「そんな大した夢じゃないってば!もう忘れたし!」
「えー?さっき思い出してるって言ってたじゃん」
さっきの自分を引っぱたいてやりたい。あんなこと言うんじゃなかった。寝起きの頭ではなかなか思考回路が定まらないらしい。
「ねーねーどんな夢見た、
………
ん、」
「
……
んっ、ぷは、ほらおはようの挨拶したからご飯作って!」
「うぇー
…
ベルナのけち
……
」
その止まらない我儘な口に噛みつき黙らせてやる。するとやっと体を解放してくれ、すごすごとキッチンに戻るクラウド。
「はぁ
……
もう
……
」
まだ頬が緩んでいる。気をしっかり保つためにふるふると首を振り、着替えの準備をする。
「ベルナ
―
、スープ飲みたい?」
「
…
飲みたい!」
「はい了解ー」
早起きしたクラウドが朝食を作ってくれ、私はベッド横で着替える。そんなささやかな朝も私にとってはさっきの夢と同じくらい幸せなことだった。
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