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雨鶴
2026-06-07 12:17:40
909文字
Public
小話
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青梅(ほんのり雑長気味?)
雑渡さんが長次に興味を持つきっかけ。
当宅のちょじは、毒に強い。
初夏。毎年の事だが、忍装束の中に包帯を巻いていると蒸れて仕方ない。
しかし合縁奇縁。戦場で知り合った忍術学園の保健委員長の青年が、年の割に薬理に長けていた。
『良い薬がありますよ。良かったら学園までどうぞ』と言われ、お言葉に甘えたタソガレドキ忍軍忍頭、雑渡昆奈門は忍術学園の近くの木へ身を潜めていた。
(
…
面倒な事務員さんに見つかるのも嫌だしねェ)
少し時間を潰してから行くべきか、と視線を巡らせていると見知った色の忍装束が雑渡の視界に入った。
「あれは
…
伊作くんと同期の
…
」
その両頬に傷を持つ青年は青梅を拾っていた。
(梅干しでも作るのかな)
手に持ったザルにはたくさんの青梅が入っている。拾い上げて傷が無いか、確認しては籠に入れていく。
「うん
…
?」
雑渡は目を細める。
(あの子さっきから梅、食べてない?)
どうやら青年は拾い上げた際に、傷があった梅を口に運んでいる。青梅は猛毒だ。それを進んで口にするなんて。
(面白いコだなぁ)
「
……
」
木々が大きく揺れたと同時に、長次の正面へ大きな影が落ちた。影はゆらり、と人の形を造る。
「こんにちは」
「
…
伊作なら医務室です」
顔色ひとつ変えずに自分と向き合う長次に、雑渡はますます興味を引く。
「中在家くんだっけ?君、さっきから青梅食べてるでしょ」
「
…
お気になさらず」
「ふぅん。気になるね」
「青梅は毒ですよ
…
」
先程まで、その《毒》を口にしていた唇へ雑渡は指を掛ける。
「でも、青梅は熟すと食べれるでしょ?君はどうかな」
すると、長次の口端が少しだけ上がった。
「
……
毒は年月を掛けただけ、凶器になります」
言い終えればやんわりと、雑渡の指を退けた。
そしてもう一度。
「伊作なら、医務室に居ます
…
」
そう、言って長次は一礼してその場を去って行く。
「面白い子だ
…
本当に」
そう言って雑渡は落ちていた青梅を口に含む。
(伊作くんに内緒で、あの子と色々お話したいねぇ)
噛み潰した青梅の苦さに、雑渡は笑みを浮かべた。
………………………………
雑長も好きです。ええ。好物です。
pixivの小話まとめへ先に収録していたのを、忘れていました。
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