三毛田
2026-06-07 12:13:00
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81 【81/精一杯の勇気】

81日目
君に心を伝える

 ああ、好きだ。
 その気持ちに気づいたのは、些細なことがきっかけ。
「丹恒」
「どうした。何か急用が?」
「ううん。アーカイブ読みに来た」
「言ってくれれば、お前の端末に転送しておくが」
「お前がいる空間で読むのに、意味があるんだ」
 何を言ってるんだこいつは。という表情をされたけど、丹恒が端末をいじっていると聞こえてくる機械音が好き。
 作業している横顔も好きだし。
 アーカイブを読んでいても、集中できない時があるのは事実。
「なあなあ、丹恒。この単語の意味がわからないんだけど」
「ああ、それはな」
 こうして、自分じゃ理解できないことが出てきたらすぐに聞くことが出来るのも、一緒に過ごすメリット。
 ただ、忙しいと関連資料を渡されるだけだけど。まあ、それでもちょっとだけ構ってもらえているんだから俺としては気分が上がる。
「丹恒、好き」
 暇があればアーカイブに行くようになったある日。
 精一杯の勇気を、その一言に込めて。
 丹恒は手を止めて。ゆっくり振り返った瞳には驚愕が広がっている。
「それは、どういう」
「丹恒。お前は多分、仲間としての好きだと思ってるだろ? でも、違う」
……
 そっと丹恒の手を取ると、肩を震わせて俺を見つめて。
「好き」
 ジッと見つめると、逸らされてしまう。
「丹恒」
 名前を呼んだ声は、震えていて。緊張と、断られてしまったらという恐怖。
「少し、気持ちの整理をさせてくれ」
「はい」
 資料室から追い出されてしまった。
「アンタ、丹恒でも怒らせた?」
「怒らせてません」
 廊下で座り込んでいたら、なのに呆れたように言われた。別に怒らせてませんけど?
「ふうん。パムが新作おやつ作ったから、試食してくれって」
「行く!」
 なのと二人、パムの元へ。
「ん~。サクサクのパイ生地が最高!」
「間のクリームもいいね」
「コーヒーでも紅茶でも、どっちでも美味しいわ」
 コーヒーを飲んでいた姫子も一緒に試食中。
 俺たちの感想に、パムはニッコニコだ。
「丹恒でも食べられそう。渡してきてもいい?」
「よいぞ」
 と言われたので、さっきの今だけど資料室へ。
「丹恒。今日のおやつ……どうしたんだ?」
 振り返った彼の顔は真っ赤で。
 あ。
 こ、これは期待してもいいということで!?
 だ、だって。あのクールであまり表情の変わらない丹恒が、取り乱してるんだよ!?
 おやつの乗った皿をテーブルに置き、抱きしめる。
 見たいけれど、見たくないから。見せたくないから。
「穹、放してくれ……
「やだ。離さない」