だから、あの家で何が起こったのかというのは、警察の人から聞いた以上のことは知らないんです。こんなことになるなら、防犯カメラでもつけておけばよかったと思っていますよ。
あの家で、もし、何かが見つかったら、その、事故物件ということになってしまうんでしょうか。大丈夫そうですか?
あ、まだわからないですよね。そうですね。でも、警察の人が入ったときに何もみつからなかったんだから大丈夫ですよね。
ええと、はい。大叔父の死因ですか? 大腸ガンでした。大叔母は脳卒中でお風呂場で倒れていたところを、通いのヘルパーさんが見つけてくれました。
私たちの祖父はコロナのときに肺炎を拗らせて、祖母も治りはしたんですが体力が戻らなくて、その年の夏の暑さでやられてしまいました。
両親ですか? 元気ですよ。父親なんてまだ仕事しています。
ああ、私たちが相続した理由ですね。元気と言っても歳は歳ですし、もう土地なんてものは若い世代につけといた方が、何度も相続税を払わなくて済む。そうでしょう?
今回の件で相続手続の面倒さを嫌って言うほど思い知らされたので、両親の遺産も生前贈与で少しずつ移動して……て、どうでもいいですね、この辺の話は刑事さんには。
ともあれ、私の身内は基本的には元気です。年相応のガタが来ているし、病気や交通事故で亡くなった親族がいないわけではないですけど、あの屋敷で妙な死人が出たとか行方不明があったとかはありません。
聞きたいのってたぶんそういうことでしょう?
今まで変なことが起こったという話は、聞いたことがないんです。
私も私の親族も、あの屋敷については詳しくありません。
ずっと大叔父たちの持ち物でしたから。
当時の記録をご覧になりたいのであれば、彼らの持ち物や書類は今実家にあると思います。マンションを整理したときに、ひとまずあっちに移動しましたから。
あそこはお祖父ちゃんの家だったので、子供のときの記録とか、それ以前なんかも、もしかするとあるかもしれません。
屋敷にはあんまり本とかなかったでしょう?
そうなんです。住んではいなかったので、大事な書類とか個人的なものとかは、置いていなかったようです。
書斎にちょっと本があって、行ったときに困らない程度の生活用品があるくらいじゃないかな。
日記とかアルバムとかは、全部実家です。
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