ortensia
2026-06-07 01:41:50
762文字
Public 傭リ
 

謎時空の旅人っぽい傭リ。貧民(モブの大人子供)が出て来る。

アナタは変わってしまったのね!とか、よくあるけど、それともどんなに変わっても一緒に居るか、って話。もうワタシの愛したアナタじゃないのね!とか、知らねえよって感じ。

 薄暗い道をゆく二人の男。暗いのは天候のことではない、貧しく澱んだ空気のことだ。
 ぐったりと寄り掛かった子供が見える。男の片方は背が高いから余計に。そしてそこから隣の小男を見下ろした。
 思い出す。以前にもこのような場面があった。小男は子供の前にゆき、食料を一袋置いて行った。
 その後子供どころか大人にまで集られて、結局男は大人を殴るはめになった。弱々しく貧しい人間を、それより遥かに頑強な男が殴って再起不能にしたのだ。
 その後二人走ってその場を逃げて、結局食料全部その場に置いて行った上、走って疲れたのに、背の高い細身の男は、小男を怒らなかった。殴った男の方が傷付いたような顔をしていた被害者面にも。
 こんな場所は他にもある。こんな子供も、大人も、他にもいる。
「おや、子供が落ちていますよ。助けてあげますか?」
「助ける?何を以って?」
……そうですねえ、食べ物を分けてあげるとか?」
「そんな驕れる程こっちだって有り余ってねえだろ。それに。」
 くだんの子供がふらりと近付いてきて、荷物に手を掛けてきた。
「助かりたきゃ、自ずと奪いに来る。」
 荷物を持った小男が、ごく軽い動作で子供を除けると、ぐしゃりと地べたに転んだ。小男は、それを見下げて溜め息を落とすと、一袋の食料もその場に落とした。
「行くぞ。」
「はいはい。ではご機嫌よう、幼い方。」
 そして男二人はその場を立ち去ったが、子供は素早く起き上がると、落とされた食料を拾って、何処ぞへ駆けて行った。
「おまえ変わりましたねえ。」
……だったらなんだ?」
「いいえ。ただ、それだけです。」
……前の方が良かったとか、悪いとか、無いと?」
「無いですねえ。」
 細身の男はゆったりとそう言い、それきりどちらも黙った。ただ足音だけが、男二人分。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。