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ayashigure
2026-06-07 00:12:12
7776文字
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いつかその手を4
モブエン前提のオメガバルカエン4話目です。
ファルカに背負われて目を覚ましたローエンはその場でファルカへとダガーを突きつける。
どうしようもなく自分の手であのαを殺したいローエンと、どうしてもローエンにαを殺させるわけにはいかないファルカ。
決してお互い譲ることのできない二人はお互いの感情をぶつけ合うことになる。
ローエンのダガーについて捏造、ギスギスした二人などがあります。ご注意ください。
温かい海に揺られている夢を見た。
そこでは何かを警戒する必要はなく、ただ安心しきって目を閉じていればいい。ただそれだけの場所でローエンはゆるりと微笑みながらその水面に揺られていた。まるでファルカのコートに包まれて眠ったときのようだ。そう考えてローエンの思考はやっと夢うつつの狭間から動き出す。その場所はファルカの気配と匂いがすると思ったからだ。
一瞬で意識が浮上して、ローエンはほとんど反射的に自分を支えているファルカの首筋へとダガーを突きつけた。目を覚まして冷静に状況を見てみれば、ローエンはファルカに背負われて拠点としている西風の砦に向かっているところのようだ。だが、今そんなことはどうでもいい。ここから引き返さなくてはならない。
「やっと起きたか?」
ファルカは、自身の首筋にダガーが突きつけられていることも気にせずそう告げる。寝起きのローエンは野生の獣だ。むやみに近付けば手痛い目に遭い、引くタイミングを誤れば怪我をする。これでも入団当初からすれば大分マシになった方だ。以前は人の気配があるところで熟睡することなどなかったし、まして無防備な姿を晒すことだってなかった。そんなローエンがファルカのコートに包まったまま眠ったり、背負われても目を覚ますことなく眠り続けることが異常事態なのだ。
以前は誰かがいる所で眠るなどできはしなかった。それなのに、状況が状況だったとは言えこんな姿を晒すなど─ローエンは平静を装いながら自分の中から焦りが湧き上がってくるのを感じる。いつから自分は安穏に身を委ねるようになってしまったのだろうか。
それは危機感から来る焦りと疑問だった。そしてそれを糧に冷たい殺意を更に磨き上げていく。
「
……
離せ、ファルカ」
「ダメだな。今離したらお前はあいつを探しに行くだろ」
さもなければ急所を裂くとばかりに向けられた殺意にファルカは動じることもなく、それどころか慣れたように軽い調子で言葉を返した。騎士団に入団して間もなく副隊長に任命されたローエンへと贈られたダガー。ファルカから贈られたそれを今ローエンはファルカに向けている。まるで誂えられたかのように手に馴染むそれは、戦闘に役立つという意味でも、ファルカから贈られた物であるという意味でもローエンのお気に入りだ。
どうして今それを贈ってくれた本人に向けなければならないのか。そう思うだけでローエンの胸に痛みが過る。それでも行かなければならない。自分で決着をつけたい。つけなければならない。
「自分の不始末は自分でつける。邪魔するな」
確かな殺意だけが低く唇を震わせた。ローエンにとってあのαの男と、彼にされたことは自分の弱さの象徴だ。弱い自分。弱かった自分。抵抗もできずにただされるがままに喰らわれる憐れな獲物。あの頃よりは格段に力をつけ、神の目を手に入れ、ローエンは強くなったはずだった。だが、あの男に再び声をかけられた時に湧き上がってきたのは拭いきれない恐怖だったのだ。
だからローエンは自分の手でケリをつけてその過去と決別しなければならない。そうしなくては前に進めない気がした。
(なのに、どうして
……
よりによってお前がそれを邪魔をするんだよ
……
)
ローエンはファルカの首筋にダガーを突きつけたままひっそりと唇を噛みしめる。ファルカには自分の味方であり理解者でいてほしかった。せめて、ファルカだけはそうであってほしかった。だが、次に発せられたファルカの言葉はローエンを更に深い絶望へと突き落とす。
「それは許可できない。ローエン副隊長」
「あんたの許可なんて必要としてねぇよ。大団長サマ」
大団長としての言葉と副隊長になりきれないローエンとしての言葉は噛み合わない。ファルカはローエンが冷静ではないことなどとっくに分かりきっているし、ローエンも自覚している。それでも彼は強がって言葉を吐き出すことしかできないのだ。追い詰められているのはどちらかなど最初から明白だった。
「元はと言えば騎士団が取り逃がしたんだろ? 七年
……
七年間もどこの誰かすら掴めずに、あいつがのうのうと生きているのを許したのはお前等だろ!?」
その叫びにファルカは僅かに身を固くして目を見開く。七年間、一度もローエンは加害者を捕まえることができなかった騎士団を責めたことはなかった。仕方ないのだと理解を示し、改めて自分が強くなることに終始したローエンが抱え続けてきた言葉だ。
そんな言葉を叫ばざるを得ないほどにローエンは追い詰められていた。
「それに言い訳するつもりはない。だが、だからこそ今回は俺の手でケリをつけるつもりだ。事件の当事者をこれ以上加害者に関わらせるわけにはいかない。これは規則だ」
「規則、ね。ご立派なことだ。けど
……
俺がそれに付き合ってやる理由はねぇよ!」
それは一瞬の出来事だった。
ファルカの背中から飛び降りたローエンが、ナシャタウンの方向へと恐るべき正確性で走り出す。ローエンは基本的に機敏で、機動性だけで言うならば騎士団でもトップクラスだ。気付けばその背中はファルカの視界から消えかけていた。
ローエンも必死だった。騎士団では自分に追いつける騎士など数えるほどしかいない。それでも自分が背後に置き去りにしてきたのは、自分に追いつけるどころか軽々と捕まえることすらできる男なのだ。
背後で風元素の気配がする。踏み込んだ音でファルカが跳躍したのも手に取るように感じ取ることができた。それに追いつかれないようにローエンはわざとジグザグに踏み込んでファルカの射程範囲を狂わせようとする。あと三メートル。ファルカの手が迫っている。逃げ切らなければ自分の望みは叶わない。
あと二メートル。ローエンは今までに経験したことのない程に必死に逃げた。その相手がファルカだということはあまりに皮肉だ。
そして、慣れた気配が間近に感じられた瞬間にローエンが感じたのは土の味だった。頭を掴まれて勢いで押し倒されたのだと気付いた時にはもう遅い。ローエンの腕は痛いほどの力を込められて拘束されていた。
「俺から逃げられると本気で思ったのか? ローエン」
「う゛る゛せぇんだよ! お前に俺の気持ちが分かってたまるかァ゛!!」
ファルカに拘束されたままローエンは渾身の力でそう叫んだ。呼吸が苦しい。どうしてこんなことにならなければならないのか分からない。結局あの日のように無力に地面へと押し付けられて、抵抗しても逃れることができない。苦しい。苦しい─こわい。
一瞬、ローエンの喉がひゅっと引き攣ったような音を立てた。あの夕暮れの出来事がフラッシュバックする。同じ目には遭わない。ファルカはあのαとは違う。そう思ったとしてもローエンの中に残された恐怖心は牙を剥いた。荒く、不規則に呼吸を繰り返すローエンを見てファルカは悲痛そうに表情を歪める。
「
……
あぁ、そうさ
……
分からない
……
分かってやれない」
勢いを失い、悲痛さを含んだ言葉がローエンに届いた。理解されない苦しみと、理解しきれない苦しみがぶつかり合う。ローエンだって分かっている。他者の感情を完全に理解することはできない。だからファルカに全てを理解してもらうことはできないだろう。
だが、理解してほしいと思う我儘な子供がローエンの中には一人いた。ファルカにだけは分かってほしい。受け入れてほしい。それなのにそれが叶わずにその子供は駄々をこねていた。
それを意識した瞬間に、自分の中でぷつりと何かが切れてしまったような気がした。騎士としての矜持も、戦士としてのプライドも、何もかも跡形もなく消えていく。そして最後に残ったのは七年前に傷つけられた十四歳のローエンだった。
「離せよファルカ! あいつを殺させろ! 殺させろよぉっ!」
「ダメだ! ローエン、落ち着け!」
それまでの拙い抵抗が嘘だったかのように、ローエンは渾身の力で暴れ始める。ファルカは力の加減を間違えればローエンを傷つけてしまいそうな気がして、戸惑いながら必死に声をかけた。だがローエンにはその声すらも届いてないかのように抵抗してくる。
ほんの一瞬だけ手が緩んでしまったファルカから逃れたローエンが起き上がるが、ファルカは逃げられそうなところを寸での差で何とか引き留めた。
「いやだ離せ! 触んな! っ
……
ころ、させろ
……
よ」
ファルカに手首を掴まれたまま暴れていたローエンだが、限界を迎えたのかその瞳からぼろぼろと涙が零れ落ちる。αが怖いと、ファルカのことすら怖いと、そう告白された日と同じように大粒の涙が落ちていった。ローエンが泣くところを見るのはあれ以来だ。再び開いてしまった傷跡はそれだけ深く、生々しい。
「ローエン
……
」
「なんでだよ
……
なんで
……
なんでじゃま、するんだよぉっ
……
」
途切れ途切れに告げながらローエンの力が抜けていく。抵抗も緩んで、完全に地面に座り込んでしまったローエンからぼろぼろと涙が零れ落ちて行った、苦しげに告げられる言葉は、いつもの自信に満ち溢れた姿からは想像できないものだ。それを痛々しげに見つめて、ファルカは黙ってその体を抱きしめた。
それに驚きながらもローエンは特に抵抗はしない。この腕の中に収められてしまうとただ安らいでしまって、何も考えることができなくなってしまうのだ。呆然と座ったままファルカに身を委ねていると、もうこのまま全て諦めてしまってもいいような気分になっていく。それはぬるま湯に浸かったまま逃れることができなくなるような感覚だった。
しばらくの間はファルカはローエンを抱きしめたまま何かを考えていたようだ。だが、不意にその身を離すとゆっくり控えめにローエンの唇に自身の唇を重ねた。柔らかいが、少しだけかさついた感触に目を見開きファルカを凝視する。ファルカは目を閉じて、どこか必死な形相をしているのが分かった。やがてその唇が離れていく。柔らかい感触が消えて、元のようにナド・クライの少し冷えた空気がローエンの唇を撫でていった。
「ファ、ル、カ?」
不思議そうに名前を呼ぶ声は緊張からか情けないほどに掠れてしまった。口の中がからからになる。今、間違いなく自分はファルカにキスをされたはずだ。気の迷いか何かだろうか。それとも自分を黙らせるための手段でしかないのだろうか。疑心暗鬼になりつつファルカを見上げれば、さすがに気まずくなったらしいファルカが頬を指先で掻く仕草をした。
「すまん。嫌だったよな
……
」
「嫌じゃ、ねぇ、けど」
嫌ではない。だからと言って嬉しいと言えるような状況でもない。ただローエンは思ったように思考が働かずに、ぼんやりとファルカを見つめることしかできなかった。そんなローエンの髪を大きくて温かい掌が優しく撫でていく。
「お前が苦しんでいるのが耐えられなかった」
まるでローエンの痛みを自分の痛みのように感じているかのような表情はファルカらしい。真剣な青い瞳がローエンの極彩色の瞳を見つめている。視線を反らすことなく見つめてくる瞳はいつだって強くて真っ直ぐで、そして優しい。それにローエンは止まっていた涙がまた溢れてきそうになってしまう。あぁ、本当にこういうところが勝てない。こういうところが愛しいと感じてしまう。ローエンは泣き笑いの表情になりながらファルカの瞳をじっと見つめ返した。
「何それ。意味分かんねぇ」
「お前には幸せでいてほしいんだ。だから、もうあいつのことは忘れろ。いつまでも執着しているよりも、なかったものとしてしまう方があいつにとっては屈辱だろう。違うか?」
ゆっくりと言い聞かせるように告げられた言葉に、理性はその通りだと頷く。さっさとあんな男は自分の人生から消し去ってしまって、なかったことにしてしまう方がいいに決まっていた。それでもローエンの感情はその提案を受け入れようとはしない。この苦しみと恐怖から解放されるには相手を殺すしかない。そう思い込んできたし、そうしなければあの屈辱を晴らすことはできないと思ってきた。復讐を諦めるのはあまりにも苦しすぎる。
分かっている。Ωは番のαを失っただけで精神を病むことも多い性質だ。自分の手で番となってしまったαを殺してしまえばどうなるかなど分かりはしない。ファルカもきっとそれを危惧しているのだろう。どうしようもなく想われているのだと理解しても、けれどだからと言ってローエンの感情はそれに納得できるほど無垢ではない。
「
……
そんなんで忘れられねぇよ」
あの屈辱も、苦しみも、恐怖も、そして絶望も忘れてしまいのに忘れられないのだ。自分の舌を嚙みちぎってしまいたい衝動を、あの男への復讐心と殺意で慰めたことだってあった。腫物のように扱われ、同情の眼差しを受け、傷ついた自尊心を持て余したこともあった。それらに蓋をして、見ないフリをして、なかった物にすることなんてできはしない。なかった物にするにはあまりにも辛すぎた。
「そうかもしれないな。だが、あいつのせいでお前がその手を汚すことはないだろう
……
あいつはこのまま放っておいても悲惨な最期を迎える」
「じゃあ俺、どうしたらいいんだよ!? こんな気持ち抱えてずっと生きてけって言うのか!?」
ファルカの言葉に耐えきれなくなったローエンは、その胸倉を掴んで叫んだ。ローエンは知っている。どんな事実よりも、優しい言葉よりも、血と臓物が慰めになる日もあるのだ。だけれどそれを永遠に奪われてしまったならばどうやって生きていけばいいのだろう。永遠に来ることのない慰めの日。それに歯ぎしりして生きて行けばいいのだろうか。
その必死な言葉を聞きながら、ファルカは再び力強くローエンを抱きしめた。怒りのせいなのか、それとも恐怖のせいなのか、ローエンの体は僅かに震えている。
「苦しくなったら俺のところにくればいい。俺はお前のそばにいるし見捨てたりしない。お前の嫌う同情だってしない。それじゃダメか?」
その言葉を聞きながら胸倉を掴むローエンの手から力が抜けていく。どうしてこんなにも彼の言葉がぽっかりと心に空いた穴を埋めてしまうのかが分からなかった。それでもその感覚は嫌な物ではなく、けれど少しだけ恐怖を伴ってローエンの精神を揺さぶる。
いいのだろうか。自分がこの言葉を受け入れて、ファルカという存在を得て─幸せになっても。
「
……
ファルカはいつもずりぃ」
「そうか?まぁ、大人っていうのはずるいもんだ」
ローエンはファルカに身を委ねて目を閉じた。自分よりも高い体温と暖かな気配に包まれて、どうしようもない程に安らいでしまう自分を見ないフリはできない。ここにずっといたい。離れずにいたい。そんな甘えが自分の中から湧き上がってくる。けれど、もうそれに抗わなくてもいいのかもしれないとローエンは思う。
本当はずっとこうして抱きしめてほしかったし、好きだと言いたかったし、言ってほしかった。でも無理矢理とは言え番がいる自分がαであるファルカの相手になれるわけもないと思ってきた。そうしていつかファルカにも番が出来るのかもしれないという想像をしては、胸のを刺す耐えがたい痛みに耐えてきた。
もう、今はファルカに全てを委ねて力を抜いてしまってもいいのかもしれない。そう意識した瞬間、ローエンは一つだけどうしても叶えたい欲が出てきた。叶えることができるならば。この瞬間が夢ではないのならば。ただ一つだけ、願ってもいいだろうか。
「一つ頼んでもいいか?」
「ん? いいぞ」
「もう一回キスしてくれよ。ちゃんと、さ」
常日頃真っ直ぐに見つめてくるはずのローエンは、視線を外しどこか照れたように頬を染める。いつものように真っ直ぐにファルカを見ることができなくて、それに戸惑いながら言葉を紡げばファルカはほんの少し笑ったようだった。なんだ、そんなことかと、少しだけ微笑ましげに告げられた言葉に更に頬が熱くなる。
やがて頬に指先が触れ、それが合図かのようにローエンはきつく目をつぶった。柄にもなく緊張している自分が可笑しい。でも、力を抜くことができないまま体はがちがちに固まってしまっている。そんなローエンの唇にファルカの唇が触れた。先ほどとは少し違って何度もローエンの唇を食むように与えられるそれに、少しずつ体の力が抜けていく。
温かくて、なんだか頭の芯がほわほわと頼りない感覚に包まれていった。僅かな呼吸も唇と共にファルカに食まれて熱くなった吐息が漏れる。やがて離れていくファルカの唇に名残惜しさを感じながら、ローエンはとろりと甘ったるく蕩けた瞳でファルカを見上げた。頭がぼんやりとして働かずに、ただ身を寄せるようにその胸にもたれかかった。こんな感覚は初めてだ。
「なぁ、これってさ。そういうことでいいのか?」
ローエンはまだぼんやりとした瞳でファルカを見上げる。まだ実感が湧かないまま全てを受け入れてしまって、これで違うと言われてしまったらどうしようという恐怖が湧き上がった。そんな不安が表情にも出ていたのか、ファルカはそんなローエンを優しく見つめる。
「それでいい。ローエン
……
俺はお前を愛している」
真正面から伝えられた言葉を耳にしてローエンは息を呑んだ。どうやってそれを受け入れたらいいのかが分からず、戸惑ったように視線を彷徨わせることしかできない。ただ純粋に受け入れることができたならばどれほどよかっただろうか。だからローエンは正直な気持ちを告げるために口を開いた。
「キズモノのΩでもいいのかよ?」
「どういう意味だ?」
ファルカは純粋にローエンが言っている意味が分からないようだ。ローエンにとって自分はキズモノだ。無理矢理αの番にされ、他の誰の物になることもできない存在。だから項の噛み傷を隠すためにチョーカーを付けることにした。七年前に縫ってもらったおかげで傷跡は目立たないくらいにはなってちる。それでも、ずっとファルカに想いを告げられずにいたのはそれが原因だった。
本当の意味でファルカの物にはなれないし、たとえあの男が死んだとしてもファルカの番にはなれない。永遠に枷は外せないのだ。
「だって、俺はファルカの番になれねぇだろ」
「番の絆だけが絶対じゃないさ。なんだ、そんなことを気にしてたのか?」
「
……
悪かったな」
「拗ねるな拗ねるな。可愛い奴め」
髪を乱暴に掻き混ぜるように撫でてくる手に、ローエンは少しだけ拗ねたような表情を深める。αであるファルカにとっては大したことではないのかもしれないが、Ωであるローエンにとってはとても大きな問題だった。それをそんなことを言われた部分は気になる。けれどファルカがそれでもいいと言うならばきっとそれでいいのだと思うことにした。それにもうローエンは考えることを辞めてしまいたかったのだ。ファルカが自分を好いてくれているという事実だけで十分なのだから。
ローエンはそう自分に言い聞かせながらファルカに身を委ねて目を閉じた。
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