Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
イヌノカニ
2026-06-06 18:08:02
4482文字
Public
Clear cache
【創作BL・小説化済】嘘コクで十年間、形だけ付き合ってから、やっと始まる話。
小説として再編集しました。
↓
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=28343109
高校生の頃。ずっと好きな人がいた。
彼は目立った特徴のない平凡な子だったけれど、地味で冴えない俺に唯一、声をかけてくれた優しい人だった。
放課後、たまに二人きりになると話しかけてくれて、なんてことない些細なことで笑い合う。そんな時間が楽しくて特別だった。
その頃にはもう、自分の恋愛対象が同性であることにも自覚していて、自然と彼のことが好きになっていった。
「お前さ、もしかして、俺のこと好きなの?
……
なーんて、」
ある日、彼が冗談混じりに言った言葉に、自分がどんな顔をしていたのか分からない。しかし、顔を引き攣らせた彼には、俺の気持ちなんてすぐにバレてしまったのだろう。その後、彼はすぐに逃げるように帰って行った。
だから、都合が良かった。
翌日の昼休み。
一人の派手な風貌をした男子生徒が、友達の一軍男子達に囲まれて、みんながいる教室の中で堂々と告白をいる。相手は俺で、もちろん嘘コクってやつだ。
「俺と、付き合ってください!」
ひゅーとか囃し立てられながら、ヤケクソのように言う。彼らの机には先ほどまで遊んでいた散らばったトランプがのっていた。罰ゲームの内容もバッチリと俺だけじゃなくて教室中に聞こえていただろう。
「俺もずっと前から好きでした。よろしくお願いします」
棒読みで返す。こうすればきっと、昨日のことなんて無かったことになって、彼とまた一緒に話せるようになると思ったからだ。
本当を隠すために、嘘コクに嘘の告白で返した。
驚く告白してきた彼の顔と、ゲラゲラと笑う周りの声。また笑ってくれると思った好きな人は、驚いた顔をした後に俺から目を逸らした。自分の予想と反して、彼と話すことはあれっきり無かった。
それが十年も前のこと。
「十年も付き合ったんだから、責任を取ろうと思う」
目の前にいる馬鹿がこんなことを言わなければ、思い出しもしなかった苦い失恋の記憶だ。
*
「何を、仰っているのか
……
」
「十年も付き合ったんだから、責任を取ろうと思う」
目の前の馬鹿は、同じ言葉を繰り返した。
そもそも、嘘コクを受けてから十年間。俺は彼のパシリみたいな扱いを受けていた。付き合っているなんて程遠い関係である。
彼が焼きそばパンが欲しいと言えば購買へ走り、喉が渇いたと言えば自販機へ走る。大体、名前だけは「恋人」だったが、彼には本命の「浮気相手」が何人もいた。
高校時代。浮気相
……
いや本命彼女と花火大会行くからと、花火がよく見える場所の場所取り、屋台へ二人分の買い出しへ走った。それが俺の初めて行った花火大会の記憶。
大学時代は店の予約から荷物持ち。彼が浮かれて酒を飲み過ぎれば、彼女にバレないように介抱をした。その後、なぜか二人で抜け出してホテルに行っていたのではないかと疑われ、彼女と彼に怒られる始末。
長くて三ヶ月。早くて三日。目まぐるしく変わる彼女達との別れ話になぜか俺も参加させられて、彼と一緒に頬を打たれることもしばしばあった。
社会人になってからは女遊びは落ち着いたようで、呼ばれるのは部屋の掃除や夕飯の用意くらいになり、たまに外で一緒にごはんを食べることもあったが、甘さを持ったことはない。今日だって夕飯を作りに来ただけだった。
あぁ、そっか。
ついつい「結婚」という文字が浮かんでしまったが、さすがにこんな風に過ごしてきて、それはないな。
「賠償金を支払おうとしてくれている、とかでしょうか」
「賠償金?
……
浮気したことを怒っているのか」
どうやら「浮気」という自覚があるらしい。俺にとっては浮気でもなんでもないのだが。
そもそも、彼が彼女達と過ごした毎日が浮気となるなら、大学時代からアプリやバーで出会いを求めてワンナイトを繰り返している俺はどうなるんだ。
俺たちはただ「恋人」という名前が付いているだけの、せいぜい友達以下の「パシリと性格の悪い男」くらいだろう。
「いえ、そこに関して、なにも、思っていませんし、」
「悪かった!」
机と頭をぶつけそうなほど勢いよく頭を下げた。
「最初、俺はお前のことが嫌いだった。嘘コクにまじで返すなんて最悪だって。当てつけみたいに、他の女と付き合っている姿を見せた。でも、
……
お前の俺に対する気持ちは変わらなかった」
「ん?」
「振られる時、毎回言われるんだ。毎回連れてくる男と、私、どっちが好きなのって」
「だから言ったじゃないですか。毎回デートに俺連れて行き過ぎだって。普通にドン引きですよ」
「正直、彼女達のこともどこが好きか分からなかった。告白されたから付き合った。みたいな。離れて行っても構わなかった。
……
でも、お前だけは一緒にいてくれた」
「それは
……
」
タイミング逃したからだっつーの!
彼のことは微塵も好きだったことはない。そもそも自分の好みはやはり高校時代にあった彼のような人で、彼のような営業部のエースでキラキラしたを好きなったことは一度もなかった。
面倒だな。これって単純に社会人になって出会いがなくなって言ってるだけじゃないか。
「その、貴方なら良い人いっぱい、いると思いますし、社会人になって出会いとか少ないかも知れませんが、あっ、アプリとかどうですか」
「いや、今も女なら勝手に寄ってくる」
それはそれでムカつくな。思わず笑顔を引き攣らせると、何を勘違いしたのか嬉しそうに「妬いているのか」と聞いてきた。
「妬いてませんし、てか、本当責任とか良いんで。大丈夫です」
「いや、良くない。結婚しよう」
「けっ
……
!?いやいや、本当勘弁してくださいよ。大丈夫です。そこまでしてもらわなくても」
実際に彼に言葉として伝えられるとゾッとする。
「いや、ダメだ。結婚しよう」
「いやいやいやいや、結婚とか急に言われても」
「いや、十年も一緒にいたんだ。急も何もないだろう結婚しよう」
「俺たちの十年間思い出してみてくださいよ。ただのパシリと性格の悪い男が十年間一緒にいただけですって、結婚とか勢いでしても「あれ〜なんか微妙じゃね」って終わるだけですよ」
「そんなに自分のことを卑下するな。大丈夫だ、結婚
……
」
「しつけぇーな!結婚、結婚って、恋人らしいこともしてねぇの出来るわないだろ!」
何を思ったのか、彼は顔を赤く染めて照れを隠すように頬を掻いた。
「結婚する前に、恋人らしいこと、したいのか」
まるで困ったなと言いたそうに、眉を下げた。なんだよその態度。まるで俺がイチャイチャしたくて駄々を捏ねてるみたいじゃないか。ふざけんな。
だけど、これは良いチャンスかもしれない。
実際にデートをしてみれば、あれ、なんかコイツ無理かもとなってこの話は流れるかもしれない。
俺はスマホで、ワンナイト相手と入った店を適当にチョイスして彼に見せていく。
「受けがこんな店を知ってるなんて意外だな」とか言いながら熱心に彼も店を見ていった。
その時。
ピコンという通知音と共に上に画面が表示される。
「〇〇さんとマッチングしました!」
部屋の中に沈黙が流れた。慌ててスマホを隠そうとした俺よりも早く、俺の手からスマホを奪い。彼は黙々と見ていく。
「昨日はありがとう。可愛かったよ。また会おうね」
「これから、会えないかな」
「あの情熱的な夜を忘れらない」
俺のメッセージやSNS、アプリにはそんなメッセージが溢れかえっていた。一度寝た相手とまた寝ることはほとんどなかったが、ブロックするのも面倒でそのままにしていたのである。まさか、そのツケがこんな風に回ってくるとは。
「
……
なんだよ、これ」
久々に聞いた、彼の本気で怒っている声だった。
「浮気してたのかよ!」
胸ぐらを掴まれて、無理矢理立ち上がらせられた。
「
……
すみません、その、はい。浮気、してました
……
でも、お互い様、というか、その、俺たちには浮気の概念がない、というか、」
「浮気に概念も何もねぇーよ!浮気は浮気なんだよ!最低だな」
さすがに頭にきた。元はと言えば、先に浮気したのはお前だろうが!
「うるせぇーな!浮気もなにもねぇーだろ!俺たち恋人って名前だけで恋人らしいことしてねぇし、てか、先に浮気したくせに俺のことだけ責めんじゃねぇよ!」
「ぐっ、俺はちゃんと謝っただろ!それに、大学三年から、俺は浮気しねぇよ」
「俺だって謝ったつーの!」
「心がこもってなかった!」
謝った、謝ってない。その後、押し問答は続き、ついには取っ組み合いのケンカまでに発展し、きれいに整えたばかりの部屋はめちゃくちゃに荒れていった。
*
翌朝。
小鳥の囀りと共に、目を覚ます。
暑苦しいと思ったら、隣に寝てる彼がベッタリと俺に抱きついていた。体中に残る小さな鬱血痕。何も纏っていない自分に対して、ちゃっかり自分だけは下着を身につけているところにも腹が立つ。
着ていた服を探すのも面倒だから、彼のクローゼットから適当に一枚服を選んで袖を通した。体の節々が痛いのは、昨日のケンカのせいだけではないのも、もちろん覚えている。いっそのこと全部忘れられたら良かったんだが。
昨日のケンカの痕跡が残る散らかった部屋に溜息を吐きながら、ふと机の上にある紙に目がいった。
「宣誓書
俺たちはお互いに、もう二度と浮気をしないことを誓います」
手書きの署名と一緒に、親指の捺印まで添えられている。俺はそれを破りゴミ箱へ捨てた。
さて、この部屋の掃除をどうやるか
……
。
部屋を見渡していると急に自分に影が落ち、気付いた時には体に腕が回っていて、後ろから攻めに抱きしめられていた。
え、なに、この甘い雰囲気。
「おはようございます。昨日のこと覚えてますか。俺たち相性は悪くないってことで、セフレってことで落ち着いたんですけど」
「おはよ。俺の服、よく似合ってる。可愛い」
頭にキスしてきて、え、なに、怖っ。
「間違えてるよ。俺たち結婚することになったんだ」
「なってねぇよ。とりあえず、恋人らしいことしようってなっただろ」
しまった。つい本当のことを言ってしまった。
彼を見ると、嬉しそうに笑っていた。
終わり
この後の初デートで、
三十分前から待ち合わせ場所に来て、夜通し悩んで決めたコーデでバッチリと決めてくる攻め。
時間ピッタリにジャージ姿でやってくる受け。
受けがそのままホテルに連れて行き、いざっという場面でグスグスと泣く声が聞こえるから振り向くと、号泣している攻めの姿が。
「こっち、見んな」
「いや、え、どうしたん、ですか、えぇ」とドン引きする。
「今日、初めてのデートだから、色々考えて、服も、めっちゃ悩んだのに、なんで俺もう、全部脱いでんだよ。かっこいいとかも言われてない」
ってあまりにも泣くから、だんだん可哀想になって受けもちゃんと謝ってデートをやり直す。まで考えた。
受けの初恋の相手も同窓会で会う。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内