Seoha
2026-06-06 02:29:23
9816文字
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冬が過ぎれば

冬の湖を見に行くエグザベとシャリア

寒い。寒いというのは、こういう感覚なのかもしれない。同行者の後ろを歩いていると、ふとそんな考えが浮かぶ。足元では、積もった雪がパリパリと音を立てて踏みしめられる。整備されたコロニーの通りや土の地面とは全く違う感触だ。何の痕跡もない白紙のような雪原に足を踏み入れると、綿菓子を踏むかのように限りなく軽いが、いつの間にか靴底の下でしっかりと踏み固められた地面になる。そんな一歩ごとに、音と共に足跡が残る。

パタパタ。そして靴を伝って足先に伝わる冷気、手袋と上着の間をすり抜ける冷たい風、鼻や耳の先にある鈍い痛み、そして毎回白く立ち上る吐息。これまで宇宙で数え切れないほどの時間を過ごしてきたので、寒さにはそれなりに慣れていると思っていたが、初めて訪れたこの雪原は、エグザベがこれまで経験してきたものとはかけ離れた場所だった。ここに来なければ、全く知ることができなかっただろう。

エグザベは、しびれてくる指をむやみにこすりながら、先を行く人の背中を見つめた。白い雪と、枝ぶりの悪い黒い木々の間から覗く緑色の髪は、まるで自分だけが春を迎えているかのようだ。その光景から一人だけ切り離されているかのように、深く積もった雪など何でもないかのように道を切り開いて進む上司の足取りには、迷いがなかった。人の気配がなく薄れてしまった道を、どうしてあれほどよく知っているのか。しばらく歩いた彼は、ふと立ち止まった。

「すみません。歩みが速すぎましたか。」

その一瞬の間に、エグザベは数歩離れていた距離を急いで縮め、彼の横に立った。慌てて動いたせいで、さっきまでよりも大きな雪の音が聞こえた。サクサク。簡潔な足跡だけを残してじっと立っている彼の横に、あちこちかき乱されたような足跡が残る。

「いえ。僕が、こういう場所に慣れていなくて。」
「そうですね。エグザベ君は地球に来るのは今回が初めてですよね?」

シャリアはさっきよりずっと遅いペースで歩みを進めながら尋ねた。以前見たエグザベの経歴を思い返しているかのように、少し上を向いた彼の顔に、突然雪片が舞い込む。雪が彼の髪やまつげに付着し、ゆっくりと小さな水滴へと変わり消えていくのを見ながら、エグザベは過去の記憶を呼び起こした。

「以前、ほんの少しだけ、特殊戦訓練でね。」
「ああ、キシリア様の親衛隊にいた頃ですね。そういう訓練コースもあったような気がします。地球での作戦に備えた。」
「ええ。でも、本当に数日しかありませんでした。二日だったかな。こんな特殊な場所でもなく、ただジオンの領土で行っただけですから。コロニーの環境とそれほど大きな違いもなかったですし。」

本物の1Gの重力、人工太陽よりはるかに強い日差し、より強く吹き付ける風。何よりも高度制限なく果てしなく広がっているかのような上空での訓練が、頭の片隅でじわじわと蘇ってきた。ミゲルもいたな。地球へ行くまでは平気なふりをしていたものの、皆浮かれていたが、いざ訓練が始まるとあまりに過酷で辛く、結局地球に関する思い出はほとんど残らず帰還した。

あの頃は、こうして再び地球に降り立つことになるとは想像もしていなかったが、人生とは本当に予測不能なものなのか、その間に上司も、情勢も、自身の立場さえも完全に変わった状態で、初めて訪れる場所を歩いている。二人きりで。

シャリアさんは、ここに来たことはありますか?」

「見覚えがあるようで」という付け足しは、あえて言う必要はなかった。相手の心を読まなくても、その程度の文脈は透けて見えるほど理解していることを、これまで十分に知っていたため、エグザベは言葉を控えた。

「私もここに来るのは今回が初めてです。地球の他の場所には何度か行ったことがありますが。」

ジオンの領土がある北アメリカ、海、砂漠、島……。シャリアが散発的に口にする場所のほとんどは、見知らぬ場所だった。ここの雪原のように、ただ資料や画面でしか接したことがなく、本当の意味では知らない場所たち。セーフハウスを点検するという名目でシャリアが連れてきてくれなければ、エグザベはこの寒ささえ知ることはなかっただろう。新しい場所、新しい感覚と経験。以前は想像もできなかったような出来事が、彼と一緒になってからはこうしてふとした瞬間に訪れる。

……他の場所も気になりますね。どんなところなのか。」

直接行ってみなければ分からないのだから。そう答えると、シャリアはエグザベをしばらく見つめた後、すぐにほほえんだ。寒さで少し青ざめていても、唇に浮かぶ微笑みだけは、彼が機嫌が良い時に見せるものと全く同じだった。



セーフハウスは、他の民家から完全に隔絶されたある湖畔にあった。湖は、その幅が視界に収まりきらないほど広大で、その周囲を高くも低くもない山や丘が取り囲んでいた。一体いつ建てられたのか見当もつかないほど時代遅れの外観をまとった山小屋を装ったセーフハウスが一軒ある以外、どこにも人の気配は感じられなかった。シャリアとエグザベだけ、それ以外に動くものといえば、突然現れた人間など意に介さず自分の道を行く野生動物と、依然として降り続く雪だけだった。

こんなにも誰もいない場所だなんて。正門の周辺に隠しておいた鍵を探すシャリアの後ろ姿を見ながら、エグザベは当然の感想を改めて抱いた。そして、この感想が実に久しぶりだということにも。そうだった。本当に久しぶりだった。なかなか鍵が見つからず、周囲をうろつきながらひっくり返しているシャリアから数歩ほど離れた場所で、エグザベは考えを巡らせた。

目の前の一人を除けば、自分以外には誰もいないという感覚。空間は広大だが、どこにも人の気配が感じられず不気味だった、一人で一体どうすればいいのか全く分からなかったあの惨憺たる災害以来は。そういえば、あの時も空から塵が降り注いでいた。今のような美しく白い雪の結晶ではなかったけれど。

「あ、見つかりました。」

物思いにふけりかけていた意識を引き戻すシャリアの言葉に、エグザベはぱっと顔を上げた。いくら余裕のあるスケジュールだとしても、任務は任務だ。上司まで同行しているのだから、気を抜いた姿を見せるわけにはいかない。その上司がシャリアならなおさらだ。「ちょっと待ってください、シャリアさん。荷物は僕が持ちます」 持ってきた荷物を再び手に取り、エグザベはシャリアの後を追った。

長い間使われていなかった建物は冷たかった。そもそもセーフハウスという場所自体が頻繁には使えない場所だが。人の気配がほとんど感じられない室内は清潔ではあったが、古びた埃の匂いがした。窓を開けることから始まった定期点検は、二人がそれぞれ手際よく片付けたおかげで、意外にも早く終わることができた。万が一の侵入者や盗聴器を探し、今回持ち込んだ武器や非常食を備蓄し、万が一使うことになる脱出経路を確認するまで、本当に最悪の事態を想定して使う安全家屋だからか、やることはそれほど多くなかった。

仕事を終え、経由地のどこかで適当に買ってきたサンドイッチと冷めたコーヒーで食事まで済ませると、なおさらそう感じた。外を見ると日は暮れかけており、来る時から降り続いていた雪は相変わらず止む気配を見せなかった。こんな時に戻るのは諸々危険だろうから、結局ここで一晩泊まることになるはずだった。シャリアとエグザベ、二人きりで。

予想していなかったはずがないだろう。途切れ途切れに続いていた会話の話題がついに尽きると、エグザベはそう考えながら手にした使い捨てカップを無意味に弄んだ。飲み干して数滴しか残っていない中身が、カップの底でエグザベの手の動きに合わせてあちこちと揺れる。何も考えずにそれをぼんやりと見つめ、すぐ前に座っている同行者をぼんやりと見つめることを繰り返した。

こうした状況でシャリアと一緒にいられることが幸いなのか不幸なのか、依然として分からなかった。誰かと二人きりになるなら、相手は他の誰でもないシャリア・ブルがいい。しかし、だからといって、気にかかる相手であり上司でもある彼と、円滑で穏やかな雰囲気を保ち続けるだけの能力が自分にはないという事実も、エグザベはよく分かっていた。そして、それはシャリアもすでに察しているはずだった。今、こんな曖昧な雰囲気になるとも。

それでも彼は今回の任務にエグザベを指名し、実際にこうして二人きりになった。一体どういうつもりだったのだろう。今、何を考えているのだろうか。なぜわざわざ自分とここに来ようと言ったのだろう。もう一度彼をちらりと見たが、室内の明かりにぼんやりと照らされた緑色の瞳からは、何も読み取ることができなかった。

「食べ終わったし、ちょっと立ち上がってみましょうか。」

そう言ったシャリアが突然席を立つと、エグザベは一瞬戸惑ったが、一緒に立ち上がった。状況を一変させるのは、今回もまた彼の役目だった。上司だから仕方ないかと思っても、イオマグヌッソ事件が過ぎ去り、単なる上司と部下の関係だけではなくなった今の曖昧な状況では、どうすべきか依然として見当がつかなかった。自分の態度さえ定まっていないのだから、相手の心中を推し量れないのも当然なのかもしれない。

しかし、これまであれほど複雑だったジオンと周囲の環境を離れ、こうしてごくシンプルに、ただ二人きりで過ごす今日は、もしかするとチャンスではないだろうか?そう思うと、袖でそっと隠した拳に自然と力がこもった。そう、そうかもしれない。そう考えながら、エグザベはシャリアの後を追った。



先ほど片付けをしていた時は、他の場所を担当していたため気づかなかったが、山小屋には湖へと続く出口が一つあった。小さな扉をくぐり外へ出ると、小道のように細く一列に続く道が、木製の橋へとつながり、湖まで続いていた。湖にたどり着くと、橋は小さなデッキへと変わり、湖の景色を眺められる憩いの場となっていた。

二人は木製の橋をゆっくりと歩き、デッキに立った。太陽がほぼ沈みかけ、オレンジ色の夕焼けが湖面に広く広がっていくその上空に夜空が徐々に降りてきており、そんな空と湖と大地を、今なお止む気配を見せない雪が覆い尽くしていた。

湖は真っ白だった。凍りついた表面に積もった白い雪がどれほど積もっているのか、湖だということを知らなければ、来る時に見た雪原が続いていると錯覚したかもしれない。湖の周囲には、生い茂った木々が森を成していた。一本の木一本の木が、エグザベがこれまでコロニーで見たどの木よりも大きかった。そこから少し足を踏み入れ、森の中へと目を向けると、闇がびっしりと広がっている。山小屋の薄明かりが届く場所以外には、すでに夜がぐっと迫っていた。

確かに時間は過ぎているはずなのに、まるで時間が流れていないかのような、矛盾した永遠の空間で、ごくわずかな動きが見える。木々の間を動く四足の動物が何なのか見極める間もなく、それは再び森の中に姿を隠してしまい、頭上では時折大きな鳥が飛び交っていた。空の彼方にある鳥の羽ばたきの音があまりにもはっきりと聞こえて驚いたが、羽ばたきの音よりもはるかに小さな雪が降り積もる音までが、鮮明に耳に入ってくるという事実にも気づいた。

あまりにも広大で、静かで、ひっそりとしており、誰一人として人の気配を感じさせないこの巨大な空間に、エグザベはかすかな戦慄を覚えた。こんな場所は初めてだった。暗く漆黒だった宇宙とはまた異なる孤独が、ここにはあった。エグザベはただの見物人であり観察者に過ぎないが、それでも心に響く何かを感じた。その感情がどのようなものか、どう表現すべきか、到底言葉を見つけることはできなかったが、確かに感じられた。

そんな感慨を胸に抱いたまま、彼女はこの空間の隅々まで見渡していく。舞い落ちる雪と空を目に焼き付け、一望できないほど広々と広がる湖を眺め、次第に冷たくなる空気を肌で感じながら、ほとんど何の音も聞こえない贅沢な静寂に耳を澄ます。

「不思議な場所でしょう?」

湖の風景に溶け込もうとするエグザベの反応を予期していたかのように、ほのかな微笑みを浮かべたシャリアが言った。

「清らかで、寂しくて、でも美しいと思いませんか。それなりに多くの場所を巡ってきたつもりでしたが、地球の人たちが言う自然とはこういうものなのだと、ここに来て初めて知りました。」

そう語るシャリアの視線は、隣にいるエグザベには向いておらず、二人の前に広々と広がる湖、あるいは湖の上空との間のどこかを見つめていた。風景を眺めるシャリアは、暮れゆく光に照らされているせいか、普段よりさらに青白く、冷たげな緑色を帯びた豊かなまつげの上に、少しずつ積もっていく雪の結晶が見えた。

とんとん 。あまりにも静かだったため、彼のまつ毛や髪、肩に降り積もる雪の音、話している合間に漏れる息遣いさえもはっきりと聞こえた。今、エグザベがこの時空を満喫しているように、シャリアも今を楽しんでいるのは明らかだった。彼はまだ次の言葉を口にしていないが、エグザベはシャリアが何を言うか分かっていた。

「だから、一緒にここに来たの。君にこの場所を見せたかったから。」

私の直感通り、君もここが気に入ったようですね。シャリアの断定的な言葉に、エグザベは短く「そうです。」と答えた。当然の事実を認める以外に、言葉を添える必要はなかった。この粗末なデッキに釘付けになったかのように立ち尽くし、風景と一体になりそうなその姿が、すでにすべてを物語っていた。風が強く吹いていなくて、それだけは幸いだったが、初めて経験する真冬の寒さに耐えているにもかかわらず、全く気にならなかった。

最初は触れた途端に溶けていた雪の結晶が、次第に頭や肩、服に積もっていった。鼻や耳の先はもはやヒリヒリせず、感覚が鈍くなる。手袋に包まれた指さえも、自然と縮こまっていくのを感じたが、エグザベはなぜか、この場所に少しでも長く留まりたかった。まだ離れたくなかった。宇宙とは異なる、冬ならではの寒さが肌を蝕んでいくにもかかわらず。

場所も、時間も、すべての風景が違っていたが、どこか思い当たる場所があったからだろうか。

ルウムにいた頃を、思い出しますね。こことは何もかもが違うのに。」

ルウムは、かつてほど美しくはない。正確に言えば、かつては美しかったが、もはやその姿はない。今やそこは、人間の支配から再び宇宙へと還った。永遠に瓦礫だけが漂う場所だ。そこに再び人の手が届くようになるには、長い時間がかかるだろう。ルウムやサイド5といった旧領域以外にも、人間が宇宙で生き抜くために進出できる領域は、あまりにも多く、広大である。そこを片付け、整備し、再びコロニーを建設するよりも、もっと経済的な選択肢もいくらでもある。

かつてルウムが、エグザベの故郷であり家であった場所が公転していた空間は、今後もほとんど何も存在せず、ただ黒く見える宇宙の暗黒として残るだろう。人間に過ぎないエグザベにできることといえば、漠然として巨大な世界の摂理の前で、今のようにただ見守るだけのことだ。

ルウム、故郷のコロニー、家の最後の姿。コロニーでも雪が降る可能性があることを、その時初めて悟った。円筒形のコロニーの、自分が立っている反対側から降り注ぐ残骸や塵が、雪のようになることもあるのだと。人工太陽と温度調節システムは最初から壊れており、生まれて初めて「寒さ」という感覚も味わった。空気は市街地を所々遮る遮蔽膜によって、残っている場所もあれば、すでに失われている場所もあり、逃げている次の区域では息ができなくなるかもしれないという恐怖に囚われた。最後までコロニーが重力制御能力を失わなかったのは本当に幸運だったが、もしそうなら、エグザベは今こうして地球に両足で立っていることはできず、その時点で既にコロニーのどこかへ飛ばされ、瓦礫の間に押しつぶされたまま生涯を終えていたかもしれない。

コロニーで生まれ、その人工環境が与えてくれた特権に気づかないほど安らかな生活を送っていたが、たった一瞬の出来事を境にすべてが変わってしまった。最初の避難所にたどり着く前から、二度と家族に会えないだろうという直感が働き、その予感は現実となった。壊れた車や死体、瓦礫の山、そして予測不可能な危険に囲まれながら、どうにかして生き延びて脱出しようと必死だった。

その過程はあまりにも過酷で苦痛に満ちていたため、細部はぼやけて何か塊のような記憶になってしまったが、頭の中の最も深い場所に刻まれた感情と、身体で直接感じた感覚や苦痛だけは忘れることができない。そんな混乱と寒さの中では、時間が異様にゆっくりと流れるということ、いつ決着がつくのか見当もつかず、永遠のような恐怖と苦痛を背負ったまま耐え忍ばなければならないこと、生きていくためにはどうにかして全力を尽くして生き残ろうと努力するしかないということを、今では痛感している。

「そうか、エグザベ君はあの場所が。私は木星時代のことを思い出すよ。」

シャリアの視線は、相変わらず湖と空のどこかをさまよっていた。日はますます傾き、雪は依然として降り続いている。近くで降る雪は降り注ぐように落ちてくるが、はるか遠くで湖を覆っていく雪は、とてもゆっくりと舞い散っているようだった。そんな吹雪のせいか、湖と空の境界はさらに曖昧になっていた。霞んでぼやけたその中、どこかを通って湖と空が繋がり、漆黒の夜へと変わっていく。シャリアはそこで、木星を取り巻く宇宙を読み取っていたのだろうか。

「もちろん、木星と比べれば、ここはあまりにも居心地が良いと感じますが。それでも、こんな場所に来ると、あそこを思い出さずにはいられません。そうしたくなくても。おそらく。」

わずかに伏せたその眼差しから、エグザベは今だけは彼を理解することができた。

おそらく、私たちは一生、あの時間を忘れられないまま生きていくしかないんでしょうね。」

二人が経験した出来事が全く同じであるはずがない。エグザベは人間たちが引き起こした戦争を、シャリアは人間にはどうすることもできない残酷な宇宙と偶然による苦痛を経験した。エグザベは家族と友人を失い、シャリアには身内はいなかったが、志を共にした仲間たちを失った。同じではないが、似ていた。一生背負い続けなければならない傷と業。

「知っていますか?海と違って、湖は凍るんです。ここみたいに。でも、湖の底まで凍るわけではないそうです。固く凍りついた表面の下では、依然として湖の水が流れています。湖畔の外見が季節によって変わっても、その中身はいつも変わらないんです。」

シャリアの言葉に、エグザベは再び湖を見下ろした。デッキの下には、雪で覆われた氷の面しか見えなかった。降り続く雪がさらに積もり、より厚い氷を作り出すだろう。外見上は、大人の男が数人歩けるほど頑丈に見える氷の内部には、いつもと変わらない冷たい水が棲みついている。二人が経験した苦しみは、湖が凍り、雪に覆われても、その下で凍らずに溜まっている水のように、常に潜んでいる。

永遠に消えることはないだろう。本当に、永遠に。

エグザベの目がぎゅっと閉じられようとした瞬間、空から突然の音が聞こえた。さっきとは別の個体だろうか。白い鳥が大きな翼を広げたまま滑空していた。その堂々とした動きに、静まり返っていた湖畔に羽ばたきの音が響き渡った。そんな鳥の動きを注視していたのか、ざわめいていた隣の茂みから狐が飛び出してくると、夜が近づき、ひときわ目立つ瞳をぎょろりと見開き、あちこちを見回した後、すぐに雪に覆われた湖を猛スピードで横切っていった。厚く積もった雪に、狐の足跡が長く刻まれていった。鳥も狐も、雪や氷が何の障害にもならないかのように、自由に動き回っていた。彼らを見つめていたエグザベの口が、思わず開いた。

でも、少しずつ変わっていきますよ。ごく小さな変化ですが、僕たちがついたばかりの頃と今の湖は、完全に同じではありません。もう雪がこれほど積もってしまったんですから。空も、太陽も、風も。そしてここに住む動物たちも、僕たちのようにたまに訪れる人々もいます。もしいつかまたここを訪れることになれば、もちろん今とほとんど変わらないでしょうが、それでも変わっているはずです。」

今、シャリアは湖の彼方ではなく、エグザベを見つめていた。

「ご存知でしょう。湖の水も流れていくんです。流れて海へ行き、雨になり、また雪になって降ってくるんです。シャリアさん。」

その言葉に、シャリアはしばらく答えなかった。ただ再び湖へと視線を移し、それから空を見上げ、そして自分の前に立つ若い青年のほうへと視線を戻した。その間、二人の間に降り積もる雪だけが時間の流れを示しているだけで、シャリアが再び口を開くまでにどれほどの時間が経ったのかは分からなかった。まるで時間が止まったかのようだった。エグザベとシャリアまで加わって、この湖畔の情景の一部になったのではないかという錯覚を覚えるほどの時間が流れた後、シャリアは優しく微笑んだ。

……やっぱり、君とここに来てよかったわ。」
「僕もです。」

そう言ったシャリアは、ふいとエグザベに手を差し出した。手袋をしていない素手は、寒さで指先が真っ赤に凍えており、なぜか切なく見えた。そのせいか、エグザベはいつにも増して強くシャリアの手を握りしめた。意図していたような簡単な握手ではなくなったため、シャリアは一瞬戸惑った表情を浮かべたが、エグザベは握り合った手を離さなかった。エグザベの手もずっと湖畔の寒さにさらされていたため、シャリアと同じくらい冷たかったが、不思議なことに二人の手が触れている部分は温かかった。凍りついていた冷気が、まるで鱗が一枚ずつ剥がれていくかのように、鈍い感覚を残しながら少しずつ消えていく。

「ねえ、シャリアさん。一つだけ聞いてもいいですか?」
「どうぞ、何でも聞いてください。」
「なぜ、わざわざ僕にここを見せようとしたんですか?」

そう言うエグザベの目は、シャリアだけを見つめていた。湖畔へと視線を移していた少し前とは違い、シャリアはもはや逃げられないと悟った。最後に核心を突き刺す言葉で相手を言い返せないようにするその手口は、イオマグヌッソの時も、今も変わっていないのだと思いながら。

「その理由なら、私が君の手を離せないのと同じことですね。」
「シャリアさん。」
「君が好きなからです。」

答えをあっさりと淡々と告げると、シャリアは再び笑った。ここまで話すつもりは全くなかったのに、互いの傷を見せ合うだけで終わらず、抱きしめ合いながら少しずつ変わっていく未来まで垣間見せてくれるなんて、こうなると自分の湖の底にあるものまで見せるしかないではないか。だからこそ、一緒にここに来たいと思ったのだ。一緒に湖を眺め、同じ記憶を分かち合いたかった。そんなシャリアを見て、エグザベもまた微笑んだ。

「またここに来たいです。次は冬じゃなくて春に。ご存知ですか、シャリアさん。芽吹いたばかりの若葉は、シャリアさんの色に似ているんですよ。」

コロニーには季節がないが、家を行き来する途中で目にした農業区の草や木を、エグザベは今でも覚えている。ルウムは消えてしまったが、あの頃の記憶と追憶がエグザベを形作っており、その財産を糧にエグザベはこの世を生きていく。そしてこれからは、もしかすると一人ではなく、エグザベとシャリア、二人で新しい時間を紡いでいくことになるだろう。

「そうでしょうか。湖の水が流れていくのを見に来ましょう。」

雪がやみ、凍りついた湖が解け、冬が過ぎ去って春になる。いくらまた冬が来ようとも、その冬が過ぎればまた別の春が来るだろう。その理に従っていく。これからは二人で一緒に。