kgsg_hirg
2026-06-04 07:32:46
1048文字
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どうするん(軒下・裾)

ワンドロワンライ5/16分

ある程度予報は出ていたがそれが訪れるのは唐突。近場だったからと油断して折り畳みすら持っていない。
普段ならこの緩さなら天の恵みと思うのだが、荷物を持っている今は降らないでほしかった。
チラリと隣の彼を見て申し訳なく思う。かといって走って彼を濡らすわけにもいかない。
デートと呼ぶにはあまりにも幼稚で、ただの買い物にしては近い彼との距離。そんな時間を雨に邪魔されてしまった。
……そんなしょげんでええやろ」
ぽたぽたと軒先から滴り落ちる雫がそれなりに大きい音で心地の良い音を奏でている。そんな雨音にも負けず彼の言葉はハッキリと聞こえた。
「これが遠出やなくてよかったし、こんな時間もあってええと思うで」
雨音が人を遠ざけて、いよいよ二人だけが取り残された軒下で穏やかな空気。願わくばこのままロマンスが始まってくれたらな。
「手でも繋ぐか?」
俺の心情を読み取ってなのか、彼の手が俺の左手の甲を撫でる。邪な気持ちはないであろうその熱が俺には熱すぎた。
結局手を握ることが出来ず、意気地無しを晒したわけだが。
そんな俺に目を向けることなく彼は軒先を見上げている。ただなんとなく見ているその様子に意識されていないみたいでジリジリと心臓が焦げていく。付き合っているのに、まるで想いを抱いているのが俺だけのようで息が詰まる。
雨音が少しだけ重くなった。これは当面止まないかもしれない。することもなく、彼に無駄な時間を過ごさせることになる。そんな思いからため息が漏れててしまった。
ジリジリと胸の奥を焦がしていると彼が唐突に口を開く。
……ホンマはな、俺折り畳み持ってんねん」
「えっ」
雨音に紛れる彼の言葉に思わず驚いた声を上げる。
「言い訳してええ?」
目を丸くする俺を覗き込むように確認して同意も取らずに彼は語り出す。
「俺の折り畳み小さいし、二人は入らん。結局濡れるんやったら邪魔になるだけやん」
言おうとしていることはわかる。けれどなんで今。ただの話のタネとしてだろうかと首を傾げていると目が合った。
……仕方なく雨止むの待つんは、一緒におる口実にもなるやろ」
雨雲のせいで薄暗く、少し肌寒いのに、彼の頬に朱色が差している。
「なぁ」
布の擦れる音。近づく熱。
「どうするん」
彼の手が俺の服の裾を軽く引いた。完全に俺に委ねる構えだ。ざあざあ叩き付ける雨が踏み出すことを躊躇させる。
…………もう少し、このままで」
彼の手を裾から外し、俺はその手を引く。コンッとお互いの腕がぶつかった。