三毛田
2026-06-03 22:51:06
1072文字
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77 【77/インドア派の彼氏】

77日目
そういうところも好きだけど

「たんこ〜。飯行こう」
「人混みは嫌だから出ない」
 またこれだ。
 サークルとか研究室とかのフィールドワークなら、嬉々として出かけるのに、俺のお誘いは三回に一回頷いてくれればいい方。
 インドア派な彼氏は、今日も今日とてテーブルに資料を広げては必要な箇所をまとめている。
「飲食店は別に人混みじゃないし」
 と言ったけれど、行くタイミングによっては混んでるもんなぁ。
 そこだけは否定できない。
「じゃあ、食いたいもの選んで。注文するから」
 スマホで注文画面を見せると、アンド化スライドしてからカートへ入れていく。
 サラダ、スープ、大盛りの丼物。わかりやすい。
 俺も自分の分をカートに入れ、注文ボタンを押す。
 見た目に反して大食漢な恋人は、事務作業というか執筆作業をしていると滅茶苦茶食べる。それはもう、大食いの人か? っていうくらい食べるのだ。
「丹恒、注文したからテーブル片付けておけよ」
「わかった」
 かさかさと音がするので、散らかした紙を集めることだけはしていそうだ。やれば出来るのに、面倒くさがりな部分もあるからなぁ。
「はーい」
 数十分した頃、チャイムが鳴り。配達員から食事を受け取る。
「丹恒、届いたぞ」
「ありがとう。ああ。料金は送金しておいた」
「別にいいのに」
「俺が気にする」
「はいはい」
 いつもこうだ。些細な事でも、気にしてくれて。こういうところ、好き。
「いただきます」
「いただきます」
 食事が始まれば、ゆったりした時間に。
 気分転換になったのか、ちょっとだけ険しかった表情も和らいでいる。
「ご馳走様でした」
「ご馳走様でした」
「作業をする」
「はいはい」
 でも、その前にちゅーしよ。って顔を近づけたら軽くキス。
「残りは後でな」
「ひゃ、ひゃい」
 お、俺の恋人が男前すぎる~!
 ゴミを片付け、部屋に戻ってベッドの上で転がる。転がり、まくる。それしか出来ない。
「丹恒が格好良すぎて、俺の立場がなくなりそう」
 でも、あんな格好いい人が、俺の手で暴かれる姿は非常にエロい。ドスケベです。
「うん。我慢します」
 邪魔をして、お預けされる方がキツイ。厳しい。泣いちゃう。立ち直れない。
 とりあえず夕飯の準備をして、丹恒の作業が終わるのを待つ。
「丹恒先生、夕飯にしましょう~」
「ん。そうだな」
 大きく伸びをし、テーブルに広げたものを片付けていく。そんな姿を見ながら、温め直すものに火を入れて。
「お風呂は?」
「後でシャワーを浴びる。お前は?」
「下拵えを終えてから入った」