こあらん
2026-06-02 23:49:50
7668文字
Public ロベシエ
 

Continuum/ロベシエ

某イベントに感化され、バブ化したシエテのお話。
シエテについて、独自解釈が含まれています。

 グランサイファー内を盛大に巻き込んだ、通称“赤ちゃん事件”から数日後。あのドタバタ騒動も落ち着き、ようやく日常が戻ってきたかと思えば、またもや同じ現象が再発してしまった。今回も何人かの団員が突如赤ん坊化し、団長は再び育児の日々に明け暮れるのであった。
 流石に二度目の騒動なので、団長や周りの反応はかなり落ち着いていた。すでに部屋や道具も揃っていることもあり、慣れた手つきで赤ちゃんをあやしている。みんなの頑張りと愛情をたっぷり受け取りながら、赤ん坊になった団員たちはすくすくと育っている。

 そんな慌ただしい毎日のとあるお昼過ぎ。ロベリアは自室でベッドに深く腰を下ろしたまま、ため息を繰り返していた。
(まさか、今回の騒動でシエテが巻き込まれるとは、ね
 そう、今回の騒動の被害者にロベリアの恋人であるシエテも含まれていた。 
 ぷくぷくと膨らんだ丸い頬、そしてくりくりとした大きな瞳。いつもの余裕たっぷりのニヤケ面とは一風変わったその可愛らしい姿に、団長は驚きと喜びが入り混じった妙なテンションで張り切っている。十天衆の面々もシエテが赤ん坊になったことへの物珍しさや、長い付き合いの中で積み重なった関係の情もあって、率先して世話を焼いていた。 
──流石、オレの恋人は人気者だ。恋人であるオレも鼻が高い。 
 しかし、シエテとの関係を周りに公言していなかったのが仇となった。
 ロベリアは赤ん坊になったシエテに思うように会えない日々が続いている。特にエルーンの双子には警戒されていて、近づくことすら難しい。それでも二人の関係をどことなく察している十天衆の一部には、隙を見て抱かせてもらったことはあるが。いかんせん、なかなか機会が少ない。
 なんてことだ。ロベリアは思わず自身の髪をかきあげながら、再びため息をついた。

 今までにない、シエテの新しいアルモニーが聴けるせっかくの素晴らしいチャンスだ。あの言葉にし難い圧倒的な力を携える前の、素の彼はどんな音を奏でているのかとても気になる。
 それに、今の小さなシエテにも触れてみたいという想いも抑えきれない。なかなか過去を教えてくれない恋人がこのような姿になったのだ。気にならないわけがない。先日のわずかな触れ合いでは、アントレにも値しない。録音もできなかったし、到底満たされるわけがなかった。
(さて、どうするか
 口元に指を当てながら、ロベリアは窓辺を見た。強い日差しが部屋いっぱいに降り注ぎ、床も壁も白く明るく照らしている。
「そろそろ、お昼寝の時間だな……
 この時間帯ならあまり人もいないはずだ。今ならチャンスかもしれない。

──あぁ!そうだ!
 前回の騒動の時も、団長は育児に疲れて昼寝の時間は赤ん坊たちと一緒に休んでいた。今回も疲れて寝ているかもしれない。誰かが起きて、何か事故が起きたら大変だ。
 やはり、ここはオレが様子を見に行かなければ。団長の手助けもできて、オレはシエテに会える!
「まさに一石二鳥じゃないか!くははっ!トレッビアン!」
 ロベリアなりの大義名分を見つけ、満足気に笑った。そして、すくっと勢いよくベッドから立ち上がり、部屋を出た。 
 


 音を出して、赤ん坊たちを起こしてしまったら大変だ。鼻歌を歌いたい気持ちを抑えながら、ロベリアは軽やかな足取りで目的の部屋へと向かった。廊下の曲がり角を通ろうとした瞬間、今まで聞いたことのない足音が耳に飛び込んできた。

………おや?)

 ぽて、ぽてと軽くて頼りない、まだ歩き慣れていない不確かなリズム。これは間違いなく、赤ん坊になった誰かの足音だ。大人の足音が聞こえない様子から見て、勝手に部屋を抜け出してきたらしい。
 そうか、もう歩けるまで成長したのかそう思いながら、ロベリアは足を早めた。

「シエテッ!?キミだったのか
 ロベリアは息を呑んだ。
 目の前にいたのは、赤子の姿になった恋人の姿だった。片手に剣の模様が描かれたふわふわの毛布を引きずりながら、じぃっとロベリアを見つめている。
……うぅ……?」
 難しいことなど何も考えていないような、無垢なその瞳がなんだか愛らしい。いつもの余裕たっぷりで自信に溢れた力強い眼差しはすっかりと消えていて、ロベリアはなんだか寂しさを感じた。
「シエテ眠れないのかい?」
 いつも同じ目線で向き合っていたのに、今は見下ろす形になってしまい、なんだか落ち着かない。ロベリアは片膝をつき、シエテと目線を合わせた。いつも目にする蒼天の空のような瞳が、キラキラと宝石のように輝きながらロベリアを映していた。
「んっ!んっ!」
 シエテは手にした毛布をぽいっと投げ出し、甘えた表情でロベリアの前で両手を差し伸べてきた。抱っこのポーズだ。
 いつもの姿だと、こんな風に甘えることなんて滅多にないのにな。ロベリアはそのギャップがなんだか面白くて、思わず笑みが零れた。
「くはっ、いいぜ。よっと。おや?キミ、思ったよりも軽いな。ちゃんと食べているかい?」
 ロベリアはシエテをそっと抱きかかえる。ふわりと甘いミルクの香りが漂ってきて、柔らかい。最近のシエテは団長と十天衆以外の団員には、人見知りで泣き叫ぶと聞いていたが、ロベリアは平気なようだ。むしろ、安心したかのようにギュッと服を掴んでくる。なんだか胸の奥がくすぐったくなる。
 そのシエテはじぃっとロベリアの様子を伺いながら、何か言いたそうに見つめている。
「なんだい?モンプティベベ?」
「ねんね!」
「ウィウィ、今のキミは甘えん坊さんだな。眠いのかドドの時間だからね。団長が心配するぜ?すぐに部屋に戻ろう」
 眠たそうに目を擦るシエテの頭を優しく撫でながら、ロベリアは元いた部屋に向かおうとした。すると、急に腕の中でシエテが両手をバタバタと動かし始めた。小さな指が、別の方向を差している。
「あっち!あっち!」
……?あっち?そこはキミがいた部屋とは逆方向だぜ?……まぁ、いいか。仰せのままに、シエテ

──団長がシエテが部屋にいないと気付けば、心配して気が動転しそうだが。まぁ、後でクラポティで連絡すればいいか。
 せっかく、シエテを捕まえられたんだ。オレにも問題なく懐いているし、今は一緒にいたっていいだろう。
 そう思いながら、ロベリアはシエテの指差す方へ歩き出した。



……!!こ、ここは
 シエテの指差すままに辿り着いた先は、なんとロベリアの部屋だった。ロベリアは驚きのあまり、思わずシエテの顔を見つめた。
「シエテ!?もしかして、記憶があるのかい?」
……?うぅ〜?」
 シエテは、口に指を咥えながらきょとんとした表情でロベリアを見つめている。質問の意味がよく分かっていない様子だ。
 今のシエテに、ロベリアとの記憶はあるのだろうか。前回、赤ん坊になった団員の様子を見る限り、赤子になった時の記憶はあれど、この時期の記憶の有無はあまり聞いていない。
 ドアの前で呆然と立ち尽くしているロベリアに痺れを切らしたのか、シエテが「んっ!んっ!」とドアに向かって指を指して急かしてきた。中に入りたいようだ。
「──う、ウィ、そうだな。中に入ろうか、シエテ」

 部屋に入るやいなや、シエテはもぞもぞとロベリアの腕から降りようとし、ベッドに向かってとてとてと歩き始めた。そして小さな身体を一生懸命使いながら、ベッドへよじ登ろうとしている。
──が、ベッドが微妙に高くて登る事ができない。何度も滑り落ちている。
「ねんねっね、ねんねぇっ〜〜!ふっふぇっ〜」
「くははっ、そんなに、オレのベッドで寝たいのかい?嬉しいね」
 ロベリアは思わず吹き出してしまった。
 ベッドに登れない事で泣きそうになるシエテは、普段の様子とかけ離れ過ぎていて、可愛いすぎる。
 ロベリアはそっとシエテを抱き上げ、ベッドに横たわらせる。シエテが手に持っていた毛布を優しくかけてやった。
「ほら、これでいいだろ?」
 あまりにも無防備な姿に、自然と声色も柔らかくなる。ロベリア自身もベッドに横になりながら、シエテの背中をぽんぽんと優しく撫でた。
 筋肉も全く無い、ただ柔らかいだけの背中。いつも通り抱き締めたら折れてしまいそうなほど、脆そうな骨。今、ここでシエテを壊すのは簡単だろうなと一瞬、頭をよぎる。しかし、ロベリアが壊したいのは超越的な力を持ったいつもの彼だ。こんな無防備な姿では、物足りない。
 シエテはそんなロベリアの内心などいざ知らず、ただ気持ちよさそうにじっとロベリアを見つめている。そして、その瞳はやがて虚ろい、ゆっくりと閉じていった。


 すぅすぅと小さな寝息が静かに響いていた。ロベリアはそっとシエテの髪を撫でた。いつも触れる感触とは全く違い、毛先は細く、ふわふわしている。心臓の鼓動も聞き慣れている鼓動とは違う、早くてか弱いリズムを刻んでいた。
──全く、こんな姿になってしまって
 その寝顔は幼いながらも、ロベリアの知るシエテの面影を確かに残していた。二人で一緒に寝るようになってから、時折見せてくれるあの安堵したような穏やかな寝顔と同じだ。目の前にいる赤ん坊が確かにシエテだと、改めて実感する。
 そして──
 ロベリアがシエテに興味をもつきっかけのひとつである、あの不思議な力。力強いナニカと繋がっているあの独特の音。まさか、赤ん坊であるこの小さい身体からも聴こえてくるなんて。この肉体から感じる、不相応なほどの強大な力の脈動を前に、ロベリアは思わず深い息を吐いた。

「そうか、キミはこの時から……

 ぽそりと呟いた独り言は、誰にも耳に入ることなく部屋に静かに響いた。
 シエテの力の根源のが何なのか、いつからその力を宿していたのか、ロベリアには分からない。
 シエテの過去が気にならないわけではない。自分の恋人だ。出来れば、余すことなく全て知りたい。ただ、あまり聞いて欲しくなさそうな素振りをしているし、無理に聞き出すのはエレガンスではない。
 ロベリアにとって、今のシエテとの穏やかな時間を大切にする方が、遥かに優先すべき事だ。関係が微妙に変わってしまうリスクを冒すより、いつかシエテが自ら話してくれる日を待つ──それがロベリアの結論だった。
 

「シエテキミのパパとママはどんな人だったんたい?」
 ぐっすり眠る小さな寝顔に、ロベリアはそっと問いかけた。今、ここで吐き出すのなら、きっと許されるだろう。ロベリアは、寝ているシエテの頭を撫でながらゆっくりと言葉を続けた。
「オレのパパとママは。あぁ、そうだ。キミにはまだ、パパとママの音を聞かせていなかったな。どうだい?今度一緒にディナーでもいかないか?オススメのレストランがあるんだ。ブイヤベース・パスタが美味しいね?そこで、食事をしながら一緒に聞こう。あぁ!考えるだけで今から楽しみになってくるな!」
 まるで綿毛のように柔らかいシエテの髪を指で優しく梳かしながら、優しく語りかける。ロベリアの声が子守唄かのように響いているのか、シエテはむにゃむにゃとか細い声を漏らしながら、ますます気持ちよさそうに寝息を立てていた。ロベリアは思わずくすりと笑った。
「くっは、今はオレばかり話しているな当たり前か。まぁ、いつでもいいんだ。いつか、教えてくれないか?キミの事がもっと知りたいんだ
 急かす必要などない。シエテとの時間はまだまだたっぷりある。元より離す気などないのだから

 早く元の姿に戻ってくれよ?そう思いながら、額に軽くキスをすると、シエテがもぞりとロベリアの方に近付いてきた。もの寂しいのか、ロベリアの服をギュッと片方の手で握りしめている。その姿がたまらなく愛おしい。
(しかし、これでは動けないな
 そう思いながら、ロベリアは思わず出てきた欠伸を噛み殺した。
(せっかくだからオレも一眠りするか。何か忘れているような気がするがまぁ、いいか
 隣にはまだ安らかに眠っているシエテがいる。自分の傍でこんなに無防備で安堵している姿はいつもと変わらない。シエテがベッドから落ちないよう、片手で支えながらロベリアも瞳を閉じた。



※※※※※※※

「な〜んか、色々とお前に迷惑かけちゃったねー。大丈夫だった?」
 あれから数日が経ち、元の姿に戻ったシエテは申し訳なさそうな様子でロベリアの部屋に訪れた。

 幼いシエテを自室に連れて行ったことを団長にメサージュで報告し忘れ、現場ではシエテが消えて大騒動になっていた。団員は焦りでパニックになっており、幼いシエテを抱いたロベリアを見ると安堵の涙と怒りでもの凄い表情をしていた。後で団長にこっぴどく叱られ、思いっきり鳩尾を殴られた。
「ノン、愛らしいキミを独り占めできて楽しかったぜ?」
「あぁそう
 あっけらかんと答えるロベリアの様子に、シエテはほっと肩の力を抜いた。赤ん坊姿で自覚が無かったとはいえ、自分が原因で怒られたのだ。ずっと気になっていたのだろう。
 ロベリアは本当に気にしていない。本来なら、聴くことができなかったシエテの貴重なアルモニーも聞けたし、ロベリアの知らない過去を少し垣間見ることができた。団長に極大に怒られたが、あの時の音は最高にいい音だったから問題ない。
 おまけに、この騒動のお陰でシエテとの関係もバレて、晴れて団長と十天衆公認の仲となったのだ。だから、怒られてもお釣りが出るくらいだ。

……
 シエテは、他にまだ伝えたいことがあるようで、頬で指をかきながら落ち着かない様子でいる。静寂な空気が、二人を包み込む。言葉を探すように視線を泳がせていたシエテだが、やがて眉を下げ穏やかに笑った。
「あの、さ
 ぽそりと、シエテは呟いた。
「なんか、気を悪くしていたらごめんね?」
……?」
 目を細め、どこか寂しそうにシエテは言葉を続ける。落ち着きのある穏やかな声が、少し落ち込んでいるように聞こえた。
「お前に言えない事とか多いけどさ。それは別に悪気があって隠しているわけじゃないよ。それに、お前と付き合っているのも……ちゃんと大事に思っているから、だから、ね

──あの時の、聞こえていたのか。 

 寝息も鼓動も、完全に熟睡している人のものだった。夢うつつに耳にしていたロベリアの独白が気になって、想いを伝えに来てくれるなんてオレの恋人はなんて可愛らしい!ロベリアは胸の奥が熱くなるのを感じた。
 シエテの気持ちなど、疑ったことなど一度もないというのに。
 優しく目を細め、迷いのない声でロベリアは答えた。
「ウィ、わかっているさモンシェリ」
 その言葉は真っ直ぐにシエテの心に届き、シエテの不安を優しく包み込む。ロベリアの瞳は静かで、迷いのない視線でシエテを見つめている。それが、今のシエテにはひどく嬉しかった。
 シエテはそっと目を伏せ、安堵の息がほっと零れる。自分の話をしないことで、いつかロベリアが離れてしまうのではないかそんな不安を抱えていたのだろう。
 ここまでオレを想ってくれているなんて、なんてオレは幸せなんだろう。恋人として、この不安を払拭してあげなければいけない。
 そんなシエテを温かな視線で見つめながら、ロベリアは言葉を続けた。
「実をいうと、そこまで気にしていないんだ。オレはキミと一緒にいられるだけで、いつでも幸福だからね。離さないぜ?でも、いつか……ね?」
「いつかうん、いつかね……
 未だに伏せているその瞳はロベリアを映さない。ただ、胸の奥で何かを押し殺すように、シエテは静かに呟いた。

 再び見開いたその蒼い瞳は、いつも通りの眩しい空色のように輝いていた。シエテはにっこりと笑いながら、「それじゃあ」と言い、部屋を出ようとする。
「ロベリア
 ドアの前でピタリと止まり、シエテはか細い声でロベリアの名前を呼んだ。
「ありがとう。……好きだよ」 
 消え入るような小さい声を、ロベリアは聞き逃さなかった。その告白に心臓を強く揺さぶられ、思わず恋人の元へ駆け寄る。耳まで真っ赤になりながらドアノブに手をかけるその腕を強く引き寄せ、自分の腕に収めた。
 この前のミルクの甘い匂いじゃない、いつもの爽やかな甘い、シエテの香りがする。懐かしさと愛おしさで、無意識に抱きしめているロベリアの腕に力が入った。
 シエテは照れくさそうに目尻を下げながらロベリアを見つめる。こころなしか、その瞳は嬉しそうに、キラキラと鏡のように美しく煌めいていた。
「あのさ〜、こういう時は空気を読んで、黙って行かせるべきじゃない?」
「ノンノン!ダメだ、言い逃げは逃さないぜ?」
 ウィンクをしながら、上機嫌でロベリアは答える。滅多に想いを告げてくれない照れ屋で可愛い恋人からの告白だ。無下にせず、しっかりと応えないといけない。

「シエテジュテーム、オレも好きだぜ」
 シエテの唇にそっと己の唇を重ねる。シエテはゆっくりと瞳を閉じ、ロベリアに身を委ねた。久しぶりに感じるシエテの唇は相変わらず、柔らかくて温かい。ゆっくりと、様々な角度で味わいながらその甘い唇を堪能した。
 呼吸が苦しくなると、一度唇が離れる。しかし、名残惜しそうにシエテの両手がロベリアの頬に触れ、誘うかのように再び顔を近づけてきた。薄く開いた口から覗く赤い舌が艶めかしい。ロベリアは引き寄せられるように、再び唇を重ねた。
「ぅんっちゅっ、ぁっ」
 ただ触れるだけでは物足りなくて、啄むようなキスはすぐに深いものになる。情熱的で熱く湿った舌が絡み合い、求め合う。
 もう呼吸するのを忘れたくなるほど、ロベリアは夢中でシエテの口内を貪るかのように犯していく。ゆっくり熱い舌で上に、下に、じっくりと撫でれば、シエテの身体はぴくりと跳ね、甘い声が漏れていく。シエテの舌もまるでロベリアを追いかけるように、強く絡みついてくる。
 グィっとシエテの腰を強く掴み、自分の方へ引き寄せる。もっと、もっとシエテに触れて、シエテを感じたい。ずっと抑えていた欲情がどんどんと溢れてくる。ロベリアは荒い息を吐きながら、シエテの耳元で切なく、甘く囁いた。
「シエテ。今、キミが見せられる全てをオレに教えてくれ。全部……ね?」
 長いキスで少し惚けたシエテ表情が、さらに赤くなる。しかし、どことなく弾んた声で「しょうがないな〜」と呟きながら、溶けたような笑顔を浮かべた。ロベリアの背中に回した腕がこもり、再び唇が重なる。
 まるで、触れられなかった時間を補うかのように、強く求め合いながら二人はベッドの海へとなだれ込んでいった。