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2026-05-31 11:02:04
1905文字
Public 高諸
 

高諸が戯れてるところが書きたかった。

やまも意味もオチもない話。
二人が同室になる日のことは2億通りくらい見たい。


「お前の面倒は陣左に任せてるから」

雑渡様はそう言って、山本様の隣に控えていた陣にいじゃなくて、高坂様に視線をやった。入隊の儀、限られた人しかいない空間で、高坂様がそこ最初からいた理由がようやくわかった。

「面倒というのはここでの生活も、忍務の調整もトレーニングについても、全部だよ。何かあったらまず陣左に確認すること。わかったね」
「は、はい!……高坂様、よろしくお願いします」

高坂様の方に身体を向け、床に手をついて頭を下げる。
が、自分以外が身体を動かす気配も、高坂様からの返事もない。……やっぱり、私はこの人に嫌われてしまったんだな。

雑渡様も人が悪い。
高坂様が雑渡様を見舞おうとしたのを私が追い返した話は、知っているはず。それに対して、この人が怒って帰ってしまったことも、それから私を避けていたのも耳にしてるはずなのに。

それなのに、どうしてこの人を指導役にしたのだろう。

「と!言うことで入隊の儀は終了ー!長屋の部屋の案内から陣左に任せるね」

パンッと乾いた音をきっかけに顔を上げた。
高坂様が腰をあげた。そのまま私に声もかけずに部屋から出ていっちゃうのを見守っていたら、山本様から着いて行ってと小声で指摘された。
その言葉に驚いて慌てて部屋に残るお二方に挨拶をした。含みのある笑みを浮かべた雑渡様と、苦笑いの山本様。二人に見送られながらすでに先を行ってしまった高坂様を追いかけて部屋を出た。

「お、お待たせして申し訳ございません」
……

意外なことに、高坂様は部屋を出てすぐのところで待っててくれた。
だけど、私の言葉にはやっぱり返事はない。私が部屋から出てきたのを確認すると、踵を返して歩き出してしまった。
里にいた頃は、口数こそ多くなかったけど、返事は返してくれたのになぁ。

そんな懐かしいことを思い出しながら、無言で先を歩く高坂様の後をついていく。

長屋にはたくさん部屋があって廊下が長くて、それだけで迷ってしまいそうだった。
これからちゃんと自分の部屋までの道順が覚えられるか不安になる。

部屋に行く道すがらの景色を覚えるため、あちこちに目を向けて歩いていると、高坂様が一つの部屋の前で止まった。
声もかけないで止まるから、危うく目の前の人にぶつかりそうになる。それを何とか止まってほっとしていたら、高坂さんは無言で部屋の戸を開けた。

普通、中の人に声をかけたりするだろう。
びっくりした私は慌てて中を覗き込んだ。もし、同室の方が部屋にいたらこの人の肩越しからフォローの挨拶をしなきゃならないからだ。
ただ、幸いなことに、部屋の中は無人だった。

──無人だったのだが、中の様子を見てしまった私は、思わず思ったことが口から漏れてしまった。

「汚ったない!ここ、物置ですか?!」
「私の部屋だ」

とんだ失言。
だってしょうがないじゃないか。部屋には着物がとっ散らかっていて、布団は敷きっぱなし。忍具も手入れ道具も使いっぱなしで、あちこちに落ちている。
唯一の救いは部屋で飲み食いしてる痕跡がないことか。それがあればきっと虫が湧いていたかもしれない。

「非常に言いにくいんだが」

高坂様が言葉通り、言いにくそうに口を開いた。私も薄々気付いている。この人が何の意味もなく、私をこの汚部屋に連れてくるわけがないと。

「ここが今日からお前の部屋になる」
「チェンジで」

ここに人が住めるなんて到底思えない。
いや、この人は住んでるかもしれないけど、私は耐えられない。これなら軒下で寝泊まりするとか、里から時間をかけて通うとかの方がまだましだ。

「そんなお前に、初忍務だ」

雑渡様に直談判しようと方向転換したら首根っこを高坂様に掴まれた。思わずぐぇっと変な声が出ちゃったのに、高坂さんが吹き出して笑った。

「この部屋をきれいにして二人部屋にする。時刻はそうだなぁ、日沈むまででどうだ」

「忍務」を言い渡した高坂様の声は、先ほどよりも幾分か穏やかだった。

私は空を見上げる。
まだお昼前で陽はてっぺんにも来ていない。まぁ、それくらいの時間があれば、この部屋をきれいにすることはわけないのだが──。
私は息をしっかり吸い込んで、ここ一番の大声を出すために、腹に力を入れた。

「自分でやってくださいよ!!」

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掃除してる最中に、こんなだらしない人に「様」づけする必要ないなってことになって、呼び方が「高坂さん」呼びに降格される高。(計画通り)

高坂さんが最初不機嫌だったのは呼び方が気に入らなかったとか話で伝えられなかった心情