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ひなげし
2025-05-10 07:47:36
570文字
Public
狛日
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星のうぶごえを聞け
アイランド/狛日
令和7年5月14日スパコミブレイクショットにて無配したSS。
狛枝の価値観が少し揺らいで生まれた、小さな望みの話
薄雲が月を覆う。
修学旅行参加者以外人が存在しないまるで非現実的なリゾート島は、月が翳るだけで足元が危うくなってしまう。
銀の光を失った真っ黒な海は、全てを飲み込む終わりのようにも思えた。終わりに向けてひとり立つその背に、狛枝は手を伸ばした。
「日向クン、どうしたの?」
「狛枝?」
ほんの少し見開かれた榛色が、狛枝を映す。顔が青白い。
「コテージに居なかったから探したよ」
「眠れなかったんだよ」
「
……
記憶が思い出せないのが心配? 大丈夫だよ、こんなにボクが惹かれているんだもの! キミにも優れた才能があるはずなんだから!」
「
……
そうだな」
硬い表情のまま、日向が細く息を吐き出す。
眩暈がしていた。頭の片隅が冷え切っている。こんなにもキミを想い、手を伸ばしているのにまるで雲を掴んでいるようだった。記憶がない彼を慰め、労りたいボクの言葉は気休めにすらなっていなかった。彼にとって何程の価値もない。
こんなボクにも手を伸ばしてくれた眩しい彼にただ、笑って欲しくて。
「帰ろうか。狛枝」
いつもよりぬるい体温が、狛枝の手を引く。
才能なんてわからなくてもいいから、笑ってほしい。自分でも笑ってしまいそうな言葉が、音となる前に吐く息と共に崩れていった。
薄雲が風に流される。微かに小さな星が瞬いているのが見えた。
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