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roku
2026-06-08 06:08:00
1632文字
Public
松イチ
腕枕【松イチ】
6月8日は松イチの日✨
・枕が変わると眠れない一之倉の話
久しぶりに松イチ書いた!もう書けないと思ってたけどフォロワーさんと語ると湧き出る創作意欲!
〝19時には帰る〟
その連絡通りに帰ってきた一之倉を玄関で出迎えたのは恋人である松本。一之倉はスーツケースから手を離すと靴を脱ぐよりも先に目の前の恋人に抱きついた。
「おかえり。随分疲れてるな」
「ん」
「靴脱げよ」
そう促され靴を脱ぎ捨てると、腰に巻きつけていた腕を首に移し、代わりに脚を巻きつけた。普段の一之倉とは違う行動に、此度の出張が相当の疲れをもたらしているのだと推測した。
松本はそのまま一之倉を抱きかかえリビングに運んだ。ソファに下ろそうと腰を屈めた松本の肩口で軽く首を左右に振った一之倉が「ベッドがいい」と告げる。
「
……
聡?」
「先に稔をチャージしたい。夕飯はそれから食べる」
松本が夕飯を準備して待っていたことはわかっていた。だがそれよりも先に恋人が欲しかった。ただ松本としては疲れを色濃く滲ませた恋人にさらなる負担をかけることは避けたかった。
「さすがに抱けない」
「何で?」
「相当疲れてるじゃねぇか」
「オレがいいって言ってんだからいいの」
「オレが嫌だ」
「つべこべ言わずに抱けって!」
抱っこされたままの一之倉が松本の唇を噛みついた。貪るようなキスは松本の下半身に熱を集めていく。
「聡、ダメだ」
松本は残る理性で諭すように言う。
「何がダメなわけ?反応してるくせに」
眉間に皺を刻みほんの少し潤んだ瞳でキッと睨みつける。松本はその瞼に軽く口づけると一之倉をそっとベッドに下ろした。「やる気になった?」と目を細めた一之倉。松本はそれには答えずベッドに寝転び腕を伸ばす。
腕枕してやる。そう言っているのだ。
一之倉はやる気を削がれ不機嫌をあらわにしたが、疲れた身体が松本の長い腕に捕まり背中がマットに沈む。諦めたように溜息を吐き出すと大人しく松本の腕に頭を預けた。少し傷んだ髪を撫でる大きな手が一之倉を深い夢の中へと
誘
いざな
った。
ザーッという激しい雨音で目を覚ますと一之倉を見つめる松本の顔がすぐそこにあった。
「
………
見るなよ」
「何でだ?」
「恥ずかしい」
どうやら自分からけしかけておきながら泥のように眠ってしまったことを恥ずかしいと感じたようだ。
今さら何を恥ずかしがることがあるのか。
「よく眠れたか?」
「
……
おかげさまで」
それならよかったと、重ねた唇に舌を捩じ込んだ。
「んんっ
……
!ちょっ、と!」
「元気になったなら昨日の続きするか?」
一之倉を組み敷き見下ろした松本。
「腹減った。とりあえずシャワーしてからメシ食いたい」
松本の下からすり抜けた一之倉は着替えを手にバスルームへ向かった。
「いただきます」
濡れた髪もそのままにテーブルに並んだおかずに箸をつけた。
「髪」
「あとで乾かす」
「そんなことしてるから傷むんだ」
息を吐いた松本は椅子から立ち上がりリビングを出るとドライヤーを手に戻ってきた。
「松本って母さんみたいだよな」
「あ゛?」
「まぁ母さんに髪乾かしてもらったことないけど」
母親みたいだと言われたことに納得いかないが、くすくすと笑いながらご飯を頬張っている姿は可愛い。
「なぁ聡。いくら忙しくてもちゃんと寝なきゃ倒れるぞ」
出張から帰ってくるといつもこうだ。
「そうは言ってもなぁ
…
」
「どうした?」
「オレ、枕変わると眠れないんだよな」
松本は長年付き合っているがそんな話は初めて聞いたと目を丸くした。遠征の時も合宿の時も旅行の時も眠っていない一之倉を見たことがなかったからだ。
「そうなのか?」
「二年ぐらい前からかな」
「何かあったのか?」
ドライヤーを置いた松本が心配そうに覗き込む。
「稔のせい」
「
………
え?」
「稔がセックスの後毎回腕枕するからそれじゃなきゃ眠れなくなった」
「
………
いや、ちょっと待て
……
え?」
予想外の展開に戸惑う松本をよそに「てことだから、これからもオレが安眠できるようによろしくな」と食事を終えた一之倉が松本の手を引きベッドへ向かった。
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