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A4
2026-05-30 19:18:27
1604文字
Public
助手2号のお兄ちゃんのイトアキ
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誘い方、右往左往
やることやってんのにまだへんてこなやりとりするカプが好きで…
誘い方、右往左往
ライトは郊外出身の伊達男である。
厳密に、産声をあげたのがどこかとか、出生届が出されたのがどの区画かとかは不明だが、おそらく郊外出身である。
彼は今、その郊外を離れ、都会の繁華街ルミナ・スクエアにいた。カフェの2階にあるテラス席で、デートをしている。
待ち合わせをしてコーヒーを喫しているのであるから、デートのはずだった。
相手はコーヒーを飲みながらペーパーバックを読んでいた。
店に入って席に着いてからは他愛もない話をしていたが、最近夢中になっているという話題から、長編のスリラー小説を読んでいるといい、地下鉄の移動中や、なにかの待ち時間でもページを開いているという。
それなら、今も読んでいいと伝えたところ、アキラはびっくりした顔になったが、ありがとうと言って、読み始めたのだった。
ライトとアキラの住むところはずいぶん遠く離れているし、互いに忙しくもしていて、2人で会う時間は貴重だ。どちらかから声をかけても、調整しなおすことも多い。
であるからして、こうして、2人でいるのに別々のことをするのはもったいない気もするのだが、ここのところのライトは、自分が知らないアキラの一面を見てみたいと思うようになった。どんな風に彼が過ごすのか、ありのままを眺めているだけでも楽しいのである。
アキラは黙々とページをめくっており、そのスピードはライトが考える読書にかける時間より、速かった。読んでいるのか疑わしいくらいだ。
ちょうどきりのいいところまで読んだのか、アキラは本を閉じるとテーブルに置き、腕をのばしてストレッチをした。
「ああ、面白い」
「集中していたな」
「うん。あっという間に時間が経ってしまう」
「続きは読まないのか?」
「コーヒーがなくなっちゃった。それに、ライトさんがいるのに、ずっと放ってはおけないよ。デートなのに」
「一応、そういう認識をしてくれていたんだな」
「待ち合わせして一緒に過ごすことをデートという」
「わかった」
「それで、ライトさん」
アキラはテーブルに肘をつき、片手でライトを招いた。ライトは立ち上がり、顔を寄せる。その耳元にアキラが囁く。
「これから、同衾しない?」
ライトは無言になった。
まじまじとアキラの顔を見る。
アキラは顔を顰めた。
「言い方がよくなかったな。同じベッドで寝るという意味だけれど、僕らの場合は、転じて性行為を表す」
「待て、待て。嬉しいが、変だぞ」
「わかってるよ」
アキラは口をとがらせる。
「難しいな。やりたいとかしたいって、何を?ってなるから、もう少しレパートリーを増やしたかったんだけど。言葉じゃなくてジェスチャーの方がいいのかな」
真剣に悩む様子のアキラに、ライトはほっとして息を吐き、笑った。
性行為に積極的なこの青年はそんなことで悩んでいたらしい。ライトにはまったく想像もできない思い煩いと言える。
「アキラ。あんたは態度がわかりやすいから、単純に、誘ってくれたらいい」
「む。そんなにやりたがってるかな」
「心外か?」
ライトはアキラの手を握り、指を絡めた。グローブを外して肌を合わせたいところだった。
「自覚がないのも困ったもんだ」
「
……
そんなことは
……
ないよ。僕は、その、自分でもどうかと思うけど、性欲が強いみたいだし
……
」
「元々そういう関係なんだ。気にするな」
で、これからどこへ行く?と水を向ければ、アキラは繁華街から少し外れたところにあるホテルをいくつか提案した。
店を出て連れ立って歩きながら、ライトは込み上げてくる笑いを堪えるのに必死だった。
なんとまあ、かわいい悩みを持つものである。
とっくの昔にこっちは参っているというのに、まだ、さまざまな気を巡らせているらしい。
しかし、それはとても好ましく、アキラらしい頓珍漢さであったので、これからも、そのままでいてほしいと願うのであった。
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