三毛田
2026-05-29 22:33:15
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72 【72/消えてよ、今すぐ】

72日目
君を不安にさせたくないという我儘

 丹恒を不安にする要素は、今すぐ消えてほしい。
 それは、俺や彼。もちろんのことながら列車のみんなを傷つける人。後は……どうやら俺に恋愛感情を向けてくる人も含む。多分。
「ということだから、さっさと去ってくれ」
 雨も降っていないのに、傘を差し。俺たちを羅浮へと向かわせた時と同じように、ふらっと現れた侵入者。今日は二人。
「ですって、刃ちゃん」
「それはお前も含まれているだろう、カフカ」
 カフカはちょっと楽しそうだし、刃は相変わらず感情の読めない目を彼女に向けていて。
「何がというわけなのかはわからないが、俺はさっさと帰るべきだと言ったはずだぞ」
「近くを通りかかったついでだもの、顔を見るくらいいいじゃない?」
「丹恒が俺のことを心配するからやめろ」
 銀狼は突然パソコンの向こう側からコンニチハしてくるけど、そこまで害があるわけじゃないから丹恒も少しだけ許容してくれている。
 でも、この二人は駄目だ。
 どちらも、容赦なく手が出るから。
……
「ここで暴れたら、俺よりも怖~い車掌が飛び込んで来て、追い出すからな」
「ですって」
「俺だけを見るな」
 振り返りながら刃を見上げるカフカだが、淡々と返されている。
「君が部屋を貰ったっていうのを、銀狼から聞いたの。だから、見たくなって」
「見なくても困らないだろ」
「それはそうなんだけど。ねえ? 刃ちゃん」
「俺は困らない」
「折角だもの。お風呂だけ見せてちょうだい」
 俺の言葉も刃の言葉もスルーして、浴室へ向かう。
 チラッと俺を見てから、刃はその背中を追いかけ。
「風呂見たら帰れよ」
 と、スマホにメッセージ。
 丹恒からで、今から部屋に来てもいいかという連絡。
 これはまずい。
 いや。疚しい本とかそういうものがあるから。とかじゃなくて、賞金首の二人が部屋をうろついているところに彼が来たら、ひと悶着ある。確実に。
「カフカ、帰ってくれ……
「しょうがないわ。帰りましょう、刃ちゃん」
……
 二人が姿を消すと当時に、ノックの音。
 危機一髪。ギリギリセーフ。
 万が一にもバレたら、俺が一ミリも悪くないのに平謝りする羽目になるんだからな!!
「急に訪ねて悪い」
「ううん! 俺も丹恒に会いたかったから、平気」
「そうか。それなら、よかった」
 恋人に会いに行くのに、理由なんかいる? って思ってたけど丹恒はそうじゃないらしい。
 なので、こうして言葉にして大歓迎と伝えると安心したように微笑んでくれる。
 可愛くてキスをいっぱいしたくなる。