meru2408
2026-05-29 16:30:05
6078文字
Public モンギル
 

クラベル(クラウド×ベルナ)

貴方がいるから安心していられるの



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side:ベルナ


「お嬢ちゃん!さっきのお礼だ!これを持っていきな!」
「え!?っでも、」
「いいからいいから!ただのジュースだから、相方と一緒に飲みな!ほれ!」
「あっ……ありがとうございます……

村の人からの依頼が終わり、帰り際に村の男性からお礼の品を貰ってしまった。半ば強制的に。
うぅ……クラウドからあまり物を貰うなって言われているのに……
歩きながら、袋の中身をそっと見る。大きな一升瓶だ。……これほんとにジュースなの?

その重たいお礼品を抱えながら、宿に到着する。はぁ……これどこにしまおうか。
両手が塞がっていたので、部屋の扉を開けるのには苦労した。

「よいしょ、っと

テーブルにジュースを置き、側の椅子に腰かける。

「あー疲れた。……まだ帰ってないわね」

音沙汰のない部屋を見回す。クラウドは用事がまだあるらしく、外に出かけている。

「んー……

テーブルに頬杖をつき、袋に入ったままのジュースを眺める。

飲んじゃうか、帰ってきたらうるさいし」

そう呟いて、席を立つ。キッチンに行き、カップを準備する。

……なんか、相方と一緒に飲めって言われたな

さっきの人の言葉を思い出す。相方というのはもちろんクラウドのことだ。さっきの人とは顔見知りなので、私もクラウドの顔も知っていた。

半分残すかな」

そう呟き、テーブルにつく。袋から瓶を取り出し、蓋を開け中身をカップに注ぐ。液体の色はうっすらと緑っぽい。
カップを傾け、一口飲む。

「んく……、ん、美味しいわね

中身は本当にジュースなようだ。ちょっと味が濃いのもあるけど。

「んー……なんか、飲んだことあるような味がするわね

そう思ったが、あまり記憶が無い。まあ言うてジュースだ。飲んだこともあるかもしれない。
……でもちょっと噎せ返るような香りがする。

「んん……でもジュースって言ってたし……

美味しいので、もう一口だけ。……もう一口。そうやって自分に言い訳をしながらどんどんカップの中身を喉に流し込む。

「ぷは、……隠しながら飲もう。見つかったらその時はその時だわ」

前にチョコレートを食べてしまった時のクラウドの焦った顔が頭に浮かぶ。……なんだか同じようなことが起こる予感がしたので、いそいそとテーブルの上のジュースをサイドチェストの扉にしまいつつ、途中でまた液体をカップに注ぎ入れ、飲んでいく。

「ん……、はぁ……なんかちょっとふわふわする……

これ以上はちょっとヤバい気がする。でも……もうちょっと飲んでいたい。そんな危険な思考になりつつある私は、とうとう瓶の中身を半分まで減らしてしまっていた。









「んぅ……

さっきから体が熱い。この瓶のジュースのせいだろうか。やっぱりなんか入ってたのかも……。そう思うけど、なんだかふわふわとしていて頭が回らない。

「あーちゃんと隠しとかなきゃ

ふらふらする体でなんとかジュースの瓶をまたサイドチェストにしまい入れると、ベッドに突っ伏した。
今何時だろう。クラウドはまだ帰ってこないのかな。……早く顔がみたい。
いつも顔を見てるくせに、なんだか今はとても寂しいようだ。早くその腕で抱きしめてほしい。
ベッドの上でごろごろしながらそいつの帰りを待つ。……にしても熱い。特に顔周りが。

「うぅークラウドぉ

熱すぎるので、もったりとした動きでベッドから降り、よたよたとした足取りで扉の方へ向かう。

「まだ帰ってこないのぉ……

扉に向かって話す私ははたから見たら不審者に見えるんだろう。

「もー早く帰ってきてぇ

一人でぶつくさ言いながら扉の取っ手に手を掛けようとした、直後。

バタン。扉が開いた。

「あ……?ベルナ?」
「あー!クラウドぉー!帰ってきたのね!」

そう言ってその胸に飛びついた。


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side:クラウド


部屋の扉を開けたらベルナが間近に立っていて、俺を見るなり嬉しそうに飛びついてきた。え?なんなんだ?

「ベルナ?どうした?」

思わず腰に腕を回し抱きしめる。ほのかに体が暖かい。

「んーずっと待ってたのぉ
「待ってた?俺を?」
「そうー。ずーっと待ってたのー

そう言いながら頬ずりしてくる。いや、なんなんだこれは。……ん?待て、なんかデジャヴが。

……ベルナ、顔見せて」
「んぇー?」

いつものようなハキハキとした喋り方じゃなく、間延びした感じ。ベルナの顔を覗き込むと、顔が真っ赤である。

……熱にうなされてるのか?」

思わずベルナの額に手のひらを当てる。

「熱はないわよぉもういつもいーっつも心配ばかりしてー
「お前がそんな状態だから心配するんだよ」
「いたぁっ、」

ベルナの額に指をぺちっと打つ。やっぱり。なんか前にチョコレートを食べていた時のことを思い出す。

「うぅークラウドが怒ったー

泣きそうな顔で俺の胸に顔をうずめるベルナ。可愛い。じゃなくて。

ベルナ?今度は何を食べたんだ?」
「うぅ……何もたべてない……
「嘘だ。また何か貰い物があるな?」
「もらいもの……

何か心当たりがあるのか、その言葉にぼーっとするベルナ。

……ない」
………

一旦ベルナを離し、部屋を見渡す。以前チョコレートを食べていた時はテーブルの上に置いてあったが、今回は……何も置いてなかった。というより置いてあるのはカップ一個のみ。………カップ?

「ベルナ。正直に言って。さっき何か食べたり飲んだりしたか?」
「うぅ……

ベルナの肩に手を置き尋問する。

……してないぃ!」

いやいやするように首を振るベルナ。……これは当たりだな。まあ今のベルナに何聞いても嫌がるだろう。原因を探すしかない。
ベルナの肩から手を離し、再度部屋を見る。見た感じ、何もない。ベルナの私物置き場にもそれらしき原因の物はなさそうだ。
うーん……どこにあるだろう。と考えながら見ていると、

ぽすっ。

「うぇぇ……そんなに怒らないでぇ……

ベルナが背中から抱きついてきた。

ベルナ」

腹に回された腕にそっと手を添える。

「ごめんなさいぃ……一緒に飲みたかったのぉ
………飲みたかった?」
………ぁ、……

今の状態では本音も出るようになるらしい。ベルナは俺から身を離し、こわごわと離れていった。

飲み物なんだな?」
「あうぅ
「そうなんだな?」
「う、」

何も言わないっていうことは肯定と受け取るぞ。そうベルナを睨み、キッチンの方へ赴く。

……何もないな」
………

今のベルナは小動物みたいにふるふると震えている。それは今の状態だからなのか、俺が怖いのか。
次にベッドの方へ行く。ベッドの上も何もない。サイドチェストの上も綺麗にしてある。………下の扉。

………ぁ」

後ろから息を飲む気配がし、俺は勢いよくサイドチェストの扉を開けた。

………
「ぅ、」
………ベルナ、これはなんなんだ?」
……ジュース……

そう呟くベルナはかわいそうなくらい縮こまっていた。ジュースだって?

「この一升瓶がか?」

そこに隠していたであろうものは、酒の瓶となんら変わりない入れ物があった。丁寧に袋までしまって。
その瓶を手に取ると、まだ重たい。中身はまだ半分あるようだ。……半分。
この瓶にどれだけ入っていたのか分からないが、中身が半分しかないことを見るとベルナは相当これを飲んだようである。

「これを飲んだのか?半分も?」
………飲んだ」

………マジか。瓶の蓋を開けて匂いを嗅いでみる。……アルコールの匂いがする。

……ごめんなさい……ジュースだとおもったの……

俺は黙って瓶に蓋をし、その瓶と袋を自分の荷物置き場に置く。

ベルナ、俺言ったよな?貰い物は俺を通してからにしろって。これお酒だぞ?」
「うぅ……
……はぁ。なんでベルナはこういうもの貰っちゃうかなぁ

懲りないベルナの行動にちょっと呆れている自分がいる。もうちょっと自分を大切にしてほしい。

「ん……あゎ、?」
……っおい!」

ふらりと倒れかけたベルナを間一髪で支える。

「もー!ベルナは!俺の言うことちゃんと聞けって!」
「うぅー……

腕の中でむにゃむにゃと返事をする恋人の頭を撫でながら、頭をフル回転させる。とりあえずベルナに水を飲ませよう。こんな状態じゃまともに歩けもしない。……さっき扉の前にいたけどどうやって歩いてたんだ。
もったりと俺に体重を預けるベルナを抱きかかえる。椅子はダメだな。ベッドに行こう。

「んぅ……クラウドぉ……
「ベルナ、水入れてくるからここで待ってな」

甘えるようにして抱きつくベルナをベッドにそっと降ろし、キッチンに行こうとするところではたと止まる。テーブルのカップも片づけないと。
カップを引っ掴み、キッチンまで行き新しいカップを出す。

「クラウドー抱っこしてー
「今するから待ってて」
「はやくぅ……

正直今のベルナは抱き潰してしまいたいほど可愛い。いつもならムキになったり照れ隠しの拳が飛んでくるのに。
水を入れたカップを手にベッドへ戻る。ベッドへ上がると嬉しそうにすり寄ってくる。その体をしっかり包み込み、口移しの準備をする。

「ん、ベルナ。口開けて」
「はぁーい………んむ、」

少し上を向かせ、口に含んだ水をそっと口内に流し込む。ごくりと音がする。

「ん、ぷは……

美味しそうに表情を緩ませるその頬を軽く抓った。

「ベルナ。今度からちゃんと俺を通して?お酒は飲みすぎると毒になるんだから」
「あぇ……わかったぁ

本当に分かってるのか?……いや、今のベルナはぼやーっとしていてちゃんと話を聞いてるか分からない。一応意思疎通は出来るみたいだけど。しっかりした後にもう一回念を押しておこう。

「ん……水、ほしい
「じゃあ口開けて」
「ぁ、……ん、」

そうやって二杯は水を飲ませてやった。


ーーーーーーーー
side:ベルナ


「うぅ……

なんだか頭が痛い。ズキズキとする痛みでベッドから起きた。……今何時かしら。

「んぇ……?寝てた……?」

寝ていたらしい。いつから寝ていたのか分からない。上体を起こし、周りを見る。明かりはついていて、カーテンはしっかり閉められている。

「クラウド……?」

ベッドには私一人だけ。なんで一人だけなんだろう。というか今何時?ばっと頭を動かすとまたズキズキと頭が痛みだし、唸ってしまう。

「う……、」

そろりと時間を見ると、12時半。これは昼間なのか夜中なのか。昼間にしては明かりがついているし、カーテンの向こうは暗そうだ。ということは夜中で合っているんだろう。
というか寝る前私は何してた……?朧げな記憶をたどってみる。
……そういえばジュース貰って飲んでいた。それからの記憶があんまりない。

「あー……もしかして……

この頭の痛みはジュースから引き起こされているのかもしれない。徐々に頭がはっきりしてくる。クラウドが部屋に入ってきて……何か言ってたな、怖い顔で。
やっぱりあれはジュースじゃないらしい。なんで私はいつも変なものばかり貰ってしまうのかしら。

「クラウド?」

そういえば恋人の姿が見当たらない。さっき?まで一緒だった気がするけど。と思った時。

パタン。

あ」
ベルナ、目が覚めたのか?具合はどうだ?」
「んー頭が、痛い

クラウドが何かを手に部屋に入ってきた。ご飯?

「だろうな。二日酔いだ」
……え?二日酔い?」
「お前、お酒飲んでふらふらしてたんだよ?そりゃ二日酔いにもなる」

そう言いながらキッチンに荷物を置くクラウド。

「あー……やっぱりあの瓶、お酒入ってたのね……
「分かってたんならなんで飲んだんだよ」
「だって……美味しかったんだもの……
「あのな……

荷物を整理した後クラウドはベッドの方まで歩いてきた。そのままベッドの端に腰かける。

「もうちょっと考えてから行動しろよ?貰い物したときはちゃんと俺に通すこと!分かった?」
……分かったわよ……
「本当に?」
「分かったってば!もう!………うっ、」

クラウドのしつこい釘刺しに声を張り上げるとまたずきりと頭が痛みだす。

「んっ、……クラウド?」

無言で腰に腕を回され、ぎゅっと抱き寄せられる。頭に頬ずりをしながら言った。

「もっと自分の体を大切にして?もうお前だけの体じゃないんだから」
……クラウド」
「俺がお前のこと大事にしたいの。だからお前もちゃんと自分のこと大事にして?」
……分かったわ」

優しい声色で話してくれるけど有無を言わさないその姿勢にちょっと申し訳なくなる。こいつはいつも甘えてきたり甘やかしてくることが多いけど、……ちゃんと考えてくれてるのね。私のこと。

……そういえば、瓶の中身まだ半分あるわよね?」
「何。まさかまだ飲みたいっていうわけじゃないよね?」
「そんな目で見ないで。あなたは飲まない?あれ」
ベルナの二の舞にはなりたくないから飲まないかな」
……一緒に飲みたかったんだけど」
それは本気でそう思ってたんだ?」

意外そうに顔を覗き込まれる。

「だって相方と一緒に飲めって言われたし
「そんなこと言われたの?」
「うん……
んー……

何かを考えるように唸るクラウド。

「じゃあお酒以外だったら一緒に飲もうかな」
……水なら一緒に飲んでるじゃない」
「確かに」

二人して吹き出した。

「ふは、じゃあ”ジュース”でも飲む?」
……没収したんでしょ?飲ませないくせに」
「当たり。もうベルナのへべれけはあんまり見たくないからな」
……あんまり?」
……ちょっと可愛かった、いや、かなり」
……変なことしてないでしょうね」

じとーっとクラウドを見るとちょっと怒ったような顔をする。

「俺はずっとお前に説教してたよ?覚えてない?」
「説教……
「そう。……覚えてないんだ」
「う………なんかジュース……、お酒飲んだ後からあんまり記憶がなくて
「はぁ、もうしょうがないなあベルナはぁー

そう言ってまたぎゅーっと抱きしめてくる。

「お腹空いてない?食堂からちょっと貰ってきたけど」
おなかすいた。何があるの?」
「いろいろあるよ。キッチンに来れそうか?」
……ん、大丈夫そう」



そう言いながら私たちはキッチンに向かった。