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望月 鏡翠
2026-05-29 11:43:58
915文字
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日課
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#2098 萬木2
#毎日最低800文字のSSを書く/とわの道行ついの国まで
食い物を頼む。気分的には完全に肉なのだが、草も食わねばならない。
他の旅人から教わったのだ。旅の最中は草を食わないといけないらしい。旅を助ける情報は、常に仕入れるようにしている。特に新しい世界の未知の病のことには、耳をそばだてておかなければならない。
その中で聞いたのだが、人は草を食わねば生きていけないらしい。にわかには信じられない話だが、そいつの与太話ではなく他の人間にも勧められたから、一定信頼がおける話だと判断した。
曰く、骨が溶けて歯が抜けて体が崩れていくらしい。
悍ましい話だ。
旅人の話はよくわからなかったが、ともかく食べるべきものがこの世にあるというのはわかった。滋養にいいものを食べるということしか理解できなかったが、以来余裕があるときは普段食べているものと違うものを口にするように、気をつけている。
そう思うと山中で食べるものがなくて毒のない草を齧ったり、味の足しになるように山菜を加えたりしていたことは、意味があるらしい。
店員を呼ぶ。
こうして普通に話しているが、どんな姿をしていたのか店を出た瞬間に記憶から消えている。店員の概念を認識しているだけだ。
つまり萬木の目には、茶屋や小料理屋にいる看板娘とカウンターの向こうにいる寡黙な店主という形に見えている。
「あー、串焼きと野菜の汁物はあるか?」
「はいよ!」
威勢のいい返事が返ってくる。酒を頼むと、日本酒が出てくる。他の客が頼んでいるものは全く違う酒があったりするから、おそらく萬木が酒だとイメージした酒が、説明しなくとも伝わっているのだろう。
便利なことだ。
注文した料理が出てくるまでの間、店内を見まわした。次の世界に流されるまでの間に、物資を補充しておかなくてはならない。研師を生業をしているもの、珍しい薬を持っているもの、などなどこの場所にはたくさんいる。
萬木は旅先で狩人として手に入れた獲物の皮や爪などを、提供している。爪や牙は武器に加工できるから喜ばれる。案外、毒腺なども喜ばれるらしいと知って最近では持って帰るようになった。
内臓の一部の保存は、この場にいた旅人から購入した便利な袋を使っている。
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