ortensia
2026-05-29 00:25:49
451文字
Public 創作
 

人と獣


 あるところに、とっても仲良しな人と獣がおりました。
 しかし獣に人の言葉は分かりません。獣はいつも人が様々な鳴き声を唱えるのを聞いていました。それが全て分からずとも、それを全て分りたいと思いながら。
 あるとき神様が獣の願いに気が付きました。そして神様は獣の願いを叶える方法を教えてあげました。
 獣が人を喰らえばいいのです。そうすれば、人を喰らった獣も、人の言葉が分かり、使えるようになるのだと。
 獣はその通りにしました。だから獣は人を喰らいました。とっても仲良しなその人を。
 獣が人に喰らい付くと、人は今迄聞いたこともない程の大声を上げました。それは獣がよく知る、獣の鳴き声にとてもよく似ていました。
 獣は人の言葉が分かるようになりました。
 けれど。
「けれど、人の言葉を使って話したかった人は、もう喰らってしまった。」
 だから獣は、孤独にそう、人の言葉で呟きました。
 せっかく人の言葉が分かるようになった獣の耳に残っている、人の声の最後のものは、人の言葉ではなかったのでした。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。