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ortensia
2026-05-28 22:41:15
1066文字
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傭リ
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傭リ。一緒に寝ているのかもしれない。
目が覚める。部屋はまだ暗い。そこで同時に頭の痛みを自覚する。逆にこの状態でよく寝ていられたと思う程の。
「トラウマの悪夢ですか?」
影のように、どんな場所でも馴染む男が問う。人は男が霧のように消えると言うが、何処を漂っていても違和感を覚えさせないということだ。それが上手いから、この男は直ぐに人の懐に入り込む。精神的な意味でも、物理的な意味でも。
「メンタルに響いて冷や汗かいてますね。」
「
……
まあ、そんなところだ。着替えるよ。」
ごそりと上衣を脱いで、そこで気怠さに動きを止める。そうしていると、何処からともなく長い腕がシャツを寄越してくる。
「
……
ありがと。」
「どういたしまして。」
それをまたごそごそと着る。
「しょせん妄想の産物なのですから、妄想の中で和睦すればよろしい。」
「
……
は?」
男はこちらが魘されたり寝付けないでいると、寝物語を歌うように、何か話をしてくれることはあるが、そこにこちらへの気遣いがあるわけではない。
「呉越同舟、という中国の諺があるじゃないですか。」
「え?
……
あー?それで?」
「彼らが協力できたのは、彼らの精神の内で、相手の国と自分の国が和平を結んだからではありませんかね?彼らの内なる世界では、彼らの国を互いに身方とした。だから実際にも舟の上で敵兵と協力できた。」
「折り合いを付けたってことか?」
「はい。」
しかしそれをこの男は妄想の産物と呼んだ。こういう男なのだ。
実際はどうあれ、妄想の中ならば好き勝手相手の事情も捏造してしまって、自分の都合の良いように決着を付けられる。だからそうしろと、この男は言って来ている。無茶苦茶である。
「
……
想像できん。」
「想像力に欠けますねえ。」
男は笑う。そういう問題だろうか。
しかし実際、確かに妄想とこの男が呼ぶものが、現実に影響を及ぼしている。本来ならば実際に起こったことが妄想に影響しているという話だったものが、逆転してしまっている。
「ならヒントを差し上げます。」
男の爪が夜の鈍い光を反射して、一本立てられる。
「おまえの妄想の中に、わたしを登場させるのです。」
爪の背がこちらの額をとんと触る。
「わたしが颯爽と登場いたしまして、おまえの妄想の中のお困りごとをさくっと解決してしまうのですよ。」
そのさくっとは物騒な意味じゃないだろうな。
でもまあ。
「おまえなら、おれよりよっぽど上手くやるだろうな。」
「そうですとも。」
思わず笑ってしまった。目覚めた時とは真逆の気分で、もう一度横に成る。
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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。
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